山岳用テント 「カヤライズ1」の詳細チェックと設営

こんにちは。からあげです。

カヤライズはテント本体がメッシュ生地のため通気性抜群です。
低地や酷暑時期のキャンプに適しています。
今回はカヤライズの詳細と基本のカスタマイズなどを紹介します。

ストームブレイク2を止めてカヤライズ1にした理由

オーストラリア自転車ツーリングのため、去年ザ・ノース・フェイスのストームブレイク2を買ったのだが、詳細をチェックして試しに設営したみたところ、どうもしっくり来ない。

オレンジより目立ちにくいグレーのフライシートが欲しくて、わざわざアメリカの通販サイト「Backcountry.com」から配送代行業者を経由して手に入れたというのに、やはりアメリカ製品の品質なのか、メッシュ部分に傷みはあるし、ポールがキツくて初日にしてブレイクしそうになるはで散々だった。

その後、改めて冷静になってストームブレイク2を見ると、総重量が2.5kg以上もあるし、大きくて嵩張るもので自転車ツーリングには不向きなような気がしてきた。始め多少の重さは多めにみて、居住性の良さをとろうと思っていたのだが、細部の作りが雑で無駄に神経を遣う仕様だったり、ポールが多くて設営撤収に手間がかかり、そのうえおっさんの信頼を大きく損なう品質だったこともあり、ストームブレイク2をオーストラリアで使うのはやめようと思うようになった。

 

それで代替の通気性のよいテントを探していたところ、始め選択肢に入れていたアライテントのカヤライズ1が急速に浮上してきて、おっさんの頭から離れなくなったのだった。

カヤライズをネットで検索しても、まともな情報が出て来ないくらいな人気がないようす。
だが、以前から私はアライテントの「飾りっ気のない、信頼と耐久性のある」エアライズを愛用していることもあり、アライなら間違いはないだろうと思ってカヤライズ1を購入してみた。

正直に言って、ザ・ノース・フェイスの「ストームブレイク2」は外れだった。まだ小さいストームブレイク1だったら良かったのにと残念に思う。ストームブレイク2は次の機会までとっておくことにしよう。

 

カヤライズ1(kayaraiz1)の詳細

メーカー仕様


カヤライズ1全景とサイズ

重 量 700g
サイズ
設営時:間口100×奥行205×高さ100cm
収納時:33×18cm
カラー ライトグレー
素 材 本体:モスキートネット(ナイロンメッシュ)
    シート:40dnナイロンタフタPUコーティング

 
暑い夏も快適に過ごせるメッシュテント
<アライテントのバリエーション2>
 
グランドシート以外はすべてメッシュで作られたテントです。
抜群の通気性を誇るテントです。暑い海岸や熱帯地方に出かけられる方、星空を眺めながら眠りたい方、そんなアウトドアズマンのために作りました。
もちろんグランドシート以外のテント本体に防水性能はありませんので、タープと併用されるか、オプションのフライシートをご利用にならないと、朝起きたら水の中にシュラフごと漬かってたということだってありえますので注意して下さい。
フライシートは「エアライズ用」「ゴアライズ用」「ゴアライズ用DXフライシート」のいずれも使用できます。フレームも「エアライズ」「ゴアライズ」と完全に共通です。
すでに「エアライズ」「ゴアライズ」をお持ちの方のために、「カヤライズ」はフレーム抜きの本体のみで販売します。

アライテント製品ページより

 

カヤライズの良いところは、エアライズ・ゴアライズとパーツが共通なこと
手持ちのエアライズ1のフライシート、ポール、グランドシートが使えるので、新たにカヤライズ1の本体を買うだけでよい。財布にやさしいアライのテント。耐久性は問題なし。
熱帯から砂漠まで多彩な気候の広大なオーストラリア大陸で大活躍してくれることだろう。

エアライズ1は軽量コンパクトで耐候性が高いので、自転車ツーリングでも非常に使い勝手の良いテントだが、一つ大きな欠点がある。
それは通気性が悪くて夏の低地では非常に暑いこと

去年2018年約4ヶ月間の北海道・東北ツーリングでエアライズ1を使っていたが、例年になく雨が多くて蒸し暑く、暑くて寝られないことが度々あった。出入り口を全開にして少しでも涼しくして過ごしたかったのだが、蚊が多くてメッシュにしなければならなかった。しかも雨に閉じ込められた日にはフライシートを閉めなければならず、余計に通気性が悪くなった。

テントの中でガスストーブを使って煮炊きすると、テント内の温度が上がってサウナ状態となり、大汗をかきながら食事をしていたのだった。

もうあんな目に遭うのは懲り懲り。

カヤライズ1の詳細チェック

今回もAmazonで購入。もちろんカヤライズ1本体のみ。
早速箱から取り出した。

付いていたタグ

Quality(特徴)がモスキートネットになっている。

収納袋から取り出したところ。

カヤライズ本体はキレイに折り畳まれている。
中にはA4版の取り扱い説明書が入っていた。
内容はテントの取り扱いなどの基本的内容。簡単そのもの。

カヤライズ1の収納袋

エアライズのようなコンプレッション機能はなし。紐を引っ張りコードロックで絞る仕様。
なぜか、袋の形は四角。

収納袋の角はR加工されていて、角が擦れにくくなっている。
これぞMade in Japanの品質だ!

カヤライズ1本体のみ674g、収納袋21g

恒例の儀式、重量を量る。
うむ、674gか。まずまずの重さだ。収納袋は21g。
これは全く手を加えず、張り綱4本とプラスチック自在を含めた重さ。

ちなみにエアライズ1の本体のみの重量の実測値は573g
およそ100gの重量増となる。

メッシュは薄いナイロン生地に比べて重たくなるのは仕方がない。

 

カヤライズの構造はエアライズとほとんど同じ。メッシュかそうでないかの違い。

ポールスリーブに張り綱を縛るループが取り付けられている。

RIPENのブランドロゴにKAYA RAIZ1のタグが取り付けられている。
もちろん信頼性抜群のMADE IN JAPAN。
下のFから始まる番号は製造番号か?

出入り口側のポール先端部を挿すグロメット部分。
エアライズ同様2つある。

2つのうちの一つは、DXフライシート用の前室のポールを挿すようになっている。普段はどちらでも好きな方を使う。

こちらが反対側のポールスリーブエンド部分。
先端にはフライシートを付けるプラスチックバックルがある。

ポールスリーブの交差部。
若干素材が固くてゴワゴワしているように感じる。

ポールスリーブの差し込み口。縫製は非常に丁寧。
アライの職人さんはいい仕事しているな!

出入り口のファスナーはダブルスライダーで信頼性抜群のYKK。
こういうところをケチるメーカーは3流。
僅かなコストダウンのために、耐久性と会社の信頼性を大きく損なっている。
当然だが、エアライズとは違いカヤライズはメッシュパネルのみとなっている。

メッシュポケット1つあり。
使用上の注意が書かれたタグが取り付けれている。

メッシュの縫い合わせ部分。しっかりほつれ止めのテープが取り付けられている。

テントの隅の縫い目部分。

こちらは出入り口側。

カヤライズの四隅に縫い目がある。

カヤライズは縫い目の裏側にきっちりとシームテープが貼られている。

余計なタグは切り取った。
余計なものは一切不要。秤で量っても1gに満たない重さだが、こういうことをキッチリやることで、道具への愛着が湧いている。愛着の湧かない道具は、次第に雑に扱うようになり長持ちしない。

縫い目にシームコートを塗布して防水処理をする

四隅の縫い目にはシームテープがきっちり貼られているため、防水はバッチリのように思えるが、念のためにシームコートを塗布しておく。

これはエアライズに付属するシームコートA-405。テントをセットで買うとおまけで付いてくる品。

 

まずは外側から縫い目にシームコートを塗布する。

十分乾かしたあと、本体を裏返して四隅をチェックする。
よく見ると、テープからはみ出た縫い目がある。

保護テープの先端が解れていたので、ライターで炙ってほつれ止めをする。

ほつれ止めをしたところ。これでバッチリだ!

このテープの縫い目の部分にシームコートを塗布しておく。

シームコートを塗布したところ。

ヨシ、これでいいだろう!

シームコートを塗布したあとはしっかりと乾かす。
そして、使用したシームコートはきっちりフタをして、ノズルにはクリップを差しておく。
これで次回も問題なく使える。

 

カヤライズ1の設営

それでは実際にカヤライズ1を設営してみることにする。

左からポールセット、カヤライズ1本体、フライシート、グラウンドシート。
ペグと張り綱を含めた総重量はおよそ1.7kg。

ストームブレイク2と比べてみる。
パッと見ただけで、違いは歴然。
総重量で約1kgの違いがある。これは非常に大きい。
しかもストームブレイク2はグラウンドシートなしでの状態だ。

カヤライズ1とエアライズ1本体を比べる。
カヤライズ1本体のみ(収納袋込み)の重さは695g、エアライズ1本体のみ(収納袋込み)の重さは595gで、キッチリ100gの重量差となる。

どちらもラフに折りたたんで入れた状態で、それほど圧縮されてはいない。
若干カヤライズ1の方が大きい。

まずはグランドシートを広げる。なくても構わないものだが、底面保護と防水力向上のために常に使用している。四隅にループが付いているので、簡易のタープにもなる。

グランドシートはエアライズ1、ゴアライズ1共通のもので、100×205cmの大きさで、必要にして十分な広さがある。素材は40dnナイロンタフタPUコーティングで、テント本体のグランドシートと全く同じ。

グランドシートの上にカヤライズを広げる。

ボトムの色はカヤライズがグレー。グランドシートは茶色となっている。
なぜ、グレーなのかは不明。

ポールを組み立てて上に置いたところ。

ポールスリーブにポールを差し込んでゆく。

初めての設営のためか、それとも素材の固さのためか、ポールが若干入りにくかった。

ポールを押しながら、徐々に入れてゆく。
この時、引っ張るとポールの接続部が外れてしまうので注意する。
中のショックコードが劣化して弛んだ状態だと、外れやすくなる。

接続部がしっかりハマっていないと、ポールを傷める可能性が高まるので、常にショックコードの状態を点検して、弛んでいれば短くしてテンションを適正に保ち、悪ければ新品に交換するようにする。

ポールスリーブの交差部は引っかかりやすいので注意する。
特にあとから入れる方がひっかかりやすい。

ポールスリーブのエンドにしっかりポールの先端を当てる。
これが不十分だと、立ち上げる時にポールに過度な負担を掛けることになる。

ポールをしっかり差し込んだところ。実際のフィールド上では風雨に晒されることになるので、落ち着いて作業を行う。何事も真剣勝負だ!

テント本体を立ち上げる時は、交差する上側のポール側から行う。

グロメットにポール先端の石突きを差してテントを立ち上げたところ。

グロメットは2つあるうちの外側を使用した。
初めての設営のためか、少し硬めだったのでゆっくり力を加えて挿した。

出入り口側から見たようす

真横から見たようす

吹き流しは反対側に付いている。

吹き流しのようす

メッシュパネルは不要かと思われるが、メッシュに付着した湿気が凍結して通気性が悪くなる可能性もあるということで、換気用の付き流しがわざわざ取り付けられている。

正面から見たようす。

張り綱の付け根のループ

ポールの交差部分

特に無理な力は掛かっていないようす。

真上から見たようす。

メッシュの縫い目の部分もバッチリ。
異常な負荷は掛かっていない。

ポールスリーブは、カヤライズが全面厚手の生地、エアライズは一部メッシュとなっている。

カヤライズのポールスリーブが通気性のない全面生地となっているのは、本体がメッシュであるからだろう。
生地が厚いためか、ポールを差し込みにくいが、使い込むうちに柔らかくなってスムーズに抜き挿しできるようになるだろう。

カヤライズのボトムも、エアライズ同様にバスタブ状になっている。
出入り口側の立ち上がりは約17cm。

他の部分の立ち上がりは約25cmとなっていた。

出入り口パネルを全開にしたところ。
ファスナーの開け閉めはスムーズ。さすがはYKK。

入って右側にメッシュポケットあり。
不要なタグを切り取ってスッキリしている。

カヤライズの内部のようす。

エアライズ同様、100×205cmのサイズで、一人が生活するには十分。

中で横になったところ。
ちょうど底の立ち上がり部分に体がギリギリ隠れる状態。
風に吹かれても、立ち上がり部分が風よけになってくれる予感がする。
だが、個人的にはあと5cmは欲しいところ。

 

天井ループに物干しロープを取り付ける

中で横になっていると、天井ループがあることに気がつく。
全くエアライズと同じ仕様。

天井ループに物干し用のロープを取り付ける。
太さ1.5mmのナイロンロープ。ハサミでカットして、切り口をライターで炙って解れないようにする。

ロープを取り付けたところ。
このロープがあるのとないのとでは、雨天時の快適性が全然違う。
カヤライズだと通気性がよいため、乾きやすいに違いない。

本体のチェックが済んだところで、フライシートを取り付ける。
野宿で目立たないようにフォレストグリーンにした。

テープを伸ばしてプラスチックバックルを付けてから、出入り口側の丸い金具をポール先端部に付ける。その後で、テープの長さを調整してしっかり張り、フライシートの穴から張り綱を出してしっかりとペグダウンする。

今回はコンクリート上での設営のため、ペグはなし。

横から見たようす

フライシートの丈もバッチリ。メッシュ部分がはみ出ていない。

吹き流し部分。
だいたいの位置は合っている。

張り綱の位置もバッチリ。
ちょうど穴の位置に合っている。こちらは出入り口の反対側。

こちらが出入り口側の張り綱付け根のようす。

若干位置がズレていて、張り綱を出しにくかった。これはエアライズでも同様の症状が出る。
前室のある影響からか、ポールの位置がズレやすくなっている。
これくらいは目を瞑ろう。

フライシートを開けたところ。

まったく違和感はなし。

前室の張り綱はブロックを使用して固定してみた。
前室の出っ張りはこのくらい。

通常、出入り口側を風下側にしてテントを設営する。短辺側に出入り口のあるテントでは、風圧面積が減り有効。

前室のところにサンダルを置いてみた。広さは十分。
ただし、前室にはガソリンストーブを安全に使えるほどの広さはなし。漏れたガソリンに引火して火災を起こすおそれがある。ガソリンストーブはテントの外で使った方がいい。

フライシートの裾

軽く引っ張った状態。

フライシートを張ったテントの中に入ってみる。
中は明るくて過ごしやすい。
通気性が良いためか、テント独特な篭った匂いがしない。

テント内で横になる。
本体のみと全く変わらず。

おっさんはどこでも横になるのが癖。ある日、あなたの家のすぐ側の公園で寝ているかもしれない。

吹き流しの位置を内側から見ると多少ズレているが、機能的には全く問題なし。

サイドのショックコードを張らないそのままの状態。

本体メッシュとフライシートの隙間が少なくて多少の保温効果が感じられる。

今度はショックコードを張ってみた。
石で固定できるように、細いロープを取り付けている。
直にペグにショックコードを掛けると痛みやすいし、テンションの微調節がしにくいので、このようにロープを付けるのをお勧めする。

 

中から見ると違いは歴然。
空気の抜けが良くなって、より外の自然をダイレクトに感じられるようになった。

テント本体の張り綱には3mmのロープが取り付けられているため、軽量化するために2mmのダイニーマロープに付け替える。
ダイニーマは1m約170円と高価なロープであるため、使い回しする。

こうなったら、もう総力戦だ!
一昨年PCTで大活躍したツエルト2ロングからダイニーマロープを取り外す。
自然に溶け込む若草色なところが気に入っている。通常のツエルト2が廃版になってしまったのは惜しい。一人だと長くなった20cm分を持て余す。私の身長は165cmと小柄なので余計に感じる。

 

通常のナイロンロープに比べて、芯にダイニーマが入っているロープは遥かに丈夫なのだが、ハサミやナイフで切りにくく、切り口がボサボサに解れるのが欠点。ライターで炙ると、大きなダマになってロープワークがしづらくなる。
そこで瞬間接着剤で処理してある。この方法は耐久性抜群でロープを扱いやくてお勧めできる。

 

張り綱の取り付けは、基本の8の字結びで行う。
正しく結んでおくと、まず解けてくることはない。

張り綱の長さは適度に調整してある。長過ぎても短すぎても使いづらい。
長年の研究により最適な長さとなった。

とは言っても、砂や雪の中にペグを埋めたり、離れた立木などに結んだりする時には長さが足りなくなることもある。
そんな時はロープを継ぎ足す。
名前は忘れたが、おっさんがロープを結ぶ時に多用している結び方だ。

ただ、ロープを継ぎ足すと、ロープが扱いづらくなるのと、ペグの穴にロープを通せなくなるのが欠点だ。やはり通常は結び目なしで使いたい。

ちなみに私は張り綱を固定する際は、プラスチック自在は使わない。ペグに直接縛った方がズレないし、テンション調節しやすいのがいい。これも長年テントを使うちにこのような方法をとることになった。

 

カヤライズの感想

なぜ、始めからカヤライズにしなかったのだろう?そんな疑問が湧いてくるが、当時のおっさんはまだ水を30Lも持つことになるとは思いもしていなかった。
居住性を重視したツーリングでは、ストームブレイク2の方がいいだろうが、過酷な内陸部では少しでも扱いやすく軽い方がいい。

オーストラリアまでカヤライズ1を実際に使うことはないだろうが、エアライズ1と基本構造は同じのため、全く不安はなし。それでも、最終チェックを兼ねて、1泊か2泊くらいのショートツーリグに出かけた方がいいかもしれない。時間があれば、実際に使ってみたい。

 

エアライズシリーズには豊富なオプションがあって、それらを使えば年中使えるようになっている。今回カヤライズを実際に見て、去年の北海道ツーリングで使っていたら、かなり楽だったろう。例年になく雨が多くてやたらと暑かった。カヤライズであれば快適だったはず。

今年のオーストラリアはカヤライズで決まり。目立たないフォレストグリーンのフライシートがいい仕事してくれるだろう。

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コメント

  1. 白山室堂御前荘 より:

    隊長さんの記事を読んでいると入ってくるお金より出ていくお金が多そうですね。

  2. 西川敏正 より:

    カラアゲ隊長、こんにちは
    ロープの継ぎ足しに使ったのは「シートベント」です
    隊長は二回回しているので「ダブルシートベント」となります^^

    • karaage より:

      どうもありがとうございます。
      なんとなく思い出しました!
      いやあ、名前を覚えるのは苦手で、どう書いたものか困っていました。