ウィスパーライトインターナショナル ウィック不要論

こんにちは。からあげです。

 

純正ウィックについて

今日はMSRガソリンストーブ「ウィスパーライトインターナショナル(Whisper Light International 略してWLI)」のウィック(Wick)についての話。

分解したMSR WLIストーブ本体

入手性のよいレギュラーガソリンが使えるガソリンストーブのWLIは、世界中のバックパッカーやサイクリストたちなどに愛用されている。
私はおよそ3年前に購入してから、日常生活から自転車旅までさまざまな場面で使い続けている。メンテナンスさえしていれば末永く使用できるし、災害時にも大活躍してくれること間違いなし。そんな頼もしいWLIはもう手放せない。

 

これまでWLIを使い続けていて気になっていたことがある。
ウィック(Wick)と呼ばれるガラス線維でできたプレヒート用の芯。

下皿の燃料を吸い上げて点火しやすくするとともに、燃料を溢れにくくするためのもの。
毛細管現象により吸い上げられた燃料は、空気との接触面積が増えて揮発しやすくなる。
ホワイトガソリン専用ウィスパーライトシマーライトにウィックがないのは、揮発性が非常に高いホワイトガソリンならウィックがなくても簡単に点火できるから。

プレヒート中のWLI

プレヒート(予熱)はガソリンなどの液体燃料を気化させるために行う作業。液化した状態では燃えにくく燃焼を制御しづらい。そのためガソリンストーブでは、一部の機種を除き(SOTO MUKAストーブ)プレヒートが必要となっている。

 

点火しやすくなるウィックだが、使っているうちに汚れてボロボロになってくる。

プレヒートで大量発生する煤はウィックにも付着する。繊細なウィックは洗浄できないので、汚れたままになる。煤は使用者の身なりを劣化させる。これが野宿者にとっては非常にやっかいだ。

ウィックは所詮消耗品。代理店の株式会社モチズキで購入できる。しかし500円弱もする高価な代物で使い捨てすることは難しい。

 

カーボンフェルトでウィックの代用品を作る

そこで熱に強いカーボンフェルトで代用品を作ることにした。
ガラス線維と同じく難燃性のカーボンフェルトもそれなりに高価。純正ウィックほどではないが、20×20cmほどの小さなシートでも500円以上する。

以前、アルコールストーブを自作する時に入手したもの。厚さはおよそ3mm。

下皿で型をとる。
あとになって一回り大きめにしておけばよかったと思った。

カーボンフェルトは普通の布のようにやわらかく加工しやすい。文具用のハサミで切ることができる。

下皿に取り付けたところ。

セット完了。

純正ウィックの代わりにカーボンフェルトを取り付けたWLI。

 

カーボンフェルトウィックの使い心地

2019年オーストラリア自転車ツーリングで半年間使い続けたWLI。
純正ウィックはすぐにダメになり、カーボンフェルトに交換して使っていた。

ところがカーボンフェルトに替えた途端、吸収性が良すぎて逆に着火しづらくなった。それでプレヒートの際に必要以上のガソリンを下皿に溜めることになった。その結果、ガソリンが燃え尽きるのを待ってコントロールバルブを開けなければならなかった。(下皿のガソリンが燃えている状態でコントロールバルブを開けると、大量の煤を出して燃焼する。)

点火しづらくなるほか、繰り返し使っているうちに縮んで小さくなってくるのが欠点だった。
縮んで下皿の底に張り付いたカーボンフェルトではガソリンを吸い上げてくれず着火しづらい。ない方がマシだった。(それでもカーボンフェルトを使い続けた。)

純正ウィックは使いやすいが高価、かと言ってカーボンフェルトで作った代用品では性能がイマイチ。

帰国してからはカーボンフェルトを外して、ウィックなしで使っていたのだった。
ウィックなしでも、燃料がガソリンであれば一発で着火できた。汚れても洗浄できないウィックなど邪魔なだけ。

 

新聞紙でウィックを作る

ある日、ガソリンの代わりに灯油を使ってみようとふと思い立ち、下皿に灯油をためていつものメタルマッチで点火を試みた。予想していたとおり、引火点が高い灯油ではメタルマッチでは点火できず。

WLIはマルチフューエル仕様で、ホワイトガソリンやレギュラーガソリンのほか、灯油も使用できる。(XGK-EXはさらに軽油まで使用可能。)

そこでウィックの代わりに小さくちぎった新聞紙をねじって下皿にセットしてみた。
新聞紙は吸収性がよく、純正ウィックのように灯油を吸い上げてくれる。
新聞紙ウィックは1回限りだが、燃え尽きて灰になるので片付けの手間いらず。旅先ではトイレットペーパーやフリーペーパーを使えばいいだろう。

ライターで新聞紙ウィックに火を点けたところ。
始めは新聞紙しか燃えないが、炎に熱せられているうちに灯油も着火して燃えだすようになる。
そうなったらウィックの役目は終了。

灯油はプレヒートに時間がかかるが、バーナーに火が点いてしまえば、あとはガソリン使用時とほとんど変わらない。湯を沸かすのに多少の時間がかかるが、価格が安いのが長所。

ガソリンであれば、ウィックなしでもメタルマッチで一発点火可能。
灯油でも新聞紙ウィックを使えば、ライターなどで点火可能。

よって純正ウィックはなくても構わないという結論に達した。
汚れても洗えないウィックは困りものだった。

以後は純正ウィックなしでWLIを使ってゆくことにする。これで一件落着。よかったよかった。

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