山岳用テント「エアライズ」 定番7つのカスタマイズ

こんにちは。からあげです。

 

2018年年明け早々、新たに購入したアライのエアライズ1。
老舗テントメーカー「アライテント」の定番テントだ。日本国内で職人の手により製造されている、信頼性抜群の3シーズン用のダブルウォールテントで、登山者などに根強い人気がある。そのため、稜線のテントサイトではエアライズだらけで、自分のテントが分かりずらかったりする。だがそれも以前の話で、今では様々なメーカーからテントが販売されるようになったり、装備のウルトラライトブームが到来したりして、多種多様なテントが見られるようになった。

 

新品のエアライズ1。袋から出したところ。

やはり購入したてのテントはいい。
汚れもなく臭いもなく、清潔な空間で眠ることができると思うと心が躍る。

ただ、実際にフィールドで使用する前にいくつか手を加えておくことがある。
ちょっとした手間で、使い勝手がグッと良くなる。おっさん秘伝のカスタマイズ方法を読者だけにこそっと紹介しよう。

 

エアライズ1のカスタマイズ

不要なタグを切る

まず始めに行うのは、不要なタグを切ること。これが一番手軽にできる。
不要なタグが付いたままだと見た目が悪いし若干重たくなる。些細なことだが、タグを切ることで、不要なものは一切排除するという、強い意志を持てるようになる。

フライシートのタグを切ったところ。

「エアライズ1 フライシート」と表示されていたような気がする。
これは商品管理をする側が必要なもので、使用する人間には不要。

収納袋の内側の部分も切り取っておく。

完全に自己満足の世界。
だが、さすがに縫い糸を切ってまでして、タグを完全に外す気はない。

タグを切り取ったあとは、そのままでよい。
使っているうちに解れてくる。

グランドシートの収納袋内側に取り付けられていた縫製NOのタグ。
これも不要。
全ての袋を裏返して、不要なタグがないか確認した。

本体は「エアライズ1」のタグのみ切り取った。
「RIPEN HIGH QUALITY EQUIPMENT」は残しておいた。

本体内部のメッシュポケットに取り付けられていた注意書きも切り取った。
書いてあることはごく当たり前のことで、一度読めば忘れることはない。

不要なタグを全て切り取っても、1gあるかないか。
それでも、私はやる価値はあると思う。

不要なものは要らない。

縫い目の防水処理を行う

エアライズを買ったあと、使用する前に行う必要があるのは縫い目の防水処理だ。
大まかな縫い目には内側からシームテープを貼って防水処理してあるが、シームテープでは処理できない箇所は、購入者自信が防水液を塗布する必要がある。こうした細部の処理をユーザー自らに委ねることで、コストダウンも行こなうことができるし、テントにより一層愛着を持ってもらうこともできる。

写真はアライ純正の防水液、シームコートA-405だ。テントに1本付属してくる。

縫い目や生地の隙間にシームコートを塗布することにより、防水性能を高める。

 

シームコートの塗り方


アライテント サポート(シームコートの塗り方)より

エアライズの場合、シームコートを塗布する箇所は、テント本体の四隅。
フレームスリーブ末端部の左右両側からシームコートを塗っておく。

 
 
実際にシームコートを塗布しているところ。
縫い目に沿って塗ってゆく。
 
 
シームコートを塗布した縫い目
 
 
乾燥時間は約1時間

日陰に干してしっかりと乾燥させる。
 
 
使用したシームコートのノズル穴には、クリップを曲げたものを挿しておく。
こうすると穴が塞がらなくていい。
 
 
ノズルの穴にクリップを挿しておくことで、ノズルが繰り返し使用できるようになる。
 

収納袋にコードロックを取り付ける。

コストダウンのためか、コードロックが付いている収納袋はテント本体のみとなっている。
以前のエアライズ2では、収納する度に縛っていたが、今回は奮発してコードロックを付けることにした。

純正のコードロックは、テント本体に付いている白の半透明のものだけ。

自分で用意したコードロックを付ける。
コードロックは、フライシート、ポール、グラウンドシート用の3個が必要。

写真のコードロックは、20×11×8mm、穴径4×3.5mm程度のミニサイズとなっている。
これはアメリカの通販サイトで購入したもの。1ダースで3ドルくらいだった。

収納袋の紐は、そうめんのような平べったい形をしているので、穴が大きいとしっかりロックできないおそれがある。適度な大きさのものを使用する。

コードロックを付けることで、収納袋が劇的に使いやすくなる。
こうしてコードロックで口を締めておけば、緩むことはない。

ロープワークなど細かい作業がしにくい低温下では特に便利。

ロープの交換や末端処理など

ショックコードの末端処理を行っておく。
ほつれて来ないように瞬間接着剤で固める。

事前に結び目を整えておく。
気持ちよく使用するために、細部までこだわる。

テント本体四隅ループや張り綱、フライシート前室の張り綱には、直径3mmのナイロンロープが使用されている。

重たく嵩張るため、直径2mmのダイニーマロープに交換する。
ダイニーマロープは1mで約170円と高価なものだが、強度と使いやすさを考えるとそれほど高いものではない。

 
ただし、ダイニーマロープはほつれやすいため、瞬間接着剤を使用して切り口の加工を行う。
単にライターで炙るだけだと、大きな玉になったり、途中で解れてきてロープワークの妨げとなる。詳しくは参考リンクの記事を見て頂きたい。
 
参考リンク
ダイニーマロープの末端(切り口)を瞬間接着剤で固めて解れないようにする
中芯がダイニーマのロープは非常に丈夫ですが、加工しずらくハサミやカッターナイフでカットするとボサボサになります。ライターで炙ると大きな玉になってロープワークの妨げになります。瞬間接着剤を使えば綺麗な切り口にすることができます。今回、ダイニー...

 

ダイニーマロープの末端加工を行ったようす

横から見ると、ライターで焼いた時のように大きなコブが出来ない。
先端の黒色は、油性の黒マジックで印を付けた時のもの。

 
瞬間接着剤なので、10分程度乾燥させておけば、カチカチに固まってくれる。
 
 
純正の張り綱(自在付き)1本につき、なんと4gも軽くなる。
しかも長さは20cmほど長くなった状態だ。
 
 
私の設営方法では自在は不要なので取り外す。
ロープの長さ調節はテント側より、ペグ側でした方がやりやすいし緩みにくい。
ただし、ペグを埋めて固定する雪上キャンプでは不可。
 
参考リンク
傷めないペグの打ち方と自在を使わずに直接ペグに縛るロープワーク
実家の物置小屋に引きこもりながら、日々コツコツと作業を続けている自称探検家のおっさん。冬本番になり寒さが厳しくなってきたが、耐寒能力の維持、さらなる向上を目指するために、高気密高断熱の家ではなく、敢えて隙間風が吹き抜ける極寒の物置小屋で生活

 

本体の張り綱を2mmのダイニーマロープに交換したところ。
簡単で信頼性の高い8の字結びで結んでおく。

フライシートのショックコードにロープを取り付ける

ペグにショックコードを引っ掛ける方法だと調整しづらいが、短いロープを付けておくと抜群にテンションを調整しやすくなるし、ペグを打つ場所の自由度も大幅に増す。
ペグが効かない岩場では、石にロープを縛って固定することもできる。
 
ショックコードに直にペグや石を掛けると痛みやすいこともあるので、多少重量は増すがロープを付けておくことをオススメする。
 
ダブルウォールのテントは、フライシートとテント本体が接すると漏水するおそれがあるため、ショックコードをテンションを掛けてしっかり張って、フライシートとテント本体の隙間を十分確保しておく必要がある。多少重量が増えるデメリットがあるが、メリットの方が遥かに大きい。
 

天井ループにロープを取り付ける

エアライズの天井付近には5つのループあって、収納ネットや物干し用のロープを取り付けられるようになっている。
物干しロープは、濡れた衣類を干しておくのに重宝する。

ロープに強度は必要ないため、1.5mmのナイロンロープを使用する。
あまり細くすると、解きにくくなるため、1.5mmくらいがベスト。

ロープは緩めにして縛っておく。あまり張りすぎると本体が突っ張ってしまう。

ロープを通したループのアップ

 

リペアパイプにテープを巻く

テントに標準で付属するテントポールのリペアパイプ。
強風に煽られてポールが曲がった時に、曲がった部分に挿してテープを巻き応急修理するためのもの。

念のため持って行くが、実際滅多に使うことはない。そこで、リペアパイプにガムテープなどを巻いて携帯すると何かと便利。カッパを枝などに引っ掛けて破いてしまった時は、とりあえずガムテを貼っておけば、浸水しないし穴が広がらない。(ただし、剥がす時は注意する。)

 

各部の点検とカスタマイズの感想

カスタマイズ完了後、設営して各部の点検を行う。

張り綱を交換してより一層落ち着いた感じになったフォレストグリーンのエアライズ1。
交換したダイニーマロープには反射材入の繊維が織り込まれているため、ヘッドライトの光を浴びると反射するようになっている。混み合ったテント場でも、張り綱を引っ掛けられないで済む。

各部の点検で特に問題はなし。

2018年の北海道ツーリング中のようす

羽幌沖に浮かぶ焼尻島のキャンプ場でテントを張った。
フライシートのショックコードに付けたロープのお陰で、しっかりとテンションを掛けて張ることができた。

北海道大雪山系の白雲岳避難小屋キャンプ場にて。

横風を受けてテントがバタついているが、ペグをしっかり効かせて張ったのでなんら問題はなし。張り綱の自在を外してペグ側で縛ることで、風が拭いても張り綱が緩むことはなかった。

天井のループに取り付けたロープ。

濡れたものは細々としたものをぶら下げておくのに便利。
雨が多かった2018年の北海道では大活躍した。

 

以上、私のとっておきのカスタマイズ7つ。
テントが長持ちするし扱いやすくなるので、皆さんにもおすすめする。