【西日本ツーリング2020】山陽小野田~防府 探訪「寝太郎伝説」

こんにちは。からあげです。

 

思いがけず昨晩も無料キャンプ場で泊まることができた。街灯がなく夜は真っ暗となりとても静か、朝までぐっすり。
今日も夜明け前に起きて食事を済ませると明るくなってから出発した。

国道2号線に出て一気に距離を稼ごうとしたものの、大型車がやけに多かった。ハイスピードで迫りくるトラックからは刺すような殺気を感じる。このまま走り続けるのは危険と判断し、国道を逸れて県道に入った。

しばらく走ってやって来たのはJR厚狭(あさ)駅。
ここ厚狭の地には、かの有名な寝太郎伝説が語り継がれている。寝太郎さんのファンの私としては寄らずにはいられない。

ろくに働きもせず3年寝続けていた男が、突如起き出して堰を造り干ばつで苦しんでいた村を救うという話。ほかにも日本各地に厚狭とは多少異なる別バージョンが伝わっているという。それらの伝説を探し求めて旅をするのも楽しいかもしれない。

 

駅前の寝太郎像

銅像の下にプレートが埋め込まれている。

厚狭のヒーロー寝太郎様。見た目はただの爺さん。

ただ寝ていたのではなく、どうやって堰を造ろうかとずっと考え続けていたという。家が金持ちでも、堰を造るほどの金はなし。そこで考えたのが、佐渡の金山で働く人夫に新品のわらじを与え、代わりに金が付いた古いわらじをもらい、それらを家に持ち帰って金を取り出して堰建設の資金とすること。

う~む。たしかに夢はあるが、現実味がまるでない。いくら昔でも金の管理は厳重だろう。かなり無理がある。

駅構内にはコンビニあり。
すでに通勤通学ラッシュ??が過ぎたようで閑散としていた。

駅前の交番。ん?なんだ屋根に乗っかっているのは。

おお、こんなところにも寝太郎様がいるぞ。

細い路地を入ってゆくと、「寝太郎ハイツ」を発見した。
外観は普通のマンションだった。大人気のようで全て満室。

数日間でもいいから住んでみたい。そんな気分になった。

線路を越えてやって来たのは、寝太郎様が祀られている寝太郎荒神社。
住宅街の一角にひっそりとある。

神社の向かいには「ねたろうの里公園」が整備されている。
遅い時間に着いたなら、ここで泊まったかもしれない。

寝太郎伝説に思いを馳せながら、ここでしばしの休憩。

こちらは可愛らしい寝太郎像。
鍬で畑を耕している働きものの寝太郎様。

「もう寝るのは飽きた。これからはしっかり働くぞ。」そんな風に言っている気がする。

寝太郎荒(ねたろうこう)神社

千町ヶ原のほぼ中央にあり、その開拓者=寝太郎を祭神として祀っている。
昔、この一帯は葦(あし)の茂った沼地であった。この沼地がいつの頃、誰の力によって厚狭川をせきとめ、水門と水路をつくり千町ヶ原に灌漑用水を引き、素晴らしい美田に変えた。
これは天保十二年(一八四一)の風土注進案にある話である。この物語が幾多の創作まで織りこまれて一つの伝説が深くこの地に根を下ろした。それが寝太郎物語である。

平成一七年一月 山陽小野田観光協会

 

時間節約のため、寝太郎堰に行くのは止めて国道2号線に復帰する。
大型車が多くて神経をすり減らす。

九州からトンネルを抜けて本州に入ると、交通量が一気に増えて走りづらくなった。
特に長距離トラックが増えた。

しばらくゆくと国道2号線は自動車専用区間となった。
強制排除されたものの、どうやって迂回すればいいのか?
地図を見て少しの間考え込む。

その場に留まっていても仕方がない。とりあえず行けるところまで行くことにした。
草に埋もれた歩道をゆく。

すると国道の下をくぐるトンネルを発見する。
ほとんど使われていない道のようだが、路面にうっすらとした自転車の轍が残っている。ときどき私のような変わり者が通るのだろう。

静かな直線道路。地元車がわずかに通るのみ。

それにしても風が強く寒い一日だった。追い風でなかったら途中で嫌になっていたことだろう。

そのまま県道を走ってやって来たのはJR新山口駅。
駅周辺は工事の真っ最中だった。

こちらは工事が終わってキレイになっている。

オシャレなバス停

駅構内も非常におしゃれ。緑が多くこざっぱりしている。

中身が透けて見える消火栓の設備あり。

自転車に戻るとタオルがないことに気が付いた。駅で落としたのだろうと思い、時間を掛けてくまなく探し歩いたが見当たらず。外して前カゴに入れていた時に強風で飛ばされてしまったようだ。

新山口からは再び国道2号線に復帰したが、またしても大型車が多くてやけに疲れた。
まるでバイパス道路のよう。

そしてまた自動車専用区間になって強制排除される。

国道下の道をゆく。路肩が広く交通量が少なめで走りやすい。
もう国道は懲り懲り。

交通量の少ない道を走っているうちに、川沿いのサイクリングロードに出た。ラッキー。
しばらくはマイペースで走れて気分転換になった。

新しいタオルを手に入れた!

タオルは身なりを整えたり、首に巻いて保温したりするための欠かせないアイテム。いつも首にタオルを巻いているので、巻いていないとスースーして落ち着かない。

仕方がない。100円ショップで同じマイクロファイバータオルを購入した。
首に巻ける長いものでないとダメ。短いのを無理して巻くと首が締まって苦しくなる。タオル選びにも時間がかかる。

防府市内でスーパーに寄って食料を購入した。
コロッケを食べて元気を回復する。

ここで今度は手袋を紛失する。特製ステムポーチに入れていたはずなのに、どこにも見当たらない。
またしても強風で飛ばされたようだ。

防府に来たついでに防府天満宮に寄り道する。
荷物満載の重量級自転車はサイクルラックを使用できない。
つっかえ棒で自立させて停めておく。

あると便利なものがつっかえ棒。スタンドで自転車を支えるとフレームが傷んでしまうので、傷んだトレッキングポールで作ったつっかえ棒を使っている。

 

防府天満宮入り口

京都の北野天満宮、福岡の太宰府天満宮とならび、日本三大天神と言われているそうな。
日本人は○大~とか、~百選とかが好き。

広々とした参道。

ポケモンGOとドローンはどこでも嫌われもの。

撫でられてテカテカになった牛の鼻。

コロナ感染拡大防止のため、お触りはご遠慮ください。

実に華やかな山門。
青空に紅い柱がよく映える。

大量の願掛け絵馬が下げられている。

人の願いを読んでいると面白い。ときどき吹き出しそうになる。

あたしリカちゃん。
ご主人さまに飽きられて家から放り出されたの。これからは橋の下があたしんちよ。

境内の片隅に大きな東屋風の建物あり。

防府市内を眼下に望むことができた。

癖になる鳩の餌やり。
おや?鳩の餌の自販機があるではないか。よし、買ってみよう。

ウエハース状の容器の中に顆粒がたくさん入っている。
半分に割って中身を出して、そこら辺にまくと鳩がたくさんやってくる。
残ったウエハースは握りつぶして粉々にしてまくと、残らず鳩が食べてくれる。

鳩に餌やり中。

しばらくすると鳩団子ができる。

鳩に餌をやって楽しんだあと、ねぐらを求めて出発することにした。
森に囲まれた神社でゆっくりすることができた。

西風に乗ってふら~りと走る。
気の赴くまま、風まかせ。

ねぐら探しは視覚に頼ってはダメ。体で感じるのだ!全身を開放すれば、自ずと見つけられるようになる。

夕暮れころ、海岸の防潮堤の影でテントを張った。
すぐ近くに民家があるが、防潮堤で全く見えない。おまけに風を遮ってくれる。

野生の勘で見つけた安心安全の野宿スポットだ。

手袋とタオルを紛失する失敗をやらかした一日だったが、無事に走行を終了して休むことができた。
多くを求めず、今あるもので満足する。これが楽に生きるコツかもしれない。そんな気がした。

今後もしばらく旅は続く。すでに終了して1年近く経とうとしているのに。

走行距離
山陽小野田~山口~防府
走行時間 5時間、走行距離 約80km
ねぐら 富海(とのみ)海水浴場付近
 
おわり