飛行機輪行に備えてガソリンストーブを分解洗浄する

こんにちは。からあげです。

 

オーストラリア出発が目前に迫った今日この頃。行く行くと言いながら、なかなかオーストラリアに行かないおっさんは、新種の行く行く詐欺をしようとしているのか?いや、そうではない。ただ単に、今回は事前準備が順調に進んでいて、ずい分前から記事をアップしているのでそう感じるだけだ!

あともう少ししたら、本当にオーストラリアに行くぞ!本当に!!

ガソリンストーブの分解洗浄

今日は飛行機輪行に備えてガソリンストーブの分解洗浄を行う。
使用済みのそのままのガソリンストーブだと、危険物扱いとなって飛行機に載せることができない。しかし、きれいに洗浄して残留ガソリン成分を取り除けば、一般の荷物として飛行機に載せることができる。

ネットで調べてみると、きれいに洗浄したガソリンストーブでも、空港係員に難癖を付けられて没収されたという怖くなる情報が出てくる。(ガスストーブでも没収された情報あり)ガスストーブが主流となった現在でも、海外で活動する冒険家やサイクリストたちが使用しているのは、燃料の入手が容易なガソリンストーブだ。ガソリンストーブは、プレヒートやメンテナンスに手間がかかるが、燃料を世界中で手に入れられるし、低温下において抜群の性能を発揮してくれる。そんなガソリンストーブは冒険家やサイクリストにとってはなくてはならない必需品。手入れをしながら使い込んでいくうちに、自然と愛着がいてきて、道具の癖も分かってくる。

現在、私は実家で肩身の狭い居候中なのだが、去年年末のいくら事件を機に煮炊きも家族と別にするようになった。物置の出入り口のコンクリ部分で、毎日ガソリンストーブで玄米ごはんを炊き、具だくさんの味噌汁を作っている。ガソリンストーブなしでは、私の生活が成り立たないまでになっている。

カセットボンベ仕様のガスストーブも持っているが、いくら安いカセットボンベと言えどもガスは割高で、火力が弱く空き缶の処理が面倒だ。よって実家生活では不向き、いや長期の海外ツーリングでも不向き。その点、ガソリンストーブは燃料代が安くて火力が強い。ガソリン3Lもあれば、毎日朝晩2回煮炊きしても一月弱は持つ。

ガソリンの買い出しはおかんの自転車に乗って近所のセルフのガソリンスタンドに行っている。
車がガソリンを給油中、ママチャリで乗り付けて店員さんに入れてもらう。

後ろのキャリアに付けているカゴに5Lの携行缶がジャストフィットする。
スポーツ自転車もいいが、普段の生活にはママチャリが欠かせない。こうしてポンとカゴに荷物を放り込んで走れるのは非常に便利。

おっとイケない、話を戻そう。オーストラリアに行く際の飛行機輪行に備えてガソリンストーブをきれいに洗浄し、その後で台所用洗剤で洗って完全に脱脂することにした。

では早速、作業のようすをお届けしよう!

分解洗浄の作業のようす

今回、分解洗浄を行うのは、MSRのウィスパーライトインターナショナル。爆音のXGK-EXやドラゴンフライトとは異なり静かな燃料音で扱いやすい。私はXGK-EXも持っているのだが、野宿には静かなウィスパーライトインターナショナルの方が適していることが分かり、XGK-EXでガソリンストーブの取り扱いに慣れてから追加で購入したのだった。

ウィスパーライトインターナショナルは、去年計画していた中国ツーリング用に購入したものだったが、中国はビザの延長が難しいことと、外国人安宿宿泊規制などがあって嫌になり、急きょ北海道ツーリングに変更することにした。今回のオーストラリアツーリングでようやく活躍の場が出てきた。

これまで実家で玄米ごはんを炊き続けていたストーブはすっかり使い込まれて煤まみれになっている。

 

セットで使用している自作風防。
付属のアルミ風防は、繰り返し折りたたんでいるうちに切れてくるので、ステンレス薄板で自作した。折り曲げずに小さく丸めて収納している。

 

当初不安だった耐久性も問題なし。自作して2月以上使用しているが、目立って傷んでくることはなし。

直角に切る前に角をポンチで穴あけしたのだが、0.1mmの薄板とはいえステンレス板は固くてキレイに穴が空かずに裂けてしまった。しかし、ここから傷んでくることはなし。

小さく丸めて収納しているせいなのか、縦に細かな線が入ってしまったが、これ以上酷くなることはなし。ダブルクリップで留めて円形にすると、風をしっかり防ぐことができ熱も逃げずに炎が安定してくれる。

今回のオーストラリアには、この自作風防を持ってゆくことにした。もし壊れてしまったら、ホームセンターで買えるものなんかで代わりの物を自作しよう。

バーナーヘッドのようす

煤で真っ黒けになっている。洗浄のし甲斐がある。

バーナーヘッドの裏側には、プレヒート付いた煤がべったりと付着している。
これは下皿で燃料を燃やしてプレヒートするウィスパーライトインターナショナルならではの持病。煤が手につくと真っ黒になるため、息を吹きかけて煤を飛ばしてからウエスで拭く。

洗浄用の道具を用意する。

ガソリン、ブラシ、ウエス、受け皿、真鍮ブラシ、ダンボール。その他に分解用の工具。ガソリンは引火性の強い液体のため取り扱いに注意を要する。

3mmの六角レンチとMSR純正工具に掃除用の針。

新型ウィスパーライトインターナショナル(2012年以降)は、バーナーヘッドの取り付けボルトが六角穴付きに変更になっている。
掃除用の針はXGK-EXに付属していたもの。ウィスパーライトインターナショナルには付属しなかった。シェーカーニードルの先を使ってジェットの穴を掃除する。

バラバラに分解したところ。五徳にスナップリングでミキサーチューブが付けられているが、スナップリングの着脱が面倒なので分解せずにそのままとした。

前回洗浄後、二週間近く使い続けた結果がこれ。

バナーヘッドの下に付いているフレームリフレクター。
フレームリングの隙間から出た炎が反射して鍋底に当たるようにしている。

このフレームリフレクターがあるおかげで多少は風に強い。ただし、風防なしで使うと効率が落ちるため、常に風防とセットでストーブを使用したい。

ミキサーチューブ

ジェットから噴射された高圧ガソリンが、空気と混合しバーナーヘッドの内側に当たり、フレームリングの隙間から出てきて燃焼する仕組み。

新型からスナップリングで留められるようになり、簡単に外せないようになってしまった。

下皿のガソリンを吸い上げて火を点きやすくするためウィックと呼ばれるもの。

煤汚れで真っ黒になってしまっている。

UGと刻印されたジェットはホワイトガソリンと通常のガソリン用のもの。
UKと刻印されたものは、灯油専用となっている。

ウィスパーライトインターナショナルには、UGとUKの二種類のジェットが付属する。

ジェットの内部に入っているのがシェーカーニードル。
ストーブ本体を振ると、中でシェーカーニードルが動いてジェットの穴を掃除してくれる。
分解掃除の頻度を減らしてくれるパーツだ。

外したパーツはガソリンにしばらく浸けておく。

しばらくして汚れが浮き出たところで、毛先の柔らかいブラシで擦る。
お古の歯ブラシでも代用可能。

しつこい汚れは真鍮ブラシで擦る。

毛先の硬いスチールブラシだと、強めに擦るとパーツが削れてしまうので注意する。

燃料パイプの中のケーブルは付属の工具を用いて外す。
適合する穴に挿してねじりながら引き抜く。

ウィスパーライトインターナショナルはケーブルが細く、ジェネレーターチューブの曲がりがキツいため、ケーブルを引き抜くには工具が必要。この付属の工具があれば、ペンチやプライヤーなどは不要。

ストーブ本体を分解して一通りガソリンで洗浄を終えたところ。
掃除の際はダンボール箱を敷くと、下と部品の汚れ防止になる。
風の強い日はダンボール箱が飛ばされないように重しを載せておく必要あり。

素手で作業を行ったため、おっさんの両手は真っ黒になった。
使い捨ての薄いビニール手袋があるといい。

燃料ボトルとストーブ本体の脱脂

今回オーストラリアで使用する燃料ボトルは、MSR 30OZ(887ml)の燃料ボトルとSOTO ガソリンポータブルボトル(750ml)の2つ。

30オンスの燃料ボトル1本だけだと、チェーンなどの洗浄でガソリンを使った時に足りなくなるおそれがあるので、予備をガソリン携行缶に入れて持つ。オーストラリアにも頭の固いガソスタの店員がいるかもしれないし、日本に帰国してから自走して家まで帰る時までのために、ガソリン携行缶を持つことにした。少ない容量ながらも、世界標準のUN規格の刻印がされている本物の携行缶だ。

 

これらのボトルも台所用洗剤を使って洗い脱脂しておく。
MSRの燃料ボトルは新品だが、あちこち擦れて傷が付いていて中古のように見える。

ブラシを突っ込んで念入りに洗う。

しっかり中の水分を落としてから干しておく。

続いてガソリンストーブ本体のパーツの脱脂を行う。
小さいパーツを誤って流さないように慎重に行った。

作業風景

コンクリ打ちの物置出入り口部分が作業スペースとして大活躍している。

台所用洗剤で洗って脱脂したストーブ本体を並べて乾かす。
同時にウエスで磨いて煤汚れを完全に落とす。

しっかり乾燥させたあと組み立てた。
煤けたストーブが黒光りするようになった。

燃料ホースの錆びていたところは真鍮ブラシで磨きウエスで拭き上げた。

これなら文句ないだろう!

 

燃料ボトルOリングの交換

各部を点検していたら、燃料ボトルのOリングに亀裂を発見した!

おお、危ないところだった。もう切れる一歩手前だった。

こういうこともあろうかと、事前にMSR取り扱いのモチヅキで予備パーツを購入しておいた。
Oリングやパッキン類でも、まとめて買うと5,000円くらいはする。

これが燃料ボトルのOリング。
予備で3個購入しておいたもの。

Oリング装着の際は、ゴムの保護と滑りをよくするためにシリコングリスを塗っておく。
1つあると何かと重宝する。大容量の物を買うと使い切る前にダメになってしまうので、小さな物を買った方がいい。

 

新品のOリングを装着したところ。予備のOリングを1つ持ってゆけばいいだろう。

新品の燃料ポンプの点検

燃料ポンプは新品なので飛行機積載に問題ないが、念のため分解して各部を点検しておく。
予備のOリング類を持ってゆくとはいえ、現地で直ぐに交換することになったら、予備がなくなってしまう。

点検の結果は問題なし。付属のオイルをたっぷりと塗っておいた。

予備ウイックの自作

今回洗浄脱脂して気になったのは下皿のウィック。

軽く揉み洗いしたらほつれてきてしまった。

このウィック。見かけに寄らず、買うと500円近くするものだから、予備パーツは買わなかった。しかし、一旦気になり出すと気になってしまうな。

そこで難燃性のカーボンフェルトで自作することにした。以前アルコールストーブを自作する時に購入したもの。スパッタシートとも呼ばれている。
カーボンフェルトは見かけに寄らず意外に高い。
下皿を置いて型をとる。

 

ハサミであとは切るだけ。
ネジが通る部分は半分に折ってから切った。

下皿に付けたようす。こんなもんでいいだろう。

ストーブ本体に取り付けたところ。ヨシ、いい感じだ。

カーボンフェルトで自作したウィックは、予備として持ってゆくことにした。
まだ使えるものを交換するのは勿体無い。あとは耐久性がどれほどあるかということだ。
難燃性とは言え、こんなフサフサした物が燃えないわけはないだろう。

消臭剤を入れる

最後の仕上げとして消臭剤を入れておく。
トイレ用の消臭剤の詰替え用。

キレイに洗浄して脱脂していても、僅かでもガソリン臭がしたら没収されてしまうかもしれない。手間暇掛けて手入れした道具をとられてなるものか!

弾力性のある玉の形をしている。触ると少しベタつく。

消臭剤を燃料ボトルに2,3個放り込んでおいた。

こちらはペットボトルで自作したガソリンストーブ用のケース。こちらのケースにも放り込んでおく。
ケースとして定番のEPIのAPSA-Ⅲは重たくて底に穴が空いていて気に入らなかったため、ペットボトルで作ってみた。その結果かなり軽くなった。

異なる種類の2Lのペットボトルを組み合わせてできた偶然のもの。ペットボトルケースの自作のようすは、また今度詳細にアップするようにしよう。

 

後日洗浄のやり直し

その後、念のために航空会社に問い合わせてみたが、ガソリンストーブとガスストーブはともに機内持ち込み・預け荷物できないという、とんでもないことを言い出した。一般人にはストーブと言うのは馴染みがないようで、バーナーと言わないといけないようす。さらにガソリンやプロパンガスという言葉を見聞きしただけで過剰反応を示す。私は危険物一覧表を熟読して中古新品問わず、きれいに洗浄して燃料の残留分が残っていなければ、預け荷物で飛行機積載可能と理解している。何度読み返しても結果は同じだった。

それなのに、規則をしっかり理解していない航空会社の人間は適当なことを抜かしおる。その後回答が2転3転し、全く要領を得ない。一覧表の備考欄記載の文言を指摘したところで、ようやく積載可能という回答を得られたのだが、飛行機に積載できるかは確約はできないとのこと。「現場の係官の判断によっては積載できないこともある」と。まったく信用ならないので、念には念を入れて再度洗浄することにした。

ガソリン携行缶の中に消臭剤を入れておいたが、完全に匂いが取れていなかったため、台所用洗剤で洗ったあとでしばらく浸け置きしておいた。(およそ半日)

何気なくミキシングチューブに綿棒を突っ込んで掃除してみたところ、綿棒が直ぐに真っ黒になってしまった。煤が付いた状態だと難癖を付けられて没収されるおそれがある。繰り返し綿棒で掃除を行った。

面倒でもスナップリングを外してミキシングチューブも分解しておくべきだった。
まあ、過ぎたことはいい。現段階でベストを尽くしておこう。

これで没収されたら素直に諦めて、帰国後ブログに事の顛末を詳細を書いて公開しよう。

細い針金とウエスで掃除道具を自作した。
綿棒で掃除するだけでは不十分。

ストーブ本体も台所用洗剤で念入りに洗って浸け置きしておく。
やはりミキシングチューブに煤が残っていたようで水が真っ黒になった。

漬け置き後、しっかり乾燥させて、分解したまましばらく置いておいた。(およそ2日)
ストーブ本体の方は洗浄1回目で匂いがほとんど取れていた。

ガソリンストーブの予備としてガスストーブも持ってゆくことにした。

これはSOTOのマイクロレギュレーター搭載のウインドマスター。軽量コンパクトで風と寒さに強いガスストーブ。PCTの途中にAmazonで手に入れたもの。

帰国前、十分余裕をもってガソリンストーブをしっかり洗浄しておき、その間はガスストーブを使用する。タスマニアではトレイルを歩いて登山することも計画している。徒歩では軽量なガスストーブの方がいい。

Oリングに傷みがないかしっかりと点検する。
あとでシリコンスプレーを吹いてゴムを保護しておいた。

ガスストーブの気になる点は自動点火装置。燃料の残留分がないストーブなら飛行機に積載可能ということだが、自動点火装置については不明。航空会社の人間に聞いても無駄だと悟った。

そこで自分で自動点火装置が作動しないようにした。

点火ボタンに安全ピンを入れて作動しないようにした。
これで火花が出ることはなし。

点火装置のスプリングは固めでちょっとの衝撃では作動しないようになっているが、念には念をいれた。この状態を見せれば、係官も納得してくれることだろう。(希望的観測)

燃料ボトルとガソリン携行缶は、荷物を発送するまでの間、蓋をしないで陰干ししておいた。(およそ2日)
MSRの燃料ボトルは新品なので問題なし。(外観の汚れ傷あり)SOTOのガソリン携行缶は2度目の洗浄でほとんど匂いはしなくなった。

今回の航空会社とのやり取りで不信感を持った私は、ガソリンストーブは分解したままで預け荷物の中に入れることにした。分解すれば、タダの金属。ガスストーブと燃料ボトルは一箇所にまとめることはせずに分散させておいた。やるだけのことはやった。あとは天に祈るのみ。

 

それにしても、登山用品メーカーや関連する業界のストーブを飛行機に積載することについて何にも説明がないのには呆れる。商品を売ったら、それでおしまいか?昔は限られた人間しか海外で活動しなかったから、そんなもん自分で調べろで済ませばいいが、今はそこら辺のわけが分からないおっさんが行く時代だ。

ネットで見つかるのは、ある一つ以外で個人が多少書いているもののみ。本来はメーカーなどが一団となって航空会社や国に働き掛けて、ストーブ関連道具の積載方法をしっかり明示させるべき。愛用していたストーブを没収されたという情報をネットで見ても心が傷まないのかな?日本山岳協会のサイトで唯一関連する記事を発見したが、記事の作成年月日が記載されておらず、あまり当てにならない。帰国後、ストーブの件はしっかり記事にまとめることにしよう。

おっさんがやらなくて誰がやる!

参考リンク 日本山岳協会(機内・車内持込み荷物)

 

おわり