反射ベストで安全快適な自転車ツーリング

こんにちは。からあげです。

はじめに

2019年オーストラリア メルボルンから始めた初の海外自転車ツーリング。
前年に北海道を一周してから家まで自走し自信を付けた私だったが、そのちっぽけな自信は早くも打ち砕かれた。

AU国内では郊外の制限時速は100~130km/hとゆるく設定されているため、どの車も100km/h以上のスピードで走る。出発して2週間が経った4月中旬のイースターの休日には、大都市から繰り出してきた多数の車に翻弄された。

南オーストラリア アデレード郊外では辛くも命を拾う。
中央分離帯あり片側2車線の路肩がほとんどない(15cmあるかないか)道を走っていたときのこと。白線の内側を走っていると、後方からトラックがやってきた。
左側の走行車線を走るそのトラックの周囲に車はなく、右側の追い越し車線にはみ出して抜いてゆくものと思った。ところが、そのトラックはままっすぐ迫ってきた。
危険を感じた私はすぐさま道路外に退避した。するとトラックは私が走っていた場所を何ごともなかったように走り、20mほど過ぎたのち車体が大きくふらついたのだった。

こちらが避けなければ、間違いなくトラックに轢き殺されていた。この時ほどミラーで後方確認しておいて良かったと思ったことはない。拾った命、大切にしないといけない。

オーストラリアを自転車で走るうえで要注意なのが荒野を走るロードトレイン(Road Train)。

全長50mを超える大型のトラックが地平線の彼方よりやって来る。このトラックに手を伸ばせば届きそうな距離で何度も抜かれて肝を冷やした。もの凄い風圧と吸引力があり、軽量な自転車にとっては非常に危険な存在。
このほかにLong VehicleとOver Sizeという大型車両にも厳重な警戒が必要だ。

 

欧州の影響が強いオーストラリアでは、2輪車が反射ベストを着ていることが多い。私の不確かな記憶によると、自転車だけではなくオートバイでも、半数近くが着用していた。日本では見られない光景だったのでとても驚いた。

こちらが思うほどドライバーは自転車が見えていない。
小さな自転車は遠くからではゴマ粒にしか見えない。町から遠く離れた人家のない荒野で、自転車が走っているかもしれないと予想できる方がおかしい。

車は自転車を避けないのではなく、そもそも自転車が見えていない。そのため、回避が遅れて際どい距離で抜いていくことになるのだ。

私はオーストラリアの広大さを完全に舐めていた。小さな反射材とピンクの旗では見落とされても文句は言えない。それでも反射ベストの効果に懐疑的だった私は、トラックや車に恐怖を感じながらもそのまま走っていた。

リヤの荷物の上に載っているのは、購入当時は鮮やかな黄緑色だったウインドブレーカー。経年劣化して今ではただのウエスにしか見えない。これを着ていたこともあり、車から見えないはずはないと思いこんでいた。

 

ある日、道端に黄色の反射シートが落ちていた。作業車に貼られていたものが、強風や衝撃で剥がれ落ちたのだろうか。太陽の光でキラキラと輝くそのシートに強く惹きつけられた。

試しにリヤの荷物に括り付けて走ってみたところ、車の反応が一変した。

反射シートを付けると、道ゆく車が大きく距離を空けて抜いてくれるようになった。
それに気を良くした私は、反射シートに付いていた英数字を剥がして視認性を向上させた。
油断ならない車と精神修行のような毎日に疲弊していた私には、反射シートは神からの授かりもののように思えた。

日中の強い向かい風を避けるため、夜間走行していた時にも大いに助けられた。ドライバーはいち早くこちらに気がついてくれて、スピードを落とし距離をとって抜いてくれた。
帰国後、自走して家まで帰るときなどは、まるで腫れ物に触るような扱いを受けてストレスなく走ることができた。

それらを経験した私はこれからは反射ベストを着用して走ろうと心に決めたのだった。

 

反射ベストの購入

反射ベストは数多くあるけれど、とにかく目立つものを選ぶことにした。
見た目は二の次、三の次。夜間だけでなく昼間でも目立つものが欲しい。
さらに反射材が高品質でしっかりと反射し、丈夫で長持ちするもの。

自転車の場合は発熱して暑くなるので、通気性の良いメッシュ生地は外せない。
以上を考慮して選んだのがこちら。

Salzmann 3M マルチポケット 反射ベスト

Salzmann 3M マルチポケット 反射ベスト

Salzmannブランドで売れ行きナンバーワンの反射ベスト。メッシュと綿素材、8種類の色をご用意しました。マルチカラーもございます。安全性を最優先。車からの視認性が高く、180メートル離れた場所からも確認できます。中でも、Salzmann 3M 高視認性反射ベスト ユニセックスの蛍光オレンジと蛍光イエロー各色、メッシュは対象外)は、クラス2に適合しており、高視認性安全服として安心して使っていただけます。

サイズ 長さ 腰回り
XS 66cm 100cm
S/M 70cm 108cm
L/XL 74cm 116cm
2XL/3XL 78cm 132cm
4XL/5XL 78cm 140cm

*Amazon商品紹介より

 

ポケットは外に4つ、内に1つ。メッシュ生地で通気性は良好。
身長165cm痩せ型の私はサイズS/Mを選択した。薄着で乗ることが多い自転車は、やや小さめを選んだ方がフィットする。オートバイや歩きは、防寒着の上から着れるように大きめを選んだ方がよい。季節によってサイズとタイプを選ぶのがベスト。

秤で重さを量ってみると198g。軽量化病という不治の病をわずらった私は重さを量らずにはいられない。着ている時は重さを感じないが、脱いで手に持つと多少は重さを感じる。

サドルにまたがると、前側の裾がやや邪魔に感じる。
視認性は抜群。蛍光イエローに反射材は、屋内でも眩しく感じるほど。しかし、メッシュタイプは通常タイプのものに比べると視認性がやや劣るので注意。

背中

左胸のポケットはフタ付きで2重。

手前がクリアポケット、奥が大容量ポケット。

右胸のポケットにはペン挿しあり。

ファスナーは中国メーカーのSBS。
近頃見かけるようになってきた。信頼性は未知数。

両肩にループが取り付けられている。

ベスト内側

右胸に内ポケットあり。
マジックテープ付きでフタなし。

縫製のようす

しっかり丁寧に縫われている。

襟に取り付けられているタグ

アイロン、ドライクリーニング禁止。洗濯機でも洗えるようだが、やさしく手洗いした方が長持ちするはず。メッシュ生地はそれほど丈夫ではないので、なるべく洗濯を控えた方がいいだろう。

軽量化のため、不要なタグは全て切り取る。

反射ベストを着て3,000km走行した感想

2020年西日本ツーリングでは反射ベスト着用と同時に、ハブダイナモ付きホイールにして前後ライトを常時点灯して3,000kmほど走った。
効果はてきめん。反射ベストとライトの相乗効果で、道行く車が距離を空けて抜いてくれようになった。

 

反射ベストは慣れると、恥ずかしいだとか面倒くさいだとかは全く感じなくなる。逆に着ないと、車に轢かれるんじゃないかと不安になってくる。
着心地はまずまず。通気性が良いメッシュ生地はて汗をかきにくいが、ポケットの部分が生地が厚くなっているため、若干暑さを感じる。左胸のクリアポケットが硬くて鬱陶しい。

深い前傾姿勢をとると、反射ベストを着ていても対向車から見えにくくなることがある。
そのためヘルメットは視認性が高い白色がベター。黒色はアスファルトに紛れて見えにくい。対向のサイクリストのメルメットの色によって、こちらが気づくタイミングが全然違う。

反射ベストのおかげで車道走行時のストレスが大幅に減り、ツーリングをより楽しめるようになった。しまなみ海道ではハイテンションになって、普段はやらない自撮りをしてしまう。

西日本ツーリング終了後の反射ベスト

若干くたびれた感はある。およそ2ヶ月半、風雨や直射日光にさらされながらもよく耐えてくれた。メッシュ生地はやや色あせたようす。

背中

背中側の色あせはハッキリと分かるものの、視認性はさほど落ちていないように見える。

不要な部分を取り除く

着用して不要だったパーツを取り除くことにした。
特にクリアポケットは邪魔だった。硬くて事あるごとに自己主張する。おまけに通気性がなく左胸だけ暑さを感じた。

前傾姿勢をとるスポーツ車では、ポケットにスマホを入れておくのは非常に危険。
何かの拍子に落として壊したり紛失したりするおそれあり。
ポケット4つは過剰。下の2つで十分だ。

作業で使用するのは、ズボンの裾上げや縫製のやり直しで使うリッパー。
糸を切るための道具。

尖った先を縫い目に通し、U字の部分で糸を切る。

まずは左胸のクリアポケットを取り除く。

リッパーで糸を切る。メッシュ生地を傷めないように慎重に作業を行った。

切り取ったもの

右胸のペン差し付きポケット
左胸のクリアポケット
右胸の内ポケット
両肩のループ

全部で25gの軽量化に成功した。
反射ベストの重さ 198g→173g

不要なポケットなどを取り除いたあと、ミシンで各部縫い目を縫って補強した。
余計なものがなくなってスッキリした反射ベスト。改良して自転車向きのものになった。

 

反射ベストを着ると、車から受けるストレスが激減し、快適に走れるようになる。
ツーリングだけでなく、通勤・通学・街乗りの日常でも着用を強くおすすめる。自転車のほかに50ccの原付きにも高い効果がありそうだ。
騙されたと思って、一度着て走ってみて欲しい。自分のとりまく世界が一変する。

なんでこんなに良いものを今まで着なかったのだろう、と強く後悔した。反射ベストなんて格好悪いと思うこと自体が格好悪い。笑いたい奴には、好きなだけ笑わせておけばいい。
日本の小・中学校の義務教育では、土方ヘルメット(通称ドカヘル)のようなものを強制的に無理やり被らせるためか、大人になると安全装備を頑なに拒否するようになる。

だから私は反射ベストを着用し続けて流行らせていこうと思う。
反射ベストはこれからもおっさんの安全快適な自転車生活に役立ってくれることだろう。

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