オルトリーブ(ORTLIEB)パニアバッグの補強と修理

こんにちは。からあげです。

はじめに

長距離の自転車ツーリングには欠かせないオルトリーブのパニアバッグ。定番のバッグとなっている。質実剛健な作りで耐久性と防水性が高いのが人気の理由だ。多くの荷物を安全確実に積むためにキャリアに取り付ける。

自転車生活する私もオルトリーブのバッグを愛用する一人。着脱が簡単で荷物の出し入れがしやすい点も良い。すでに手放せなくなっている。

そんなオルトリーブのバッグも、使い始めてから2年以上が経ち、あちこち傷みが目立ってきた。特に前は取り付け位置が低く、段差や縁石、杭などに摺れやすい。それに加えて、25L小容量のスポーツローラーは日常生活での使い勝手も良く使用頻度が高い。

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2年以上経過したオルトリーブのバッグ

2年以上経過したオルトリーブのバッグ。バッグを装着した走行距離はすでに20,000kmを超えている。遠目で見ると結構キレイだが、近くで見るとあちこち傷んできているのが分かる。

だが高い防水性はいまだ維持されており、大雨の中走行してもバッグの中が浸水することはない。ただし、口の閉め方が悪いと新しくても浸水するので注意したい。

バッグの内側は影になって紫外線が当たりにくく、キャリアと擦るくらいなので傷みは少ない。
少容量のスポーツローラーは擦りやすい前部に付けられることが多いためなのか、下側に補強のプラスチック薄板が取り付けられている。

日常生活ではスポーツローラーを後ろに付けることも度々あるが、取り付け位置が高いためめったに擦らない。

2019年オーストラリアツーリング前に増設したフック。

サーリーのナイスラック(フロント)は下段にバッグを付けると、フックの位置が微妙でバッグが前後に動いてしまう。そこでフックを3つにしてバッグの前後位置をしっかり固定できるようにした。
1つは予備にもなるし、フック1つに掛かる荷重を減らすこともできて良し。

バッグをラックの上段に付けると、天板に積載した荷物で簡単にバッグを着脱できなくなるので、ナイスラック(フロント)では下段がバッグの定位置となっている。

フックの増設は、デメリットよりもメリットの方が多いのでこのまま使用している。

2019年 オーストラリア
期間   約6ヶ月(4月中旬から10月中旬まで)走行距離 約14,000km  Melbourne~Adelaide~Perth~Kununurra===グレイハウンド(長距離バス)===Darwin~Tennant Creek~Towns...

 

バッグの底の状態

丈夫な帆布製の生地にも関わらず、擦り傷がたくさん付いてしまっている。いや、帆布だからこの程度の傷で済んでいるのだろう。

生地のようす

生地が毛羽立っている。

角は傷が目立つ。

バッグの外側に付いている肩紐を掛けるフック。

角度を変えてもう一枚。

外側に一番張り出ているフックは杭や壁などに擦りやすい。
丈夫な強化プラスチック製だが削れてしまっている。

このフックがあるお陰で生地の傷みが少ない。

障害物などに当たって擦れてしまったところ。表面のコーティングが剥がれかけている。

バッグの中のようす

汚れと多少の擦り傷はあるが、外側ほどの傷みはなし。

バッグの口周りのテープが解れてきている。
ライターで炙って、状態が悪化しないようにしておく。

以前の軽量化の改造で切り取ったストラップの端。少し傷んできていたので、瞬間接着剤を塗ってストラップを強化しておく。

ただし瞬間接着剤を塗りすぎると、固くなって他を傷めることがあるので注意したい。

 

オルトリーブのバッグの分解

オルトリーブのバッグの分解にはトルクスレンチ(T-15H)4mm六角レンチが必要。
プラスチック部品を取り外したあとで、補強用のテープを貼って修理することにした。

トルクス穴付きの鉄製ビス。裏にはプラスチック製のナットあり。

PB Swiss Toolsのビットホルダーとトルクスビットの組み合わせで携帯工具を大幅に軽量化できる。

普段の整備のとき、トルクスビットはソケットレンチに装着。ビットは消耗品と割り切って使っている。

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まずは底内側のプラスチック部品を外した。

角の拡大。

トルクスのビスとプラスチック製ナット。
ナットの回り止めとして4mm六角レンチを使用する。

六角レンチは自転車乗り必須の携帯工具。こうしたところにドイツ人の細かな配慮が伺える。

外したプラスチック部品。
多少の汚れはあるものの、目立った傷みはなし。

内側には補強材が入れられて丈夫な作りになっている。

トルクスのビス

螺旋状にネジが切られている。先端の方が太い。

プラスチック製ナット

4mm六角穴が2つ空けられている。表面は丸く膨らんでいて滑らか。

ナットの裏側

鉄製ビスを強く締め込むと、ナットのネジ穴が駄目になりそうなので注意したい。
ナット中ほどの丸い凸部が防水の役割をする。

下部フック周りの部品も外してスッキリしたところ。ここは初めて外した。
長年の汚れが付着している。

下部フック周りの部品

強化プラスチック製で非常に丈夫。さすが信頼のドイツ製。安心感がある。

裏側を撮影する。

穴の大きさは約10mm。
プラスチックナットを生地に押し付けて穴からの浸水を防止する。

 

バッグの補強・修理

バッグの生地表面をキレイに拭いたあと、強力粘着テープを貼って補強する。
単に安さで選んだだけのアサヒペンのテープ。しかし布テープよりもかなり強力な粘着力がある。

 

テープのようす

布テープ同様に手でも切れるが、ハサミを使った方がキレイに切れる。脂ぎった手で粘着面を触ると粘着力が落ちるので注意したい。

テープのほかに強力で弾力性のある接着剤を使用する。シューグーという靴底を修理するための強力接着剤だ。色は幅広く適合するナチュラルを選択した。
シューグーは強力だが100gの大容量。バッグの修理1回ではとうてい使い切ることはできない。
セメダインのスーパーXは20mlの小容量タイプもあって、シューグー同様に接着力は強力。おまけに衝撃、熱にも強い。私はそんなスーパーXを愛用する一人だ。

 

ビス穴を補強するテープを作成するため12mm穴あけポンチを使用する。
日本製の高品質で安心の高儀(たかぎ)を選択した。

穴あけポンチは切れ味が命。雑な扱い方をすると刃先がすぐに駄目になって使い物にならなくなる。

 

下に板を敷いてプラスチックハンマーで叩く。
できるだけテープの粘着面を触らないように作業する。

底を粘着テープで補強する。
まずはビス穴と角にテープを貼った。
バッグの角はシワにならないように細かくテープを貼ってゆく。

そして最後に底全面にテープを貼った。テープの重なりは約10mm。

さらにテープの上からシューグーを塗って補強する。

底一面に塗ったものの、塗りムラが目立って汚らしくなってしまった。

テープの端にも塗って剥がれないようにしておく。

バッグ2個目に取り掛かる。
まずはバッグを濡れ雑巾で念入りに拭いてキレイにする。

テープを貼りやすくするためにバッグの中に枕や座布団を詰め込んだ。

角からテープを貼る。

そして底全面にテープを貼ってゆく。

2個目は傷みやすい箇所のみシューグーを塗ることにした。

作業後数時間放置する。
粘着テープや接着剤は基本24時間以上放置してしっかりと接着するまで待つことが望ましい。

 

バッグの組み立て

翌日、24時間ほど経ったところで作業を再開する。

右が底全面にシューグーを塗ったバッグ。左が角のみ。
テープを貼って生地が厚くなり、見た目かなり丈夫そうになった。ただし、その分重たくなっている。
私は重量よりも耐久性を重視するので問題はなし。

外したプラスチック部品を元通りに組み立てる。

肩紐用のフック。

ウラ面

 

オルトリーブのバッグの補強・修理の完了

バッグを元通りに組み立てた。
見た目は悪くはなく、いい仕上がりだと自己満足する。

シューグーを底全面に塗った方。
接着剤はある程度は固まっているが、弾力性は失われていない。

接着剤で固まった表面の拡大。

こちらは部分的にシューグーを塗った方。
自然な仕上がりとなった。

2つのバッグを並べると違いがよく分かる。

バッグ底内側のプラスチック部品も問題なく取り付けることができた。
キレイになって見違えた。

テープで補強した角のようす

プラスチック部品の浮き上がりはなく、しっかりと密着している。

角の輪っかは以前取り付けたもの。
バッグ下側をラックに固定する役目の結束バンド。繰り返し使用できるタイプを選んでいる。
こいつは意外にいい仕事をしてくれる。

テープの重なりでより丈夫になった角。ここは一番傷みやすい箇所だ。

ビス穴を補強していい感じになった。
プラスチック部品が生地・テープと密着している。

ナット周りの生地も補強されていい感じになった。

 

バッグの補強・修理後 半年経過

補強・修理後のバッグはその後どうなったのだろう?

テープの補強でバッグの生地が新たに傷んでいるところは少し。最小限の劣化に抑えられるようになった。めざせ10年!

やはり底は傷みやすい。

シューグーを部分的に塗った方。

こちらはシューグーを底全面に塗った方。
シューグーが白く変色して剥がれてきていて見苦しい。

このバッグ固定用の輪っか。段差の衝撃でバッグがズレることはない。実にいい仕事をしてくれている。

 

バッグの補強・修理後 1年経過

そしてさらに半年経過した状態。遠目で見るとほとんど変わりはなし。

テープが傷んできてはいるが、バッグ本体の劣化は少ないように思える。

バッグの底

いつの間にかシューグーが剥がれてキレイになっていた。
シューグーの全面塗布は不要。ということが分かった。

角はテープがしっかりと保護してくれている。
やって良かったバッグの補強。

 

割れたバックルの交換

最後に付け加えなければならないオルトリーブのバッグの重大な欠陥。それはプラスチック製バックル耐久性が低いこと。バッグの生地は丈夫で防水性は高いが、バックルだけは最低だ。

使い始めて2年足らずでバックルの根元(オス側)が折れる。これで3度目だ。バックルの形状と材質が悪いからなのか、操作するとふにゃふにゃして頼りない。

出来の悪いバックルだと操作にストレスを感じる。オルトリーブのバックルの予備はまだたくさんあるが、どうせ長持ちしないので別のものに交換することにした。度々交換するのも面倒だ。

こちらはmont-bellのウエストバッグに付いていたバックルで、オルトリーブと大きさがほぼ同じ。
邪魔なストラップを切り取って取り外したとき、何かに使えると思って取っておいた。

mont-bellのウエストバッグは20年近くが経ちすでにボロボロだが、バックルには全くヘタリがない。

メス側の輪っかをハサミで切って交換し、手作業で縫って元に戻す。
オス側はストラップを通すだけで簡単に交換できる。

 

mont-bellのバックルに交換して操作がしやすくなった。
なによりパチンと音がするのが気持ち良い。

バックルのオス側の形状

オルトリーブとは違い、mont-bellは見るからに丈夫そうに見える。
これまでプラスチックバックルが割れたのはオルトリーブのバッグ以外には記憶になし。

 

 

まとめ

修理・補強したバッグ(フロントローラー)は3年以上経つ現在も状態は非常にいい。バックルを交換して、操作性と耐久性も大幅に向上。別のものに交換して正解だった。あと1年くらいしたら底のテープを貼り替えようか。

40L大容量のバックローラーの方は小さな修理をしたのみ。後部キャリア(チューブス ロゴ クラシック)が定位置なので底が擦れることはめったになし。駐輪するとき壁などに立て掛けるので右外側が擦れやすいが、定期的に左右振り替えて使っているので傷みは少ない。

バッグの大敵は擦れのほか紫外線。駐輪するときはできるだけ日陰を選び、バッグが不要なときは外しておく。自転車はもちろん屋内保管。そうすれば長持ちするのは間違いない。

 

新型コロナの自粛で遠出が極端少なくなってしまった今日この頃。そろそろ自転車に荷物を満載して旅にでも行こうか。野宿が恋しくて仕方がない。

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