ノーマルタイヤの自転車で雪道を走行する

こんにちは。からあげです。

はじめに

自転車生活をしていると避けられないのが雨天走行。だが雨はまだましな方。夏になると大粒の汗を垂らしながら信号待ちをし、冬になると寒さで凍える雪道を走らなければならないこともある。
近年は異常気象が珍しくなくなり、雪が少ない山梨県でも大雪が降ることがある。

今でも忘れられないのが2014年の冬。南岸低気圧の通過で2度の大雪を降らせた。
1度目の雪が溶け切らぬ間に2度目が襲い、広範囲にわたって交通が完全に麻痺した。国道19号線の長野県境付近では車が立ち往生し身動きが取れない状態が長時間続いた。

私の家の周辺では1.5mほどの信じられないような積雪があり、車を動かすことができなかった。
そのため食料の買い出しにバックパックを背負って歩いて出かけた。
麓の集落まで降りてくると、除雪された雪が壁を作っていて、まるで立山黒部アルペンルートのような雪の回廊となっていた。

最近は2014年のような大雪になることはないが、10~20cm程度積もることは全然珍しくない。
雪が降ったあとに気温が上がらないと、積もった雪が凍結していつまで経っても消えないことがある。これがじつに鬱陶しい。

車を処分し自転車生活をするようになって早くも3年以上が経過した。
車では全く気にならなかった多少の積雪。

自転車だと僅かな積雪でもタイヤを取られて転びそうになる。そんな時、足を着いて踏ん張ろうするが、路面が凍結しているとツルッと滑って転んでしまうことがある。タイヤの空気圧を落とせば多少はグリップしてくれるが、問題は靴。靴底のすり減ったトレランシューズではツルツルと滑ってまともに歩くことさえできない。なんとかならないものか。

そんなふうに困っていたとき、ずいぶん前に自作したチェーンアイゼンのことを思い出した。
引っかかる爪のないチェーンアイゼンなら、フラットペダルとの相性が良いのではないか?そう思った私は早速試してみることにした。

 

自作チェーンアイゼンの紹介

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これは初期型のチェーンアイゼン。
Z型にチェーンを取り付けてグリップ力を高めた(つもりだった)。だが当初の目論見通りにはならず、少し歩くとチェーンがズレてきて使い物にならなかった。

それで土踏まずの部分に何重か平行に巻くだけに改良したのだった。

結果は良好。しばらく使っていたのだが、夏の間にどこかに行ってしまった。
そこで一から作り直すことにした。

作り方は初代と全く同じ。
チェーン(1コマの大きさ 長さ18.5mm、幅11.5mm 全体の長さ約90cm)にロープ(太さ3mm、長さ約50cm、中芯ダイニーマ)を付けただけ。
スチール製のチェーンであれば、金鋸で簡単に切れる。

アイゼンはロープ同士を縛って袋に入れて持ち歩く。
簡単な形状になって着脱しやすくなったうえ、長時間歩いてもズレにくくなった。

私が普段履いている靴。
トレイルランニング用でソールは柔らかめ。
力が多少逃げている気がするが、何でもこなせるのがよい。

アシックスのジェルベンチャー(GEL-VENTURE)シリーズ。トレランシューズとしてはイマイチだが、ウォーキング用途なら十分過ぎるほど。ソールがもう少し硬ければ、登山と自転車にピッタリだと思う。だが硬くなると、走りには向かなくなって本来のトレラン用途として使えなくなる。
通気性はあるが防水性は全くないので、雪道を押し歩きする場合は足が濡れる覚悟をしなければならない。防水性がない分、夏でも蒸れにくいのがよい。

耐久性は十分で、1足を履き続けても1年は持つ。2足持って交互に履くとより長持ちする。1足履きっぱなしでのロングツーリングには向いている。
不人気色の売れ残りだと5,000円以下で買えることがある。安さと耐久性が気に入っている。

 

1年近く履いた靴。
初めから靴底の凹凸は低め。雪道だと滑りやすい。

土踏まずの部分にロープが地面に擦れないように3重に巻く。
靴の大きさに合わせてチェーンの長さを調節しておくのがポイント。
2重ではグリップ力が足りず、4重だと重たくなりすぎる。
重量とグリップ力のバランスが良いのは3重。

ロープを引っ掛けないように、末端処理をきちんと行う。

アイゼンを取り付けた靴底のようす

締め付け具合の強さは個人の好みによって調節する。緩すぎずキツすぎないようにする。

チェーンアイゼンを装着したところ。そこら辺を歩いてみて締め付け具合を確かめる。

ヨシ、これで準備は整った。

 

アイゼンを付けて雪道走行

タイヤの空気圧を落とす

走行前にタイヤの空気圧を落とし、接地面積を増やしてグリップ力を上げておく。
装着しているタイヤは26×1.75インチ(幅44mm)のシュワルベマラソンプラス。
耐パンク性能と驚異の耐久性を誇る定番のツーリングタイヤだ。

空気圧を落とした際は、段差などでのリム打ちパンクに注意する。

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空気圧を落とせば、ノーマルタイヤでも意外とイケる。
常時雪が積っているような雪国に住んでいるわけではないので、スタッドレスタイヤは不要。

最悪、雪が解けるまで家に籠もっていればよい。

チェーンアイゼンのグリップ力を確かめる。ないより全然マシ。
足を着けても滑らないと思うと、安心して乗っていられる。

足つき性をよくするために、サドルの高さを下げておくのもよい。
危険箇所ではトップチューブに跨って両足を着いて歩いてゆくこともできる。
逆に自転車から降りて押し歩きする方が滑りやすくなる。

天気の良い日は山奥へ走りに出かけることもある。なんせ暇なもんで!
今のところはまだアイゼンは不要。

気温は氷点下を僅かに上回っているくらいか。日向はポカポカ暖かく、日陰は冷凍庫並みの寒さ。
路面凍結に注意して慎重に走る。

高度を上げてゆくと次第に凍結箇所が見られるようになった。
転ばないうちにアイゼンを付けようか。

カッチカチに凍った場所でもアイゼンを付ければ怖くない。
アイゼンなしだと、押し歩きしていても転びそうになることがある。

チェーンアイゼンは装着した状態でもペダリングにほとんど影響しない。
拇指球の部分で踏めば、土踏まずに巻いたチェーンアイゼンには干渉しない。
頻繁に着脱する必要はなく、つけっぱなしでヨシ。歩かなければほとんど傷まない。

 

雪道にはフラットペダル

雪道ではすぐに足が着けられるフラットペダルを推奨。
頻繁にトップチューブを跨いで歩いたり、押し歩きをしたりするので、歩きやすい靴の方が断然よい。
速さや効率よりも、安全確実をとる。

シマノ PD-GR500

重たいことを除けば、剛性とグリップ力が高くて踏みやすい。
調節可能なピンでしっかりとグリップするが、踏面が広くてそれほどソールを傷めない。

MKS RMX

少し滑りやすいのが欠点だが、軽くてロングツーリングにも耐えうる耐久性あり。踏面が広くて足裏が痛くなりにくい。なんと言っても安さが一番の魅力。

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ディスクブレーキは雪道でも有効

ディスクブレーキは雪道走行にも強い。パットやローターが濡れても、制動力はほとんど落ちない。コントロール性も良好で安全に止まれるため、気持ちに余裕を持って走れる。ただし、調子に乗ってスピードを出すと事故の元。

26インチのディスクトラッカーの場合、積雪20cmまでならブレーキローターは雪に埋まらない。

 

携帯用空気入れは必須装備

トピーク ミニモーフ

雪道走行ではタイヤの空気圧調整が欠かせないので、携帯用のエアポンプを持つ必要あり。
フレームに直付けすると、盗難や脱落のおそれがあるし、紫外線で劣化するので、いつもカバンの中に入れている。
自作の収納袋で経年劣化は僅か。

ミニモーフは少し嵩張るが、ホース付きで空気を入れやすく、160psi(約11bar)の高圧まで充填できる。交換用パーツも販売されているのが嬉しい。

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自作アイゼンの長所と短所

2代目 自作チェーンアイゼン(チェーンはスチール製)

登山にも使用している品。

どこでも材料が手に入り簡単に作ることができる。

材料はホームセンターなどで簡単に手に入る。お店で長さを指定して切って貰えば、切る手間が省ける。ロープは摩耗に強いダイニーマのロープが良いが、普通のものでも構わない。
ロープが擦れないように調整すると、ロープはほとんど傷まない。

着脱が容易

いつでもどこでも簡単に着脱できる。手袋をしたままでもOK。必要なときに付けて、不要になったら即外せる。付けっぱなしにしても、ペダルや靴を傷めることはなし。

意外に重たい

左右1組で200g超なのは正直重たい。手で持ってみるとずしりと重量を感じる。
冬期の峠越えの際は持っていると非常に安心できる。

200gなら十分許容範囲。行き先によっては持たずに出かけて、必要になったら材料を調達して作るのもありかもしれない。

グリップ力が低い

ないよりマシだが、もう少しグリップ力が欲しい。だが所詮はチェーン。爪のあるものでないと、強力なグリップ力は望めない。
構造を根本から変える必要がある。

重たいのとグリップ力の低さが今後の改善点。
実はすでに新型アイゼンの構想はできている。あとは作るだけ。

耐久性は十分

長時間岩場を歩いたり、コンクリートやアスファルトの上を歩いたりしない限り、それほど傷まない。
スチール製でも大事に使えば何度でも使える。耐久性が足りない場合は丈夫なステンレス製のチェーンを用いてもよい。だが切断に少々の手間と時間が掛かる。それにかなり高価。
簡単な構造で壊れにくく、切れたとしても針金で簡単に直すことができる。

以上、チェーンアイゼンを装着しての雪道走行の話は終わり。改良の余地が多く残されていて今後が楽しみな一品だ。

おわり

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