【西日本ツーリング2020】防府~柳井 東へ向かって走れ

こんにちは。からあげです。

 

海岸近くの空き地で何ごともなく朝を迎える。高い防潮堤に風が遮られてとても穏やかだった。
ここ最近、夜中は晴れているのに朝方なると雲が出てきて日が差さない。そんな肌寒い朝が続いている。

テント撤収後、周辺の漁港を覗く。
船の出入りはなく静かだった。

国道2号線に出ると、通勤ラッシュの真っ只中で交通量は多め。大型車が多くて気を抜けない。峠の上りでポンコツエンジンの暖機運転は終了。

この先行けば行くほど交通量が増えてくると思うと、走る気持ちが徐々に萎えてくる。
フェリーは止めて自走をすることにしたものの、判断を誤ったのではないかという気持ちが膨らんでくる。家まではまだ1,000km近くも残されている。毎日100km頑張って走ったとしても10日かかる計算だ。やってられん。

バイパス道路のような国道2号線沿いに比較的新しい道の駅を発見した。
原付き待機場所に退避して信号を待つ。

自転車での右折は常に二段階でしなければならない。だが安全に待機できる場所がないことが多い。信号を待つのも命がけ。ときには歩道へ逃げ、ときには一段階で右折して通過することもある。自転車は状況判断がより重要だ。

道の駅はまるで高速道路のパーキングエリアのようだった。
高い屋根の下で休むも、風が吹き抜けて寒くなってくる。この長居すると体の芯まで冷えそうだ。かと言って屋内に入ると、快適過ぎて外に出られなくなる。

徳山手前で国道2号線を逸れて県道347号線に出る。すると一気に交通量が減って走りやすくなった。高速道路並みの流れのなかを自転車で走るのは疲れるばかりで楽しくない。

ようやく景色を見ながらマイペースでのんびり走れるようになった。

徳山周辺の工業地帯を望む。
高い煙突はモクモクと煙を吐き出していた。重機の唸り声のような重低音も聞こえてくる。

通りがかった公園で一休みする。
誰も利用者がいない寂しい公園。孤独だけがおっさんの友達。

熱々のお茶を飲んで体を温める。心まで冷やしてはならない。

徳山市内を抜けると流れが良くなり、片側2車線の快走路に一変する。路肩が広くて非常に走りやすい。

その後、下松(くだまつ)を通過し、光市(ひかりし)という素敵な名前の町に入る。休憩のために海岸に出た。強風を避けるために松林の中で休む。
枯山水庭園のように箒の穿け目が付いているのには驚いた。公園内の隅々まで手入れが行き届いていた。

室積海岸

手入れされた松林が続くきれいな海岸。トイレや水場もあって野宿には最適。遅い時間だったら、間違いなく泊まっていたことだろう。地元の人はなんとなくフレンドリーな雰囲気。

海岸沿いに細い路地を走って象鼻ヶ岬を目指す。
昔の名残を感じられる町並みが続く。

こういう細い路地を走るときは自転車がいい。気になったところでは停まってじっくり見学できる。

普賢(ふげん)寺

播州書写山円教寺の住職である性空上人は、長年、普賢菩薩を拝したいと願っておられた。ある夜夢のお告げにより、周防室積の地に錫を留めるに至り、当時の古老に種々の昔の話を聞かれた。そして漁師の手によって沖合の海中より出現の霊像を拝され、此れを普賢山上大多和羅山に庵を結び安置された。後年現在の場所に普賢寺御堂が建立され、本尊として安置されている。

現在の普賢寺は江戸時代初期に改築された。また本尊の安置してある普賢寺菩薩堂は大正六年五月に改築され、平成五年四月に大修理された。
創建当時は天台宗であったが、後に臨済宗となり現在に至る。

江戸時代全期及び明治初期の版籍奉還までは毛利公の祈願所とされ、お手普賢寺として寺格は高かった。
なお、開基性空上人の入寂の日をとって定めたという毎年五月十三日、十四日、十五日の三日間の普賢祭には、盛大な農具市や露天市がたち、古くから普賢市として広く知られている。

 

奥へ奥へと進み、駐車場に自転車を停めて遊歩道を歩いてゆくと、象鼻ヶ岬に辿り着いた。
沖にあった島が砂州でつながっていて歩いて行けるようになったようす。
名前の通り、象さんの鼻のように伸びている。岬の先端には民家はなく静けさに包まれている。

港入り口にある灯台。昼夜問わず通行船舶の目印になっている。

岬の先端付近にもお寺あり。名前は忘れた。

こんなところにもお大師さまの銅像がある。

いやあ、あなたは本当に放浪好きな方ですね。

海岸沿いの気持ち良い道をゆく。
交通量は少なく非常に快適。

走りながら今後の計画を練る。このままだいたい2号線を走って東に向かうのは辛い。交通量が激増すると思われる広島を通過しなければならないからだ。都会で野宿するとなると、いろいろ面倒なことが多い。常に警戒を怠るわけにはいかず、心が休まらない。

この先、フェリーに乗って愛媛の松山まで行くことにした。新型コロナが不気味に感染拡大し続けているが、短時間なら問題ないだろう。船内に入らずデッキに出ていればよい。
今後は松山から北上してしまなみ海道を走って本州に復帰する予定だ。

フェリー代節約のためにも、海岸線の道をのんびり走って屋代(やしろ)島東端の伊保田(いほた)港からフェリーに乗りたかったが、当時は伊保田港に寄る便がなかったように思う。
それで柳井(やない)港から乗船することになった。

うむ、じつによく練られた計画だな。

フェリーは翌朝の便なので時間に余裕あり。手前の阿多田交流館に寄ってみた。

交流館の前には実物大の回天の模型が設置されている。回天とは太平洋戦争時に開発された人間魚雷のこと。魚雷を大きくしたような潜航艇で、敵艦を捕捉して体当たりするという非人道的な兵器だった。

建物内に回天関連の資料が展示されている。
入館料は無料。時間をかけてゆっくりと見学させてもらった。

http://www.town.hirao.lg.jp/kanko/kanko/1457325436179.html

 

交流館近くの公園にやって来た。
夜から雨が降る予報。様子を見た感じ水捌けが良さそうだし、風よけの木も生えている。
今日のねぐらはココで決まりだ。

人気が少ない場所だったので、散歩の人が帰るのを待って明るいうちからテントを張った。
人目と風を避けるように木を背にした。

今回、思いがけず四国に寄ることになってちょっと嬉しいおっさんだった。

走行距離
防府~徳山~下松~柳井
走行時間 4時間、走行距離 約60km
ねぐら 海辺の公園
 
おわり