【西日本ツーリング2020】宇土~山鹿 修復工事中の熊本城

こんにちは。からあげです。

 

強かった風は夜中に収まった。周囲に人気はなく非常に静か。だが、朝っぱらから釣り人がやって来て落ち着かなくなった。さっさとテントを撤収して明るくなって出発する。

川の堤防道路が工事中のため迂回することになった。突破できないか様子を窺ったものの、端まできっちり封鎖されていて無理だった。近頃はどこの工事現場も警備が厳重になっている。テロが起きるかもしれないということで。

早朝の熊本市街を走行する。
交通量はほとんどなく走りやすい。
国道3号線で町の中心部へと向かう。

熊本入りしてまずはじめにやって来たところは水前寺公園。正式名称は水前寺成趣園(すいぜんじじょうじゅえん)。
公園の名前でまず思い浮かぶのは演歌歌手の水前寺清子。芸名の水前寺はもちろん水前寺公園から、清子の清は加藤清正から取られたものだそうだ。初めて知った。
加藤清正は安土桃山から江戸時代初期にかけて活躍した武将で初代熊本藩の藩主。生まれは名古屋だそう。

公園に通じる細い路地をゆく。自転車の無料駐輪場は公園の中にある。車やオートバイの駐車場は有料。こういう時、自転車で良かったと思う。

竹でできた明かりを灯すヤツ。名前は知らない。
穴ぼこだらけで面白い。

参道沿いの商店はまだ早朝のためか、シャッターが閉められていた。

水前寺公園は熊本市街の外れにある広大な庭園。
周囲の建物が水面に映る。
日曜日とあってか、地元の人が散歩に訪れている。
入園料は400円。

京都伏見稲荷を思わせる鳥居。
たくさん並ぶ鳥居を見ていると、異次元空間に通じているように思えてくるから不思議。

築山

富士山をイメージしたと思われる。芝生は手間暇かけて手入れされている。

水前寺公園でゆっくり休んだあと、向かう先は熊本城。
市街地で渋滞に捕まってしまった。いつの間にか車に囲まれて身動きが取れない。

た、助けてくれ。

前方に熊本城が見えてきた。
うむ、路面電車が走っているぞ。不用意に軌道内に入ると轢かれるおそれがあるし、レールが滑りやすいので注意しないとな。

熊本城は修復工事中で平日は立ち入ることはできないが、工事が休みになる日曜祝日のみ城内に入り外観のみ見学できた。当時の入場料は500円。

 

新型コロナが深刻さを一層増しているなか、九州南部はまだのんきなものだった。大陸で流行っている感染症で日本は関係ないという認識なのか、マスクをしている人の姿をあまり見かけなかった。ところが熊本市内に入ると状況が一変した。道行く多くの人がマスクをするようになっていた。

この時マスクを持っていなかったので、タオルで頬かむりする。非常に怪しいおっさん。
タオルでもしないよりマシだろう。
熊本以後は人が大勢いる閉ざされた空間に入る時はタオルで頬かむりするようになった。強盗と間違われやしないかと気になったが、全く問題なかった。善良な雰囲気がにじみ出ていたのだろう。たぶん。

すでに地震から4年近く経っていたが、いまだ修復作業の途中であった。
全く手を付けられていない場所が多数残されていた。

石垣の石を並べておく広い空間が必要とのことで、同時進行で工事を行えないらしい。職人の数も限られているし。

熊本城天守閣前の広場

多くの見学客で賑わっていた。なるべく人との距離を開けるように気を付けた。
大天守と小天守。足場を組まれて修復工事の真っ最中だった。次回寄った時に中を見学させてもらおうか。

整然と並べられている瓦。足場を組まれている小天守と通路部分の建物の瓦か。
素人目に見ても、大変な労力が注がれていることが分かる。

こちらの石垣も手つかずのまま残されている。

加藤清正の銅像

とんがり帽子が非常に目立つ。戦場で被ると狙撃されるので、普段被っていただけだろう。

熊本城見学のあとは商店街をうろつく。
面白いものがないかキョロキョロ見て回る。

あちこち走り回るうちに腹が空いた。
天草市街で立ち寄ったロッキーに寄る。これまでルーキーと勘違いしていたことに気がつく。
とりあえず数日分の食料を買う。

町の中心部にある河川敷の公園にやって来た。
今日は植木市の駐車場として利用されている。

私は盆栽には全く興味がないので行かず。放浪癖のある人間は生き物を飼うことができない。

人の流れを見極めて、人気が少ないところで昼飯にする。
うっかりして人通りの多いところで荷物を広げると、晒し者になってしまう。
日差しを浴びて暖かい。

なんの変哲もないラーメンだが、腹が減っていると非常に旨く感じる。
こうしたささやかな幸せを感じられるのが自転車旅の良さ。

荷物をまとめて出発の準備をしているときに、通りがかりの年配の夫婦から声をかけられる。
ご主人は愛車のジャイアントグレートジャーニーであちこち旅して回っているのだそう。最後には袋入りのみかんを頂いてしまった。どうもありがとう。

熊本中心部でも野宿は十分可能。河川敷なら誰にも迷惑を掛けることなく泊まることができる。だがマスクをしている人が急増して先を急ぐ気持ちが強まった。道中でコロナに感染して発熱すると、身動きが取れなくなる。

熊本市内は一部を除き交通量は多くなく走りやすかった。
ただ、よそ者に分かりづらい路面電車だけには厳重な注意が必要だった。

道行く路面電車

熊本はくまモンばかりではないらしい。元気いっぱいのうさぎさんが描かれている。

こちらはローカル電車。健軍町という地名が面白い。
駅の片隅でしばしの休憩。

熊本市街を脱出中

左に見えるのがサイクリングロード。
熊本市内から山鹿(やまが)まで続く。ツーリングマップルを穴が空くほど見ている時に見つけた。
サイクリングロード沿いは野宿場所の宝庫。すでに時間は3時前。サイクリングロードを走ることにした。

サイクリングロードの標識

熊本山鹿自転車道、通称ゆうかファミリーロード。
いい歳したおっさんでも走ってヨシ。名前の通り、家族向けの道でロードバイクで飛ばすようなところではなし。

入り口は迷ったものの、入ってしまえば一本道で迷うことはなし。
ときおりクロスバイクやロードバイクとすれ違った。

すでに野宿モードになっている。

ときにはこんな坂を上ることもあった。
荷物を満載した重い自転車を引き上げるのは重労働。

サイクリングロードの巨大な標識。
うっかり者でも見落とすことはなし。

サイクリングロードは県道330号線。

途中で駅によって水を汲んでおく。
田舎の駅はたいてい無人で出入り自由。トイレの手洗い場で水を汲むことができた。

夕暮れが迫ってきたらいつでも泊まれるように、最低限の水は持っておくのが野宿者の心得だ。

竹林の中にいい感じの空間を見つけたのだが、日没にはまだ早かったので通過してしまう。
悪くはない場所だったが、日没まで待つ気分ではなかった。周囲には民家が点在していて全く人気がないわけではない。犬にしつこく吠えられたら鬱陶しい。

その後もわりかし良さそうな野宿場所を見送りズルズルと走ってしまう。
途中で引き返そうかと何度も思ったが、引き返すことだけは絶対にしたくない。ちょっとの時間でも距離にすると10km以上になったりする。無駄に走るくらいなら、道路脇で眠った方がいい。

地下通路をゆく。子供の描いた絵が雰囲気を明るくさせる。

終点が近づくにつれて、民家が途絶えないようになってきた。
私の決断は間違っていたのか、そんなことを思いながらペダルを漕ぐ。
車侵入禁止のポールが地味に邪魔だった。

そうこうするうちに終点の山鹿の町が見えてきた。
田畑の中の一本道。ここで引き返さなければ、町を突っ切るのみ。
時間は5時を回ったところ。日没まで時間がない。

奇跡的に集落に入る手前で公園を発見する。
サイクリングロード沿いで自動車は入って来られない。

直ぐさまここで野宿することに決めた。ベンチに座って日没を待つ。ねぐらを見つけてようやく落ち着くことができた。

年収20万円にも満たない私は人間らしい生活はしていないのか?
いやいや、それなりに人間らしく暮らしているぞ。パソコンもあるし、スマホもある。
ときどきお菓子を食べているし、好きな時に好きな場所へ行ける。多少の金と引き換えに狭い場所に閉じ込められるのなら、私は自由を求める。

金があっても自由のない暮らしはまっぴら御免だ。

日没を待ってテントを設営した。
日が沈むと急激に冷えてきたので、すぐさまテント内に逃げ込む。
県道から畑を隔てただけの開けた場所。だが、いったん闇に包まれれば、私の存在など消えてしまう。
そのためのグリーンのフライ。自転車カバーは明るいうちは多少目立つものの、暗くなれば問題なし。夜露を避けるためと反射材を隠すために毎日掛けている。この自転車カバーが傷んだら、もっと地味な色の生地でタープにもなるカバーを作りたい。

走行データ
宇土~熊本市内~山鹿
走行距離 約70km、走行時間 5時間弱
ねぐら  サイクリングロード沿いの公園

おわり