【西日本ツーリング2020】喜入から知覧を経て枕崎まで

こんにちは。からあげです。

 

日没を過ぎると風が強まり雨が降ってきた。一時的にかなり強まり大雨となったが、夜半過ぎには止んでくれた。だがそのあと蚊が大量に出てきて体のあちこちを刺されて痒くなる。
道路から離れていたおかげで、夜間はとても静かだったが、夜間に出入りする車のヘッドライトに照らされた。

荷物をまとめて7時前に公園を出発する。
雨は上がっているものの、まだ分厚い雲が垂れ込めている。湿度が高くてムシムシする。

今日は知覧経由で枕崎まで。
県道232号線で知覧に向かう。町を出ると緩やかな上り坂が始まった。
蒸し暑くてすぐに汗が吹き始めた。たまらず道路脇で休む。今は真冬だというのに。

製材所前に設置されていた縄文杉の巨大なレプリカ。遠目で見ると本物のように見える。

知覧の町手前まで来ると、道は平坦になり走りやすくなった。
やれやれ。

1時間ちょっとで知覧に到着した。
まずは武家屋敷周辺を散策する。整然とした町並みが広がっていた。
道路はきれいに掃き清められ、生け垣はよく手入れされている。

路面はまるで高圧洗浄機で掃除したようにきれい。こんなきれいな道路を見たのは生まれて初めて。あとは舗装したての道路。

知覧型二ツ家(小棟おき二ツ家)

鹿児島に独特だといわれる二ツ家の中で、特に知覧だけに見られる二ツ家は、二つの屋根の間に小棟をおいてつなぎとした造りです。民家建築文化史の上からも、貴重なものとされています。
住居用のオモテと台所のあるナカエの建物が、別棟となっている分棟式民家は、生活上不便が多く、次第に近づけるようになったのです。
知覧型二ツ家は、その分棟式の建物であるオモテとナカエが合体したもので、知覧大工によって創作された知覧独特の知覧町の建築文化であります。

 

屋根のつなぎ目部分。
職人の技が光る。後世に残る仕事っていいね。

武家屋敷周辺は日中は歩行者専用道路となる。
標識をよく見ると、宇宙人のような親子。

小綺麗な東屋があったので休憩させてもらう。
天気が回復してきて空が明るくなってきた。

カバンからアンパンを取り出して食べる。
自転車に乗っているととにかく腹が減る。こまめな補給が必要。腹が減ってからだとすでに手遅れ。脚が重くなってペダルを漕げなくなる。

歳をとってからは特に意識している。なんせ50前のおっさんなもんで。

町の中にあった見事なイチョウの木。歳を重ねた生き物は独特のオーラを放つ。
葉っぱが黄色く色づいたところを見てみたい。

知覧はどこを見ても整然としている。町はきれいに掃除されてゴミひとつ落ちていない。(誇張ではなく本当に)実に気持ちのよい町だった。

知覧まで来たのはほかでもない、知覧特攻平和館を見学するためだ。
爆弾を搭載した飛行機で敵艦船に突っ込む特別攻撃。若い特攻隊員の遺品が展示されている。

開館時間 午前9時から午後5時まで
休館日  なし(年中無休)
入館料  大人500円

 

特攻隊員の銅像

「特攻の母」として知られる鳥嶋トメさんの視点から、若き特攻隊員の無残にも美しい青春を描いた、映画「俺は、君のためにこそ死ににいく」(2007年5月12日公開作品、製作総指揮 石原慎太郎)で実際の撮影に使用された隼。

大東亜戦争(戦後は太平洋戦争ともいう)において、陸軍の主力戦闘機として活躍した一式戦闘機「隼(はやぶさ)」Ⅲ型甲をモデルに当時の資料や少飛会の意見を取り入れて忠実に復元製作された。
隼は当時知覧の特攻基地からは九七式戦闘機に次いで多い120機が飛び立っている。

 

敷地内の片隅には特攻隊員が宿泊していたとされる三角兵舎が復元されている。

三角兵舎内部のようす

特攻機「零戦」

この零式戦闘機52丙型(旧海軍)は、鹿児島県薩摩郡下甑村手打港(しもこしきそん てうちこう)沖合に戦闘機が不時着したとの情報をもとに鹿児島県揖宿郡喜入町瀬々串(いぶすきぐん きいれちょう せせくし)の潜水業、鳥越林氏昭和55年1月これを確認し、知覧町へ引き揚げを呼びかけた。
鹿児島市西千石町山下(善)建設株式会社の協力により、昭和55年6月12日35年ぶりに引き揚げたものです。この飛行機は昭和20年5月沖縄戦作戦中にエンジントラブルで不時着水したもので、そのため胴体部分はちぎれています。

 

館内の写真撮影は零戦が展示されている区画のみ可能。
遺影や遺書が展示されているほかの場所は撮影禁止。

涙なしでは見られない数々の遺品が展示されていた。
この平和な時代に生きている幸せを噛み締め、今の自分に何ができるのか考えた。
その答えはまだ出ていない。

知覧特攻平和館をあとにする。整然と植樹された桜並木を見ながら考え事をした。枕崎に着くまでずっと。いや、コロナ禍の今でもずっと。

私はこれから何をやればいいのか。私にしかできないことがあるはずだ。

知覧を出て枕崎方面へと向かう。しばらくは丘陵地帯でアップダウンが連続する。

広大な茶畑あり。
天気は回復して青空が覗くようになった。

途中の公園で休憩する。
広場ではお年寄りたちがゲートボールに興じていた。わいわいがやがやと、まあ元気なこと。

これはネタか?バブル期の香りが濃厚に漂う。きっとおばさんが考えたんだな。

だいたいだな。人に同意を求めるな。自分が良いというものは良い。それでいいではないか。きっとあなたはSNSで消耗する質だ。

トイレ内の貼り紙。
どこにもトイレットペーパー泥棒がいるらしい。アメリカにも、オーストラリアにも、そして日本にも。

丘陵地帯を抜けると、下り基調となって一気にペースが上がった。
路肩が広くて非常に走りやすい。

14時ころ枕崎に到着する。
予定よりずいぶんと早い到着だった。

まずは雰囲気のよい駅に寄ってみた。

いかにも南国といった雰囲気。
駅周辺は小綺麗に整備されている。なんでも駅舎がグッドデザイン賞に輝いたのだとか、知らんけど。

駅は無人駅。
ちょうど電車が出て行ったばかりのようで誰もいない。

長時間のご使用はご遠慮ください。

つまり短時間の使用ならよいということだ。だが、私は利用客じゃない。ソーラーパネルで乗り切ることにしよう。

鹿児島からの指宿枕崎線は、ここ枕崎で終点となる。

宗谷岬から枕崎まで分割して自転車で走ったことになる。(2020年西日本ツーリング終了時点)
本当によく走ったな。

駅前で記念撮影するおっさん。
この時、反射ベストはまだ色鮮やかな黄色だった。

観光案内所前に設置されている灯台。
ボランティアで案内をされている地元の方と話す。
自転車のこと、そして特産品や観光名勝などもいろいろ教えて頂いた。

駅前のスーパーに食料を買いにゆく。
タイヨー枕崎店。しばらく滞在中、ここで何度もお世話になる。

体がタンパク質を欲していたので、安かったサバの水煮缶をまとめ買いした。
缶詰は携帯食料にピッタリ。自転車だと重たい缶詰でも持ち歩く気になる。

最近、テレビで体にいいとやっていないためか、棚には溢れんばかりにあった。知らんけど。

枕崎といえばカツオ。パックに入ったカツオのたたきを購入した。

しょうゆを付けて食べる。モグモグ。う、うまい。
ただ刺し身が冷えすぎていて、体が冷えてきた。ブルブルと身震いする。

玄米の3kg入りを購入した。ここ枕崎には無料のキャンプ場があって、しばらく滞在する予定。
主食の玄米を購入しておく。

玄米はおっさんの活力の源。残りカスの白米では元気が全く出ない。浸け置きが必須なのでやや面倒だが、腹持ちがいい玄米はコストパフォーマンスに優れる。ぜひとも玄米を食べて頂きたい。玄米の消費量が増えれば、田舎のスーパーにも並ぶようになる。

枕崎の町を散策する。
特に変わったところはなし。

むむ、こんな看板が。いかにも漁師町といった看板だ。
出船と書いて「でふね」と読む。出港しやすいように船首を港口に向けて岸壁に着けること。出船の反対は入船(いりふね)。船首をそのまま突っ込んで岸壁に着けること。

港までやって来た。
すると20トンクラスの大きな漁船が横付けされていて、甲板上で乗組員たちが談笑していた。
外洋の荒波にも耐えられる重厚な造り。

高床式の建物

うむ、ここも悪くはないな。

漁港のすぐ近くの物産館に小さな水族館があった。
面白そうだな。よし、行ってみよう。

入館料は100円。

小さな水槽に小さな魚たちがたくさんいた。
これはドクターフィッシュという魚。指を水の中に入れると、吸い付いてくる。
チューチュー気持ちいい。魚たちのお陰で指だけきれいになった。

花渡川を渡る。
寄り道はほどほどにしてねぐらに向かおうか。
今日のねぐらは無料のキャンプ場。町外れにある。

無料のキャンプ場というと、たいていは山の上だとか、町から遠く離れた不便な場所にあるのが相場。しかし、ここ火之神(ひのかみ)公園キャンプ場は町から近い海岸にある。キャンプ場までの道路は平坦でとっても楽。

海上の尖った岩が立神岩(たてがみいわ)。
その岩の右側の小高いところがキャンプ場となっている。

キャンプ場に到着。
駐車場は道路を挟んだ山側に整備されている。
サイトへの車の乗り入れは不可。トイレは駐車場にある一箇所のみ。

夜間になると、車中泊する車が何台かやって来た。

トイレのようす

トイレ内にシャワールームがあったが、シーズンオフのためか閉鎖されていた。

海を見下ろせる高台に整備された火之神公園キャンプ場。
これまで日本各地を周ってきたが、ここ火之神公園キャンプ場はとても静かで過ごしやすかった。

ただ南東の風が吹くと、もろに風を受けるので注意が必要だ。

キャンプ場の奥には立神岩を見ながら散歩できる遊歩道が整備されている。

奥の林間サイトに京都からやって来たママチャリのおじさんがいた。
私が来る数日前からキャンプしているそうな。一日の走行距離は50km程度。走り疲れたら、適当な場所で野宿するスタイルで私と同じ。
少し前まではオートバイで全国を走り回っていたのだが、青森でオートバイが壊れたのを機に自転車に乗り換えたそうな。70歳を超えていると思われるのに、思い切りの良さと行動力がある。私も見習わなければならない。

トイレは一箇所だが、水場は数カ所に整備されている。
東屋付きで雨の日の荷物整理をするときにも便利。

天気予報では近々大雨が降るそうなので、浸水を警戒して水はけの良い場所にテントを張ることにした。
選んだ場所はココ。南東側は開けているが、背後の木が風よけになり、盛土されていて水はけは良好。快適なキャンプをするためには場所選びが重要。もう宇宙が丘公園の時みたいにテント内でずぶ濡れになりたくない。

手早くテントを張って濡れたものを乾かす。

出入り口から見える開聞岳。開けたときに見えるように角度調整を行った。
風に強い短辺方向を海側に向けるためでもある。

晩ごはんは白米に親子丼、具だくさん味噌汁。
玄米は一晩浸け置きしないと旨くない。浸け置きなしで早く食べたい時は白米を選ぶ。
その時の状況によって選べるように白米と玄米を持ち歩いている。(単にスーパーに売っていなかったこともある。)

こうして無料キャンプ場での生活が始まる。しばらく休んで英気を養う。

走行データ
喜入~知覧~枕崎
走行時間およそ3時間半 走行距離およそ50km
ねぐら 枕崎市火之神公園キャンプ場(無料)