こんにちは。からあげです。
はじめに
2020年夏、新型コロナのわずかな隙を突いて決行した乗鞍・上高地ツーリング。途中までで放置してしまった。そういえば、2020年西日本ツーリングもまだ終わらせていない。いやあ参った。
そんなどうでもいいことは置いといて、ツーリングの続きを書いてゆくことにしよう。
上高地~愛知まで 初日
2週間ほど上高地に滞在して登山やキャンプにもやや飽きてきた私は実家のある愛知県を目指して走ることにした。
2020年は8月になってようやく長い梅雨が明けたものの、梅雨明け直後の好天はやけに短かった。それでも雨の合間に槍ヶ岳から北穂高、霞沢岳などを登ることができたのは幸いだった。もう十分満足した。
いくらコロナ禍とはいえ、お盆になれば空きがあったキャンプ場も混雑してくるのは間違いない。
今回の続きはまたの機会にやることにして上高地を出発する。
雨が上がったすきに、テントを超特急で撤収してキャンプ場を後にする。
実は私が出発したあとで、ツキノワグマによる人身事故が発生してテントサイトが閉鎖されてしまう。
私とほぼ入れ違いでやって来た名物爺さん「ホームレス画伯」は一時期バンガローに避難していたそうな。
私の経済力ではバンガローに長期滞在するのは厳しい。このコロナでは相部屋希望者を募ることも難しい。飽きてきたこともあり、思い立ったらすぐに出発した。(被害に遭われた方にはお悔やみ申し上げます。)
雨上がりの早朝とあって観光客は少なめ。
しかしバスターミナル方面から大きなバックパックを背負った登山者が続々とやってくる。じつによい潮時だった。
河童橋で記念撮影してバスターミナルまでは押して歩く。その途中でダイナモライトの異常に気がつく。
薄暗い林間をl歩いているとき、接触不良のためかライトが点いたり消えたりしてのが分かった。
予備の電池式のライトはあるが、暗くてやや不安。この先、いくつものトンネルを抜けなければならない。
軒下を借りてライト本体分解してみたものの、不具合箇所を特定できず。ぶらぶら動いていた電線をなんとなくテープで巻いて固定すると、一時的にだが直ってしまった!再び症状が出始めたのは2週間以上経ってからのことだった。
ライトの応急修理?を終えた私はバスターミナル前の駐車場で出発準備をする。
小雨がパラつく。ここは無難にカッパ上にレインスカートを付けて走ることにする。
ここでおっさんの自画自賛アイテム「自転車用レインスカート」を紹介しよう。
夏でも蒸れずに快適に走れる優れもの。適度な剛性があって風でめくれにくい。だが、なぜか誰も欲しがらない。
単に見た目が悪いだけなのか、それとも営業が不十分なのか。いっこうに注文が入る気配がない。
いや、販売しているのというのはおっさんの冗談なので、真に受けて問い合わせのメールを送ってくるのは止めて欲しい。以前の私ならやりかねない。(笑)
作り方は非常に簡単。誰にでもできる。ただカッコよく作るとなると、それなりのセンスと技術が必要だ。
2020年8月当時、旧安房峠は土砂崩れのため通行止めで、自転車で高山方面に抜けることはできなかった。
さらに乗鞍スカイラインも土砂崩れで通行止め。よってエコーラインからスカイラインに抜けて高山方面に抜けるという体力を要するコースも取ることができない。
今回は高山を諦め県道26号を南下することにする。
ただ、まっすぐ愛知県に向かったのでは面白くない。小梨平キャンプ場では水浴びしただけでお風呂に入っていない。そこで思い出したのは以前入ったことのある乗鞍の無料温泉。大汗覚悟で峠越えすることにした。
中の湯から国道158号線で沢渡手前まで。途中で右に折れて白骨(しらほね)温泉に進む。
久しぶりに走る自転車でなおかつ長い長い下り。非常に爽快だった。気持ち良い下りがあるから、辛い自転車に乗っていられる。だがそれもおしまい。国道158号線を逸れると、キツい上りが始まる。
上り始めるとすぐに暑くなってきたのでカッパを脱ぐ。
漕いでも漕いでも全然進まない。それが原動機なしの自転車。
頭を空っぽにしてペダルを回し続けてようやく白骨温泉に到着した。
小雨が降ったり止んだりの天気でさえも、湿度のため全身汗でずぶ濡れ。いやあキツかった。
まだまだ続く上りに備えて大休止をとる。
私の憩いの場はバス停。苔が生えた屋根が面白い。
白骨温泉はただ通過するだけ。ここで温泉に入るのはいつになることやら。
いつ終わるとも知れない上り坂を上りきり、ようやく蛭窪(ひるくぼ)トンネルを通過した。
トンネルは普通車であれば安全にすれ違える幅あり。路面状態は良好で自転車でも何ら問題なし。
大汗をかいたあとの下りは体を冷やす。しっかり着込んで走り出す。
乗鞍高原入口に料金所跡あり。
以前、上高地乗鞍スーパー林道は有料だった。
乗鞍の長野県側(東)、乗鞍高原観光センターにやって来た。
コロナ禍にも関わらず駐車場はほぼ満車。見た感じサイクリストはおよそ半分。
世間一般では、自転車で走れる乗鞍岳(乗鞍スカイライン・エコーライン)はサイクリストの聖地と言われているらしいが、サイクリストでもツーリング系の私は完全に浮いていた。そこら辺を歩いていたロードバイク乗りに話しかけてはみたものの、微妙に話が噛み合わず気まずい思いをする。
いつものことだが、サイクルラックは使えない。重量級のツーリング車を立て掛けたら壊れてしまう。
とりあえず、せせらぎの湯へ。
幸いなことに誰もおらず。汗を流してさっぱりしたところで観光センターに戻る。
久しぶりのお風呂でじつに気持ちよかった。
さっぱりして戻って来たものの、全然落ち着けない。
周囲は小綺麗なサイクリストや観光客ばかり。
せせらぎの湯の前のバス停にやって来た。
やはりバス停が落ち着く。
ここで長い間休憩をしていると、愛知県から来たという人に話しかけられた。
私よりやや年上の男性で小規模のスーパーマーケットで働いているのだとか。コロナ禍なのに仕事が忙しくて全然休めないとボヤいていた。
まあまあ、この大変な時期に仕事があるだけマシですよ、などとやり取りしているとエネルギージェルを頂く。
やっぱりサービス業に従事している人は人の心が分かる。さすが!
鍛えられた体をしていたので、運動しているか尋ねてみると、自転車にも乗るし、走ったりもするんだとか。
明日も朝から仕事があるということなので、話はほどほどにして帰られていった。
乗鞍には未練が残るが、スカイラインが通行止めで岐阜県側に下りれないのなら仕方がない。
荷物を満載した自転車で上がってゆき、再び戻ってくるなんてことはしたくない。絶対に嫌。
この先の上高地乗鞍スーパー林道は通行止め。白樺峠の先で崩れているようだった。
観光センターまで三度戻り水を満タンにしてから出発した。
一旦戻って県道26号線を南下する。
水は満タンなのでどこでも野宿できる。まだ日が高くて時間の余裕あり。
休み休み走る。
疲れ過ぎて自転車にうんざりしてきたころ、県道沿いの集落の外れに公園を発見する。
野生の勘が働いて見つけることができた。
ちょうど地元の老夫婦が墓の手入れに来ていたところだったので挨拶をしておく。
ここは長らく使われていない公園のようで草が生えていて地面はふわふわ。
錆びついた遊具は撤去されていないものの、可動部が取り外してあって動かないようになっていた。
草刈り鎌は夏期の野宿の必需品。しかし鎌を持っているサイクリストは非常に少ないだろう。たぶん日本で10人くらい。
爺さまたちの軽トラックが出て行ったあと、公園内の片隅でテントを張った。
暑さはまだそれほどでもないが、上高地に比べるとずいぶんと暑くなってきた。この先が思いやられる。
ひと目に付かない静かな公園のお陰で朝までゆっくりと休むことができた。
上高地~愛知まで 2日目
翌朝、涼しいうちにできるだけ距離を稼ごうと、明るくなるとすぐに出発した。
これから先、暑さがどんどんと厳しくなってくる。休み休み行かないと体が持たない。
一つ目の峠、境峠(1486m)を越えた。 早い時間帯なのにすでに全身汗まみれ。
昨日温泉に入ってさっぱりしたばかりなのに。
信号機ありの片側交互通行。
工事区間が長いと赤になるまでに通過できないので、若干フライングして走り出す。
高回転でペダルを回して一刻も速く脱出する。
対向車に大型車が来たら厄介だ。
乗鞍方面を振り返るとどす黒い雲が掛かっていた。
それにしても朝から蒸し暑い。
藪原(やぶはら)で県道26号線から国道19号線へと出る。
中央アルプス西側の木曽地域を縦断する国道19号線は、大型車の通行が多く自転車は注意が必要だ。
木曽川沿いに沿って伸びる道幅の狭い道路のため、車道走行は非常に危険。
大型車同士ですれ違うのにいっぱいいっぱい。自転車が安全に走行できる余地はない。
夜間の車道走行は自殺行為。昼間でも歩道を走行した方がよい。
木曽地域を走る際は、地元のサイクリスト「木曽チャリ!のサイト」木曽福島駅前 かわい商店さんのサイトを参考にされたい。走行危険箇所などが詳しく記載されていてとても参考になる。ありがとうございます。
緩やかな下り坂。車道を走れば、ブレーキなしで走れるのだが。
コロナの影響で大型車が少なくなっている気はするが、全然油断できない。
センターラインにポールがある嫌らしい区間。
吉田洞門
照明はなく中は薄暗い。しかも曲がっていて見通しは悪い。北側出入口は左カーブ。
洞門の歩道は幅広で快適走行。
国道19号線の良いところは、4バッグ搭載のツーリング車(幅約60cm)でも通行可能な歩道が整備されていること。
だが集落を抜ければ歩道は片側のみ。横断歩道がある箇所では反対側の歩道に渡るのが正解。
横断歩道は押しボタン式の信号が多い。信号機なしの横断歩道は記憶になし。
横断歩道を渡って先に進む。
山吹トンネル
トンネル内の歩道は意外に広々としていた。
明るく路面状態もおおむね良好。
こうしてときどき草に阻まれるが、定期的に草刈りは行われているようす。
木曽福島市街地の入り口分岐の福島トンネル(延長507m)
トンネル手前に中央分離帯あり。横断歩道を渡って右側からトンネル内に入る。
福島トンネル内の歩道はやや狭め。
遠くを見て柵や側壁にぶつからないように走る。
幅60cmのツーリング車。
対向の自転車が来たら、少し待ってもらってサイドバッグを外さねばならないところだったが、
幸いなことに対向車は一台もやって来ず。
こんなクソ暑いなか、地元の人間が走るわけがない。そもそも国道19号線は自転車向きではない。
福島トンネル通過後、木曽福島の市街地に下りることにした。
国道を逸れれば、もう怖くない。
JR木曽福島駅
人は疎ら。数台のタクシーが停まっているだけ。
駅の片隅に蒸気機関車が展示されていた。
駐輪場で保管されている除雪機。
雪深い田舎ではよく見られる光景。
駅前でしばらく休憩した後、再び国道19号線に復帰する。
舗装の割れ目から草が生えている。
木曽福島を過ぎたあたりから、中山道の標識を見かけるようになった。
どうやら昔の中山道に沿って遊歩道が整備されているようす。(ただし歩道率高め)
1つ目の「これより先歩道ありません」の標識あり。
かけはし大橋を渡ったすぐの「木曽の棧(きそのかけはし)交差点」より先(南)の「かけはしトンネル」には歩道なし。
花壇の手入れをしていた地元の方に迂回路の詳しい情報を聞くことができ事なきを得た。
普段、歩いたり自転車に乗ったりしない人は歩道のことは全くと言っていいほど知らない。本当についていた。
Googleストリートビューより
この先にある「かけはしトンネル(延長951m)」。Googleストリートビューを見てのとおり歩道なし。予算の都合上、歩道が削られたのか。
道幅が狭く自転車が安全に走れる余地は全くなし。緩やかな右カーブで、トンネル内は照明が減灯されていて薄暗い。
この長いトンネルを自転車で走るのは非常に危険。絶対に止めた方がいい。
木曽の棧交差点を左折し、県道508号線に下り、しばらく南に下ってゆくとさらに左に下りる小道あり。すると木曽川に架かる小さな赤い橋あり。
赤い橋を渡って木曽川の左岸(下流に向かって左)沿いの道路をゆく。
この付近からバックパックを背負って中山道を歩くハイカーを見かけるようになった。
橋から木曽川を見下ろす。
左岸道路は道幅が広いわりに交通量が少なく非常に走りやすい。
歩道ではなく、本来走るべき車道をゆく。
国道19号線が近くなると見えてくるのが「あげまつ大橋」。
コンクリートが目立つ趣のない橋。
あげまつ大橋の手前で歩道に入り、歩道のトンネルに入る。
この付近は道がやや入り組んでいる。
中山道(遊歩道)の標識に沿って進む。
トンネルを抜けたら階段を上がって国道19号線に出る。
歩道に出てみると上松(あげまつ)方面には歩道なし。
少し遠回りになるが、「あげまつ大橋」を渡ってから上松方面に向かわなければならない。
かけはしトンネルの反対側に出たところ。
交差点の角に真新しい標識。
標識に従って上松方面に進む。
このように車ではおよそ5分で抜けられるトンネルでも、自転車だと迂回に20分近く掛かることはザラ。これが自転車旅の辛さでもあり楽しさでもある。
上松市街の旧道をゆく。
国道19号線は町外れを通っているため、町の中はとても静か。
中山道の標識に沿って進む。
自転車だと狭い道でも躊躇せずに進めるからいい。
現在位置がよく分からないといって、すぐにスマホを取り出してGoogleマップを見るのだけは避けたい。スマホをイジればイジるほど旅、いや人生そのものがつまらなくなってゆく。スマホフリーの生活が楽しさを生み出す。
中山道の面影があちこちの残されている。
導かれるままゆっくり走ってゆくと上松小学校の前を通りがかった。
ちょうど疲れたところだし、この辺で休んでいくことにするか。
夏休み期間中で学校内に人気なし。
校庭の奥に神社があるためか、自由に出入りすることができる。
廃タイヤを取り付けたシンボル塔
昭和48年度卒業生一同と表示されている。
校庭の奥の神社
暑さと疲れのため、遠くから写真を撮って眺めただけで終わり。
校庭から古い町並みを見下ろす
木陰でしばらく休んでから出発しようとすると、近所のおばあさんに話しかけられる。
「今年は暑いね~、どこから来たの?」みたいな感じで始まり、日常生活から亡くなったご主人のこと、お孫さんのことまで延々と話は続く。急ぐ旅でもなく、暑さでバテ始めた私は、適当に相槌を打ちながら根気よく話を聞き続ける。1時間は経っただろうか、いい加減話くたびれて来たおばあさんは、ようやく私を開放してくれた。
ふぅ~。たくさん話してスッキリしたようだったな。こうした突然の出来事が起こるのも自転車旅。
そのまま旧道をゆく。すると趣のある木造家屋が現れた。
中山道沿いに立つ宿屋のようす。
田舎では筒型のポストが多く見られる。
古いものではあるが、手入れが行き届いている。ペンキで光り輝いてひと際目立っていた。
自転車を日陰に停めて寝覚めの床にやって来た。
子供の頃にやって来た記憶だけはあるが、風景はすっかり忘れた。
入場料(通行料)は大人200円。お寺の中を通って河原に下りてゆく。
自転車に乗ってばかりいると、歩くための筋肉が衰えてくるので、ときどきは歩いた方がよい。
急斜面に整備されたつづら折りの道をゆく。
浦島太郎伝説が伝わる寝覚めの床。
あまりの景色の素晴らしさで寝ぼけていても目が覚めてしまうんだとか。
1時間ほど河原を散策したり木陰で座ったりしてのんびりする。
時間は正午ころ。いつまでもゆっくりしているわけには行かない。
かと言って暑くて全然走る気がしない。どっちなんだ。
おっさんはゆっくり走ることにした。
それからいくらも走らないうちに、日陰に入って休む。
暑い、暑すぎる。などと言い訳ばかりする。
ときどき歩道が狭くなる。
草が覆いかぶさっているところもあって非常に鬱陶しい。
車道を走りたい衝動に駆られるが、なんとか踏みとどまる。暑くなって若干交通量が減ったとはいえ、集中力が切れている状態で車道を走るのは危険だ。
歩道はしばらく車道を離れる。
車道のどちらかにも歩道がない場合は、迂回するか側道を走るかのどちらかになる。(たぶん)
昔の宿場町があるところは、国道を離れる場合が多い。中山道の標識を見落とさないように走ろう。
側道を走ってゆくと須原(すはら)駅前に出た。
木造平屋の駅舎が醸し出す雰囲気がとてもよい。
須原の宿場町にはあちこち湧き水が流れでている。
見ていると気持ちだけは涼しくなる。
水船と呼ばれる丸太をくり抜いて作った容器に水が貯められている。
冷たくて美味しい湧き水を腹いっぱい飲んだ。
国道には出ずに細い旧道をゆく。
殺風景でクソ暑く、おまけに排ガス臭くてうるさい国道19号線はできるだけ避けたい。
自転車はセンターラインなし1.5車線の道をゆっくり走る方が快適。
暑さのためか住人の姿は見られない。
仕方なしに国道19号線に復帰する。
歩道があるだけマシだと思わなければやってられない。
そもそも走りたくて走っているわけではなく、土砂崩れによる通行止めで高山方面に抜けられなかったから。
高速道路がない木曽地域はどうしても国道19号線に車が集中してしまうのは避けられない。
駐車場待ちの車で混雑する飲食店の駐車場。
車に轢かれないように注意して通過する。
再び側道へ。
木陰があって涼しい。
中山道の標識
またまた国道に合流する。
狭くなっている歩道。ガードレールの支柱があるため、歩道の幅は狭め。
バーエンドのミラーを折りたたんでゆっくり走る。
この横断歩道はそのまま直進。
国道19号線の走り方に慣れてきた。
この横断歩道は渡って反対側に出る。
この2つの例は非常に分かりやすい。
集落内の両側に歩道がある区間だと、横断歩道を渡ろうか、渡らずに直進しようか、迷うこともある。そういう時は自分の勘を頼る。
自転車にとっては非常に邪魔なセンターラインに設置されたポール。
車の正面衝突を避けるために設置されているもの。
これがあるため、大型車は自転車を抜くことができない。
非常に走りやすい歩道。ただし直射日光に晒されるため非常に暑い。
もう少し涼しい時期に走りたかった。
2時過ぎ、JR南木曽(なぎそ)駅に到着する。
以前何度か来たことがある勝手知ったる駅。
木陰に自転車を停めて駅前を散策する。
バックパックを背負った外国人の姿もちらほら見える。
おそらくは長年日本で暮らしている外国人。ここは京都・奈良のような外国人観光客で賑わうような場所ではない。
スーパーでおやつを購入する。
暑くて暑くて仕方がないのに、なぜか板チョコを買ってしまった。溶けないうちにさっさと食べよう。
この先、どうしようか?
時間は3時を回り、そろそろねぐらのことを考えなければならない時間帯になった。
考えられる選択肢は、このまま国道19号線を南下し木曽川河川敷のどこかで野宿するか、または中山道を通り宿場町の妻籠(つまご)を抜けて馬籠(まごめ)峠の山道のどこかで野宿するかの2つに1つ。宿に泊まるという選択はなし。
今日は朝から一日中、車の走行音を聞いて頭が痛くなったこともあり、静かな峠越えの道をゆくことにした。
またもや蒸気機関車を発見する。
妻籠に向かって急な坂を上ってゆく。
無理に頑張らなくてもいい。
今日は暑いなか走ってとても疲れた。
妻籠が近くになるにつれて、すれ違うハイカーが増えてきた。
とは言っても、2m以上の十分な距離を空けてすれ違うことができた。
苔の生えた石畳の道をゆく。
妻籠宿に到着。あちこちに趣が感じられる。
観光客の姿は疎ら。
中山道沿いの神社
部分的に修復されている。
建物のすぐ横に生えている木。
まるで建物の一部になっているような木。
いやあ~風流ですな~。水があると心が和む。
入り口に停めて建物の中を見学する。
宿屋の入口にある馬を繋いでおく場所。
たぬきの置物と湧き出る沢水。実に涼しげ。
今日はもう十分走った。これ以上走って何になる。
などと自分の心が語りかけてくる。
駐車場のトイレで水を満タンに汲んで野宿に備える。
しばらく走ると野宿に適した空き地を発見する。
薄暗くなるまでしばらく待機し、邪魔にならない奥の方でテントを張った。
やはりこの時期、メッシュのカヤライズでないと暑くて寝られない。
通常のエアライズだったら寝られなかったことだろう。
明るいうちに食事を済ませて、暗くなってきたら横になった。
体が火照って寝苦しい一夜の始まりだった。
つづく