乗鞍・上高地ツーリング2020~小梨平キャンプ場で快適に過ごす~

こんにちは。からあげです。

はじめに

車を手放し自転車生活を送るようになってから早3年半。激減したのは登山の回数だった。公共交通機関でアクセスしやすい山は人気エリアのごく一部に限られており、マイカーでなければ行きづらいところばかり。
自転車で行ったはいいが、ようやく登山口に着いたときには疲労困憊しており登山する気にもなれない。やれやれ。

登山道具のほか下山後の水・食料も運ばなければならず、想像しただけで憂鬱になってくる。我々サイクリストは登山を諦めなければならないのか!否、諦めることは全くない。自転車でも登山は十分可能だ。

 

今回、山梨から日本屈指の観光地、長野の上高地まで自転車で行ったのは、小梨平(こなしだいら)キャンプ場を拠点に登山をするためだった。これまで何度も利用したことがあり、勝手知ったる我が家のような場所。自転車では今回が初めて。

ではこれからサイクリストにもやさしい、小梨平キャンプ場の紹介をしよう。

 

小梨平(こなしだいら)キャンプ場

キャンプ場に到着したのは2020年7月下旬の梅雨明け前だった。2,3分も外に出ていれば、全身ずぶ濡れになる激しい雨となっていた。ビジターセンターの軒下を借りて雨が小降りになるまで数時間待機した。

バスターミナルより奥は自転車走行禁止なので押し歩きする。Gotoキャンペーン実施中ではあったが、コロナの影響もあって観光客は疎らだった。

テント設営前にまずは受付を済ませる。場内に自転車を停められるかが気がかりな点だ。

2021年キャンプ場利用料金 大人1,200円(1泊)

2020年までは1泊800円だったが、コロナ禍で利用客が減少、さらにツキノワグマによる人身事故が発生してテントサイトが一時閉鎖されたこともあり、経営環境が急激に悪化し、やむなく値上げに踏み切ったと思われる。
北アルプス周辺の山小屋も軒並み料金が値上げされている。

しかも今年2021年は持参テントでも完全予約制になっているので要注意だ!

自転車はサイト内に駐輪可能。ただし、他の利用客に邪魔にならないように配慮したい。
バスターミナルの入り口に専用の駐輪場があるが、屋根のないただの空き地で遠く離れているため利用しづらい。BT駐輪場については別の記事で紹介したい。

 

キャンプ場の施設

受け付け

キャンプ・バンガロー、お風呂、レンタル用品等の受付を行っている場所。

登山者の多いキャンプ場だけあって早朝(7時ころ)から開いている。困ったこと、聞きたいことがあれば、行ってみよう。
ゴミ箱・トイレ・自販機・お風呂もある。

食堂・売店周辺にはフリーWifiの電波が飛んでいる。
スマホやモバイルバッテリーの充電サービスあり。1台につき100円

私は携帯していたソーラーパネルで天気の良い日に充電していた。市販品を改造して軽量化してある。

 

食堂・売店

売店と食堂

食堂 07:00~13:40
   16:00~19:00(ラストオーダー18:00)

売店 07:00~19:00

売店のようす

登山者向けの商品が並ぶ。
缶詰、レトルト食品、カップラーメン、袋ラーメン、切り餅、生米(小袋入り)などがお手頃価格で(しかもバラ売り)販売されている。

ガスカートリッジやカセットボンベなどの燃料もある。なんとボールペン1本、割り箸1膳までもあるではないか。
支払いは現金のみ。上高地内にはATMがないので多めに現金を持っておきたい。

 

お風呂

料金 大人600円

外来入浴      12:00~14:00
持参テント     14:00~16:30
ケビン、常設テント 16:30~18:00

去年から利用は予約制人数制限(15名)あり。

温泉ではなく沸かしただけのただのお湯。しかし登山で疲れたあとに熱々の湯に浸かるととても気持ちいい。風呂上がりのアイスクリームやキンキンに冷えたビールがたまらない。

コロナ以前は時間内に料金を払えば、自由に入ることができたような気がする。
バスターミナルにコインシャワー(使用料100円+3分100円)があるが、新型コロナのため2020年・2021年は閉鎖されている。

 

トイレ

キャンプ場内の数カ所に整備されている。すべて水洗で紙が常備されている。
虫や野生動物が入り込まないように出入り口は必ず閉める。
便器は和式と洋式の2種類あり。

私は和式派。地に足が着かない状態で気持ち良く排泄ができるわけがない。どこの誰だか知らない他人が座った便座に座りたくもない。コロナ禍にある今は特にそう思う。

 

炊事棟

広大なキャンプ場内の数箇所あり。日没から消灯時間(夜21時)まで照明が点灯する。
水はそのまま飲用可。冷たく美味しい水だ。

流しのようす

調理スペースあり。蛇口がたくさんあって行列ができることはなし。

焚き火・BBQ可能なコーナー。薪で炊事したい人はここで。

泥だらけの登山靴、ペグなどの汚れものを洗えるコーナーもあり。
これは非常に嬉しい。

汚れものを洗いたいが小綺麗なところばかりで洗う場所がない。そんな困った状況が数多く見られる日本のキャンプ場。しかしココは違う。

 

炊事棟(水道なし)

一箇所だけ水道なしの炊事棟あり。
屋根付きで雨の日も快適。あまり人が寄り付かないところなので気兼ねなく使用できる。

ただし、自分たちのグループだけで占領するのはやめよう。他者と譲り合って使いたい。

炉のようす。ここでも焚き火とBBQが可能。

 

常設テント

1泊7,000円。手ぶらで来てもキャンプを楽しめるようになっている。
2021年から8張りに減らされた。

テントはオートキャンプでは定番のコールマン。4~5人は泊まれそう。

 

乾燥室

食堂・売店の下、東側に出入り口あり。

室内には石油ストーブと除湿機が設置されている。
利用時間は06:00~18:00まで。料金は無料。夜間はストーブと除湿機は止められ、出入り口は閉鎖される。

下着類は禁止。干しっぱなしにしないように注意したい。
汚れた衣類は水道で手洗いして早めに干しておけば1日で乾く。
滞在中、雨が降ったり止んだりの天気がしつこく続いたので、この乾燥室にずいぶんと助けられた。長期滞在者にとっては非常にありがたい。

 

キャンプ場ルール

利用客の大半が登山者という特殊なキャンプ場であるため、一般のオートキャンプ場とは若干ルールが異なる。

1 焚き火・直火・直炭禁止 焚き火台使用禁止

以前は直火OKだったが、いつの間にかサイト内での焚き火は一切禁止となっている。そのお陰で、汚らしい焚き火跡でテントを張らなくても済むようになった。

焚き火や薪による煮炊きは炊事棟の専用コーナーのみで可能。
コンロを使って炭でのBBQはOK。ただし、皿、残飯などを片付けないまま寝ると、ツキノワグマに荒らされる可能性が非常に高いので注意が必要。奴らは寝静まった深夜に闇に紛れてやって来る。

 

2 テーブル・ベンチの専有禁止 場内のテーブルにタープ禁止

以前、長期滞在者と思われるキャンパーがテーブル・ベンチを専有していて、使いたくても使えない状況があった。それらが一掃されて利用しやすくなっていた。

 

3 消灯は21時

夜間の大騒ぎはご遠慮ください。消灯は21時。
夜9時から朝6時まではお静かに。場内の照明は必要最低限となり暗くなる。

早寝早起きする登山者に合わせて消灯時間は21時に決められている。消灯は単に明かりを消せばいいと意味ではなく、不要な会話を控えて静かにしなければならない。
ソロキャンパーであれば、照明を落として黙々と酒を飲むのも全然あり。

時々宴会場と勘違いしたキャンパーがやって来て馬鹿騒ぎすることもあるが、管理棟に電話をすると厳しく注意してくれる。ルールを守れない人間は退場あるのみだ。

 

4 ゴミの放置・無分別禁止

キャンプ場内にはゴミ箱が設置されていて、利用者のみ分別して捨てることができる。
これも非常にありがたいサービスだ。

そのほか、発電機の使用はおそらく禁止、花火は不明。

 

郵便局での荷物の受け取りと不要品の発送

上高地内には夏季限定営業の郵便局がある。あらかじめ郵便局留めで荷物を送っておき、現地で受け取るようにすれば、より楽にツーリングを楽しめるようになる。

自転車は積載できる荷物が非常に限られるため、宅急便など荷物配送サービスを活用したい。

松本市内のスーパーで買い物中。
売店の品揃えがいいことは知っていたが、コロナ禍のため普段どおりではない可能性があったので、ある程度の食料を送っておくことにした。

ダンボール箱に詰めて郵便局から発送する。
荷物を載せてもビクともしないサーリーのディスクトラッカー。ツーリング車の本領発揮だ。

上高地郵便局

開設期間 4月下旬~11月中旬まで(冬季休業)
営業時間 09:00~17:00
定休日  毎週水曜日(祝日営業・7月15日~8月31日の間は無休)

取り扱い 郵便のみ  
ゆうちょ銀行ATMなし

 

郵便局留めの注意点

必ず郵便サービスを利用する

郵便局留めで荷物を受け取りたいときは郵便の「ゆうパック」か「小包」などで送る。
宅急便の営業所留めの場合は、受け取る宅急便会社のサービスを利用する。

保管期間は到着日の翌日から起算して10日間

余裕をもつためにも、出発直前に送るようにする。
自転車で上高地にゆく場合、出発直前に松本市内の郵便局から送っておくのがベター。
途中で気が変わることの多いサイクリスト。計画どおりに走らねばならないのは苦行以外の何ものでもない。

どうしても間に合わない場合、電話でお願いすれば、少しなら期間を延長して保管してもらえる可能性がある。

傷みやすい生物はダメ

上高地郵便局にはクール便の冷蔵保管庫がないため、肉や魚など傷みやすい生物は送ってはいけない。
長期保存が可能な米、缶詰、お菓子、レトルト食品などを選ぶ。

BBQ用の肉や魚は売店で売っている。

 

晴れ間に荷物を引き取りに行った。
ずっしりと重たいダンボール箱だが、歩きは軽快。肩に担いでご機嫌で歩く。

キャンプ場に戻って箱を開ける。

玄米は私の元気の源。さすがに売店には玄米は置いていない。

この2kgと手持ちのものを合わせれば、2週間はなんとか乗り切れる。
玄米のほか、切り餅や大麦なども入っている。
軽い袋ラーメンやお菓子類は少なめ。

そのかわり重たい缶詰は多め。
ツーリング経験を積むと、次第に賢くなってくる。

どれも売店で手に入るものだが、多少の節約にはなる。

 

不要な小物類はレターパックプラスで送る

A4サイズ重量4kgまでレターパックプラス全国一律520円
不要になった荷物はレターパックプラスで家に送っておくと、荷物を減らすことができる。

上高地郵便局でも、レターパックを取り扱っている。
荷物受け取り時に購入しておいた。

 

不要品の数々

浄水器、記載したノート、地図、薄型キーボード、折りたたみ水筒、自作アイゼンなど。
発送時に荷物の重さを量ってもらったところ、およそ1.1kgだった。

意外にたくさんの荷物が入るレターパックプラス。

厚さの規定はなく、フタがキチンと閉まっていればOK。
厚紙が頼りなさそうだったので、ガムテープで角を補強しておいた。

上高地のあとは、乗鞍を経て愛知県まで走った。余計な小物類がなくなり楽ちん、荷物管理のストレスも減って軽快なツーリングを楽しめた。

 

荷物預かり 自転車OK

キャンプ場には大きな倉庫があって荷物預かりサービスも行っている。
泊まりで登山に出かけるときは、テントを張ったまま荷物を置いて出かけるか(もちろん料金は発生、泊まるテントがなくなる)、テントを撤収してBTの駐輪場に停めておくか(無料)、同じくテントを撤収してキャンプ場で荷物を預かってもらうの3パターンあり。

当時、ツキノワグマが毎晩のように出没していたこともあり、自転車を含めた荷物を預かってもらうことにした。
夜間人気がなくなるBTの駐輪場では、ほぼ間違いなくツキノワグマの餌食になる。
食料の入ったカバンはボロボロにされ、フレームやキャリアも曲げられるおそれがある。

他の預け荷物が多い場合、自転車は断られる可能性があるので注意したい。
複数台の場合は特に。

邪魔になったときに動かせるようにロックはせずに、前後ブレーキを掛けた状態で自作つっかえ棒を使って自立させておいた。

荷物預かりの料金は荷物1個につき1日100円。自転車を含めた荷物一式では、はたしていくらだったのか?

 

キャンプ場でのんびり過ごす

雨は降ったり止んだり。時々激しい雨が降ったりもする。
梅雨明けを待ちながら、のんびり過ごしていた。

コロナ禍で利用客は少なく、テントの間隔を広くとれたし、工事の音を除き昼でも静かで居心地がとても良かった。

観光客の多くは日帰り。そのため朝晩の時間帯は非常に人が少ない。
始発バスが到着する前に河童橋にやって来ると、誰もいないことがある。

キャンプ場で自前のテントで泊まれば、安く滞在することが可能。
それなので、ホームレス画伯と呼ばれる名物おじさんがいたりもする。

なんでも若いときから毎年のように数ヶ月間滞在しているのだとか。油絵を描いたり、人と話したり、周辺を散策したりして過ごしているそうな。

昼間の河童橋

お盆時期になると人だらけで近づくことさえもできなくなる人気スポット。
2020年はガラガラだった。

おや、なんだろう?この望遠鏡は。

よし、覗いてみよう。

なんと奥穂高岳の山頂を見ることができた。
日替わりであちこちの山に焦点を合わせているようす。

山頂で休んでいる人が見えるぞ。

雨が長時間降り続いているときは、ビジターセンターの軒下での気分転換がおすすめ。
テント内に引きこもっていると、憂鬱になってくる。

キャンプ場内のようす

いつの間にか増えてきたテント。持ち運びしやすいコンパクトな山岳用テントが多い。

キャンプ場内を流れる小川沿いのサイト。
ここはとても人気のある場所。

ビールやジュースは冷たい川に沈めておけば、真夏でもキンキンに冷える。

売店・受け付け近くも人気がある場所。
小腹が空いたら、売店へGO!

人通りが多いので、私好みではない。

今回は梓川沿い、売店から少し離れた場所にテントを張った。
カラマツで区切られていて、人が少なければ丸々使える。

自転車は奥に停めてカバーを掛けておいた。

自転車はとにかく目立つ。帰る人や読者から、食べ物をもらった。
「以前は楽しませてもらいました。」などと過去形で語られるのが若干寂しかった。

ときにはマルちゃんを貰ったり。

手持ちの食料がなかなか減らず、食が充実していたキャンプだった。初めてかもしれない。こんな豪勢なキャンプは。

暑いときはアイスクリームに限る。
下界で買うのとほとんど変わらない値段で売られている。

登山のお供のおやつも購入する。

日帰り登山で汗をかいたあとは、キャンプ場内を流れる小川で度々水浴びをした。
どうも風呂の予約というのが受け付けない。

痺れるほどの冷たさだが、入れないことはない。
もちろん石けん・シャンプーなしで海パン着用。

キャンプ場おすすめスポットの梓川沿いのベンチ。いくつか設置されている。

あいにくの曇り空。岳沢はガスに包まれている。

天気が良いと、岳沢の素晴らしい景色を眺めることができる。
南側がカラマツ林となっているため、日の当たる時間はほとんどない。

ベンチで昼寝するのもよし。時が経つのを忘れて読書するのもよし。

 

おっさんBBQをやる

受付でBBQ用炭火コンロ一式借りることができる。

コンロ、焼き網、木炭、着火剤、軍手、火バサミなどが付いて1200円。

肉や野菜は売店で売っている。肉は冷凍されているので、早めに購入しておいてあらかじめ解凍しておくとスムーズにできる。ただし、野生動物に盗られないように注意。

梓川沿いの空きのテーブルの上で行った。2020年はツキノワグマが出没していたため、日没までには道具を片付けて返却して欲しいとのことだった。

パック詰めされた肉やソーセージ。

二人分の食材とレンタル用品を合わせて、およそ5,000円。

木炭は紀州備長炭。ウバメガシで作られた高級品。叩くとキーンという甲高い音がする。

火起こしポットの底に着火剤を入れて火を点ける。

そして炭を入れて赤熱するまでじっくり燃やす。頃合いをみてコンロに移してBBQ開始だ!

おっさんは焼き肉のタレよりも粗塩が好み。
自分で持ち込んだもの。

もちろん、売店でタレや塩も売っている。

玉ねぎを輪切りに切る。

キャベツやまいたけも購入した。

BBQの楽しいひととき

ご飯持ち込みでお腹は大満足。ごちそうさまでした!