自転車で屋久島一周

こんにちは。からあげです。

はじめに

屋久島は鹿児島県佐多岬の南方約60kmに位置する南の島。雨が多く屋久杉の巨木が生えるなど豊かな自然が残されていて、世界遺産にも登録されている。
その屋久島の海岸線に沿って延びる外周道路の距離が約100kmというキリのよい距離ということもあり、毎年冬になるとウルトラマラソンや自転車イベントが開催される。

私が屋久島に到着してからしばらく、雨が降ったり止んだりが続き登山には不向きな天気だった。暇を持て余していたところだったので、自転車で屋久島一周することにした。

 

屋久島一周走行レポート

屋久島一周の自転車

サーリーのディスクトラッカー。機械式ディスクブレーキを搭載したクロモリ製のタフな自転車だ。ロングホイールベースから来る直進安定性は抜群。フロントには天板の広いサーリー ナイスラック、リアには驚異の耐荷重40kg チューブス ロゴクラシックのキャリアを取り付け、それに100均金網で自作したカゴを付けて、荷物を大量積載できるようにしている。

 

フロントのサイドバッグ2つと前後キャリアのカゴに荷物を積載した。途中で自炊するので、水は1.5Lのペットボトルを取り付けて多めに持った。あとは熱々のお茶を入れた保温水筒(0.5L)。
これが日帰りツーリングの定番スタイルになりつつある。

装着していたタイヤはシュワルベ マラソン26×2インチで、転がり抵抗が大きくて余計に体力を削り取られたが、濡れた路面でもよくグリップしてくれて安心して走ることができた。

出発は朝の4時過ぎ。拠点周辺は何度も走っていて見慣れた景色だったので、夜間走行で景色が見られなくても全然構わなかった。それより早い時間帯に終了してゆっくりしたかった。

海に近いところを走れるように右回りで走った。西武林道は道幅が狭い区間があるため、車は左回りを推奨されている。

食料は前日のうちに用意しておいた。途中で補給できるところはあるが、かなり限定的。島内には24時間営業のコンビニはなし。

7時前にトローキの滝に着いたころになってようやく明るくなってきた。ここでしばしの休憩。道路の下にある滝でまったく趣がない。道路が建設される前は良かったのだろう。

朝日に焼けるモッチョム岳。屋久島の南にある標高1,000m弱の山。
山頂から見下ろす海岸線の風景はなかなかのもの。中腹の万代杉も見応えがあるし、登山口近くにある千尋(せんぴろ)の滝もなかなか良い。

機会があったら、モッチョム岳登山のようすもアップすることにしよう。

快調に走るおっさん

冬だというのに風が生温く、次第に体が火照ってきた。
平内海中温泉には寄らずに通過した。海岸まで続く急な下り坂を見て行く気にならず。

海岸にあって1日2回の干潮時の前後約2時間だけ入浴できる温泉。ちょうどこの時は干潮の時間帯で入ることができた。こういう珍しい温泉に行くと必ずと言っていいほどいるのが、写真を撮るだけで温泉には入らない人間。裸で入浴している人間がいるにも関わらず平気で写真を撮る。

 

大川(おおこ)の滝

西部林道手前にある大きな滝。落差と水量があり迫力十分。日本の滝百選に選ばれている。
まだ早朝だったこともあり、一人貸し切り状態で堪能する。

深い滝壺。

夏ならここで泳いでいたことだろう。空気は生温いとはいえ、泳ぎたくなるほどの水温ではない。ただの滝行になってしまう。

個人的には温泉に入るより川で水浴びする方が好き。冷たい川の水の爽快感がなんとも言えない。自転車で火照った体には冷たい水が一番だ。

大川の滝を過ぎると、民家は途絶えて西部林道に入ってゆく。
概ね平坦だった道が上り坂に変わってゆく。

さあ、ここからが本番だ。

上っても上っても峠が見えてこない。
ゼンマイを巻くようにじりじりと坂を上ってゆく。

樹木の切れ間から海岸線の風景を見ることができた。

海の向こうに見える島は口永良部島(くちのえらぶじま)。
現在のところ、火山活動が活発化していて噴火警戒レベル3まで引き上げられている。

屋久島からでも噴煙がハッキリ見えた。

夜間通行止めの看板

西部林道は夜間通行止め(17:00~07:00)となっているが、ゲートで完全に封鎖されるわけではなし。

西部林道では野生動物とよく遭遇する。
道路脇には屋久鹿。

キョロキョロしながら食べ物を探している。
自転車に乗った私を見ても逃げて行かない。

屋久鹿はかなり小さく、このサイズで大人。身長165cmの私とそれほど変わらない。

道路上で寛ぐ猿の群。

私が近づいても逃げることはせず、みな呑気に毛繕いしている。

かわいい野生動物たちを驚かせないようにゆっくり走りたい。

岩に根を張って生える木。
カーブが連続して見通しは悪い。

外周道路から脇道に逸れて岬の先端まで下ってゆくと、屋久島灯台にたどり着いた。
灯台の敷地内には入れるものの、建物内には入ることはできない。

灯台は船舶にとっては重要な施設で、現在位置を知るためのもの。
航海計器が発達した現在でも、必ず目視による位置確認は行われる。

灯台の裏側にまわると、展望台から周囲の景色を楽しむことができる。
灯台から永田方面を望む。吹き抜ける風が気持ちいい。

灯台からはっきりと口永良部島を見ることができた。

宮之浦港から口永良部島に向かう、町営のフェリー太陽という船が一日一便出ている。

 

ちょうど昼前だったので、灯台で昼食をとることにした。
観光客はまばらで落ち着いて休むことができた。

生温いとはいえ、じっとしていると寒くなってくる。こういう時にこそ熱々のラーメンが合う。
食材は予め切っておいてチャック付きの袋に詰めて持ってきた。なんと手際のいいおっさんだろうと自己満足に浸る。

具を増量したラーメンだけでは足りないので半額パンを食べる。

野生動物のように、虎視眈々と半額セールを狙うおっさん。時間は遅すぎてもダメ、かと言って早すぎてもダメ。風が吹くとフェリーが欠航するという屋久島の特殊事情も考慮する必要があって難易度は高め。店の運営を見極めて適度な時間に店にゆくと、めでたく半額商品を手に入れることができる。

これは店と客との真剣勝負だ。

たっぷりと休憩を取ったあと、急な坂を上って外周道路に復帰する。
しばらくして峠にたどり着くと、峠からの爽快なダウンヒルを楽しむ。
あっという間に下って永田の集落までやってきた。

寂れた集落の風景は道行く人を物悲しくさせる。宮之浦から安房までの賑やかな集落とは違い非常に静か。

潮風でボロボロになっている電気自動車の急速充電器。
スマホ用にUSB充電もできると嬉しいのだが。

ウミガメの産卵地として知られる永田いなか浜に到着する。
急ぐわけでもないので、寄ってゆくことにする。単に自転車で一周するだけではもったいない。

きれいな砂浜が続くいなか浜。
曇りがちな天気のため、海の青さはいまいち。

なぜか打ち上げられた葉っぱが多い砂浜。

砂の粒は細かくサラサラ。

屋久島は外周道路でもアップダウンが多い。
外周道路を逸れて山に入ると、地獄の急傾斜が続く。
おまけに雨が多くて自転車には厳しい島と言える。それでも自転車で走りたくなる不思議な魅力がある。

屋久島一周終盤の見どころ、一湊(いっそう)の海岸。

海水浴場前の青い海よりも、立派な東屋に惹きつけられた。
常日頃、野宿をしていると東屋が気になって仕方がない。このタイプは耐候性がなくてダメだとか、地面と面一で大雨が降ると浸水しそうという、一般人にはどうでもいいことが次から次へと頭に浮かんでくる。

私が東屋の設計をすれば、快適なものが出来上がるのは間違いなし。町の公園で見かける東屋は残念なものが多すぎる。

宮之浦川に架かる橋。昔の橋で今は歩行者・自転車専用になっている。
宮之浦はフェリーが発着する港で古くから栄えた町で今でも活気がある。

宮之浦川から望む屋久島の山々。
今日は雲が多かったが雨は降らず。今日は貴重な登山日和だったのではないかという考えが湧いてくるも、その考えを打ち消す。雨に降られずに島を一周できただけでいいではないかと。

あとは戻ってシャワーを浴びるだけだと思いながら自転車を走らせていると痛恨のタイヤパンク。完全に油断していた。鈍い衝撃のあと一気に空気が抜けた。

トレッド面から入った釘がサイドに抜けた。内臓された耐パンク防止帯3mmでもパンクを防げず。パンクしづらいタイヤでも、パンクするときはパンクする。姉妹品のマラソンプラスを履いていた2018年の北海道ツーリングでは、ホタテ貝を踏んでパンクした経験あり。

 

錆びてボロボロになった釘。
路面に落ちていた頭のない釘がどうしてタイヤに刺さるのかは謎。

新品同様のタイヤでグリップが良かったのが災いしたのか。

道路脇で淡々とパンク修理する。
こういう時予備のチューブを持っておいて良かったとしみじみ思う。穴を探してパッチを貼るなんてことはやってられない。パッチ当ては落ち着いた時にやるに限る。

ゴール目前でパンクしてしまったが、無事に屋久島一周を走り終えることができた。たっぷり休みをとってのんびり走っておよそ11時間掛かった。100kmは一日掛けてゆっくり走るのにピッタリな距離。軽量なロードバイクであれば楽々走れる。体力があり余っている人間は白谷雲水峡やヤクスギランド奥の紀元杉まで上ってみるのもいいだろう。ぜひ挑戦してみて欲しい。

 

自転車で屋久島を走るときの注意点

屋久島の道は交通量が少なく、道行く車は十分距離を空けて抜いてくれるので、基本的に非常に走りやすいが、屋久島特有の気をつけなけばならない点がいくつかあるので解説したい。

雨が多いのでカッパは必要

屋久島はとにかく雨が多い。雲ひとつない空でも、いつの間にか雲が湧いてきて激しい雨が降ることもある。高い山に遮られいるため、雨雲の接近が分かりづらい。一日中晴れる日は稀で、降ったり止んだりが基本。
本州の雨とは違い雨粒が大きいので、短時間の雨でも体の芯までずぶ濡れとなる。

宮之浦から安房までを除き、雨宿りできる場所は少ないのでカッパの携帯をおすすめする。

路面が滑りやすい

前項と関連して雨が多く路面が濡れていることも多い。苔が生えているところは、濡れると特に滑りやすくなるので厳重な警戒が必要。まるで凍結路のよう。
比較的交通量が多い外周道路でも、滑りやすいところが一部ある。自動車が通らない道路の左端は、苔が生えて滑りやすくなっている。見た目では分かりにくい「ぬめり」もある。

白谷雲水峡やヤクスギランドへの道は急な坂が続き、ところどころ山から湧き出た水が路面を濡らしている。濡れた落ち葉も滑りやすいので注意が必要。帰りの下りでスピードを出しすぎると非常に危険。

補給は限定的

島内には24時間営業のコンビニはなし。宮之浦から安房までの地区に小型のスーパーやドラッグストアが点在する程度。島の西側では補給は難しい。出発前日に食料を購入しておくことをおすすめする。

水の補給だけは楽。麓にいる時は公園のトイレや公共施設で水を汲むことができるし、山中に入ればあちこちから水が出ていて汲み放題。上流に民家などの人工物がなければ飲んでヨシ。気になるようだったら浄水器を使おう。

そのほかスポーツ自転車を取り扱う自転車店がほとんどないので、必要最低限のパーツと工具は携帯するようにしたい。アップダウンの多い屋久島では自転車に乗る人はごく僅か。

西部林道は夜間通行止め

道幅の狭い西部林道は夜間(17:00~07:00)通行止めになる。
夜間走行は景色が見えないし、路面が見づらくて危険が伴うので、できるだけ控えるようにしたい。

日中は狭い道に不慣れな観光客が運転するレンタカーも通る。スピードは控えめにしてゆっくり走ろう。

野生動物に注意

民家のない西部林道周辺では、猿や鹿などの野生動物が多数生息する。
道路上には我が家のように寛ぐ猿たちがいるので、驚かさないようにゆっくり走りたい。
静かにゆっくり近づくと動物たちは逃げず、間近で観察することができる。ただし、餌やりは厳禁だ。

 

以上が屋久島の注意点。気の赴くまま寄り道しながらゆっくり走って屋久島の自然を感じて欲しい。