【西日本ツーリング2020】北九州~山陽小野田 関門トンネルを抜ける

こんにちは。からあげです。

 

昨日から降り始めた雨は今日になっても降り続いていた。
キャンプ場は水はけが悪くて周囲は水浸しになってしまった。床面を嵩上げするスノコが欲しい。
だが、それは贅沢というものだ。こんな町中で無料キャンプできるところはそうあるもんじゃない。大雨は昨日のうちから予想できた。ただ私が金をケチって宿に逃げずにここで頑張ってキャンプしているだけ。問題はなし。お世話になっておいて文句を言っていたらバチが当たってしまう。

小雨になったときにテントの外に出て気分転換する。
一日中狭いテント内に引き篭もっていると、体の節々が痛くなってくる。

なんせおっさんなもんで。

自転車カバーがあるから、雨の日でも気にせずに外に停められる。
誰もいないキャンプ場なので炊事棟の中に停めることもできるが、遠く離れた場所に停めたくないし、人工物に頼るのは野宿派サイクリストとしては潔くないという気持ちもある。

大事な相棒は目の届くところに置いてやりたい。他人にとっては自転車なんて邪魔物でしかないということを常に頭の片隅に置いておく必要がある。

雨の日は食事の時間が楽しみ。代わり映えしない食事だが、3食食べられるだけで幸せだと思える。
会社を辞めてフリーとなってすでに7年が経過した。野垂れ死にすることなく生きているだけでもラッキーだ。奇跡ともいえるだろう。

食事を済ませると、ツーリングマップルを穴が空くほど見たり、キンドル無料本をダウンロードして読書したりして時間を過ごした。

テント内が浸水するのももう慣れっこになった。
いくら防水性のあるテントでも周囲が水溜りになれば浸水する。新品ならいざ知らず、長年使用しているアライのエアライズ1。
テント内での安全地帯は切り詰めたマット上だけ。カッパを敷いて安全地帯を拡張する。

狭小空間が嫌いな人間には雨の日のテント生活は発狂ものだろう。慣れた私でも苦痛を感じることがあるが、高い金を払ってネットカフェに泊まろうとまでは思わない。気ままなテント生活が一番だ。ネットカフェでは物音と延滞料金が気になって落ち着けない。

一夜明けて今日、夜が明けてもまだ雨が残っていたが、意を決してテントを超高速で撤収し炊事場まで逃げてきた。
ここで荷物整理して態勢を立て直す。ふぅ~。

もう少し北九州に滞在しようかと思ったが、新型コロナでどこもかしこも休止中。すでに観光どころではない。国内でも日増しに感染者の数が増えている。さっさと家に帰ることに決めた。

ただし、フェリーではなく自走で。たとえ一晩であっても狭い船内で他人と過ごすのは嫌。嫌過ぎる。時間と手間は掛かるが、自走した方がはるかに安全だ。(交通事故に遭う可能性を考えると、フェリーで帰った方が安全に思える。自転車はエコだが、非常に危険な乗り物。)スーパーで食料を買う時は、人との距離をとってタオルで頬かむりして短時間で済ますことにしよう。

雨上がりの道路を走る。
日曜日の朝だけあって交通量は少なめ。しかもバス専用の時間帯だ。非常に走りやすかった。

一日中引き篭もったあとなのでパワーもりもり。すいすいと快調に走る。

本日はとりあえず下関まで。関門トンネルを抜けて本州に渡る。本州に戻ればもうこっちのものよ。あとは気が赴くまま、適当にブラブラしてどこかで泊まることにする。

キャンプ場を出て小一時間走ると関門海峡が見えてきた。
海辺の公園で休憩するとしようか。調子がよい時ほど、休憩をとった方がいい。走り続けて早い時間帯にくたばってしまう。過去に何度もやらかして学んだ。

道路を逸れて岸壁沿いをゆく。
こういう時は自転車で良かったとつくづく思う。柵をすり抜け公園内を走る。地方だと公園内は押し歩きしろなどと面倒くさいことは言わない。

船の形をした建物が見えた。いったいなんだろう?

岸壁に停泊中の小型タンカー。
船内で休んでいるようで、乗組員の姿は見えない。

船の形をした建物は関門海峡ミュージアムだった。
早朝のためまだ開いていない。何を展示しているのだろう。

小腹が空いたので、カバンをゴソゴソ漁ってパンを取り出した。
スーパーで買い物をする時、値引きシールが貼ってあるものを優先して購入する。それがおっさん流。条件反射で手が伸びてしまう。

タグボートと自転車。どちらも働く道具。
私にとって自転車での旅は遊びではなく、たんなる生活。好きな時に好きな場所に行って好きなように過ごす。自転車は多少の苦痛を伴う乗り物だが、またそれがいい。好き勝手しやすいのもさらにいい。
アクセルを捻っているだけで勝手に走ってしまうと物足りない。税金は消費税以外掛からず。スポーツ自転車でも、安いパーツを厳選すれば、そんなに金は掛からない。自転車業界の思惑に乗せられてはダメ。
地球と財布に優しい自転車だが、食費は高くなる。

観光客と散歩の人に混じって橋を渡る。
港町の雰囲気が漂う。うむ~、実に気持ちいい。

高層ビルとレトロなレンガ造りの建物。組み合わせが面白い。

昔走っていた路面電車が展示されていた。
日中は自由に見学できる。

なんとも言えない味がある。

このデベソみたいなライトが最高にかわいい。家に連れて帰りたい。
そしてこの路面電車に住む。移動できるから固定資産税は掛からず。

屋根付きの屋外ステージ。
実に素敵な場所だ。遅い時間だったら泊まっていただろう。

さらに海岸沿いを走って関門橋のところまでやって来た。
橋は有料の高速道路、トンネルは有料の一般道、そして原付、自転車、徒歩は人道を通る。

一度でいいから関門海峡のトンネルを通りたかった。サイクリストにとっては定番スポット。

巨大な橋。上から車の走行音が降ってくる。

コンテナ船がゆく。

黒地に白字の天のファンネルマークは神原(かんばら)汽船。広島県福山市に本社を置く海運会社。

ようやく人道入り口までやって来た。
トンネルの入口があるとは思えない外観だ。

地上からエレベーターに乗って地下のトンネルまで降りる。

自転車は押し歩き、原付きはエンジンを切っての押し歩きになる。いつも楽をしやがって。生き地獄を味わうがいい。ひひひ

エレベーターを降りると、広いエレベーターホールあり。
かなり深くまで下りてきたようす。トンネル内の音しか聞こえない。

関門トンネル人道

全長780mの歩行者用のトンネル。通行可能な時間は06:00~22:00まで。
片側右側通行の直線が本州まで続く。
自転車・原付きは料金20円だが、この時はサービス期間中で自転車は無料だった。

トンネル内の構造
ふむふむ。こうなっているのか。勉強になったぞ。
と言いながら、3分後には忘れている。

トンネル内に県境あり。
ここは記念撮影スポット。

出口はまだか。すぐ着きそうでなかなか着かない。

なんと人道も国道になっているではないか。おっさんビックリ。

長い長いトンネルを抜けて地上に戻ってきた。人道トンネル入り口の建物が九州側と同じで頭がおかしくなったと思った。錯覚だったか。よかった。よかった。

ようやく本州まで戻ってきた。あとは家に帰るだけだ。

公園には大砲がずらりと並べられていた。100円を入れると発射音が流れる機械あり。
地味に観光客たちに人気があった。

ちょっと下関をブラブラしてみるかと、魚市場に入ったところ観光客がいっぱいいて驚いた。
まだマスクをしている人は少なくて、みな普通に買い物を楽しんでいた。

下関は観光客だらけで危険と判断、さっさと先に進むことにした。
うお、いかん。また変な虫が騒ぎ始めた。

地図を見ると、関門海峡を見下ろせる火の山公園というところが目についた。
高低差もそれほどなさそうだったので、山に上ることにした。
すると山頂に途中でサイクリングロードを見つけた。

交通量の多い車道を走るより、静かなサイクリングロードを走った方が楽しそうだ。そう思った私は奥へと入って行った。

だが行けども行けども山の上に着かない。途中で方向がおかしいことに気がついたが、引き返すのも嫌だったのでさらに進むと、火の山のとなりの山に着いてしまった。

すぐ近くには戦時中の砲台跡があってコンクリートの土台や地下壕が残されていた。

山頂からの景色

残念ながら関門橋は見えない。前方は新門司港方面。

来てしまったものは仕方がない。ここで昼休憩をとることにした。
山の上に来る時は水を多めに持っておいた方が無難。トイレの手洗い場は水が出たが、飲むのは危険。雨水だとは思うが、タンク内の水が飲めるほどキレイとは限らない。

山頂広場には自動車は上がって来れないので静かな野宿場所になる。ただし水はないので、麓で汲んでくることになる。人道トンネル入口の駐車場のトイレで汲むのがベター。

休んでいる間に濡れたテントなどを柵に干して乾かす。

玄米ご飯だけでは物足りないので、高級つぶあんぱんを食べる。

いったい100円のパンのどこが高級なんだとツッコミを入れる。

山を下りると、 通りがかった長府の町を散策する。
雰囲気のある路地を通った。

海岸沿いの国道9号線を東に向かってひた走る。
すでに時間は3時すぎ。ねぐらのことが気になり始めた。

そう焦るなと自分に言い聞かせて国道沿いのスーパーで食料を調達する。

ショッピングセンター内の薬局にマスクの販売制限の張り紙あり。
串カツの二度漬け禁止ならぬ、二度並び禁止。

マスクをしている人をそれほど見かけないのに、なぜかマスクが品不足になっていた。すでに買い占めが始まっていたのだろう。

この先国道2号線を走り続けると、多数の大型車に抜かれて危険と思ったので、分岐で国道190号線の方に折れる。そしてしばらく走って山陽小野田市青年の家までやってきた。
ツーリングマップルには、意味ありげなキャンプ場のマークあり。なぜ無料と書かない。

有料でもそれほど料金は高くないだろうと思い、一度覗いてみることにした。

建物内に入って話を聞くと、なんと料金は無料だった。
予約なしでも空きさえあれば泊まれる親切なところ。

話をきいたようすでは、夏休みのお盆時期が少し混むくらいで、ほかは空いているようす。
道路を挟んだ向かいにコンビニがあって悪くはない場所。今夜のねぐらはここに決まりだ。

まさかこんな便利なところに無料キャンプ場があるとは思わなかった。

糸根地区公園キャンプ場

期間 通年
休み 毎週 火・水(ただし国民の祝日は除く。)
   年末年始(12月29日~1月3日)

料金 無料

施設 水道、仮設トイレ、かまど。フリーサイト。

ゴミは持ち帰り。
事前の申し込みが必要だが、空きがあれば当日申し込んで宿泊できる。

 

古代ローマの神殿を思わせる柱だけのピクニックエリア。
屋根は台風で吹き飛ばされてしまったのだろうか。

炊事場は非常に簡素。蛇口が少ないので譲り合って使おう。

キャンプ場のトイレは水道近くに設置してある仮設トイレを使用する。

公園の一番奥にキャンプ場がある。
枠で区切られているが、空いているところならどこでも張っていいそう。
一段上がっているので大雨でも水はけが良さそうだ。

かまどもいくつか設置されている。
薪はたぶん持ち込み。

木の枝を拾えるような場所はなし。

さっそくテントを張ってくつろぐ。
もう野宿が当たり前過ぎて、なんにも違和感がない。
すぐ隣の公園では小さい子どもたちがボール遊びをしている。

広大な公園内の片隅にキャンプ場がある。そのため明るいうちに行かないと場所が分かりづらい。
トイレと水道が離れていて、決して使い勝手は良くないが、無料というのがとてもよい。
施設は老朽化が目立つが、頑張ってお金を掛けずに手入れしているのが伝わってくる。
マナー良く利用したい。

かつての食堂はすでに閉鎖されていて傷みが激しい。とても使える状態ではない。

プラネタリウムのある建物。こちらも老朽化が激しい。
入り口の軒下が快適空間だ。

大きな体育館。こちらはまだ現役で使われていた。
近所の小中学生たちがバスケットボールをしていた。

日が沈んで静かになったところで夕食にした。
この時ハマっていたのが唐辛子入りのサッポロ一番みそラーメン。1つで2つの味を楽しめる。疲れた時に辛いラーメンを食べると元気が出る。

今日は休養後だったので余裕を持って走り終えることができた。時は3月に入ったばかり。
春はもうすぐそこだったが、コロナも間近に迫っていた。

走行データ
北九州市~海底トンネル(人道)~山陽小野田市
走行時間 5時間、走行距離 約60km
ねぐら 糸根地区公園キャンプ場