屋久島の名峰?愛子岳に登る

こんにちは。からあげです。

屋久島北東部、屋久島空港のすぐ近くに愛子岳という山がある。愛子というと現在の天皇の第一子、愛子さまを思い浮かべる人が多いと思うが、私もそう。だが、地元の人によると、全く関係はないという。屋久島には山の名前からとった愛子という銘柄の焼酎があって、一時期大ブレイクしたそうな。今はほそぼそと売っているんだとか。

屋久島を自転車で走り回っていると、槍のように尖った山だから、嫌でもいつも目についた。それで機会があったら登ってやろうと思っていた。ちょうど一日くらいなら天気が保ちそうな日があったので、愛子岳に登ってみることにした。

愛子岳歩道入り口~愛子岳~愛子岳歩道入り口

コースタイム 往復5時間45分

水場あり(一箇所のみ)
トイレ・携帯トイレブースなし

朝、いつものように早起きして自転車で登山口を目指す。
登山口の入り口に着く頃、ようやく日の出を迎える。

今日もなかなかの好天。しだいに気分が盛り上がってきたぞ。

県道77号線の愛子岳入り口

小さな看板があるだけ。周囲に目立つ物標はなく、気をつけて見ていないと通り過ぎてしまいそうになる。実際、一度通り過ぎてしまった。

県道入り口にある看板

手作り感が濃厚に漂う。

柵に囲まれたゆるかやな坂道を上がってゆく。
鹿や猿の食害防止のために設置されているようす。

右前の愛子岳にちょうど雲がかかっている。

途中、いくつか分岐があるが、道なりに上ってゆけば登山口に着く。
赤い鳥居のある神社を通過する。

右に曲がったところに登山口あり。県道から20分ほどでやって来た。
登山口手前の林道脇に5台程度の駐車スペースあり。

登山口の案内板の支柱に自転車をロックする。
屋久島には人の自転車を持っていくような悪人はいないと思うが、念のため固定物にロックしておく。

イラストマップには往復3時間半のコースと表示されているが、それは歩き慣れた健脚者のタイム。私の場合は休憩時間を入れて往復およそ5時間。8時ころ出発して13時前に下りてきた。さすがにこのコースタイムはおかしい。

コース中にめぼしい見どころはないが、山頂からの奥岳の景色がなかなかのもの。なので視界の悪い日には愛子岳には登らないほうがいい。日帰りで手軽に楽しみたいのなら、白谷雲水峡がおすすめ。多少雨が降ろうが、視界が悪くても影響ない。むしろ雨が降った方が雰囲気が出る。

注意看板

登山は一人でも楽しめるスポーツだが、全ては自己責任。そう人生と同じ。
決して安易な気持ちでやってはならない。何があっても下りてくるという気持ちが必要。

とは言いつつも、思いつきでやってみると、新たな展開が開けてくることもあるから不思議。

登山口のようす

分岐したコンクリート舗装の林道の脇から入る。

倒木処理の跡

登山道は単調な尾根伝いに続いてゆく。

赤い木の実

本州でも見たことはあるのだが、名前が分からない。脇目もふらずに歩いていたサラリーマン時代に比べると、少しは分かるようになったが、まだまだ分からないものだらけ。あの時は山頂に立って帰ることだけしか考えていなかった。

何やっていたんだか。

淡々と登ってゆく。そう私の人生みたいに。

一般の観光客が訪れることは少ないマイナーな山だが、道は意外とハッキリしている。
尾根伝いのうえ、要所要所にピンク色のテープが取り付けられているため、方向音痴の私でも道に迷うことはなし。

こうした面白い木がところどころに生えている。何が面白いんだと聞かれても困るのだが。

まあ、なんとなく味のあるというか。真っ直ぐにすくすくと育った木より、幾多の苦労が感じられる曲がりくねった木の方が好き。人間でもそう。おそらく親近感を感じるのだと思う。

イラストマップに載っていた大きな切り株。
苔に覆われている。

愛子岳の道は単調。中腹を過ぎるとようやく変化が出てくる。
木々の合間から見える愛子岳。

苔むした登山道をゆく。滑らないように注意。

急な斜面にロープが設置されている。
屋久島の登山道にはチェーンは少し。

漁師からお古のロープをもらってきて設置するのだろう。

山頂直下から見上げる岩峰。
山頂は近い。

山頂直下に嫌らしい岩場あり。日陰の一部が凍結していた。
ロープを持って慎重に通過する。

振り返ると、そこに海が見えていた。

今日の天気は長持ちしそう。沿岸部の前岳は比較的安定していて、内陸の奥岳の方は急変しやすい。

山頂はもうすぐそこ。
山頂の槍の穂先部分。

ついに愛子岳山頂に到着。

だれもいない山頂を独り占め。この日は結局誰とも会わず。静かな登山をしたいなら、マイナーな前岳周辺がお勧め。

奥岳(宮之浦岳)方面

雲ひとつない青空。この日、初めて宮之浦岳を見る。

中央が宮之浦岳、右が永田岳、左はよう分からん。

宮之浦方面

眼下の屋久島空港

滑走路を延長せずにプロペラ機のみの離発着の方が逆に希少価値が高まるような気がする。
簡単に行ける場所ほど、感激はすぐに薄れ、あっという間にどこかに行ってしまうことになる。

安房方面

山頂広場には小さな社あり。
ワンカップのお供えものや、賽銭が散らばっていた。

かごしまの朝というパンを食べる。鹿児島県でよく見かける安いパン。

ジャンボあんぱんも食べる。一つだけで腹が膨れると思ったら大間違いだ。
1つはおやつ。2つ食べても全然腹が膨れない。

山頂で十分景色を堪能したあと、ゆっくりと下山を始める。
屋久島に来てからというもの、のんびりすることが多くなった。
ゆったりと時が流れる屋久島時間に体が適応してしまったようだ。

愛子岳の上部にある貴重な水場。
この水場があるお陰で携帯する水の量を減らすことができる。

水が豊富な屋久島だが、愛子岳では水場はココだけ。行きはスルーしたが、帰りは寄ってみる。

登山道から少し下りてゆくと、岩の隙間からしみ出ている流れを発見。
冬でも枯れることはなく、水を汲むことができた。

水場の近くで、観光客が置き去りにしたと思われるカバンを発見した。

けしから~んと波平のように脳内で叫びつつ、カバンを開けてみる。
中にはどうでもいいようなゴミのようなものしか残されていなかった。

捨てられていたカバンを持って登山口まで下山。
ひょっとしたら山菜採りに来た人が置いているだけかもしれないので、標識のところに掛けておいた。後日来たときに残っていたら持ち帰って処分しようと思っていたが、結局来ることはなし。

種子島のロケット打ち上げのことで頭がいっぱいになり、カバンのことなどすっかり忘れてしまった。

荷物をまとめてねぐらに引き上げる。すると朝はいなかった軽バンが駐車スペースに停まっていた。

登山道では誰一人とも会わず、人間嫌いな私は自分の世界に浸ることができた。

今後、愛子岳に登る機会は訪れるのだろうか。それは誰にも分からない。
もちろんおっさんにも。