X-pac VX21でサコッシュを自作する

こんにちは。からあげです。

 

サコッシュへの誘い

前回、タープを自作したのに引き続き、サコッシュを自作することにした。
サコッシュはもともと自転車のロードレースで選手にドリンクなどを手渡すために使用されていた小型のカバンなのだが、それを日本人の勝俣隆氏がハイキング用に改良して自作し使い始めたのが始まりだ。

私も去年、バックパックの端材でサコッシュを自作して使ってみたのだが、あまりの便利さにすっかりサコッシュの虜となってしまった。

 

関連記事
超軽量サコッシュの自作
こんばんは。からあげです。 今日から3月、もう春だ。 ツエルトで寝るようになって久しい。 新規購入の寝袋の性能チェックをしつつ、騎士団長殺しを読んでいる。 奮発した甲斐があって、軽量コンパクトで保温力もバッチリ。 これでPCTではポカポカ温
自作サコッシュ1号にマップケースを付けてグレードアップしてみた
こんばんは。からあげです。 今日は寒さがぶり返して季節風が吹き荒れる非常に寒い1日だった。 今の物置小屋の気温は6度となっている。 パソコンをタイプする指がかじかむ。 せっかくやって来た春がどこかに隠れてしまったぞ! 今日の出だしもスロース

 

サコッシュ1号の今

これが去年自作したサコッシュ。PCT用に自作したものだが、あまりの使いやすさに帰国後もずっと使い続けている。一度マップケースを付け替えているが、再びボロボロになってきている。

マップケースの素材は、100均の軟質カードケース。
透明で地図が見やすいのだが、耐久性がイマイチの塩化ビニール製であるため、使っていると次第に裂けてくる。透明テープで補修しながら使い続けているが、見苦しさが気になるようになった。

マップケースの他にポケットは2つあって、どちらも止水ファスナーを取り付けていたのだが、メインポケットの方は使い始めて1月くらいでダメになった。途中でファスナーを撤去し、マジックテープに付け替えて使っていたのだが、そのマジックテープもボロボロになったため、再度付け直した。

こちらはサブポケットの方。
こちらのファスナーは帰国するまで大丈夫だったのだが、帰国後も使っているうちに壊れてしまったため、マジックテープに付け替えた。

ストラップは100均のスーツケースの口が開かないように縛るためのものだが、丈夫過ぎるため、バックパックのショルダーストラップを傷めてしまった。

これらの欠点を踏まえて自作第2号となるサコッシュを作ることにした。

 

サコッシュの自作

糸 シャッペスパン 普通地用60番
針 11号→16号→14号に変更

X-pac VX21

X-pac VX21(Black) 
 
アメリカのアウトドア素材通販サイトRipstop By The Rollで購入したもの。
高い防水性と強度を持ち、過酷な環境下でも抜群の耐久性を誇る素材で、アウトドア用品やヨットの帆などに使われている。
Ripstop By The Rollでは、X-pac VX21はハーフヤード単位で販売されていて、最低のハーフヤードでもなんと$10.9もする高価な素材なのだ!
 
説明
 
X-Pac VX21は、VX07のような軽量版よりも、耐摩耗性を向上させるために、より厚い210Dのナイロンの生地として、耐久性と重量のバランスがとれています。
 
VX21は、以下の層から成るラミネート・ファブリックです。
・表面 C6 DWR 210D のナイロン
・黒色ポリエステルの22度の格子
・0.25mil(0.00635mm)ペットフィルム(VX21白色ソフト版でのポリエステル防水コーディング)
・耐摩耗性のための50Dポリエステルタフタ
mil(ミル)とは、ヤード・ポンド法の長さの単位。1ミル=1/1000インチ=0.0254mm。針金の直径などを測るのに使用。
コトバンクより
 
スペック
色   黒、青(バハマブルー)、白
製品ID VX21、VX21 S
巾   54インチ(約1.37m)
重さ  約142g/㎡
仕上げ/コーティング C6 DWR,0.25ペットフィルム(防水)

 

生地は210Dの厚めのナイロンで、強度を高めるために格子状の繊維、さらに裏面には耐摩耗性を高めるために50Dナイロンタフタが使用されている。

 

作業のようす

サコッシュの完成サイズは26×30cm、中の間仕切りが一つ、外のポケットが一つ、口の部分を折り曲げてフタとして外ポケットのファスナーの防水を行う。

縫い代(15mm)を考慮してカットする線を引いてゆく。裏面の白地に黒色の油性マジックを使用した。

X-pac VX21の特徴として挙げられるのは、端が解れにくいこと。解れやすいシルナイロンとは違いハサミで切った箇所も解れにくい。そして生地の表面が滑りにくい。かなり縫製しやすい生地と言える。

X-pac VX21の切り口。

ハサミで切ったままの状態。僅かに裏面のナイロンタフタが毛羽立っているのみ。

X-pacのパーツは4つ、サコッシュ本体の2枚と、外ポケット1枚、中の仕切り1枚。

続いてファスナーの加工を行う。

手元にあるのはYKKのビスロンファスナー(30cm)。前回のサコッシュには目の細かい樹脂製の止水ファスナーを用いたが、開け閉めが重たいこと、耐久性に乏しいことから、2作目は耐久性がありそうなビスロンファスナーを選択した。

ビスロンファスナーを用いる箇所は、前ポケットの口。マジックテープ(面ファスナー、ベルクロともいう)にしようか迷ったのだが、マジックテープの耐久性もそれほど高くはないため、試しにビスロンファスナーでやってみることにした。
この試みは3作目に活かされることだろう。

 

参考リンク

YKK 商品カテゴリー一覧 ビスロンファスナー

 

信頼のYKK。ビスロンファスナーは樹脂製のエレメント1つ1つが大きいのが特徴。
どこまで耐久性があるかは今後明らかとなる。

おっさんのレビュー記事を待っていてくれ!

サコッシュに合わせてファスナーをカットする。たいたい2cmほどハサミでカットした。
そして端のエレメントを幾つか取り外した。

先の細いラジオペンチで摘んで引っ張ると取れる。

エレメントの末端は糸で縫ってから瞬間接着剤で固めただけ。

ファスナーの加工が終わったところで、再びX-pacの生地の加工の続きを行う。

生地の端は、かがり縫いを行って解れないようにしておく。
これはかがり縫いようの押さえ。通常のものからかがり縫い専用のものに交換する。

かがり縫いをしているところ。

ミシンが自動で縫ってくれるため、使い手はだた生地を送るだけでいい。
非常に楽チン。スピードを最大にして針の動きに見惚れていると、あっと言う間に終わってしまった。

中の仕切りは折り返して縫うだけ。プラスチック製のヘラでこするだけで折り目が付く。
アイロンを当てなくても良いため非常に楽。

生地の向きに注意しながらファスナーを縫い付ける。
片方縫ったあと、仮縫いをしてからミシンで縫う。

おもて

裏側

縫う順番を考えながら作業するのは、よい頭の体操になる。
順番を間違うと詰んでしまうので、慎重に作業を進めてゆく。

ショルダーストラップやマップケース取り付け用ロープを通すループには、巾8mmのコーデュラテープを使用する。
適当な長さに切って端っこをライラーで炙る。

各パーツを合わせて袋状に縫う。ところが、コーデュラテープの箇所が分厚くなってしまって針が通らなかった。無理をするとミシンを壊してしまうため、縫えなかった箇所は手縫いをすることにした。

一針一針力を入れて縫ってゆく。やっぱり、手縫いの方が融通が利いていい。

3辺を縫って袋状にしたところ。

中の仕切りは一番上になっている。

マチをつけようとしたが、間違ってしまい角を三角に落としてしまう。
結果的にマチはなくても大丈夫で、丸みを帯びた形になりよりスタイリッシュになった。結果オーライだ。試行錯誤の積み重ねで思いもしない偶然の産物が出来上がることもある。

一応かがり縫いをしてほつれ止めをしておく。

メインポケットと中の仕切りの口にはマジックテープを取り付ける。
なくても構わないような気がしたが、収納物が転落しないように付けることにした。

これはAmazonで購入した巾2cm、長さ約25mのマジックテープのセットだ。100均のものは割高なためまとめ買いした。裁縫ジャンキーにはたまらない。ボリューム満点の長さだろう。私はこれで一生分保つかもしれない。

マジックテープを縫っているところ。メインポケットの口には残り物の巾12mmのものを使用した。半端者は使い切ってしまった方がいい。

メインポケットの口は折り曲げてバックルで留めるスタイルとした。
ストラップは巾20mmのバックパックの残り物を使用した。

バックルは以前購入したもの。フロント部分を押して外す仕組み。
何度か開け閉めしてみたが、イマイチ操作性が悪い。

バックルの件はひとまず置いといて、ショルダーストラップの作成に移る。
前作は丈夫な荷物用ストラップを使用したため、バックパックのショルダーストラップを傷めてしまった。

その教訓を踏まえ、今回は柔らかいシルナイロンの端材で作ることにした。これもバックパックの端材でグレーの20Dの生地。黒にグレーは合うんじゃないかということで選択した。

袋状に縫ってから裏返し、2つ折りにしてから両端を縫う。

シルナイロンは滑りやすいため、仮縫いしてから縫っているところ。
両端を縫えばストラップができる。

そもそもサコッシュにはそんなに重たいものをいれないため、ストラップの強度はなくても大丈夫。強度よりも他のストラップを傷めないように柔らかい素材で作った方がいい。

ストラップの端に2mmのダイニーマロープを縫い付ける。

上からX-pacの端材を当てて補強と目隠しとする。
ここはほつれ止めの処理はなし。どれくらい解れてくるかチェックしようと、あえてほつれ止めはしなかった。

X-pac VX21で作ったサコッシュの完成!

と言いたいところだが、やはりバックルの操作性が悪くて気に入らない。

そこでマジックテープ付きのフラップを付けて開け閉めするようにしてみた。

写真はフラップにマジックテープを縫い付けたところ。

メインポケットの口にフラップを縫い付けてみると、スタイリッシュだったサコッシュが一気にダサくなってしまった気がする。デザイン面の他に重量の増加がきになる。

ゴソゴソと素材が入っている袋を漁ってみると同じくらいのプラスチックバックルが出てきた。
これはバックパックのチェストストラップ用に付いてきたバックルだ。無駄な物を付けると邪魔だし重たくなるため、使用しなかった。

今回のサコッシュに使用することにした。
このプラスチックバックルは横を摘むだけで外れるため、非常に操作性が良い。
フロントプッシュボタンのバックルは、置いている時に操作するのはいいが、肩に下げているときに特に操作しづらかった。コイツはまたの機会にとっておく。

 

サコッシュの完成 各部のチェック

今度こそサコッシュの完成!

では早速詳しくチェックしてゆくことにしよう。

プラスティックバックルをサイドプッシュ式に変えて操作性が良くなった。
口を折り曲げて軽く押さえておくための役割で負荷はほとんどかからない。

つまりなくてもよいのだが、バックパックの上部を締める重要なストラップのバックルと同型のため、その予備として付けておく。壊れた時はサコッシュから取り外して付け替える。
予備を持つを紛失しないよう管理する必要があって非常に面倒くさい。そこでさほど重要でないところに重要な予備パーツを付けておく。あまりやり過ぎると、無駄に重量を増やしかねないため適度に行う。

バックルを外してサコッシュを伸ばすと前ポケットのファスナーが現れる仕組み。
防水性のないファスナーでも、構造を考えることにより防水性を出すことができる。

ファスナーのスライダーには2mmのナイロンロープを付けてグローブを着用していても操作しやすいようにした。
ロープはスライダーの穴に8の字で通すと一体感が出て扱いやすくなる。細かいことだが、こういうことが積み重なって大きな差が出てくる。
(これはヘリテイジ製品のロープの通し方から盗んだテクニック。)

ファスナーの取り付けに失敗して多少歪みがあるが、実用上それほど問題はなし。
ビスロンファスナーは軽く操作できるのがいい。あとは耐久性だな。
耐久性に問題があれば、そのうちマジックテープに付け替える。

メインポケットの口には、念のため12mm幅のマジックテープを取り付けた。
なくてもいい感じがしたが、口が不用意に空いていると、物を落とすおそれがある。
テープが傷んできて接着力が弱ってきたら、ちょうど良くなるだろう。

メインポケットの中

折返しの部分を除くと、横26cm×縦20cmサイズの大容量だ。スマホやメモ帳入れてもまだまだ余裕がある。

仕切りはマジックテープで軽く留めるようになっている。
細かいものはこちらに投入しておくと、ゴチャゴチャに混ざらないで済む。

ループは4つ取り付けた。
ショルダーストラップの他にマップケースやコンパス・笛を取り付けられるようにした。

ショルダーストラップの片方は8の字結びで固定した。

そしてもう片方には、コードロックを付けて長さ調節できるようにした。
コードロックのスプリングが強めで滑らなくていい感じだ。
Ripstop By The Rollで購入した12個入りで$3.05のRegular cordlock。

お約束の計量のお時間です!

むむむ・・・、おお!99g。丈夫な生地のため、かなり重たくなってしまったな。
同じものをシルナイロンで作れば、半分以下の重さになるだろうが、耐久性が落ちてしまう。
いかに必要最低限の強度と耐久性を保ちつつ、軽量化するか。MYOGの世界は奥が深いな。
少なくとも、中の仕切りだけはシルナイロンで作れば良かった。

前作に較べて容量が大きくなって、より一層使いやすくなったサコッシュ。
仕上がりも断然良くなった。遠目で見たら既製品と見間違う出来だろう。

満足満足。(自己満足。)

 

マップケースの取り付け

前作でサコッシュの全面に縫い付けたが、すぐにボロボロになって見苦しくなるため、改良をすることにした。

マップケースの素材は同じ100均の軟質カードケースのB5版サイズ。

何気なしにサコッシュに重ねてみたらジャストサイズだった。
このようにするために深層心理がサイズアップしたようだ。実に素晴らしい!

ループの位置に合わせてパンチで穴を空ける。

始めフックを取り付けてみたが、ブラブラ揺れてしまって一体感に乏しい。
やり直しだ。

普通にロープで縛るだけにしてみた。太さ1.5mmのナイロンロープを使用した。
ベストな選択とは言えないが、まずまずといったところだろう。
元船員のためか、とりあえずロープで縛ってみるという習性がなかなか抜けない。

オプションのマップケースを取り付けたところ。

これなら傷んできても、簡単に交換することができるぞ!(それでもしばらくは透明テープで直して使い続けることにはなるだろうけど。)

 

自作・使用した感想

自作に要した時間はおよそ12時間(マップケースの取付は含まず)。小物なのに意外に手間が掛かった。それは作業行程の順番をあれこれ考えていたからだ。特にファスナーの取り付けは難しい。順番を間違うと取り付け不能となってしまう。

X-pac VX21は思いのほか丈夫な素材で、その分重量もある。なんとか100gを切ることができたのが嬉しい。サコッシュにはオーバースペックな素材だと感じる。バックパックなら最適な素材だと確信する。多少重たくなるが、私は耐久性(信頼性)を重視したい。レイパックは約360gと非常に軽いが、定期的にチェックして補修しておかねばならないし、丁寧に扱う必要があって少々疲れる。

 

先日、熊野古道を8日間ほど歩いてきた。その時の感想も少し書いてみよう。

耐久性には全く不安はなし。ショルダーストラップは肩に馴染んで程よい掛け心地だった。バックルの開け閉めはしやすいく、小物の出し入れもしやすい。ただ、やはりオーバースペックだと感じた。

オプションのマップケースにネットからダウンロードした地図を入れて歩いていたが、まあまあ使いやすいと感じた。サコッシュ本体とマップケースには隙間が空いているため、マップケースに拝観券や電車のきっぷを入れる時は、隙間に入れて落とさないように注意しなければならない。

 

その後・・・

あと縫製のミスでメインポケットの口に付けたマジックテープが一部剥がれてきたので、ライターで炙ってほつれ止めして、手縫いして直しておいた。

その他は何もなし。

また今後使い続けて問題が発生したら、この記事に追記して報告したい。

 

おわり

スポンサーリンク
自作
スポンサーリンク

コメント

  1. けんぴ より:

    いいねっ!隊長
    その調子でバシバシ更新しちゃって〜
    私もブログに挑戦してみたんだけど。
    隊長のような記事を書くのには下準備や撮影含め、書いた記事の見直しとかなんだかんだでかなりの労力が必要なのが分かったよ。
    アフリエイトもよく分からんし。
    で、辞めたよ(笑)
    でもさ、記事を書くのもMYOGみたいで楽しいね。
    GPSウォッチが欲しくて隊長の広告から購入しようと待ってるけど中々出て来んがね(笑)時計のMYOGは無理があるからねっ
    熊野古道の記事読みたいよー。

    • karaage より:

      ブログで金を稼ぐのは思ったよりハードです。
      ライバルが減るのは嬉しいことです。

      時計は精度が大事ですから、使い物にならないかもしれません。
      作っても一日3時間もずれるようじゃ駄目ですし。

      私のAmazonリンクから買って頂ければ、私にいくばくかの報酬が入ります。
      紹介したものでなくても構いません。どうかよろしく。

      熊野古道の記事は戻ってからとなります。随分先ですが。