オートバイの廃タイヤでサンダル(ワラーチ)を自作する【後編】

こんにちは。からあげです。

 

廃タイヤでサンダルの自作する内容をお届けしているところで、前回は断面を整えたところで終わった。
後編の今回は、断面を接着剤でコーディングし、穴を空けてロープを通しサンダルを完成させるところまで。

切断面を接着剤でコーティングする。

廃タイヤを足型に切って、研磨用ディスクで断面を整えたところ。疲れてもうヘトヘトだ。

断面のようす

飛び出していたスチールベルトは減ったものの、まだ多少は残っている。
残りはニッパーで切っておいた。

履いているうちに削れてスチールベルトが飛びて出くるかもしれないので、断面を接着剤でコーティングすることにした。選んだ接着剤は、熱や衝撃に強く固まっても弾力性があるセメダインのスーパーX。

ホームセンターを覗いたら、ちょうど安売りしていた。実際に使ってみると、強力でなおかつ弾力性があり、非常に使い勝手が良かった。一度使うとスーパーXの虜になってしまった。
ただ硬化時間に24時間以上掛かるのが欠点。速乾タイプのスーパーX2もあり。

 

接着剤で固めた断面。
スーパーXは固まっても、ゴムのように柔らかい。それでいて強力。今回のようなサンダル作りには、最適の接着剤と言える。靴底の修理にも使えそう。

コーディング部分のアップ

念には念を入れて、さらに接着剤を盛って分厚くしておいた。

 

穴を空けてロープを通す。

ロープを通すための穴をドリルで空ける。
スチールベルトは非常に硬くて丈夫なため、ステンレス用のドリル刃を使用した。

あらかじめマークしておいた位置に、5mmの穴を空けた。
サンダル本体が出来上がったところで、足を置いてマークした方がいい。先に位置を決めておくと、微妙にズレる。

何度穴を空けてみても、スチールベルトが飛び出す。
そこでポンチでやってみたものの全く刃が立たず。仕方なしに再びドリルで穴を空けていった。

穴あけ加工が終わったタイヤ。あとはロープを通すだけ。

ロープは太さ3mmナイロンロープを使用した。細いと足が痛くなるし、必要上に太いと重たくなる。
薄くて柔らかい幅のあるストラップを使う方がいいかもしれない。

ロープの長さはおよそ120cm。
飛び出たスチールベルトに引っかかり、ロープを通しづらかった。

 

ロープが飛び出たスチールベルトで擦れて毛羽立った。位置がズレにくいのはいいが、傷むのがダメ。始めに空けた穴の位置が悪かったので、あとで穴を空け直すことになった。

ロープはコードロックを使って調整する。
アウトドア用品の自作では、コードロックを多用する。
私はアマゾンで安いやつをまとめ買いしてある。

 

ロープにコードロックを取り付けて、ようやくサンダルの完成。

 

完成したサンダルの試着

では、さっそく完成したサンダルを履いてみよう。
このサンダルの特徴は、かかとが固定できるようになっていて走ってもズレにくいこと。そのかわり脱ぎづらくなっている。

あらかじめロープを調整しておいて、かかとを固定する部分をねじって交差させる。

交差した部分を持ち上げて、この部分に足を通す。

足を通したら、親指と人差し指の間に前側の2本のロープを引っ掛けて足を置く。

交差する部分がかかとの上にくるようにする。
そうなるように穴の位置を調整してある。

コードロックを締めてロープを固定する。

サンダルを履いたところ。

履き心地はまずまず。足裏にフィットしている。余ったロープは引っ掛けないように、ロープの下にしておいた方がいいだろう。このままだと危険。

横からみたようす。

つま先をぶつけないように、少し大きめに作ってある。
サンダルの形がゆるい曲線になっていて、多少はズレにくくなっている。

うしろから見たようす。

かかとの上でロープを交差しているのがポイント。

裏面のようす

ロープが地面に接触するのが気になる。
普通の自動車用のタイヤなら、凹んだ溝の部分に穴を空けてロープが擦れないようにできた。しかしこのスポーツタイヤは、平らな箇所に穴を空けざるを得なかった。

特に前側は擦れやすいところなので、接着剤などで補強しておいた方がいいだろう。

サンダルを脱ぐ時には、コードロックを端までズラしてロープを交差させた状態で置いておくと、次回に履きやすくなる。このサンダルは脱いだり履いたりしにくいのも欠点。普通のサンダルのように、ちょっと突っ掛けてトイレに行くというのができない。

試しにサンダルを履いて外を走ってみると、重さがとても気になった。
地面から離れると重さで垂れ下がり、足裏とサンダルの間に隙間があく。

戻って重さを量ってみると、一足(左右セット)で427g。
どおりで重たく感じるわけだ。

 

サンダルを自作・試着した感想

このサンダルを自作するのに掛かった時間はおよそ6時間。
タイヤを解体してぶつ切りにして、足の形に切って断面を整え、穴を空けてロープを通す。多くの時間を掛けて作ったわりに、満足のゆくサンダルはできず。

タイヤに内蔵されたスチールベルトは非常に硬くて丈夫なため、電動工具がないと加工は難しい。ディスクグラインダーで切ると、音が煩いしゴムが焼けて臭う。実に不快な作業だった。
タラウマラ族は、どのようにしてタイヤを切っているのだろう、と疑問に思う。彼らは満足な道具は持っていないはず。

タイヤをぶつ切りにしたサンダルの原型。
これを加工してサンダルを作る。

タイヤのサイドは補強のために柔らかい繊維が入っているだけ。そのため簡単にカッターナイフで切ることができる。

問題はトレッド面。スチールベルトが内蔵されていて、おそろしく加工しづらい。

本来は、魚のように3枚おろしにして、スチールベルトを取り除くようだ。タイヤの中央部は薄くて切りづらいし、カッターナイフの刃を多めに出して切る必要があって危険だったので、やむなくスチールベルトを残したまま使うことにした。その結果、余計に重たくなってしまった。一足で400gを超えるサンダルでは、重たすぎて歩くことすらやりたくない。

手間暇かけて作ったサンダルだが、結局使用することはなし。ネット上で絶賛されているほど履きやすいものではなかった。クッション性がほとんどないうえに重たくて、走り込んで足腰を鍛えていないと、まず間違いなく故障する。これは履き手を選ぶシューズ。

 

はじめは読者にすすめるつもりでいたが、実際に作ってみると他人には絶対に勧められないものが出来上がった。

廃タイヤを使ったサンダルの自作は、タイヤ選びがもっとも重要

素材に使用するタイヤはスチールベルトが内蔵されていないものがいい。なんでも、スーパーカブのタイヤにはスチールバンドが入っていないそうな。ほかには砂や雪の上を楽々走れるファットバイクと呼ばれる幅広タイヤの自転車のものが最適かもしれない。ただ、ファットバイクは数自体が少ないので、廃タイヤを入手するのは難しいだろう。

 

廃タイヤサンダルの利点

・材料費が安い。
・耐久性がある。

廃タイヤサンダルの欠点

・重たい。
・作るのに時間がかかる。
・着脱しづらい。

 

この後しばらく経ってから、スーパーカブの廃タイヤで改良版サンダルを作ることになる。その話はまた今度。

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