センタースタンドでフレーム損傷~【結論】スポーツ自転車にはスタンドは不要~

こんにちは。からあげです。

取り付けたセンタースタンドのその後

2020年春、ツーリング車のディスクトラッカーに街乗り用の装備としてセンタースタンドを取り付けた。駐輪する度に立て掛ける場所を探すのは面倒だし、場所によっては何もないところもある。
それでも普段の生活ではいくら時間が掛かろうと構わないのだが、仕事で急いでいる場合は探す手間暇も惜しくなる。配達仕事にはあった方が良いと思ってセンタースタンドを付けたのだ。

その後、スタンドの固定方法を改良。ビニールテープからチューブ片を接着剤で貼り付けて、しっかりとスタンドを固定できたかのように思えた。

私はウーバーバッグを背負わずに、リヤキャリアのカゴに載せて運搬する方式を採用した。
荷物を背負うと疲れやすいし、体温が逃げにくくオーバーヒートを起こしてしまうからだ。

リアにウーバーバッグを載せた状態でセンタースタンドを立てて駐輪すると、前後の重さが釣り合いスタンドを支点にしてシーソーのように動いて安定しない。写真は荷物の入ったフロントバッグを付けているため、重たい方の前輪が接地して後輪が浮いた状態になっている。
ところがレストランで商品を受け取ってバッグに入れると、今度は後輪が接地するようになる。

後輪が接地した状態だと、ハンドルがグラグラと動き不安定になる。ハンドルがブレた際に、フロントライトが壁に当たってレンズカバーが取れてしまった。昼夜問わず常時点灯して安全を確保する大事なフロントライト。幸いレンズカバーが外れただけだったので、テープで固定して日没後も仕事をすることができた。

センタースタンドでの駐輪は、商品を運んでいる時は非常に気を遣う。特に液体のドリンクなどは前後に傾くと、中身が溢れてしまうおそれがありヒヤヒヤする。

できるだけ立て掛けるようにしてスタンドを使わないようにしていたが、それでもセンタースタンドは酷使される状況だった。恐るべし配達仕事。

毎回家を出る前にスタンド取り付けボルトの緩みを確認すると、走行中の振動や操作の衝撃で緩んでいることが多かった。
さらに当たり面に貼り付けていたチューブ片はズレて隙間からはみ出してくることもあった。何度貼り直しても、配達仕事を3日もやるとズレてきた。

はみ出したチューブ片のズーム。

 

チューブ取り付け方法の変更

チューブの取り付け方法を変更することにした。

今度はチェーンステーをグルっと一周回して結束バンドで固定するようにした。
これなら取り付けボルトが緩んだとしても、チューブがズレることはない。

「これで問題解決だ!」などと満足気に各部を点検していたところ、どうも取り付けボルトの長さが足りないように思えた。

チューブを一周回して結束バンドで留めた結果、以前よりも厚みがずいぶん増してしまった。ボルトのネジ山がの掛かりが甘いと、緩みやすくなるし、ネジ山に負担が掛かりやすくなる。最悪ネジ山がバカになる。

2019年オーストラリアツーリングでは、軽く締め付けた状態でも緩まないように(六角レンチで緩められるように)ペダルの取り付けボルトにシールテープを巻いていた。その結果、ネジ山に負荷が掛かりネジ山を傷めてしまったのだった。クランクセット丸ごと交換する羽目になり非常に痛い出費となった。

今回、センタースタンドの取り付けではシールテープは巻いていないが、ボルトのネジ山の掛かりが少ないと、シールテープ同様にねじ山を傷めるおそれがある。

そこでチューブを引っ張りながら巻きつけ少しでも薄くなるようにした。

 

フレームの損傷を発見する

作業しやすいように自転車を倒立させて邪魔なクランクを取り外した。
するとこの時、チェーンステー付け根の傷を発見した。

チューブ片がズレてスタンドの金具が直接フレームに当たっていまい削れてしまったようだ。LHT・DT専用の取り付け補助金具を用いたにも関わらず、恐れていたことが現実に起きてしまった。

傷んだフレーム

軽く倒したくらいでは剥げなかったペンキが剥げ、クロモリ製のフレームも少し削れてしまっている。

初回取り付けのビニールテープを巻いていたときから、なんとなくボルトが短いと思っていた。1日配達に出ただけで増し締めしなければならない状態だった。これは早めに対処しておくべきだった。

幸い損傷は軽微。すぐに対策をしよう。

ペンキが剥げたところは、いつものようにペイントマーカーでタッチアップしておいた。
もっとも簡単でそれなりに効果がある方法。アルミと違って錆びやすいクロモリは、ペンキが剥げた箇所はできるだけ早く補修しておいたほうがよい。ロングツーリングのお供にペイントマーカー。

気を取り直してチューブ片を巻き直した。
多少のズレでも大丈夫なように幅広にした。

ボルトを締め込んでスタンドを固定しようとするが、ボルトの長さが足りずしっかりと締めることができない。

ここで一時スタンドの使用を中止する。状態が悪いまま使うと、今度こそ取り返しのつかない深刻な状況に発展してしまうだろう。

 

取り付けボルトを長いものに変更する

付属の取り付けボルトは長さ50mm、直径9.2mm。なぜ直径は切りの良い10mmではないのだろう、と不思議に思いながらホームセンターの金物コーナーを徘徊していた。するとウィットネジ(インチ)であることが判明した。
このウィットとは「ウィットに富む」とかいう意味ではなく、開発者「ウィットウォース」という人物の名前から付けられたらしい。

規格はW3/8(ウイットの3/8インチ)。少し長めの65mmの全ねじと半ねじタイプを各1本、平ワッシャーとスプリングワッシャーも購入しておいた。

一番上がスタンドに付属していたボルト(W3/8×50mm)、ボルト頭の2面幅は14mmで薄め。
中央が半ねじボルト(W3/8×65mm)ボルト頭の2面幅は17mmで薄め。
一番下が全ねじボルト(W3/8×65mm)ボルト頭の2面幅は14mmで厚め。

ボルト頭を念入りに比較する。

悩みに悩んだ末、ボルト頭17mmの半ねじボルトを使用することにした。幅広の頭の方が傷みにくいし、トルクを掛けてしっかり締め付けできると思ったからだ。

ボルトはクロムメッキのシルバー。色が目立つのでペイントマーカーで黒く塗っておく。
わざわざペンキ缶を出してハケで塗るのは面倒くさい。小物類ならペイントマーカーで十分だ。

ボルトのネジ山に緩み止め剤代わりのシリコンを塗っておく。
以前自動車整備のために買った大容量のシリコン。すでに車は手放している。この調子だと中身が劣化するまで使い切れそうにない。駄目になる前に少しでも消費しておきたい。

スタンド取り付け前に脚のプラスチックパーツを点検する。
この時点でウーバーイーツの配達回数はおよそ200回。新品に比べてずいぶんすり減った。

角度を変えてもう一枚。

これが新品時の状態。

お前にはずいぶんと苦労を掛けたな。などとひとり芝居をして密かに楽しむ。

スプリングワッシャーに平ワッシャーも加えても、長さ65mmのボルトは余裕あり。穴の奥に当たることはなく、しっかりと根元まで締め付けることができた。

取り付けた手応えが、これまでの短いボルトとは全然違う。剛性が大幅に向上、スタンドの脚を持って揺すってみても全く動かない。ヨシ、これで決まりだ。

ボルト頭の状態。

長いボルトと座面が広い平ワッシャーにより圧着力アップ。以前よりも緩みにくくなった。

リヤディレーラーのシフトワイヤーとの隙間も十分。1.5mm以上はある。

今度こそガッチリとセンタースタンドを取り付けることができた。
これなら過酷なウーバーの配達業務でも耐えてくれることだろう。

反対側から見たようす

スタンドの稼働部分を撮影する。
ここは念入りにグリスアップしておいた方がいいだろう。
これまで一度も油を差していないことに今気がつく。

長いボルトに交換して、ボルト頭の2面幅が17mmにサイズアップしてしまった。
これまで14mmのコンビネーションレンチを持ち歩いていた。

今後はコンパクトなミニモンキーを持ち歩くことにした。さすがはTOP、品質がよくてグラつきなし。

ミニモンキー単体でも十分締め付けられるが、シートポストを掛けるとさらにしっかり締め付けられるようになる。ただしオーバートルクは禁物だ。相手がアルミでは簡単にねじ切ってしまう。

シートポストを付けるのは、モンキーだけでは緩まないときだけにしておこう。

 

一時はどうなることかと思ったが、センタースタンドをしっかり取り付けることができた。これで駄目ならもうお手上げだ。さて、このあとどうなることやら。

またしばらく経ったらレポートすることにしよう。

 

配達仕事で約3,500km走行した後

ウーバーイーツの配達業務で完全燃焼したおっさん。食べ物の運び屋。トランスポーターと呼んでくれ!

配達回数およそ500回、走行距離3,500km。配達回数のわりに走行距離が多いのは、自宅が名古屋の中心部から離れているから。1回出ると走行距離は100kmをゆうに超え、パーツと乗員の消耗は激しかった。頑張り過ぎた翌日は寝たきりになることもしばしばあった。なんせおっさんなもんで。

さて、今回ウーバーの特別装備として取り付けたセンタースタンドのその後のようすはどうなったのか。これから詳しく解説しよう。

いつものように自転車を倒立させてスタンド周りを点検する。

取り付けボルトを長いものに交換してからは、ボルトが緩んでくることはなし。
緩み止めのシリコンも効いてくれた。

取り付け面を横から見る。
ズレた形跡はなく、チューブ片のダメージも見られない。

今度は上から点検する。特に問題は見られない。

二本脚のセンタースタンドは、右側の脚は回転しつつ横に広がり、左側は回転して2本の脚で自転車を支える仕組み。
そのため、右側の脚により負荷が掛かりやすい。

平地での駐輪では問題なしだが、右側に傾斜した場所では右脚に大きな負荷が掛かっているのが分かった。なるべく右脚に負荷が掛からないように、自転車の向きを変えて2本の脚に均等に負荷がかかるように配慮した。

2本の脚を揺すってみると右側の方がガタツキが大きい。新品時に比べて若干ガタが大きくなった。

センタースタンドを取り外した。長い間お疲れさまでした。

スタンドがあって良かったのは、配達先のお客さんが家の前に出て待ってくれているとき。
お客さんの前で自転車を停めて、リアキャリアに載せたバッグを開けてスムーズに商品を渡すことができた。スタンドがなかったら、立て掛ける場所を探して右往左往することになっただろう。

警備員が目を光らせているレストランで、立て掛けるものがない駐輪場に停める時にも、スタンドがとても役立った。

取り付け面のようす

取り付け補助金具のボルトが錆びている以外は問題なし。
すでにエポキシパテで固定してあるので、このボルトを緩めることはない。

取り付けボルトのようす

短いボルトは百害あって一理なし。いや、それは言い過ぎか。
十分な長さのボルトは緩みにくく、ネジ山にもやさしい。

スタンドを外したあとのようす

金具の跡が残っているほかは何もなし。
チューブ片が切れている箇所もなし。

負荷が掛かりやすい下側の方にも問題はなし。

 

最終的にスタンドを取り外すことにした

取り付けから1年半以上経過、走行距離10,000km超

配達仕事から足を洗った後も、遠出する時以外はセンタースタンドを取り付けていた。
たまに使用する程度であったが、走行中の振動や繰り返しの操作により、スプリングがヘタって来た。

その結果、走行中に右脚が若干開いて先端がスポークに擦れて音がするようになった。その都度止まっては右脚を元の位置に戻していたが、段差で衝撃を受けると再び音がするようになるので、ロープで縛って振動で動かないようにしていた。

丸くなったスタンドの脚

縁石などを越える時に擦った傷跡

センタースタンド(補助金具込み)の重さは約660g。クロモリの重たいツーリング車でも無視できないほどの重量がある。
ロープで縛ってからはスタンドを使うこともなくなり、ただの邪魔なパーツと化していた。

以前はトレッキングポールを改造して作ったつっかえ棒を使っていた。
つっかえ棒の重量は約160g。なんと500gの重量差がある。

取り付けボルトを長くしてからは緩むことは少なくなったし、チェーンステーにチューブを一周させたら金具と擦れることはなくなった。
しかしスプリングがヘタってきてスタンドの安定性が低くなっていたし、シーソーのようにスタンドを支点にして動くため駐輪の際はかなり気を遣った。2本脚のセンタースタンドは安定性に優れるが、自作つっかえ棒と比べると断然劣る。

つっかえ棒を設置するには多少の手間は掛かるが、前後ともパーキングブレーキを掛ければしっかり安定する。荷物を満載した状態でもフレームに負荷が掛からない。

トレッキングポールで自転車用スタンド(つっかえ棒)を作る
こんにちは。からあげです。 自転車用スタンドの必要性 自転車にあると便利なものの一つにスタンドだ。どこでも簡単に停めることができる。しかし、荷物満載のツーリング自転車に付けるとあまりいい話を聞かないスタンド。塗装が剥げたり、フレームが凹んだ...

 

スタンドはしっかりと固定できれば非常に便利なものだが、取り付け方が悪いとフレームを傷めてしまういわば諸刃の剣。
センタースタンドを外すことにした。

今後街乗りでスタンドが必要になりそうな時は、トップチューブにつっかえ棒を付けて持ってゆけばいい。つっかえ棒なら質の悪い犬撃退にも使える。スタンドはもう懲り懲り。
実際に1年半以上使ってみてようやく結論に辿り着いた。

 

   スポーツ自転車にはスタンドは不要

 

以上でセンタースタンド取り付けの報告は終了。