ディスクトラッカーにドロヨケ(フェンダー)を取り付ける

こんにちは。からあげです。

今回ディスクトラッカーというツーリング用の自転車にドロヨケを取り付けました。
水はねで濡れにくくなるほか、駆動系パーツやチェーンオイルが長持ちするようになります。
取り付け作業のようすから、使用してみた感想などくわしく書きました。

はじめに

自転車にドロヨケなんて格好悪い。そう思っていた時期がある。
今回ドロヨケを装着して3,000km以上走ってみると、考えが変わった。

ドロヨケはないよりは、あった方がいいと。

試しに付けてみて、不要だと思ったら取り外せばよし。人によって価値観と感じ方は違う。

ドロヨケを付けると、雨天走行時に水跳ねが軽減されて快適になるほか、駆動系とブレーキ系をドロ汚れから守り、パーツが長持ちするようになる。私は前者より後者の方のメリットを多く求めた。

ドロヨケが不要な人
晴れの日に舗装路しか走らない人。
ドロヨケがあってもいい人
雨天時や未舗装路も走行する人。通勤・通学で毎日自転車に乗っている人。

 

ドロヨケの必要性

2019年のオーストラリアツーリングでのこと。
地平線まで延々とつづく単調な舗装路に飽きた私は、舗装路を逸れてMTB用のトレイル(Munda Biddi Trail)を走り始めた。
始めは景色が変わり新鮮で良かったのだが、自転車が汚れるし、アップダウンが多くて疲れるしで嫌になってきた。雨が降るとトレイルは泥濘んで、自転車が一気に汚れた。

雨上がりの泥濘んだ未舗装路を走っている最中。
チェーン周りなどから、ジャリジャリガラガラというような嫌な金属音が鳴り響く。

始めはペットボトルの水で洗ってはいたものの、泥濘を走るとすぐに泥まみれになってしまう。そのうち諦めて、汚れが酷いまま走り続けるようになった。

そもそもMTB用のトレイルは、荷物満載で重量のあるツーリングバイクで走るような道ではない。
走行を始めて一週間も経たないうちに、トレイルを離れて舗装路に復帰することに決めた。

トレイルを走行していて一番気になったのは、ブレーキの効きの悪さ。
雨天でも安定した効きの機械式ディスクブレーキを選んだのに、なぜなんだろう。疑問を解決するために、道路脇に自転車を停めて点検を行った。

するとブレーキパッドの残りがほとんどなくなっていた。

2,3日前にブレーキパッドの調整を行った時までは、まだ残量は1mm以上はあったはず。
それが泥濘んだ未舗装路を走ると、一気にすり減ってしまった。

装着しているパッドはレジンと呼ばれる樹脂製タイプ。水濡れは全く平気だが、土や砂が付着すると一気に削れてブレーキの効きが悪くなってくる。

なるほど、こういうときのためにメタルパッドと呼ばれる金属製のパッドがあるのか。などと妙に納得したのだった。メタルパッドは効きが良い反面、ブレーキローターを削ってしまうデメリットがあるらしい。

泥汚れから自転車を守るためには、ドロヨケがあった方がいいのではないか。そう考えた私は日本に帰国後に早速取り付けてみようと思ったのだった。

 

入手したドロヨケ

今回入手したドロヨケは、ハブダイナモ付きホイールと一緒にいつもの自転車見聞店さんに注文した。

私のオーダーは見た目よりも機能重視。選んだのは27.5″ × 2.35″まで対応するGIZA PRODUCTSのフルサイズ。

GIZA PRODUCTS SW-FE-115 フェンダー セット(ダボ留めタイプ)


SW-FE-115 フェンダー セット(ダボ留めタイプ)

26″/27.5″ × 2.35″ までの太径タイヤに対応した、樹脂製の前後フルフェンダーセット。
26″ や27.5″ ビーチクルーザーに最適。

スペック

材質:レジン(樹脂製)
長さ:フロント600mm、リア1,160mm
幅 : 65mm
重量:フロント 170g、リア 317g

付属品

品名個数
フロントフェンダー1
リアフェンダー1
シートステーブラケット(リアフェンダー用)1
ステー留め具A3
ステー留め具B3
ステー留め具C6
M5×12mmボルト6
M5×8mmボルト6
M5×25mmボルト2
M5×45mmボルト1
M6ナット1
M5ナット2
M6ワッシャー1
M5ワッシャー2
ステーレッグ3

 

付属の取り扱い説明書。
取り付け方法自体はとても簡単。説明書を一読すれば、取り付け方法は理解できる。
ただ調整にはかなりの手間が掛かる。

付属のボルトが、なぜかプラス穴付きだったので、六角穴付きのボルトを用意した。
六角レンチの方がボルトの頭を舐めにくい。
(プラスは4点、六角は6点に力が掛かる。ドライバーは強く押さえ付けながら回す必要あり)

フロント側の取り付け

ドロヨケを取り付ける自転車はサーリーのディスクトラッカー。
オーストラリアを13,000km以上走り、すでに私の体の一部となっている。いや、私が自転車の一部(ポンコツエンジン)になっている表現の方が正しい。

私のフレームサイズ46cmの場合、26”27.5”(650B)のホイールが装着可能。700c56cm以上のフレームに取り付けることができる。

写真は2019年オーストラリアツーリング終了後、一通りの整備が終わった状態。
すでにフロントホイールをハブダイナモ付き、前後タイヤを26”×2”のシュワルベマラソンに交換してある。

前後キャリアを装着したままの状態でドロヨケを取り付ける。
日常生活でも荷物をたくさん載せられるように、キャリアは付けっぱなしにしている。
2年前に自動車を手放してから、自転車生活を送っている。

 

フロント側のドロヨケ

長さは60cm。ステーレッグ1本をダボ穴、フォークエンドにフォークセンターブラケットで固定する。

フォークセンターブラケットのようす

ステンレス製のブラケットがリベット留めされている。

裏側のようす

まずはフォークセンターブラケットをフォークエンドに仮止めしてみる。

 

フロント側のダボ穴のようす

ダボ穴2つのうち、キャリア(サーリー ナイスラックフロント)に1つ使用している。
もう1つは、クイックリリースレバーの影にある。

フォーク先端周りは、機械式ディスクブレーキが取り付けられていて空間が非常に少ない。

 

そのため、ダボ穴の使用を止めてほかの場所に固定することにする。
キャリアの固定金具にステーレッグを沿わせてみた。

留め具Cでキャリア固定金具にしっかり固定する。
ステーレッグの角度が鋭角になってしまったが、この状態でも強度は十分あるだろう。

ドロヨケを押したり引いたりしても、グラグラ動かず。

各部の微調整を終えたところで、ステーレッグを留め具から1cm出してカットした。
柔らかいアルミ製なので、金鋸で楽に切ることができる。
固定ボルトをプラス穴付きから六角穴付きに変更してしっかり締め付けした。

フロント側はこれで完了。

リヤ側の取り付け

リヤ側を仮止めしてみる。

リヤ側はレッグステー2本をダボ穴2つに固定する仕様。ダボ穴はリアキャリアに1つ使用しているため、残りは1つ。さて、どうしたものか。

一番エンドの穴にレッグステーを付けてみた。

シートステーブラケットをシートステーブリッジの穴に固定する。
ところが穴とブラケットの角度が微妙に合わない。

仕方がないのでロープで縛って固定することにした。
意外にしっかり固定できたことに満足する。

中央寄りのレッグステー固定穴も、ロープで縛って固定することにした。
先ほどのブラケットでやってみると悪くない固定方法だった。

付属のステーレッグ

ステーが真っすぐでダボ穴の角度に合わない。

金属加工には万力があるとなにかと便利。

しっかりと挟んだあとで、万力の角を支点にステーを曲げる。

長過ぎる部分をカットする。
材質がアルミなので簡単に切ることができた。

加工し終わったステーレッグ。

加工したステーレッグを取り付けてみたところ。
まだダボ穴には固定していない。

フルサイズだけあって非常に長い。

後ろから見たようす

機能的には悪くはないのだが、見た目が格好悪過ぎる。
私の美的感覚では我慢ならないレベルに達している。

長過ぎるドロヨケを30cmほど切ることにした。
のこぎりで切る際に割れないように、布テープを貼り付けた。

樹脂製のため簡単切ることができた。割れることはなし。
使用したのこぎりは、折りたたみ式で万能タイプの刃。

切り口の角は、ディスクグラインダーを使って落とす。
あっという間に丸るくすることができた。

ドロヨケを取り付ける時に気になったのは、前側のチェーンステーブリッジ取り付け穴周辺の形状。

正規の穴を使って固定しようとすると、このように隙間ができる。
もともと隙間が大きいディスクトラッカーには、ドロヨケの形状が合わない。
この状態では、チェーンリング周りに泥が直撃することになり、ドロヨケを付ける意味が半減してしまう。

そこで別の取り付け穴を空けて、先端の細い部分はカットすることにした。
穴あけ可能の際に割れないように布テープを張って保護した。

先端を部分をカットしたところ。

再び加工したドロヨケを付ける。
ドロヨケの取り付け作業は、何度も付けたり外したりして調整する必要があるため、かなりの時間がかかる。おっさんの納得ゆくまで調整に時間を掛ける。

先端をカットしたお陰で、しっかり覆われるようになった。

ドロヨケの取り付けが終わったディスクトラッカー。
リアをカットして短くして、スッキリした見た目になった。
多少のカットでは、機能性に問題はなし。

遠目だと全く違和感はないが、近くからみるとドロヨケとタイヤの隙間が一定ではないし、隙間が多めであることが分かる。

大きいサイズだけあって、2インチ幅のタイヤでも隙間は十分ある。

よし、完成だ。

 

3,000km走行した感想とその後のようす

ドロヨケと前後ライトを付けて西日本ツーリングに出かけておよそ3,000km走った。
今回は例年になく雨の多い冬で、ドロヨケが大活躍してくれた。

泥濘んだ未舗装路を走っても駆動系が汚れにくく、雨天走行してもチェーンオイルが多少落ちにくくなった。(ような気がする。)水跳ねが大幅に減って雨天走行が快適になった。
今後海外にツーリングに出かける場合、ドロヨケは付けてゆくことにする。取り付けには手間がかかるが、取り外すのはとても簡単。不要と思った時点で外して処分すればいい。

あると便利。

ドロヨケの取り付け強度は十分。何も問題は発生せず。

隙間が少なくなったダウンチューブ裏のボトルケージには、自作のペットボトルツールケースを入れていた。中には盗られてもいい、チェーンオイル・ウエス・手袋を入れていたのみ。

前側のドロヨケはもう少し長さが欲しいと思った。道路全体が水浸しになるような大雨になると、前タイヤの水跳ねがチェーンリングを直撃するようになった。
そのうち、ゴムのスカートを付けるようにしようか。

横から見ると、リヤ側はかなりの違和感あり。
しかし、パニアバッグを付けると全然気にならなくなる。
ステーレッグ2本を使っての固定方法は過剰に思える。
一番前のチェーンステーブリッジ穴にボルトで固定したほか、2点はリアキャリアにロープで縛っただけ。
どこかにぶつけた場合、ロープで固定する方法だと力が逃げて割れにくいように思える。

のちほど別の記事で紹介するが、今回ドロヨケのほかにダイナモ用のリアライトを増設した。
端子部分がカバーされるように、もう少し長めの方がよかったと後になって思った。

土砂降りのなか走行をしても、ライトに異常はなし。

角度を変えてもう一枚。

真後ろから見ると、ドロヨケが付いているのに気づかない。

 

ドロヨケのメリット・デメリット

およそ3,000km走行後のおっさんが独断と偏見を交えて挙げてみた。

駆動系・ブレーキ周りが汚れにくくなる

泥濘んだ未舗装路を走っても汚れにくくなる。その結果、メンテナンスの頻度を減らすことができ、パーツが長持ちするようになる。これが一番のメリット。

雨天走行時の水跳ねが減る

水跳ねでメガネが濡れることが減り、前方が見やすくなった。
おまけに衣類が汚れにくくなった。
雨の日も毎日自転車で通勤・通学している人には、汚れにくくなるのは非常に助かる。

重たくなる

大部分が軽量な樹脂製パーツだが、多少は重たくなる。
得られるメリットを考慮すると、重量増は私の許容範囲内。

格好悪くなる

取り付け方法によっては逆に格好良くなる。それがドロヨケ。手間暇かけずに、財布も軽量化したい人は、プロに任せた方がいいだろう。

見た目よりも機能を重視した結果、ずいぶん格好悪くなってしまった。その分盗まれにくくなったと思えば、全く気にならず。

ディスクトラッカーはカッコ良すぎる自転車だからね。