ハンドルバーの交換(ドロップハンドルからマルチポジションハンドルへ)【後編】

こんにちは。からあげです。

前編はマルチバーの取り付けが完了したところまで。後編の今回はマルチバーのポジションと使い心地について私の意見を交えた解説。それでは早速いってみよう。

マルチバーに交換後の各部チェック

横からみたようす

横から見た限りでは、ドロップハンドルの時とそれほど変わった感じはなし。ハンドルの上に飛び出たオートバイ用のミラーが目立つくらいか。キワモノのマルチバーを付けようと思ったのも、オートバイ用ミラーを付けたかったこともある。

前から見たようす

ハンドル周りの印象が大きく変わった。ハンドル幅が大きくなり重量感が増している。
信号待ちの車列をすり抜けてゆく時、ドアミラーに接触しないように気をつけなければならない。

後ろから見たようす

ハンドル周りを細かくチェックする。
左右のブレーキレバーとシフターの距離が近くてケーブルが窮屈な感じがする。

シルバーシートで自作したボトルケージを取り付けたものの、しっかり固定できずにグラグラ動く。見た目は悪いが使い勝手が良くて気に入っている品。
電池式のフロントライトは、邪魔にならないクランプ付近の凹んだ場所に取り付けた。

クランプ周りのようす

クランプ径が31.8mmから25.4mmと細くなり、ステムの長さが60mmから130mmに大幅に長くなって、ハンドル周りの剛性が明らかに低下した。力を加えるとしなるのがよく分かる。
走行中の振動が手に伝わり難くなったのはヨシ。

サイクルコンピューターをステムの上に設置すると、適度な角度がついて見やすくなった。

ステムから大きく飛び出たコラムがよく目立つ。
コラムカットをしようか迷ったが、これでしばらく様子を見ることにした。このあとすぐにドロップハンドルに戻すことになり、コラムカットしないで良かったと胸を撫で下ろす。ドロップハンドルに戻すとコラムの長さが全然足りなくなり、新しいフォークを買い直さなければならないところだった。

マルチバーの角度

調整に調整を重ねてようやくこの角度に落ち着いた。
水平よりも起こした方がしっくり来た。

ブレーキレバーとシフターは、ある程度の距離をとって取り付けるとシフト操作しやすくなる。
始めはくっつけて取り付けていたが、シフト操作がしづらかった。

ケーブル類の取り回しを再度チェック。左右のブレーキレバーとシフターの距離が近いのでどうしても窮屈になる。マルチバーの構造上これは仕方がない。

思いつきでバーテープ代わりに巻いた古チューブ。
グリップ感は良くて握りやすい。見た目もそれほど悪くない。ハンドル交換の成果の一つ。

定位置に取り付けたママチャリ用グリップ。これも意外に悪くない。
ハンドルはある程度太い方が握りやすい。

 

マルチバーのポジション各種

ハンドルの手前

手前のフラットになった部分でブレーキとシフト操作ができる位置。市街地走行での基本ポジションとなる。
フラットバーと似た感じだが、決定的に違うのは剛性の低さ。ハンドル径が細く、クランプまでかなり長い。そのためハンドルがよくしなる。

この位置で握ると手の甲が前を向き、手に力が入らなくなる。
加えてハンドルが近ずぎて姿勢がとても窮屈。身長の高い人間には辛いだろう。

ほかにブレーキレバー取付部の出っ張りが親指付け根に当たって痛い。

ハンドルの横

手の甲が横を向き手首が楽になる。信号の少ない郊外での基本のポジションとなるだろう。
ブレーキ・シフト操作がしづらいのが欠点。

腕が肩幅より広がり違和感を強く感じるが、ハンドルのブレを抑えやすく荒れた未舗装路の走行では有効なポジション。ここで広いハンドル幅が活きてくる。

ハンドルの上

ハンドルに角度を付けていると、上体が起きて体が楽になる。
腕が肩幅と同じくらいになり違和感は消えた。
真上を握ると甲が前を向いて手首が痛くなるので、斜め上を握るとよい。

横のポジション同様にブレーキ・シフト操作がしづらいのが欠点。

ハンドルの中央寄り

ハンドル中央寄りの斜めになった部分を握って、腕を手前のフラット部分に載せると、DHバーのように深い前傾姿勢をとれるようになる。私にはこのポジションが一番しっくり来た。

向かい風の時に有効なポジション。信号の少ない郊外の道を走行する時にも良い。
こちらもブレーキ・シフト操作がしづらいのが欠点。というか手前のポジション以外では操作しづらい。

 

マルチバーの感想

マルチポジションバーという名前の通り、確かにポジションは多彩。だが使えるポジションは少ない。多ければ多いほど良いというものではなし。
ブレーキ・シフト操作ができる手前のポジションをとると、手の甲が前を向き力が入らなくなるのが最大の欠点。これは自転車にとって致命的と言っていい。フラットバー同様に不自然な手の向きになる。
かと言ってほかのポジションで握ると、ブレーキ・シフト操作しづらくなる。郊外まで出て巡航スピードになるまでは、もっとも握りづらい手前のポジションで我慢することになる。
ブレーキレバーの出っ張りが親指の付け根に当たって痛くなってくるのも地味に辛い。

ハンドル幅がずいぶんと広くなり、すり抜け時に気を使うようになったし、駐輪しづらくなった。横位置で握った時に腕が肩幅よりも広がり違和感を感じる。肩幅と同じか少し狭い方がしっくりと来る。

ほかにはハンドル周りの剛性がなくなり、ふわふわとした感じがするようになったこと。急な坂を上る時や急加速をしたい時にハンドルをしっかりと引きつけられない。おまけにクランプ部分のボルトをきつく締め付けないと、走行中にハンドルの角度がズレてくる。

さらにダメ出し。130mmの長いステムを付けたものの、それでもハンドルが近すぎて体が窮屈だった。

私にとって欠点だらけのマルチバー。良いところを全く見出だせない。このマルチバーで長距離を走る気には全くなれなかった。どこを握っても違和感を感じるハンドル。まだ軽くてシンプルなフラットバーの方がマシだと思った。私には全く合わなかった。結局、マルチバーで走った距離は50kmにも満たない。

 

もとのドロップハンドルに戻す

長い時間と結構な金を費やして取り付けたマルチバーだったが、全く好きになれなかったのでもとのドロップハンドルに戻すことにした。
マルチバーを取り付けてみて分かったドロップハンドルの良さ。

手の甲は外側に向けた方が自然で力が入りやすい。ハンドル周りは出っ張りはなく非常に滑らか。ブラケットのポジションがとても握りやすい。ハンドル幅が狭くてすり抜けしやすいし、駐輪場に停めやすくなった。ハンドル幅が広いと横の自転車に当たってしまい混雑した駐輪場では停められない。

私は初心者こそドロップハンドルをお勧めする。初めてだと前傾姿勢がキツくて怖いかもしれないが、一週間もすれば慣れる。ある程度の前傾姿勢をとらないと、脚に力が入らず長時間ペダルを漕ぐことができない。長距離を楽に走るためにもドロップハンドル。もうドロップハンドル以外は考えられない。

それなのになぜか握りにくいフラットバーを勧める人が多い。フラットバーで長距離を走ると本当に疲れる。以前、フラットバーのMTBに乗っていたのでよく分かる。扱いやすいフラットバーは市街地短距離向き。

私の場合、サドルとドロップハンドルの上部分が面一になるように設定している。
ハンドルを低くすると前傾姿勢が深くなり漕ぎやすくなるが、視野が狭まり周囲が見えづらくなるので注意が必要。ある程度上体が起きた状態がよい。景色も見やすいし。

 

今回、マルチバーへの交換で時間と結構な金を費やしてしまったが、本当に勉強になった。授業料と思えば安いもの。ハンドルの取り付け位置や角度が少し変わっただけで、握った時の感触が全然違う。これにはとても驚き、そして自転車の奥深さを知った。

実際にやってみると、驚くほどの新たな発見がある。今後もこの調子で自分のやりたいように自転車を弄っていくことにしよう。