OJC4ハブ( HB-TX800 / FH-TX800 36H)の分解整備

こんにちは。からあげです。

 

今日は北海道・東北ツーリング2018で大活躍したPanasonic OJC4の話。
購入してからようやく1年になろうとしているOJC4は、これまでチェーン交換1回、スプロケット交換1回、ブレーキシュー交換2回したほかは全く整備していない。
北海道では登山口へのアプローチで、荷物を満載して未舗装路をも走っていたので、各部は相当ガタが来ていると思われる。

今度のオーストラリアではディスクトラッカーの出番となるが、普段の買い物などで大活躍してくれているOJC4を放ったらかしのまま乗る訳にはいかない。(実はディスクトラッカーを購入したら、スポーツ自転車買い取り店に売り払おうと思っていた。おそらく3〜5万円程度)ちょうど自転車整備の勉強をするいい機会だと思ってハブのメンテナンスをすることにした。

先日、ディスクトラッカーのハブの玉当たり調整でドツボにハマったおっさんは、ハブでの嫌な記憶を払拭しようと躍起になろうとしていた。このまま嫌な気持ちを引きずっているのは精神的に良くない。ハブでヤラれた手痛い失敗はハブでやり返す!しっかりと整備してやろうではないかと、強気で整備に臨むことにした。

自転車の整備場所は、私のねぐらとなっている実家物置小屋出入り口部分のコンクリートの上。

風が吹くと工具やパーツがふっ飛ばされて大変なことになるが、強風にめげずにせっせと作業を続けている。繰り返し作業を行っていると、あちこち油のシミができてきた。

去年の今頃はまだキレイだったのにな!

よく見ると玄米を炊く時に吹きこぼれた汁やガソリンストーブの煤、自転車の油で色が変色してしまっている。

作業場だからこれでいい!平らなコンクリート面は、機械いじりするためにあると言っても過言ではない。貴重な資源を無駄にせず、有効活用することが重要だ。おっさんが有り難く使わせてもらう。いや、使ってやろう。つい先日まで、屋外作業場は風が吹いて辛いなどとボヤいていたのが思い出される。

コンクリの作業場があるだけでも、かなり恵まれている。都会のマンションなどの集合住宅に住んでいる人のことを思えば、全然楽。たいしたことではない。

 

OJC4ハブ( HB-TX800 / FH-TX800 36H)の整備

新車購入後1年経過、走行距離11,000km
初回のハブ分解整備

フロントハブ(shimano  HB-TX800)の整備


shimano ディーラーマニュアルより
 

 

まずは必要な道具を用意する。ネットで情報収集して必要なものを揃えてある。

 

ハブ( HB-TX800 / FH-TX800)の整備に必要なもの

ハブスパナ13mm
ハブスパナ15mm
スパナ17mm
ロックリング締め付け工具
スプロケット固定工具
ピンセット
受け皿
洗浄液(パーツクリーナーなど)
グリス(shimanoプレミアムグリス推奨)

 

今回新たに投入する道具は100均のピンセット。ボールベアリングを出し入れする際に絶対必要なもの。
先が曲がっている方が使いやすい。野生の勘を頼りに先曲がりタイプを選んでおいて良かった。

普段クロックスもどきサンダルを履いて作業をしているのだが、今日は風が強くて寒いので長靴を履いて作業を行う。

まずはやりやすいフロントハブから行う。HB-TX800と表示されている。

ホイールを外したところ。
カンチブレーキのOJC4はホイールの着脱がしやすいのがいい。
効きの悪いカンチブレーキだが、整備のしやすさだけは良い。道具にも一長一短があるとしみじみ思う。勢いに乗って売り払わなくて良かった。

今回初めてのハブ整備ということで、shimanoのディーラーマニュアルを熟読した。
shimanoは各種パーツの整備方法などの資料をネット上に掲載してくれるので非常に助かる。
マニュアルを読んでから、ハブの外観をじっくりみながら、作業手順をイメージする。
どれだけイメージできるかで、作業のスピードと質が違ってくる。センスがいい人間だと詳細までリアルにイメージ出来るらしい。

船員時代、まざまざとセンスの違いを見せつけられて、呆然としたことがあった。どうやっても、整備ではコイツには勝てないと。

参考資料

ディラーマニュアル(DM-HB0001-06)フロントハブ/フリーハブ(スタンダード)

 

ロックナットが17mm、下のハブの玉押しは13mm。
ロックナットは通常のスパナ、玉押しはハブスパナを使用する。

 

ロックナットを緩めているところ。
それほどキツくもなく、簡単に緩めることができた。

ロックナットと玉押しを外したら、反対側の方からシャフトを引き抜く。

シャフトを抜いたところ。
真っ黒なグリスが付いている。若干、プレミアムグリスの緑色が僅かに残っているところがある。
引き抜く際は、ボールベアリングが付いている可能性もあるので、紛失しないように慎重に行う。外したボールベアリングは受け皿に入れてまとめておく。

汚れでギトギトのシャフト。

反対側のロックナット部分

ハブの中のようすをじっくりとチェックする。

アップで撮影する。

反対側のベアリングもよくチェックする。

11,000km走行した割にキレイなのか、それとも汚れているのかは不明。
私はもう少しキレイなものだと思っていた。
泥濘んだ未舗装路や大雨の中でも走っていたことを考えると、まだマシな方なのかもしれない。

ピンセットで一つずつボールベアリングを摘んで取り出した。
全部で20個。10個ずつとなる。

ボールベアリングのアップ

ボールベアリングを外したあとのようす。

今回はオーストラリアツーリングの実践練習として、現地と同じようにガソリンで洗浄を行う。
燃料ボトルから受け皿にガソリンを入れてブラシでキレイに擦る。ブラシは柄をカットした歯ブラシを使用する予定。

ガソリンに浸けるだけで、真っ黒だったベアリングが本来の輝きを取り戻す。

シャフト穴と玉受け部分には、パーツクリーナーを吹きかけてウエスを突っ込んでキレイにする。

玉受け部分外れると思ってブラシの柄を突っ込んでこじてみたが、ビクともしないのではずれない部品であることが分かった。
ぱっと見たところ、外れそうな気がした。

玉受け部分もキレイに洗浄した。
奥の方に線がうっすら見えたが、気にしないようにした。

どうせリム交換する時にホイール丸ごと交換することになる。それまでの間の辛抱だ。これぐらいで気にしていたら、ロングツーリングになど行けなくなる。

シャフトのロックナット。こちらは外さなかった方。
付ける前に緩んでいないかチェックしておいた。

こちらの玉当たり部分をチェックする。

ところどころ凸凹があるが、まずまずと言ったところか。

こちらが外した方の玉押し。

玉当たり部をチェックする。

くるくると回して全周をチェックする。

すると、あれまあ!一部分に巣ができたところを発見!

多分この状態は悪い。しかし、直ぐに走れなくなるわけではなさそう。巷の放ったらかしのママチャリと比べると、この状態は遥かに良いだろう。細かいことは気にするな!NO PROBLEM!!

北海道では、フロントキャリアに常時ベアキャニスターを積んでいたので、フロントハブにかなりの負荷が掛かっていたと思われる。
高速走行するとハンドルがブレるようになっていた。なるべくベアキャニスターには重たいものを入れないようにしていたが、それでも5kg近くはあったかもしれない。ベアキャニスターの他にフロントサイドにもパニアバッグ(容量25lのスポーツローラー)を付けていた。

ボールベアリングはガソリンで洗浄したあと、パーツクリーナーを吹きかけてから1つ1つウエスで丁寧に拭いてから、ピンセットで摘んで玉受け部に入れておいた。
あらかじめ玉受け部には、プレミアムグリスを入れておいてある。

ネットの情報によると、ベアリングにグリスを塗っていた方がピンセットでつまみやすいということだった。確かに言われてみればそう思う。何度か滑ってベアリングを落としてしまった。

ベアリングを10個ずつ入れてから、さらにグリスを載せておいた。
いくらケチなおっさんでも、ハブのグリスだけはケチらないほうがいいと思える。

その後元通りに組み立てて手で回してみる。

サラサラと気持ちいい音を立てながらスムーズに回ってくれる。
前回、ディスクトラッカーでは、ロックナットを締め付ける時、玉押しをハブナットで固定しておかなかったため、連れ回りしてキツめに締まってしまってかなり重たくなった。

今回は同じ失敗をしないように、しっかりと玉押しを固定しながらロックナットを締め付けた。
玉当たりの調整はそれ以上締めると重たくなるという限界までだとか。何度も繰り返しやって、ようやく納得が行く調整ができたのだった。

 

リヤハブ(shimano  FH-TX800)の整備


shimanoディーラーマニュアルより
 

フロントに続いてリアハブの分解整備を行う。

まずはスプロケットを外すことにする。スプロケットの取り外しは、携帯工具(ユニオール ポケットスポークレンチ)を使って行うことにする。オーストラリアツーリングまでに、少しでも携帯工具の使い方に慣れておきたいからだ。

 

スプロケットのロックリングのところにスポークレンチを取り付けたところ。
この状態で再びフレームに取り付けてロックする。

スポークレンチのようす

ポケットスポークレンチがしっかりハマっているか確認する。

角度を変えてもう一枚。

さらにもう一枚。おっさんはしつこいのだ。

工具の厚さだけ幅が広くなる。

チェーンはスプロケットのローに入れておく。こうすることでより少ない力で外せるようになる。

工具の取り付けを確認してから、ペダルを正転方向に回す。重たかったペダルが途中で軽くなり、ロックリングが緩んだことが分かる。

無事取り外すことができたスプロケット。

OJC4はCLARISのコンポで、8速のスプロケット(CS-HG51-8 11-32T)が取り付けられている。

ハイの一段だけ別個に外れるようになっている。写真のスプロケットは北海道ツーリングの途中で交換してあって、歯数は同じだがグレードの低いものが付けられている。

スプロケットを外した状態。

右の黒い出っ張りがフリーホイール部。分解整備はできなくて、交換だけになっている。
今回、必要な10mm六角レンチがなかったため、フリーホイールは取り外しはしなかった。

先日、スプロケットを外して掃除したため、スプロケット周りはキレイになっている。
スポークプロテクターという半透明の円盤は、掃除する前は汚れたグリスで真っ黒になっていた。

ロックナットの取り外しは、フリーホイール側からは行えない。
下の玉押し部にハブスパナが掛からないためだ。

リヤ側はフリーホイールの反対側から分解する。

ロックナットのアップ。

ギザギザが付いている方が外側になる。

横から見たようす

ロックナットは17mmスパナ、スペーサーを挟んだ玉押しは15mmハブスパナを使用する。

スパナを掛けてロックナットを外す。リヤも比較的簡単に外れてくれた。

ロックナット、スペーサーと玉押しを外すと、中にボールベアリングが見える。

シャフトを抜き出したところ。

こちらもグリスでギトギトのドロドロの状態だった。

フリーホイール側の玉押し部
外側の部分も擦れている。

角度を変えてもう一枚。
グリス切れはなし。

シャフトを抜いたようす

こちらはフリーホイール側。

こちらはフリーホイールの反対側。すでにベアリングは取り出してある。

ガソリンを洗浄液として掃除する。パーツクリーナーはあくまで補助として使う。

ガソリンに付けてブラシで擦ってやると、見違えるほどキレイになった。

ボールベアリングの数は18個。フロントに比べて2個少なくて、その分大きくなっている。

リヤのボールベアリングの方がキレイな色をしている。
フロント側のベアリングは少しくすんだ色をしていた。

1つ1つウエスで拭いてキレイにした。

シャフトの穴や玉受け部もキレイに掃除する。

パーツクリーナーを噴射してからウエスを突っ込んで左右に動かしてキレイにした。

こちらがフリーホイール部の玉押し部。

ロックナットに緩みがないか確かめてある。こちらは取り付け前に締めておく必要がある。

フロント側に比べてキレイな玉押し部。多少の凸凹くらいで巣が出来ていることはなし。

こちらがフリーホイール反対側の玉押し

玉当たり部分をしっかりとチェックする。
思いのほか状態はヨシ。フロント加重になりすぎていたということか。

玉受け部分もキレイそのもの。浅い線が僅かに付いていたのみ。

フリーホイール側の玉受け部も問題なし。

グリスを多めに入れてからベアリングを取り付けた。

フリーホイール部も同様にグリス多めにしておいた。
必要経費はケチらない。それがおっさん流!!自身は泥水を啜って野草を食べようとも、装備には金を掛ける。

シャフトを入れる前に、フリーホイール側のロックナットがキッチリ締まっていることを確認しておく。シャフトに向きがあるので間違えないようにする。

フリーホイールと反対側を締め付ける。

こちら側にはスペーサが付くので注意する。
ロックナットのギザギザ面は外側になる。

リヤ側の玉当たり調整も、何度も繰り返しておっさんの気が済むまで行った。こういう時のおっさんはいつになく真剣だ。飯を食っているときと道具いじりの時の集中力は凄い。周囲の雑音が消えて自分の世界に入ってゆく。

スプロケットはピカピカに磨いてから元のように装着する。
位置があるので注意する。短い溝を合わせる。

フリーホイール側の短い凸部。

スプロケットを嵌めたところ。

ハイのリングにも短い溝がある。ここを合わせ取り付ける。

ハイのスプロケットも取り付けたところ。
外側にギザギザの部分が出るようにする。ここがロックリングのギザギザと噛み合って緩みにくくなる。

ロックリング内側のようす。ギザギザの溝が掘られている。

元通りに組み付け後、ホイールを空転してみる。
シャーッとスムーズに回転するようすを見ておっさんはうっとりする。

先日のディスクトラッカーのハブ玉当たり調整では散々な目に遭ったが、今回のOJC4では失敗が活かされた!いやあ、スムーズに回転するホイールを見ていると猛烈に走りたい気分になってくる。
実際、おっさんは整備したばかりのOJC4に飛び乗ってどこかに出かけてしまった。

 

ハブの分解整備した感想

今回OJC4のハブの分解整備をしてみて、ハブは重要なパーツだということが分かった。
大雨のなかや泥濘んだ未舗装路を走り、さらに20kg以上の荷物を満載にして走っていたので、ハブには相当な負荷が掛かっていたと思われる。それなのに、頑張って走り続けて家まで無事に帰ることができた。ありがとうOJC4。

OJC4のハブは安物で密閉性が悪いので、整備間隔は短めにしてこまめに行う必要があるということが分かった。

少なくとも噴水に突っ込んで遊ぶことはしてはイケないことがよく分かった。良い子のみんなは真似をしないように。
多分、このしょうもない遊びで、グリスがかなり劣化したように思える。

OJC4のハブと比べて、ディスクトラッカーのハブは高級なXTハブ(HB-M8000 / XT FH-M8000 32H)が使用されている。2台を比較すると違いは歴然だ。パッと見では密閉性能や整備のしやすさ、見えないところの耐久性も全然違うと思われる。2台の自転車を乗り比べてみて初めて分かる性能の違い。

今回、OJC4のハブを分解整備して本当に良かったと思う。ディスクトラッカーのハブの玉当たり調整だけでは不十分だった。XTハブのシール性の良さは、砂漠走行でも性能を発揮してくれるだろう。あとは渡渉する機会があったら、BB・ハブが浸かる水深以上だったら、自転車を担いで渡ること。今回のオーストラリアは雨が多い北部地方には乾季に行くので、渡渉の心配はないだろうが、乾燥地帯で一旦雨が降ると一変してそこらじゅうが水浸しになると聞く。滅多に降らない雨がまとまって降ることもあるかもしれないので、注意を怠らないようにしておきたい。近年気候変動が大きくなって、以前のような穏やかな気候ではなくなりつつある。温暖な日本に居てもそう感じるので、大陸性気候のオーストラリアでは厳重な注意が必要だろう。

ということで無事にハブの分解整備が終わってめでたしめでたし。

 

参考資料

ディラーマニュアル(DM-HB0001-06)フロントハブ/フリーハブ(スタンダード)

 

おわり

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からあげ隊長の冒険