こんにちは。からあげです。
2018年、初めての自転車ツーリングで北海道・東北を走ったあとも、乗り続けていたPanasonicのランドナーOJC4。カンチブレーキでは、雨天時の下り坂でほとんど効かずに死の恐怖を感じ、ツーリングから帰るとすぐさまディスクブレーキ搭載のSURLYディスクトラッカーを購入したのだった。新たな自転車を手に入れて半ば放置気味だったOJC4。
去年ディスクトラッカーでオーストラリアを走っている時にも、常に頭の隅にOJC4のことがあった。「あいつ、元気にしているだろうか?帰国したらしっかりと整備してやろう。」と。
ということで、帰国後すぐに整備することにした。今回の整備はクランクとBB周り。
PanasonicランドナーのOJC4の完成車には、コストダウン重視でロード入門用コンポのクラリスが採用されている。すでに廃れたオクタリンク方式という特殊なもので、専用の工具を必要とする。
クランク抜き出しに必要な工具
コッタレスクランク抜き出し工具(シマノTL-FC10)
コッタレスクランクをBBのシャフトから抜き出すときに必要となる工具。
COTTERLESS CRANK ARM EXTRACTOR TL-FC10
工具はシマノ純正品に限る!社外品でも大きな違いはないような気がするが、安物は精度と強度が劣るので、無難にシマノ製を選択した。コッタとは、シャフトとクランクをズレないように固定するためのクサビのような金具だが、昔の自転車のクランクに付いていたコッタはどういうものかは知らない。
長さは約6.3cm。
シャフトを押す先端部分。シャフトが中空のオクタリンク方式の場合はアダプター(TL-FC15)も必要となる。
右側のネジを緩めて先端を引っ込めて、クランクのネジ穴に左のネジ部分を取り付けて右側のネジを締め込む。
左側の2面幅は19mm、右側は16mmとなっている。
右側の先端部分には、2面幅14mmの六角穴が付いてる。
TL-FC10の刻印
重さは108g。ロングツーリングをするでもない限り、携帯する工具ではないので、重たい方が丈夫で安心感がある。
クランク抜き出し工具アダプター(シマノTL-FC15)
オクタリンク嵌合方式のクランクの場合、通常の抜き出し工具TL-FC10に加えてTL-FC15も必要となる。オクタリンクBBは中空シャフトのため、アダプターのTL-15を使ってシャフトの縁を押してやらねばならない。微妙に値段が高い気がするが、必要なものなので買うしかない。
TL-FC15のようす
小さい工具なので紛失しないように注意が必要。
径の細い方をクランクのネジ穴に入れてからTL-FC10をセットする。
刻印のようす
鉄の塊のため、大きさの割に重たく感じる工具。重さ108gのTL-FC10と合わせると、123gと無視できない重さとなる。
モンキーレンチ
コッタレスクランク抜き出し工具(シマノTL-FC10)を使用するために必要となる。
全長20cm、口の開きが20mm以上あるもの。クランクのネジ穴に取り付けたTL-FC10が過度に締め付けられてあとで外しにくくならないように、19mmのスパナか適合するモンキーを併用する方が良いかもしれない。
8mm六角レンチ
クランクの固定ボルトを外すときに必要。固着したボルトには、剛性が強いソケットタイプか柄が長いロングタイプの六角レンチがあると楽。
作業のようす
PanasonicランドナーOJC4。最後の数字が示すように4代目のOJC。
海外で入手しやすい26インチホイールと強靭でしなやかさを合わせ持ち、簡単に溶接可能なクロモリフレームが特徴。Panasonicによると大陸横断も可能だとか。現にOJCで世界一周した日本人サイクリストもいる。
当時、自転車のことを何も知らない私は、世界の家電メーカーで知られるPanasonicのランドナーの完成車を2年前に購入したのだった。今思うとずいぶんと軽率な決断だったと反省。今回作業して分かったのだが、ホローテックⅡとは違いオクタリンク式のクランクやBBの抜き出しは結構面倒くさい。必要な工具が多いし、固着してしまった場合、作業環境の劣る旅先で整備するのは危険が伴う。
クランク周り
シマノ クラリスFC-2403というクランク。チェーンリングは3枚、50×39×30という歯数。空荷でもアウターに入れることは滅多にない。
クランク抜き出しの作業前に、まずはペダルを取り外しておく。6mm六角穴付きでも、しっかりした丈夫な作りの15mmのペダルレンチを使用した方が無難。ペダルレンチは家用と携帯用の2種類を使い分けている。
こちらはクランクの左側。
まず左側のクランクアームから抜き出す。ボルト穴に付いているキャップを先の薄いマイナスドライバーなどで外す。
キャップを外したところ。中に見えるのが固定ボルト。
しっかり締め付けられているので、柄の長い六角レンチがあった方が楽。
力を掛ける時は整備スタンドを外しておく。このタイプはスタンドを後方に跳ね上げてタイヤを接地させた状態で行う。
念のため、作業を始める前にネジ穴に防錆潤滑剤としてお馴染みのCRCを吹いておく。OJC4を購入して2年経ち10,000km以上走行している。
左右ともに通常の右ねじ。思ったより簡単に外れたボルト。キャップが取り付けられていたためか、グリス切れは起こしていない。
クランク固定ボルトのようす
ボルトは中空となっている。
固定ボルトを外したところで、クランク抜き出し工具をネジ穴にセットする。先端を引っ込めたところ。
オクタリンク方式のクランクには、TL-FC10に加えてTL-FC15も必要となる。
クランクのネジ穴にTL-FC10をセットする前にTL-FC15を入れておく。
そしてTL-FC10をセットする(右ねじ)。左側をモンキーで軽く締め付けた。
クランクアームを手で押さえて右のモンキーを締め込んでゆく。
硬い場合は無理をせず、一旦緩めてCRCを吹いて浸透させたあと再トライする。
モンキーを回すごとにクランクが動くのが分かる。
固着していなくてホッと胸を撫で下ろす。
左クランクが抜けたところ。
TL-FC10を付けたままの状態で裏側から撮影。
オクタリンク方式のBBシャフト。シャフトの中空部分にTL-FC15が入っている。
アダプターのTL-FC15を外したところ。中空になっているのが分かる。
外したクランクアーム。
ネジ穴の段差の部分にパッキンが付いている。(クランク両方)
パッキンを外したところ。
パッキンを外したネジ穴のようす
角度を変えてもう一枚。
反対側から撮影。
続いてチェーンリングが付いている右のクランクを外す。
ギヤをインナーにしてからチェーンを内側に落としておく。こういうことは作業前にやっておく方がいい。
チェーンの状態。
左側と同じように固定ボルトを外したのち、ネジ穴の中にTL-FC15を入れたところ。
TL-FC10をセットしてから右側を締め込んでゆく。こちらも全く固着しておらず、スムーズに抜けた。
抜き出した右側のクランク。チェーンリングは3枚。
ひっくり返して裏側を撮影。アウターとミドルリングが共締めで、そのナットはペグスパナが必要なタイプとなっている。
いちいち面倒臭い作りの入門用ロードコンポのクラリス。チェーンリングの取り外しの件はまた後ほど別の記事で。
クランクのネジ穴のようす
こちらも段差にパッキンあり。
裏側のようす
作業の感想
今回わりとスムーズに作業が出来たクランクの抜き出し。注意する点は、オクタリンク式の場合は、通常のコッタレスクランクアーム抜き出し工具TL-FC10のほかに、アダプターのTL-FC15が必要なこと。ややこしい逆ネジがなくて戸惑うことなく作業することができた。
いい調子に乗ってBBも抜き出すことにしようか。