熊野古道~大峯奥駆道を歩く(順峰)~【3日目】

こんにちは。からあげです。

 

歩き終わって半年以上経つというのに、まだブログ記事の作成が終わらない。
早く書こうと思えば思うほど、やる気が起きなくなる。

これまで大量のブログネタを腐らせてしまった。しかし、できないものは仕方あるまい。

オーストラリアに旅立つ前に、少しでも多くのネタを記事にしておきたい。それが無駄なお金を使ったおっさんの慰めになる。

 

熊野古道~大峯奥駆道を歩く(順峰)~【2日目】
こんにちは。からあげです。熊野古道 大峯奥駆道を歩く【2日目】2018年5月吉日コース概要香精山手前~笠捨山~地蔵岳~深仙の宿(泊)水汲み場所 平治の宿、深仙の宿*右下の「山行記録のページへ」をクリックすると、詳細なルートマップを見ることが...

熊野古道 大峯奥駆道を歩く【3日目】2018年5月吉日

コース概要

深仙の宿~釈迦ヶ岳~八経ヶ岳~小笹宿(泊)
途中水汲み場所 鳥の水(孔雀岳直下)、行者雫水(行者還岳直下)


*右下の「山行記録のページへ」をクリックすると、詳細なルートマップを見ることができます。

 

深仙の宿から釈迦ヶ岳

4時過ぎに起床して出発準備を整える。タープとグランドシートの袋が行方不明となり散々探していると、なんとシュラフの中で見つけた。ポケットに突っ込んでいた袋が寝ているうちに出てしまったのだろう。朝から痛いタイムロスだった。

昨日は日没後しばらく風が吹いていてタープを揺らしていたが、夜半過ぎに風は止んでくれた。
サイトのペグ効きは良く、多少の風くらいでは全く問題なかった。小屋に泊まった3人も朝が早く、窓越しにヘッドランプの明かりが動くのが見えた。

一晩の宿、深仙の宿を出発する。間もなく日の出を迎える時間で周囲はすっかり明るくなっていた。

小屋を出るといきなりの急登が始まる。
途中で振り返って深仙の宿を見下ろす。近くに水場があって風が吹かない良好な宿泊場所だった。タープでも全く寒くなかった。

釈迦ヶ岳の登りの途中で日の出を迎える。
朝から空には薄雲が広がっていてハッキリしない天気となっている。
しかし、その割には蒸し暑く直ぐに汗が吹き出してくる。

釈迦ヶ岳に向かって登っているところ。
今日は3日目で食料が減りようやく荷物が軽くなってくれた。
途中には手堅い水場があり、水はそれほど量を持つ必要はない。

5時半過ぎ、釈迦ヶ岳山頂に到着!

山頂にはお釈迦様の銅像が設置されている。まだ朝が早いためか、人の姿は全くなし。

お釈迦様の銅像

倒れないようにしっかりと基礎がコンクリートで固められている。

お釈迦様の足元にはたくさんのお札が置かれていた。
なんと、どこかで見かけた陶器製のお地蔵さままである。

釈迦ヶ岳山頂からの景色

先の八経ヶ岳方面を望む。今日の目的地は山上ヶ岳手前の小笹宿。余裕があれば、山上ヶ岳を越えたところで泊まりたい。

 

釈迦ヶ岳から八経ヶ岳まで

釈迦ヶ岳を越えると、道は一気に険しさを増す。
痩せた尾根に道が続いている。

険しい場所でポールの使用は危険なので、折りたたんでバックパックのポケットに入れる。
トレランポールはロープを引っ張るだけで、直ぐにバラバラになって折りたたむことができる。
伸縮式のポールだとこうはいかない。

道は険しさを増し、目の前に巨大な岩山が現れた!
石を落とさないように慎重に歩いてゆく。

アップダウンが激しい縦走路。
足場が脆いが、木の根っこなど、掴まる場所がたくさんあるので、しっかり保持して慎重に歩いてゆく。孔雀岳までのしばらくの辛抱だ。

大きな口を開ける奈落の底。
落ちたら危険。落ちなければ、どうってことはない。

谷底より、涼しい風が吹き抜ける。冷や汗と区別の付かない汗が乾いてゆく。

登山道から西側を見下ろす。

孔雀岳に向かって高度を上げてゆく。

孔雀の覗と呼ばれる断崖。下を見下ろすとかなりの高度感がある。

孔雀岳は登らずに、山腹に道が続いている。
急に緑が濃くなってきて水場が近いことが分かる。

鳥の水

孔雀岳直下にある水場。あちこちから染み出している。
ここは登山道のすぐ脇にある貴重な水場だ。

挿した鉄パイプより湧き出てくる水。
冷たくて非常に美味い。

水量は少なくて汲むのに時間が掛かる。他に出ているところもあるが、拡散してポタポタと垂れている状態なので、口が広い折りたたみバケツのようなものが必要だ。こういうところでは、半切りにしたプラティパスの水筒が役に立つ。
混み合う水場では効率よく水を汲んだほうがいい。口の狭いペットボトルのみだと、非常に時間がかかってしまう。

ところどころに取り付けられていた目印のテープ。
赤色でよく目立つ。

楊枝ヶ宿小屋

仏生ヶ岳を越えてしばらく下ってゆくと、楊枝ヶ宿小屋に到着した。
稜線の登山道から一段下がった場所にあって、周囲は木々に囲まれている。

楊枝ヶ宿小屋正面

トイレはなし。水場は東側の谷を下ったところにあるそうな。
周囲には糞尿の香りが漂っている。釈迦ヶ岳と八経ヶ岳の間は登山者が多いようで、トイレのやり方を知らない人間が紛れ込んでいるように思える。

基礎のコンクリート部分はかなりの高さがあり、その上にログハウスが乗っかっていて、かなりの耐候性がありそう。これなら、湿気が入りにくいだろう。

水場ではないが、水が滲み出ている谷沿いに用を足した痕跡が見られた。
まったく信じられないことをする。

用を足すなら、水場のある東側を避けて、稜線の西側で行うのが当たり前だろう。

広い軒下の奥に玄関があって雨でも濡れにくいようになっている。
入り口ドアを開けて中に入ると、1畳みほどの土間がある。
2階に通じるはしごが設置されて、土間から出入りできるようになっている。

小屋1F部分

明り取りの窓があって内部は非常に明るい。広い板の間でストーブはなし。

玄関の土間からはしごを登って2Fに上がる。
しっかりしたはしごで登り下りしやすい。

小屋2F部分

2Fにも明り取りの窓があって十分明るい。
小屋の特等席は2Fの最奥だろう。

玄関の反対側には、冬季出入り用のはしごが設置されていた。
2Fの明り取り用の窓から出入りできるようになっている。(実際に出入りできるかどうかは不明。)

小屋の裏には広場があるが、糞尿の香りが台無しにしている。

その広場の奥に水場へと続くだろう踏み跡が続いていた。水は手前の鳥水で汲んでいるため、水場には行かず。

舟の峠周辺

昭文社「山と高原地図」によれば、キャンプ適地となっているが、一面草だらけでキャンプできそうなところはなかった。ここは草が生える前までなら、快適にキャンプできそう。地面が平で柔らかい。窪地にテントを張れば、風にも当たらない。

舟の峠からしばらく行ったところに絶好のキャンプ場所を発見した。
見晴らしヨシ、地面が露出している。西側からの風が吹かなければ、最高の場所だろう。

ただし、水場はないので、事前にどこかで汲んでおく必要がある。

がれ場

西側の谷が広範囲で崩壊していた。

安全地帯で一休みする。
倒木がちょうどいいベンチになる。
再び歩きやすい道となったので、ポールを組み立てて使うようになった。
簡単に組み立て、折りたたむことができるトレランポールだからできることだ。

ポールのある無しで消耗度合いが全然違う。

 

再び目の前に巨大な岩山が立ちはだかる。
大峯奥駆道は、なだらかなところから険しいところがあって全然飽きさせない。
そもそも、ここは修行のための道だ。楽しい楽しくないの問題ではない。

岩場の上部に鎖場あり。
雨天時は滑りやすいので注意する。

登った時期がゴールデンウィーク過ぎだったので、八経ヶ岳付近でも渋滞とは無縁で快適に歩くことができた。

八経ヶ岳(1915.1m)

10時過ぎ、八経ヶ岳山頂に到着。
八経ヶ岳手前から急に登山者が多くなった。山頂には数人休憩していた。

山頂は広々としていて、景色も良好。
絶好の休憩場所となっている。

 

八経ヶ岳から弥山まで

八経ヶ岳から弥山に向かって続くなだらかな尾根。
立ち枯れを起こしている木が多くて視界は良好。

八経ヶ岳周辺

八経ヶ岳から弥山(みせん)方面に下ったところに、鹿よけネットのゲートあり。
植生を保護するために、設置されているようす。

弥山小屋

弥山直下にある営業小屋。
小屋周りのベンチには多数の登山者が休憩していた。

この小屋の広場にザックを置いて八経ヶ岳に登る人が多いように思えた。
入山口はおそらく行者還トンネル西側の駐車場。100名山のお手軽日帰りコースとして人気があるようす。

端の方にチップ制の公衆トイレあり。

1回100円で入り口に料金箱が設置されていた。

水場はなし。水は営業小屋で買うことになるだろう。

小屋周辺のようす

非常に立派な作り。宿泊するにはおそらく予約が必要。

小屋前にはグレーチングが設置されていて、靴底の泥を落とせるようになっていた。

弥山小屋から弥山までは歩いて5分。鳥居の奥へ続く道をゆく。

弥山山頂に神社あり。

木製の鳥居が設置されている。

 

弥山から行者還避難小屋まで

弥山小屋周辺は人がたくさん居て落ち着かないので、休憩もそこそこに先に進む。

キレイに整備された木道を下ってゆく。

木漏れ日の中を歩く。
朝から歩きっぱなしで疲れてきた。

弁天の森手前、登山道脇の広くなっているところで昼食にする。シートを広げて荷物を放り出してラーメンを作る。

なぜか、登山道脇で休憩している人をあまり見かけない。いったいどこで休んでいるのだろうか?
おっとそうだった。弥山小屋があったな。

行者還避難小屋

行者還トンネルを過ぎると一気に人気がなくなり、再び周囲の山は静けさに包まれた。
駐車場への分岐を過ぎてしばらく行ったところ、行者還岳直下に行者還避難小屋がある。

小屋の周囲は広々としていて非常に開放的。

無人の避難小屋で宿泊料は無料。トイレ・水場あり。県が管理している小屋と思われる。

小屋のトイレは入り口玄関のすぐとなりにある。
トイレは2つ。もちろん汲み取り式。

1Fは大と小の板の間の部屋が2つあり、大きい方の部屋では老夫婦の登山者が休んでいた。
こちらは小さい方。

2Fは一部屋のみで、明り取りの窓があって、なかなか明るい。

奥の方に流しがあったが、水が出るかは不明。
水場は行者還岳山頂方面に行ったところにある。

小屋の周囲はテントを張れる場所は十分ある。
小屋泊まりの人が多い時は、外でテントを張った方が快適。

まだ14時前で早い時間だが、宿泊予定の小笹宿までコースタイムで3時間以上もある。
あまりゆっくりはしていられない。

行者還避難小屋から小笹宿まで

小屋を過ぎると、急に道が悪くなる。
急な登り坂に架けられているハシゴは腐ってボロボロで踏み外さないように慎重に歩いた。

先を急いで歩いていたためか、ついうっかりして水場を通り過ぎてしまう。

行者雫水

ゴールデンウィークを過ぎたばかりだというのに、水場の水量はかなり少なかった。
水音が小さかったため、分かりづらかった。

特に標識はなし。知らないと通り過ぎてしまう。ここも登山道脇で湧き出る貴重な水場。
大峯奥駆道では、水場の位置・水量を把握しておき、必要な水だけ持つとかなり楽に歩ける。
通しで歩く場合は水場の情報は特に必要。

登山道脇の遭難碑

昔、ここで大学生が遭難して亡くなったそうだ。

時間の都合で、行者還岳の山頂には寄らずまっすぐ小笹宿に向かうことにした。
行者還岳から大普賢岳過ぎまでは悪路が続く。
鬱蒼と茂る森の中の道は苔が生えていて滑りやすい。

ところどころ設置されている鎖は、怪しいものもあり。
あまり体重を掛けずに、補助程度に持った方がいい。

架けられているハシゴは、ところどころ腐って抜けていて歩きにくかった。
それでもないよりは全然マシだった。

ハシゴはかなり老朽化が進んでいるので、思いっきり慎重に歩こう。

険しい尾根伝いの道にポッカリと空いた安全地帯あり。
おそらく七曜岳過ぎの場所。
水場はないが、地面は平らでなかなか快適に泊まれそうだった。

行けども行けども険しい道は続く。

行者還岳から大普賢岳過ぎまでの間が、おそらく大峯奥駆道一番の難所。
釈迦ヶ岳から孔雀岳手前まではも険しい区間があるが、距離は短い。

岩やハシゴの表面に生えた苔がいやらしい。雨天時の通過はスリップに要注意。

アップダウンの連続で疲れ果てたので、2回目の昼食をとることにした。
国見岳過ぎで時間は16時前。まだまだ先は長い。

無理して歩くと危険なので、焦る気持ちを抑えて、食事をしてゆっくりと体を休める。

ラーメンを食べながら景色を見ていると、一際目立った小山があった。

大普賢岳東側に伸びる尾根の小普賢岳か?

大普賢岳過ぎて天気は非常に怪しくなってきた。
今日はとりあえず、小笹宿まで辿り着こう。
頑張って歩けば、明るいうちに十分着く。

登山道脇に咲いていたシャクナゲの花。
歩き疲れた体が癒やされる。

阿弥陀ヶ森分岐の女人結界

これより山上ヶ岳方面は女性立ち入り不可。
大峯奥駆道には女人結界があるためか、周辺の山には女性登山者が少ないような気がする。

女人禁制
この霊山大峰山の門は、宗教的伝統に従って女性がこの門より向こうへ登ることを禁止します。
大峰山寺
 
 
女人結界門を過ぎると、一気に周囲に霊気が満ちてきたような気がした。
歩き疲れて重たい体が、不思議と軽くなった。
 
すでに5時半となったところだが、暗くなるまでは余裕を持って小笹宿に着けそうだった。
 

小笹宿

6時前、小笹宿に到着!

沢の流れに沿って下りてゆくと、トタン屋根の物置のようなかわいい小屋が見えてきた。
ちょうどパラパラと雨が降り始めたところでギリギリセーフだった。

小笹宿全景

アルミサッシには、白のアクリル板がはめ込まれていて、入り口ドアの下部分はバキバキに割れていた。小屋の周囲は木が生えていなくて明るくて開放的。

無人の避難小屋で宿泊料は無料。トイレはなし。水場はすぐ近くの沢。

小屋に入ったところの土間。
土間は3畳、板の間は3畳程度。
トイレと薪ストーブはなし。

こちらが板の間。

端に備品の毛布が積まれているのみ。今晩の泊り客は私だけ。
決してキレイとは言えない小屋だが、雨風をしのげるだけでも非常に助かる。

見た目はボロだが、作りはしっかりしている。改装すれば、十分住めるようになる。
こういう山の中のひっそりとした場所で暮らしたい。

すぐ近くを流れる沢の水量は多い。
水を汲むついでに、歩き疲れて浮腫んだ足を冷やした。

冷たい水で足を冷やすとさっぱりして随分と楽になった。

近くの岩場には石碑のような物があり。
ここは修験者たちの聖なる場所のようす。

小屋から一段上がったところに、平らな場所あり。
小屋から距離があって快適に泊まれそう。

先客がいた場合は、外でテントを張るのもいいだろう。

隅の方には赤いお堂あり。

なんとか10年記念と書かれた看板が設置されている。

夕食はラーメン。ではなく、夕食もラーメン。水の消費量の多い袋ラーメンだが、軽くて簡単に作れるため、山では主食となっている。

ラーメンを食べると、後片付けをしてさっさと眠ったのだった。夕方頃からパラパラと降り始めた雨は、知らぬ間に止んでいた。

ようやく一番キツイ3日目を越えたところ。あとは明日半日歩いて吉野山まで下山するだけ。
しかし、自転車の引き取りもあるので、早めに下山しておきたい。歩いてばかりだと、無性に自転車に乗りたくなってくる。

さあて、最終日どうなることやら。

 

つづく

コメント

  1. 神奈川の農夫 より:

    からあげさんのブログを見ると無性に袋ラーメンが食べたくなります
    私だけでしょうか?

    • karaage より:

      袋ラーメンはたまに食べると美味いのであって、毎日食べると嫌になります。
      玄米は毎日でも全然大丈夫です。

      体は正直です。