ハブダイナモで自転車を常時ライト点灯する~USB充電器の自作~

こんにちは。からあげです。

自転車にハブダイナモを付けて前後ライトを常時点灯することにしました。
今回はハブダイナモから出力されるAC6VをDC5Vに変換するUSB充電器の自作です。
自転車走行中にモバイルバッテリーやスマートフォンを充電できるようにします。

はじめに

ハブダイナモ付きのホイールを入手して、常時ライト点灯をすることにしたのは、ドライバーからの視認性を高め、より安全に自転車に乗るためが第一の理由。そのほかにUSB充電器で、モバイルバッテリーやスマートフォンを充電したいという切実な理由があった。

日本国内で野宿ばかりの自転車旅をしていると、スマホなどの電子機器を充電する機会がほとんどない。まれに地方の図書館や道の駅で充電できることもあるが、走行日和の晴れの昼間に、ただじっとして充電するのは、時間が勿体ない。時間は有限だ。限りある時間を有効活用してよりよい人生を送りたい。

これまで電子機器に必要な電気は、軽量化したモバイルソーラーパネルで発電していたが、天気に大きく左右されるのが欠点だった。前カゴに取り付けて走行中充電してみると、樹木や建物に日差しが遮られることが多いし、向きや角度が悪くなるとほとんど充電しなくなる。そう、向きと角度が非常に重要なのだ。走行中のソーラーパネルによる充電は手間がかかる反面、機器の故障や紛失のおそれがあり、効率が悪すぎる。

地球と財布に優しい活動をする自称探検家の私は、持続可能なローコスト自転車旅(自転車生活)をしたい。それにはハブダイナモで発電したAC6Vの電気をDC5Vに変換して充電してくれる、USB充電器が欠かせない。そう確信した私は、USB充電器を心の底から欲するようになったのだった。

ハブダイナモ用のUSB充電器はあることにはあるが、高価だったり仕様がイマイチだったりして、全く気に入らなかった。このとき心の奥底で消えかかっていたDIYの情熱が燻り始めたのだった。

Sinewave Cycles Revolution
The Sinewave Cycles Revolution is a bicycle dynamo powered USB charger. It converts electricity generated by hub and bottle dynamos to USB output.
Sinewave Cycles Reactor
The Sinewave Reactor takes the performance of our Revolution dynamo-powered USB charger and shrinks it into a package that fits above the star-fangled nut in a ...
Products | BioLogic | バイオロジック
フォールディングバイクブランドTernを展開し&#12...
自転車ダイナモ→5V/USB充電器 [50911] - 4,510円 : デンシ電気店 Web本店, オートソック・ペルチェ素子・ソーラーセル・電子工作キット・ヒューズ・計測器・工具・DIY。輸入販売の電子通商(株)。特殊電子部品や特殊電子機器の開発も行います。
デンシ電気店 Web本店 自転車ダイナモ→5V/USB充電器 - 自転車ダイナモチャージャー ・自転車のダイナモライトと接続して5VDC出力 ・PDA,MP3やUSB機器との接続に 入力:6VAC自転車ダイナモオルタネーティング電圧 出力電圧:5.2 VDC安定(約5.1 - 5.3 V/DC) 出力電流:max. ...

 

私が欲しいダイナモ用USB充電器

・比較的安価(3,000円程度)
・充電電流が1A以上(スマホやタブレットを充電するには、少なくとも1A以上は必要。できれば1.5A以上)
・USB接続端子はタイプAかMicroBのどちらか(現在の主流はタイプCだが、MicroBの機器はまだまだ存在する。)
ONOFFスイッチ付き(充電しない時はスイッチを切って充電器を保護する。)

おっさんは非常にワガママ。無茶な要求を平気で突きつけてくる。おっさん好みの安くて使い勝手のよいUSB充電器はこの世に存在しない。

ネットで検索した情報を見ていると、次第に自分でも作れそうな気がしてきた。これまで電子工作は一度もやったことはなく、学研の電子ブロックで遊んだことがあるくらい。説明書なしでブロックの数が足りないものだったが、一時期夢中になって遊んだ記憶がある。

誰にでも初めてのことはある。実際に試行錯誤しながらやっているうちに、いつの間にかできるようになっている。これまでの小屋作りを始めとする数々のDIYの経験で学んだ私は、ハブダイナモ用のUSB充電器を自作することを決意した。

参考サイト
 

電子部品の購入

パーツは3,000円以上で送料無料の「マルツオンライン」という電子部品のオンラインショップで購入した。まったくの初心者の場合、オンラインショップでゆっくり時間をかけて選んだほうがいいように思う。

箱から取り出した電子部品。荷物はメール便(385円)で送られてきた。エアキャップにより保護されている。

 

購入した電子部品一覧(2019年12月当時)

品 名規 格単 価
ワイヤード・ユニバーサル基板UB-WRD01435
電圧レギュレーター(6V→5V)LM2940CT-5.0/NOP160
ブリッジ整流器(AC→DC)W01G-E4/51  100V 1.5A WOG 108
アルミ電解コンデンサー25V 2200μF203
タンタルコンデンサー 35V 0.47μF130
チップSMD タンタルコンデンサー16V 22μF125
USBコネクタタイプA メス ポート数1 255
超小型波動スイッチKCD11-A-101011BB58×3=174
送料メール便385
消費税10%159
合計2,134

*品名はマルツオンラインのパーツへのリンク付き

ワイヤード・ユニバーサル基板

ダイオードやコンデンサーなどの電子部品を取り付ける基板。
穴と切れ目があって作業しやすくなっている。

基板のアップ。

穴同士は線により繋がっているところと、繋がっていないところあり。
電子工作は今回が初めてのため、使い方がよく分からず。作業後になんとなく分かった程度。

電圧レギュレーター(6V→5V)

直流(DC)電圧6Vを5Vに変圧するためのもの。
黒い部分に表示されている記号をみて、適当に接続してみた。
今になって思うと、この適当がイケなかった。極性のある直流は気をつける必要がある。

ブリッジ整流器(AC→DC)

長い脚が4本あるブリッジ整流器。ダイオードの整流作用を用いて、交流を直流に変換するもの。

画像左右の端子が交流、上が直流プラス、下がマイナスとなっている。(たぶん)
このようにハッキリと表示されていると、迷うことなく取り付けることができる。

アルミ電解コンデンサー 25V 2200μF

コンデンサーは脚の長い方がプラス側になる。
長さ25mm×直径12.5mmの比較的大きな部品。

タンタルコンデンサー 35V 0.47μF  

くしゃみをすると、どこかにふっ飛んでいってしまいそうな小さい部品。
取り扱いは慎重に。

チップSMD タンタルコンデンサー 16V 22μF

脚のないチップタイプのタンタルコンデンサ。脚のあるものは、購入の最低個数が10個以上となっていた。そこでやむなく同等品のチップタイプを選んだ。

本当に欲しかったものはコレ。電子工作が趣味でもないのに、コンデンサー10個も要らない。

白いラインの表示がある方がプラス。

裏面の方を基板にハンダ付けする。脚のあるコンデンサに比べて、取り付けの難易度は高い。

USBコネクタタイプA メス ポート数1 

端子は4本。写真の場合、向かって左がプラスで右がマイナスとなる。
今回は充電のみで通信はしないなので、もっとも安いUSB1.1を選んでも問題はなし。

参考リンク ウィキペディア(USBコネクタ画像)

超小型波動スイッチ KCD11-A-101011BB

フロントライトのオンオフ用のために購入したスイッチだが、小さすぎて取り付けしにくかった。
実際に使ったのは、PS2から取り外した比較的大きなスイッチ。

電線(0.5sq)

充電器の入出力コード用の電線が必要。ライト取り付け時に余った電線(0.5sq)を使用した。

 

作業前の事前練習

実際に役立ったかどうか不明だが、初めての電子工作だったので、事前にハンダごての練習しておくことにした。
プレイステーション2を分解して、基板から電子部品を取り外してみる。

今では懐かしいソニーのPS2。トイレに行くのを我慢してゲームをし続けた、どうでもいい思い出が鮮明に蘇ってくる。なぜ、そこまでしたのだろうか。行き場に困ったエネルギーをゲームで発散していたのか。ああ勿体ない。

ビスを外してフタを開けてみた。
子供の頃から、機械の分解だけはとても好きだった私。
分解してプラスチックと金属部品を分別すれば、一般家庭ごみとして処分できる。わざわざ有料の粗大ごみとして捨てることはない。

トレイから出てきたのは三国志。いったい何年前のソフトだろうか。

中を開けてみると、大きな電子部品が使われていることに驚く。
20年以上前の購入した当時は最先端だったのに。

PS2発売後しばらくは、ダイヤルアップ回線はパンク状態で注文できず。同僚のISDL回線を借りて注文した記憶がある。

ハンダごてを押し当てて、面白そうな部品を取り外してみる。
ハンダごてのパワーが足りなかったようで、ハンダが溶けにくく作業しにくかった。
毎日ゴロゴロ寝ていられるほどの暇人なので、徹底的に分解して分別する。

 

作業に使用した道具

・ハンダごて
・ハンダ
・ハンダ吸い取り線
・ピンセット 
・ヒートシンク

 

ハンダごて(太洋電気産業KS-20R)

作業に使用したハンダごては、太洋電気産業株式会社のKS-20R。先が細く消費電力が23Wで、小さなICやコンデンサの取り付け作業に最適な機種。ただし、PS2のパーツ外しでは、パワーが全く足りなかった。

20年以上前に購入して道具箱の中に眠り続けていたもの。当時なぜ購入したの記憶にない。

 

はんだ

鉄、銅、スズ、真鍮のほか、ステンレスのはんだ付けも可能。用途によってハンダを選ぶ。
鉛入りと鉛フリーのものがあるが、初心者は扱いやすい鉛入りのものを選んだ方が無難。

 

ハンダ吸い取り線

作業のやり直しや、はんだ付けされたパーツの取り外しに必要なもの。
吸い取り線の上からハンダごてを当てると、吸い取り線が溶けたハンダを吸い取ってくれる。

 

ピンセット 

細かい作業にはピンセットが必要。先が真っ直ぐなものより、曲がったものの方が使いやすい、と私は思う。
先が曲がったタイプは、鷲口(わしぐち)と呼ばれている。
現状では、100円ショップのもので十分。

 

ヒートシンク

ハンダごての熱から電子部品を保護するためのもの。
部品の脚を挟んで熱を逃がす。熱伝導の良いアルミ製。
電子工作初心者は、あった方がいいアイテム。長時間熱いこてを当て続けていると、電子部品を傷めるおそれがある。

 

その他

ハンダごて台はアウトドア用のアルミクッカーで代用した。
こて先の掃除は濡れ雑巾に当てて拭き取った。
ほかは基板の切断と加工するための切れ味の良いカッターナイフ、電子部品の脚を切るためのニッパーが必要。
普段から自作している人間なら、持っていて当然の道具だろう。

 

USB充電器の自作

回路図の作成

実際の作業に入る前に、ネットを参考に回路図を作成してみた。参考と言いながら、単に書き写しただけ。
部品の役割や取り付け方が分からないまま作業を行ったためか、今回の自作は失敗に終わった。
もう少し勉強してから、作業を始めればよかったと、後になって反省した。

 

作業のようす

必要な部品と道具が揃ったところで、作業を始めることにする。
これが全てのパーツ。

基板をカッターナイフで切り離す。
使用するのは細長い部分。

カットして不要になったコンデンサーの脚を、チップ式のコンデンサー(16V 22μF)に取り付けた。基板に直にチップを取り付けるのは、難易度が高すぎる。
ハンダごての扱いが未熟のため、チップを加熱し過ぎてしまったようだ。

回路図のとおりに慎重に取り付けてゆく。

穴と穴をつなぐ線をカッターナイフでカットする。
削っても削っても、なぜか導通があり焦る。
単に取り付け位置を間違ったのか、取り付け方がマズかったのかは不明。

接触不良のテスターを使用していたため、余計なストレスを受けながらの作業となった。

カッターで削ったところ。
基板のサイズが小さくて、回路図通りに部品を配置できず。銅線で繋いでなんとか凌いだ。
見てのとおり、ハンダの取り付けがとても未熟。

電子部品の取り付けは完了。

よし、これから各部をじっくりと見てゆこう。

裏面のようす

これは酷い。酷すぎる。こんなにも手先が不器用だったのかと、おっさんの作業の出来栄えに呆れる。

横から見たようす。

グラついていたUSBコネクタを、グルースティック(ホットボンド)を盛ってしっかりと固定する。

振動対策のため、ほかの部品もグルースティックで固定した。
このようにグルースティックを使いすぎると、放熱性が悪くなるなるかもしれない。

これは悪い例。

充電器のケースには、小さいタッパを使用することにした。
100均で4個100円で売られていた品。

ハンダごてを使ってUSBコネクタの穴を空ける。

充電器の基板をタッパの中に入れたところ。
USBコネクタとスイッチの周りをグルースティックで固定した。

ハブダイナモからの入力ケーブルとUSBコネクタ。

充電器のONOFFスイッチ。
使用しない時はスイッチを切り、電子部品を保護する。
PS2から取り外した電源スイッチを使用した。

完成した自作USB充電器。

タッパーの中の隙間にはエアキャップを詰めておいた。
とりあえず、見た目だけは充電器らしきものが出来た。

USB充電器のテスト

充電器のほか、0.3wのリヤライトを接続した状態で、モバイルバッテリーの充電テストを行う。
充電器の出力側とモバイルバッテリーの入力側の間に、簡易な電流・電圧テスターを接続した。そしてタイヤを正転方向に回してテスターが表示する電圧を読み取った。

すると、なんと6V以上となっていたのだった。

接続を確かめて何度テストしても結果は同じ。ハブダイナモで発電された交流6Vの電気は、直流に変換されているものの、5Vには減圧されていない状態だった。使用したのは安物のテスターだが、だいたいの数値は分かる。モバイルバッテリーが発電した電気を調べるのに役立った。

 

テストの結果 自作は失敗

ハブダイナモ出力(AC 6V)USB充電器出力(DC 6V)
DC5Vに減圧されず。

交流から直流になったものの、6Vのままで5Vに減圧されず。
電圧レギュレーターの取り付け方を間違ったか悪くて、正常に動作していないものと思われる。
接続したモバイルバッテリーは、充電ランプが点滅していて充電しているようすだったが、そのまま走行充電を行うと高電圧の影響で故障するおそれがあった。

今回自作したUSB充電器は使い物にならず。

自作失敗の原因を検討する

・初めての電子工作で何もかも未熟だった。
・事前の勉強を怠った。
・回路図を理解していなかった。
・接触不良のテスターを使用した。

考えられる原因は上記の4点。どれも事前に出来たはずで、しっかりやっておけば、完全な失敗は回避できたはず。やっているうちに作業のやり方やコツが分かるだろうと、見切り発車をしてしまった。

あとで自作した充電器を解体し、どこが悪かったのか徹底的に調べてみることにする。ひょっとしたら、簡単な手直して使えるようになるかもしれない。今回は西日本ツーリング前の作業だったこともあり、作業が適当になってしまった。

次回USB充電器の自作に挑戦するまえに、簡単なLEDライトなどの工作をやって、ハンダごての取り扱いに慣れておきたい。

悔しくないと言えば嘘になるが、作業前から失敗に終わることが何となく予想できていた。そのためそんなに悔しくはない。電気は目に見えなくて理解しにくく、これまでずっと苦手意識を持っていた。電子工作ができるようになれば自作の幅が広がり、自分が真に求める道具を手に入れることができるようになる。

人生は日々精進。今回の失敗を糧にして、次回は必ず成功させてみよう。その時までUSB充電器の件はひとまず休み。