仏式バルブ穴を拡張して米式バルブに対応させる

こんにちは。からあげです。

 

バルブ穴を拡張する理由

何が起こるか分からないロングツーリングでは、不測の事態に備えて幅広く柔軟に対応できるようにしておいた方がなにかと安心できる。根っからの心配性のおっさんは、オーストラリアに行く前から、各種予備パーツや携帯工具を持つか否かで悩み続けている。

そんななかチューブも例外ではない。

去年新たに購入したツーリング用自転車のサーリーディスクトラッカーは、発展途上国でも入手しやすいように、タイヤは26インチとなっている。以前は26インチタイヤが主流だったためだ。

だが現在、世界のタイヤ規格の主流は、29インチ・700c・650B(27.5インチ)サイズとなっているようす。(発展途上国では26インチがまだまだ現役らしい。)

先進国のオーストラリアも例外ではなく、26インチタイヤはマイナーな存在だと思われる。グーグル・マップでルート上の自転車屋さんを検索すると、MTBの写真がたくさん出てくることから、オーストラリアでは、ロードよりもMTBの方が人気があるようだ。それなので、26インチタイヤの入手性は意外に悪くないと思われる(思いたい)のだが、装着されているリムが仏式仕様というのが気にかかる。ロードバイクでは仏式バルブが主流だが、MTBでは米式もまだまだ使用されているらしい。

ディスクトラッカーに装備されているリムは、十分な耐久性がありつつも手軽な価格の台湾メーカーアレックスリムズ(ALEXRIMS)の DH-19で、仏式バルブ仕様となっている。現在は仏式バルブが主流だから、仏式バルブにするのは当然だろう。しかし、心配性なおっさんは最悪の事態のことまで考えてしまう。

私が店に行く前に、自転車野郎の集団がどこからともなく現れて、26インチ仏式バルブのチューブを全て買い占めてしまい、あとは米式バルブしか残っていないということも考えられる。今ではマイナーな存在となった26インチでは十分考えられる。そんな状況だから、26インチのチューブがおいてあるだけでも、ラッキーと考えた方がいいだろう。予備のチューブをたくさん持ってゆくより、現地のお店にあるものでやりくりした方が、荷物が減って楽をすることができる。今回、内陸部に入る時は大量の水・食料を積まなければならず、少しでも荷物を減らしたいこともある。

できるだけ幅広く対応できるように、仏式バルブ穴を拡張して米式バルブのチューブも使えるようにすることにした。

 

バルブ穴拡張に必要なもの

これはPanasonicランドナーのOJC4のバルブ穴。ディスクトラッカーと同じくALEXRIMSでスポーク36本仕様のX2100。
私はてっきり仏式バルブ用の穴だと思っていたら、なんと米式バルブ用の穴だった。
バルブ穴スペーサを入れて仏式バルブのチューブが付けてあった。

1万km走行してようやく分かったこの事実。

ナットを緩めてみると、バルブ穴が大きいことが分かる。

普通、気づくだろう?いや、全然。

これまで何度もタイヤを付け外ししてきたが、全く気が付かなかった。
今回、ディスクトラッカーのリムのバルブ穴を拡張させようといろいろ調べている時にようやく気がついた始末。そんなもん、見れば分かるだろうと思われるかもしれないが、スポーツ自転車歴1年の私には全く難しい問題だった。

バルブアダプター(仏式→米式)

仏式バルブは空気を入れる時に漏れやすくて嫌いな私は、アダプターを付けて米式バルブにしていた。空気を入れる時に、いちいち付け外ししなくてはならなくて面倒なのだが、空気が漏れやすいのに比べたら全然マシ。

 

角度を変えていろいろ写す。

仏式バルブから米式バルブに変換するメリットとして、ガソリンスタンドの空気入れが使えるようになるということだが、口金によっては空気を入れられないことがあるので注意が必要だ。無知とは恐ろしい。米式バルブに変換しているから、手持ちの空気入れが壊れてもガソリンスタンドで入れることができると思っていた!

ガソリンスタンドの自動車用の空気入れを使って、仏バルブから空気を入れる方法!!
ガソリンスタンドの自動車用の空気入れを使って、仏バルブから空気を入れる方法!!

 

バルブ穴スペーサー(NTスペーサー)

バルブ穴を拡張したあとは、パナレーサーのバルブ穴スペーサーを取り付けて、そのまま仏式バルブのチューブを使用する。今すぐにでも米式バルブのチューブを使用したいところだが、予備の仏式バルブチューブの在庫を使い切ってから切り替えることにする。

Amazonのレビューには、バルブ穴スペーサーで不具合が出たと書かれていたものもあるが、私はこのバルブ穴スペーサーを取り付けたOJC4を10,000km以上乗っているが、今のところ全く問題なし。しかも、走った距離のほとんどがパニアバッグを4つ付けた重装備での走行。
1個入りと2個入りのものがあるので、注意して購入して欲しい。

 

右が新品で、左がOJC4に付いていたもの。
OJC4はPanasonic製であるため、おそらく同じものと思われる。

米式バルブ穴のリムに仏式バルブのチューブを装着する際は、細い方を下にして締め付け、仏式バルブ穴のリムでは、太い方を下にして締め付ける。

重さは1個1g。通常のナットに比べてわずかに重たいだけ。

太い方の外径は、ちょうど10mm。

細い方の外径は8.4mm。

 

米式バルブチューブ 26×1.625~2.10 

今回バルブ穴を拡張するにあたって、心配性のおっさんは米式バルブのチューブを手に入れておいた。まだ仏式バルブのチューブの在庫があるというのに、またツマラナイものを買ってしまった。

現物合わせで穴を拡張する方が安心できる、というおっさんたっての願いだった。

 

タイヤは26×1.75インチのシュワルベマラソンプラス。タイヤに合わせてチューブを選んだ。

袋から出して外観をチェックする。
やはり米式バルブは丈夫そうに見える。確かに空気圧の調整はしにくいが、空気を入れやすいのがいい。

横から

バルブの付け根のアップ

バルブの外径を測ってみる。

だいたい8.1mm。

バルブ長は3.2mm。

シュワルベ(SCHWALBE)26×1.50/2.50用チューブ 仏式 40㎜バルブ 13SV

参考までに仏式バルブのチューブを紹介。
バルブの外径はちょうど6.0mm。

バルブの付け根のようす

鉄芯入りタイヤレバー

今回、タイヤの着脱作業では、新たに購入した鉄芯入のタイヤレバーを使用する。
シュワルベのプラスチック製タイヤレバーは、普通のケブラービードのタイヤに使用する分には何ら問題ないのだが、硬いワイヤービードのマラソンタイヤで暑い時や寒い時に使うと折れそうになる。そこで鉄芯入のタイヤレバーを新たに購入した。

以前、鉄製のタイヤレバーを購入して使ったのだが、始めて使ってチューブをパンクさせる失敗をやらかしてからは全く使っていない。

 

先っぽの形状はまずまず。全面プラスチックに覆われていて、リムやチューブを傷つけにくい仕様になっている。

穴から見えるのが鉄芯。
この鉄芯があるおかげで、力を掛けてもレバーが曲がることはない。

ただし、いくらリムが傷つきにくいとはいえ、強引に作業するのは控えた方がいいだろう。せっかくの愛車を傷つけてしまいかねない。

 

バルブ穴を拡張する

前輪

まずはやりやすいフロントタイヤから行う。単にスプロケットがあるなしだけなのだが、いつもの癖でフロントからやることにした。

バルブ穴のようす

リムの中は中空で二重構造となっている。

リムの内側のようす

リムテープのバルブ穴にはかなりの余裕あり。

リムテープを外してバルブ穴のようすをじっくりとチェックする。

穴の拡張作業で懸念されることは、上下の穴の位置がズレてしまうこと。
リム穴の拡張は失敗は許されないので、少しずつ穴を拡げてゆくことにした。

バルブ穴の直径は6.55mm。

シュワルベ(SCHWALBE)26×1.50/2.50用チューブ 仏式 40㎜バルブ 13SV

バルブの外径を計測してみると、ちょうど6.0mm。

パナレーサーの米式チューブのバルブ外径は8.1mmだったので、それに合わせて穴を拡張することにした。

失敗は許されない作業なので、7.5mm→8.0mm→8.3mmの順に三段階に分けて穴を拡げた。
ちょうど物置に0.1mm刻みの鉄工用ドリルがあったので助かった。物置の整理の時に処分してしまおうか悩んだが、ひょっとしたら使うことになるやも知れぬととっておいたのだった。当時は自転車に乗ることになるとは思ってもみなかった。

DIY用のインパクトドライバーにアダプターを付けて鉄工用ドリルを装着した。

リムはバイスなどでは固定せず。足で挟みつつ左手でしっかり持って片手でインパクトドライバーを持って作業した。

穴拡張後のようす

慎重に作業を行って穴拡張作業が終了したところ。
少しバリが出てしまっている。

角度を変えてもう一枚。

バリの出っ張りがよく分かる。

外側のバリは鉄工用ヤスリ(半丸と棒)と紙やすりを使ってキレイに削った。

リム穴の内側のバリはマイナスドライバーを突っ込んでゴシゴシと削った。

マイナスドライバーの先端でバリを削った。
本来の使い方ではないが、マイナスドライバーよりも適している工具が見当たらなかった。

穴の周りをキレイに平らにしたところ。

少しリムを削ってしまっているが、細かいことは気にしない。

内側からみたようす

おっさん満足の仕上がり。

バルブ穴スペーサーを付けてみるとジャストフィットした。

リムの塗装が剥げたところはペイントマーカーを塗ってごまかしておく。

米式バルブを取り付けてみる。

うむ、いい感じだ!(自画自賛は日常のことなので、勘弁してくれい。おっさんは褒めて伸びる派。)

バルブ穴のようすをじっくりチェックする。
少しずつ穴を拡げたのが良かったみたいだ。Good job,Ossan!

後輪

前輪に続いて後輪のバルブ穴の拡張を行う。

タイヤを取り外したついでに以前修理した箇所をチェックする。
北海道・東北ツーリング終了後しばらくして、縫い目が傷んできたので、再び麻糸で縫って補強しておいてある。空気圧を高めにしたのがマズかったようだ。

 

バルブ穴拡張前のようす

前輪と同じように3段階に分けて少しずつ穴を拡張させた。

丁寧にヤスリがけして滑らかにした。

米式バルブを差し込んでみるとピッタリ。

続いてスペーサーを取り付けてみた。
若干穴がキツイ感じがする。

横から見ると、少し浮いてしまっている。

もう少し削って穴を拡げてやると、ジャストフィットしてくれるようになった。

元通りにタイヤを付けている最中。
先日、スチール製のタイヤレバーでタイヤの着脱をしたところ、チューブに穴を空けてしまった!最後のビードを嵌める時に強引にやりすぎた。

今回は鉄心入りのタイヤレバーを用いたが、慎重に行ったためパンクはせず。

 

拡張作業のまとめ

作業終了後、適度に空気を入れておく。
今のところ、エアゲージは持っておらず。北海道ツーリングでも手先の感覚だけで空気を入れていたが全く問題はなかった。空気をパンパンに入れると、路面が荒れた場所では振動が伝わって手が痺れてくるので、少し低めの圧に設定しておいた。

今現在、予備の空気入れを持つか持つまいか悩み続けているところで、先日Amazonユーザー絶賛の高圧まで入れられる空気入れを買ったところ。この空気入れがそうなのだが、初めて使った感想は使いにくい。また空気入れの件もそのうち書くことにしたい。

 

バルブ穴を拡げてスペーサーを取り付けたあとから、通常のナットを取り付けて回り止めとしておいた。バルブ穴スペーサーはおそらく海外では入手不能と思われるので失くさないようにしたい。

そしてもう片方のバルブには、仏式から米式に変換するアダプターを付けておいた。
やはり空気入れの故障に備えて、米式バルブのアダプターはあったほうがいい。

バルブ穴を拡張してよりチューブの入手性が良くなったディスクトラッカー。
携帯するチューブを減らして、より快適なツーリングを楽しむことができるようになったぞ。馬鹿丁寧に作業を行ったので、半日も掛かってしまった。必要に迫られてから現地で作業を行うと、たぶん凄く適当になると思うので、日本にいるうちにやっておいて良かった。

手持ちの仏式バルブのチューブを使い切ったら、米式バルブに切り替えて使ってゆきたい。米式バルブだと、お店にないことが多いかもしれないので、米式バルブに替えてからでも、バルブ穴スペーサーは必要だ。そんなに嵩張るものじゃないので、携帯パーツ入れの中に入れておけばよい。

ということで、また一つ懸案事項が解消されてスッキリした。

やって良かったバルブ穴の拡張作業。めでたしめでたし。

 

参考サイト

元自転車店員にしてサイクリストの染谷さんのブログ

非常に深い内容、現役時代には書けないものなど、内容盛りだくさん。

バルブホールを広げる | 愉しい自転車&生活

 

おわり