こんにちは。からあげです。
はじめに
ロードバイクもついに12速の時代を迎えた2021年現在。そんななかあえて8速のClarisを選ぶ昭和生まれのおっさんがいる。
8速は消耗品が安くパーツの耐久性が優れる実用本位の入門グレードだ。自転車生活にはハイグレードのパーツは要らない。見た目や機能性などは二の次三の次。財布に優しくなおかつ軽快に走れる自転車が欲しい。ディスクトラッカーは荷物を積んで走る分にはとても良いが、空荷で走ると非常にモッサリしている。
自転車の駆動系パーツの中でもっとも重要なクランク。
コロナ禍でのパーツ不足は深刻さを増す一方で新品を入手できず。ネットの個人売買で程度の良い中古品を手に入れた。
R2000シリーズのコンポーネント
最新のR2000シリーズは先代のR2400シリーズで不評だったSTIのインジケーターと触覚のようなシフトケーブルが廃止され、よりスタイリッシュになって生まれ変わった。BBはオクタリンクからホローテックⅡに変更され、剛性が上がり整備しやすくなっている。
不要なインジケーターで無駄に大きくなったブラケットは不格好。シフトの触覚は前カゴに荷物を積む時に邪魔になる。オクタリンクはすでに時代遅れのもので今更使う気になれない。最新の型を選んでおくのが無難だろう。
以上の理由から最新のR2000シリーズを選んだ。
4アームクランクはダブル(50-34T)とトリプル(50-39-30T)の2種類があるが、一般的なダブルを選択してパーツの入手性を高めることにした。R2000からは34Tのスプロケットが登場して、あえてトリプルを選ぶ理由もなくなった。ここは強気になってダブルで押し通す。坂道を漕いで上れなかったら、降りて押し歩きすればよい。
Claris FC-R2000 50-34T 170mm チェーンガードあり
クランクアームの長さ(165mm・170mm・175mm)
PCD110mm、4アーム
推奨BB(ねじ込み式)BB-RS500
Qファクター150mm、チェーンライン43.5mm
走行距離は1,000km程度で目立った傷みは見られない。色はガンメタリックで少し渋め。
クランクの長さはもっとも一般的な170mm。
チェーンガート付きとなしがあるが、購入したのは付いている方だった。あとで外せばよいと思っていたのだが、チェーンガードはカバーと一体物になった樹脂製で外すことができない。掃除の邪魔になるのでチェーンガードはない方がよい。
クランクを持ってみるとズッシリとした重量感がある。
BBはホローテックⅡだが、肉抜きしただけの2ピースクランクで重たい。しかし剛性はバッチリ。さすがはシマノだ。
重量は驚きの1,110g(実測値)。
クランクの裏側
チェーンリングのようす
走行距離が少ないだけあって、歯先の摩耗は少ない。
丈夫な造りのアウターと華奢な造りのインナーリングのダブル仕様。平地ではアウターを使用し、上り坂ではインナーを使用する。スプロケットを長持ちさせるために、平地でもインナーを使用することもある。
クランクの分解
まず始めにインナーリングを取り外す。
4つアームの付け根にアウターリングと共に取り付けられている。
六角穴(5mm)付きのボルトを4本外す。ウエスを敷いた上に裏返して寝かせ、右クランクを持ってソケットタイプの六角レンチで取り外した。
固定ボルトを抜いたところ。
アウター側のナットは切り欠きで固定されているため、回らないようにスパナで押さえておく必要がない。
固定ボルト4本を抜いてインナーリングを取り外した。
ネジ山に緩み止め剤が塗られていてしっかりと締め付けられていた。
インナーリング取付部
インナー/アウターリング固定ボルト。
中空になっている。
固定ボルトを外すと、インナーリングとカバー・チェーンガード付きのアウターリングを取り外すことができる。
アウターリング裏側
樹脂製のカバーとチェーンガード一体物は4本のビスといくつかのポッチでアウターリングに固定されている。
カバー/チェーンガードを固定している4本のビス。先が潰れた木ネジタイプ。
簡単に外れるものと思っていたが、はめ込み式のポッチがあった。
チェーンリングのカバーの断面。
中に廻り止めの切り欠きが付いたナットがある。
カバーとチェーンガードは樹脂製の一体物でガードを取り外すことはできない。
隙間に先が平らなスクレッパーを突っ込んでポッチで止まったアウターリングとカバー/チェーンガードを取り外す。
慎重に作業を進めたものの、ポッチがいつくか取れてしまう。
実に残念だが、後戻りすることはできない。DIYには失敗は付き物。気にせず作業を続行する。
カバー/チェーンガード(おもて)
カバー/チェーンガード(うら)
ポッチは8個。うち折れたのは4個。手先は不器用な方ではないがこの有様だ。
こんなヤワなものなら初めからない方がよい。
折れずに残ったポッチ。
根本から折れてしまったポッチ。
「駄目だこりゃ!」などと、いかりや長介風に独り愚痴る。
アウターリング
上がカバーが付いている方。
今回が初めての分解のようで表面全体に汚れが付着していた。
クランクパーツ各部
クランクの分解したパーツ
アウターとインナーリング
ロード標準の50Tと34Tの歯を装備している。
右クランクアーム
右クランクにシャフトが取り付けられている。
アウターリング取付部
アームとアウターリングの段差はかなりある。その段差を埋めて見栄えを良くするためにカバーが取り付けられている。若干のバリが出ていたのでヤスリで磨いて滑らかにする。
右クランクアームを裏返す。
裏側は肉抜きされて軽量化されている。中空タイプのホローテックⅡとは異なる構造だ。
クランクシャフト取付部のようす
付け根にリング(型番 Y1F316000)が取り付けられている。
横から見たようす
左クランクアーム
左クランクアーム裏側
ペダル取り付け穴の近くにクランク長さと型番、製造国などが表示されている。
左クランクアームのシャフト取付部には固定ボルト、脱落防止プレート、リングが取り付けられている。
リングは右のものと全く同じ。汚れたグリスや廻り止め剤を丁寧に拭き取る。
カバー/チェーンガードを外して軽量化する
カバー/チェーンガードは邪魔なだけで、チェーンリングの掃除がしづらくなる。
一度外しただけでポッチが折れるようなヤワなパーツは要らない。見た目は安っぽい。(実際に安いので仕方がないが)
こんな物を付けるのは止め。すると79gの軽量化に成功した!
クランクの組み立て
クランクの組み立てで注意すべき点はチェーンリングの取り付け位置・向きと締付けトルクの2点。
R2000のチェーンリングには切り欠きが付いているため、ボルトを締め付ける際にナットを押さえておく必要がない。この点はとても親切だ。
Panasonic OJC4完成車のClaris FC-2403(50×39×30T)のアウター/ミドルには切り欠きがなく、ナットをペグスパナで押さえておく必要があった。
切り欠きなしの固定用ボルト・ナット。
FC-R2000の切り欠きありの固定用ナット。
切り欠きのあるなしで作業しやすさには雲泥の差がある。
チェーンリングの締め付けトルクの既定値は12 – 14N·m。間をとって13N·mで締め付けることにした。
チェーンリングの向きと位置に決まりあり。
チェーンリング内側の凸部をクランクアームに合わせる。あとは表裏を間違えないように取り付けるだけ。廻り止め剤とグリスはしっかり塗布しておきたい。
チェーンリングの取り付け完了。
不要なものがなくなってスッキリした。
クランクとチェーンリングの段差。
カバー/チェーンガードを撤去したので大きな段差ができた。
細かいことは気にしないようにする。
固定ボルト・ナットのようす(表側)
引っかかるような出っ張りはなし。
裏側のようす
隅々まで磨いてきれいになった。
チェーンリングを上から見る。スッキリして掃除しやすくなった。
チェーンリング固定ボルト
左クランクアームのシャフト取付部
内側の溝にリングを取り付ける。
リング(Y1F316000)
平な面と凸部がある面がある。
リングの平な面。
こちらの面を左クランクアームの溝に取り付ける。
左クランクアームの裏側正面
リングのほか固定ボルト2本と脱落防止プレートを付けて完成する。
グリスを塗布しておくのを忘れないようにしたい。
脱落防止プレートの向き
ペダル取り付け穴
若干当たり面が荒れているので、ペダル取り付け時に平らに削ることにした。
今回はこのまま。
作業の感想
2,3時間でクランクFC-R2000の分解洗浄と軽量化は完了した。
クランクシャフトのキャップはなくさないように取り付けておく。
カバー/チェーンガードを外した方が逆にカッコ良くなった。新しい自転車はこのクランクで決まり。思いのほか見栄えが良くなって驚いた。
軽量化できるうえ、掃除と整備がしやすくなる。これはおすすめ。安っぽいカバー/チェーンガードは要らない。
是非ともカバーなしのアウターリングも販売して欲しいもの。
クランクの裏側
軽量化のあとは計測の時間だ。
右クランクは775g。
左クランクは256g。合わせて1,031g。