こんにちは。からあげです。
285kmの長い長い無補給区間を抜けて、本日ようやくBroomeの町に辿り着いた。Broomeに近づくにつれて交通量が一気に増えて、辺境の地であることを全く感じさせない。Broomeと言えば、遠浅のCable Beachが非常に有名で、海水に浸った海岸を歩くことができるそうな。
今朝は明るくなってきた6時になると自然に目が覚めた。耳栓をしていても、外界の変化には凄く敏感。それにしても、テントのファスナーが壊れてしまって困った。最近は雨の心配が全くなってテントなしでシートを敷いて寝ても大丈夫なのだが、毒を持ったヘビや虫がいるので、体むき出しで眠るのは危険。
一昨日は大きなムカデがいつの間にかテント内に侵入していたし、昨日は昨日でテントの近くをムカデが這っていたのを見て全然気が抜けないと思った。乾燥地帯ではハエが鬱陶しいし、湿潤地帯では蚊に囲まれてしまう。そんな時にテントの出入り口をピタリと閉められなかったら、ゆっくり休むこともできない。
新しいテントを買うべきか、それとも日本から送ってもらうか、はたまた何とか自分で修理して使うか、常に頭を離れることはなかった。そんな重たい気分でBroomeに向かった。
追い風のなか、Broomeに向かって走る。
まだ9時前なのだが、かなり暑い。
交通量は多めで気を遣う。
オーストラリア北西部はサイクロンの被害を毎年のように受ける地域。暖かいインド洋で発達したサイクロンが北西部を襲い猛威を振るう。丈夫な避難所のようなものがあるのだろうか?
町外れまでやって来たところ。
まずは町の中心部へ。テントのことを片付けないと、観光などする気になれない。
新しいサイクリングロードが現れたが、妙にクネクネして走りにくい道だった。町に入ると、いつの間にか消えてしまった。
まずはスーパーマーケットにやって来た。とりあえず、なんか食べて落ち着こう。
慌てても何もいいことはない。
パックコーヒーとポテトチップスを購入。
日陰のベンチで休みながら食べる。
スーパーマーケットから近いインフォメーションにやって来た。
ちょっと気になる情報が欲しかった。
建物の中に入ると、観光客でいっぱい。こんな賑やかなインフォメーションに入ったのは初めてだった。みんな情報を得ようと熱心にパンフレットを見たり、カウンターで話を聞いていたりした。
おっさんはタウンマップとツアーの資料を手に入れた!Bungle Bungleツアーの情報が欲しかった。Ninoの言っていたとおり、入り口のキャラバンパークからツアーバスが出ていた。大人一人320ドル。自転車で行くと疲れるばかりで、着いた頃には戻らねばならないので、バスに乗って行くことにした。だが、料金がかなり高い。
インフォメーションの横には広大なOvalがあった。
周囲には大きな木が生えていて木陰で寝そべっている人の姿が見られる。凄く気持ち良さそう〜
次にやって来たのは自転車屋さん。Broome Cycles。アウトドア用品店に直行したいところだが、行くついでに見ておいた方がいい。じゃないと無駄に行ったり来たりを繰り返すことになる。意外に疲れるので注意。
日差しが強いので、自転車は日陰においておく。この炎天下に直射日光が当たるところに停めるのは危険。樹脂パーツやタイヤを傷めないように気を使ってやる。
店内を見学したところ、ファットバイクやMTBのレンタルもしていて、パーツの品揃えはちょっと少ないといった感じ。クロスバイクとMTBが主力商品で、ロードバイクはおまけで扱うというような都市部とは全く逆。なんと26×2.0インチのマラソンプラスツアー1本を発見した!現在、日本の代理店では取り扱っていない商品で、パンク防止帯の厚みが7mmもあるマラソンシリーズ最強のタイヤ。値段は驚愕の120ドル。
現在履いているマラソンプラスは前輪が中央の溝がなくなったくらい、後輪が中央のタイヤ溝がわずかに残っているくらい、とそんなに差し迫った状況ではない。ここで後輪を新品に替えておけば、今後タイヤの消耗を考えなくて済むようになるが、まだ十分使えるタイヤを捨てるのは惜しい。かと言って、1kgもある新品の重たいタイヤを括り付けて走る気にもなれない。ということでタイヤの件は保留にすることにした。
ようやくアウトドア用品店にやって来た。店構えはこじんまりとしているが、中に入ると奥行きが結構あって広い。
予想通りやっぱりガソリンストーブの取り扱いはなし。
オートキャンプ用のガスストーブしか置いてなかった。
見た感じどれもこれも道具が大きい。自転車向きの道具は僅かと言った感じ。中のアウトドア缶のガスボンベが約10ドル。大が約14ドルとかなり高めだった。
オートキャンプ用のテント。
持ってみると驚くほど重たい。
店内にハイカー向けの小型テントが置いてあったのだが、外観を見たところ微妙な感じだった。これは持った感じ軽いが、初めて見たブランドでベトナム製だった。
いくら安くても、すぐに壊れてしまえば結局高く付く。
おそらく持って一月、2週間も使えばファスナーがイカれるだろう。だってブルーシート地のテントに品質を求めるのが無理ってもんだ。
一応店員さんにテントの修理をしているか聞いてみたところ、答えはノー。どこか修理できそうなところはないか聞いても、心当たりがないということだった。
Broomeは北西部では大きな町だが、自分の欲しいものが見つからない。オーストラリアにもAmazonがあるみたいだが、果たして無事に届くかが心配になる。こんな広大な国だとサービス圏外も多そう。ということで今回はAmazonなどのネット通販は使用せず。第一受け取る場所が郵便局しかない。住所不定の辛いところ。日本に帰れば立派な持ち家があると言うのに、海外ではタダのホームレス。
ついでに日本人墓地にやって来た。
ここBroomeは真珠の養殖も有名なところで、100年前くらいから日本人もやって来て仕事をしていたようす。だが、潜水で体を酷使して若くして亡くなる人やサイクロンの被害で亡くなった人も多数居たんだとか。故笹川良一氏の寄付金などで、一時傷んでいた墓地を整備し直している。
意外にも、オーストラリア人の観光客が訪れていたのには驚いた。
大正から昭和初期に亡くなった人の墓が多く見られた。
異国の地で静かに眠る先人たちの苦労を偲んで黙祷を捧げた。
粗末な無縁仏の墓まであった。
なんとも悲しげ。墓参りする人はなし。
そしてもう一軒ある自転車屋さんにやって来た。Kimberley Cycles。店主一人で営業するこじんまりした店だった。ここも主力はクロスバイクとMTB。置いてあるバーツが少なかったので、マラソンプラスがないか直接聞いてみたところ、ないとのことだった。自転車屋はパーツを売るところではなく、技術を売るところなんだよ!そんな風に感じられた職人気質の店主。
走行距離はおよそ10,000kmと答えてタイヤを見て貰ったところ、パンク防止帯が入っているので、あと5,000kmくらいは持つとのこと。私もそう思っていたところだったので、思わず頷いてしまった。
このあとDarwinは行かずに直でAlice Springsに向かうと、およそ2,800km。BroomeからDarwinまではおよそ1,900km。わずか900kmの違いしかない。Alice Springsの信頼のおける自転車屋さんを教えてくれて、事前に電話をしてマラソンプラスを注文しておけばいいよとまで言ってくれた。ただ、私の英語力ではとてもではないが、電話注文は無理。メールでのやり取りとなるだろう。
ここで新たな考えが浮かんだ。Uluru観光をした後、Port AugustaからBroken Hill経由でBrisbane、Cairnsに向かうより、一旦戻ってMount Isa経由でCairnsまで行ってもいいのではないか?と。重複区間が約700kmにもなるが、距離が半分くらいの2,500kmに短縮される。Uluruへ向かう時にマラソンプラスを注文しておいて、戻ってきた時に受け取ればメール注文する手間が省ける。ただ、問題なのが、クソ暑くなってくる時期にMount Isaを抜けて東海岸まで出られるか?それが問題。
実際に行ってみないと、内陸部の暑さは分からないので、今後のコースは保留にしておく。やはりUluruから飛行機だと、ダンボール箱の入手と乗り継ぎ回数がネックとなる。もちろん運賃も高くなるし。
店を出る前に、ダメ元でテントのファスナーを修理できそうなところを聞いてみたところ、近所のソファー張替え屋さんを教えてもらう。えっ、そんなところで修理できるの?と思ったが、せっかく教えてもらったところなので行ってみることにする。
全く金にならない行きずりの自転車旅行者の相手をしてくれてありがとう!本当に助かりました。
暑くて暑くて死にそうになったので、ガソリンスタンドのコンビニに入ってフローズンを食べる。値段表示がなかったので危険な雰囲気がプンプン漂っていたのだが、暑さに耐えられずに注文してしまう。なんと値段は4.5ドル!高っか!!
ストローで吸うと脳みそが急冷されて頭がクラクラするほどの冷たさだった。一気に体が冷やされて楽になった。
しかし、これは危険な飲み物だ。こんな冷たい物をしょっちゅう飲んでいたら内臓に悪い。だっておっさんだから。
教わったTropical Upholsteryにやって来た!
恐る恐る中に入ってゆくと、職人さんがソファーの外張りを剥がしていたり、ミシンで裏面の布を縫っているところだった。ミシンを見た瞬間希望が湧いた。ミシンのおばちゃんにテントのファスナーの付け替えができるか聞いてみたところ、実物を見せてみなさいとなったので、荷物を下ろしてテント本体を持って中に入ると、さっきまでいたおばちゃんがいない。その代わり、外張り剥がしの作業をしていたおじさんに、「どれどれちょっと見せてみな!」と言われた。言われたとおり壊れたファスナーのところを見せると、リベットを切る大きなニッパーのようなもので、ファスナーのスライダーを挟みじめた。そしてマージック!と言って直してしまったのだった。試しにファスナーを開け閉めすると、ちゃんと閉まるではないか!職人さんたちにお礼を言って工場から出た。
こうして、野宿生活の危機から救われた。重たい肩の荷が下りてスッキリした気分になった。
良かった良かった。職人さんどうもありがとう!
まさにマジック!おっさんは小躍りして荷物をまとめて炎天下の中出て行った。
ホームセンターに寄ってゆく。Bunningsという大きな町によくあるお店。どういう品が売っているかチェックしておいた方が今後のためになる。
店頭に置かれていたガソリン携行缶。ポリエチレン製のタンク。
北西部は町と町の間隔が特に長いので、途中でガス欠になったら命の危険がある。そうならないために、携行缶に予備燃料を入れて持つ人が多い。
こちらはキャンプ用のプロパンガスボンベ。ボンベは繰り返し使用する。空のボンベと充填済みのボンベを交換するシステム。詳細は不明。大きなキャンピングカーでキャンプするのが主なオーストラリアではプロパンガスがよく使用されるようす。
ガソリンスタンドやホームセンターには、こうした小型のガスボンベが置いてある。
店内を覗いてみたところ、カセットボンベ4本パックが何と4ドルという値段で売られていた!カセットボンベはスーパーにも売られていて入手しやすいが、田舎に行くと見かけなくなることがあるので、カセットボンベ仕様のガスストーブはちょっと不便かもしれない。それに単品販売はほとんど見かけないので、積載量に限りのある自転車には厳しい。
自転車コーナーがあるか探してみたところ、やはりなし。オーストラリアは日本と違って、なんでもありとは違う。今度は他の系列の店でも探してみよう。
あまりの暑さで食欲はなし。とりあえず図書館に避難しよう。
ちょっと分かりにくい場所にあった図書館。駐車場には、車で旅行中と思われる生活感に溢れる車が多数停まっている。考えることは皆同じのようす。
暑いから靴と靴下を脱いで素足になる。
サンダルを買おうかと思ったが、鼻緒式のサンダルでも40ドルもしたので買う気が失せた。
まずはPCを借りて動画と画像のバックアップを行う。
まずまずのスペックのPCであっという間に終えることができた。
スマホとバッテリーを充電しつつ、館内をうろつく。
おお、無料のキャンプ場の情報雑誌もある。ふむふむ、やっぱりオートキャンプ場ばかりだな。全然参考にならん。
バッテリーの充電を終えるころには、日が傾き涼しくなっていた。これくらいなら、耐えられる。よし、スーパーに買い出しにでもいくか。肉食おうぜ!
街路樹にバオバブの木。
太い幹の中にはたっぷりと水分を蓄えているのだろう。雨が滅多に降らないところなのに、枯れる気配はなし。
放置されたショッピングカートが多い町では注意が必要。
店の入り口の張り紙。
タバコ、酒、裸足、喧嘩禁止。喧嘩禁止の貼り紙は初めて見た。
そら、当たり前だろ!とツッコミを入れたくなる。
いつでも買い物をしたい時に買い物をできるのは凄く便利。
しかも涼しくて快適ときた。
店の入り口に持ち帰り用のダンボール箱あり。自転車整備に使えるな。
充実した肉コーナー。
安いものだけ選んで買っておよそ8ドル。700gの骨付き肉が何と4ドル以下の激安プライス!スープの出汁用のものみたいだが、そんなの全然関係なし。
とにかく安く肉を食いたい。
よし、荷物をまとめたところで公園に行くか。
やって来たのは最寄りの2kmほど離れた公園。こういう時、自転車で良かったと強く感じる。
なにやら非常に賑やか。なにかのイベントみたい。
すでに肉を買ってしまっているので、止める訳にはいかずBBQを強行する。周囲はお店の準備をしているなか、一人だけBBQをしていて非常に場違いだった。
私はただ肉を食いたいだけなのだ。これから先暑さに負けずにペダルを漕ぐには肉を食べなければならない。一般人のレジャーのBBQとは違う。
食べ終わる頃には、お客さんが多数やって来てより賑やかになっていた。ふぅ〜よく食ったな。満足満足。冷ややかな視線など気にしていたら、飯も食えなくなる。構うものか!
すぐ目の前の海岸を散策する。
木陰が長くなっている。
なぜか赤い鳥居がある。不思議。
潮が引いた海岸。貝を拾っている人がいる。
昔の突堤の先で記念撮影。
北側の海岸にはマングローブの森が広がる。クロコダイルの奴が潜んでいるに違いない。不用意に近づくのは危険。
そして町の中の荒れ地でテントを張った。
直ったファスナーは若干硬くなったくらい。これであとは最後まで持つことを祈るのみ。ファスナーが閉まらなくなった原因はポールがきつくてテント本体のメッシュ生地がテンション強めに張っていて、その状態で開け閉めしていたものだから、スライダーに負荷がかかり口が広がってしまったようす。
今度同じ現象が起きたら、ラジオペンチで挟んでスライダーの口を狭めることにしよう。
さて、今日はこれでおしまい。自転車の整備計画を寝ながら練るとしようか。