こんにちは。からあげです。
一般人に心配されて意気消沈するも、3秒後には忘れて平静を取り戻した私。夕食を済ませたあと、ただちに寝袋に潜り込み朝まで爆睡。夜の冷え込みを警戒していたものの、今朝は大して冷え込まず。
7時過ぎ、荷物をまとめてねぐらを出発する。
すでに通勤ラッシュの時間帯になっている。周辺の道路は車が走り回っている。
さあて、行きますか。
今日の目的地は福岡。昼過ぎから雨の予報なので、早めに着いておきたい。
ねぐらに近かった吉野ケ里遺跡に行くも、オープン前で見学できず。冷静に考えれば当たり前だが、早寝早起きが当たり前の生活をしていると、午前9時のオープンがとてつもなく遅く感じられる。
吉野ケ里遺跡は社会の教科書に載るほど有名な遺跡。一度は見学しておきたかったのだが、オープンまで待ってはいられない。
吉野ケ里遺跡からは国道34号線でひとまず鳥栖(とす)に出て、それから国道3号線で福岡を目指す。とすとす言いながら独りニヤける。妙に響きがいい鳥栖。好きになった。
険しい峠越えのルートもあったが、太宰府天満宮に寄りたかったこともあり止めにした。
鳥栖と言えば、Jリーグのサガン鳥栖が有名。だが特に寄り道はせず。
通勤ラッシュで国道34号線の流れが非常に悪い。おまけに路肩が狭くて気を使う。
精神修行だと自分に言い聞かせながら慎重に走る。
鳥栖から国道3号線に出ると、さらに交通量は増してきた。
激しさを増す敵の攻撃についに耐えかねて道路脇の東屋に逃げ込む。常に臨戦態勢の町中では心身の消耗が大きい。
国道3号線は交通量が多い割に流れが速く、さらに大型車が多いため消耗が特に激しい。
自動車専用のバイパス道路のようになってきたが、自転車走行可。しかし、合流部分が非常に危険なため、面倒でも一旦出て入り直す。
頑張って漕いだお陰で10時過ぎに太宰府天満宮(だざいふてんまんぐう)に到着した。
学問の神様「菅原道真(すがわらのみちざね)」が祀られている神社として非常に有名。受験生たちに絶大な人気がある。
自転車を押して奥へと進む。
邪魔にならないところに自転車を停めて、タオルで頬かむりをして参拝することにした。
訪れた2月下旬はまだコロナ初期段階で、マスクをしている人は半数以下だった。
入り口に設置されていた牛の置物。
マスクをしていない受験生たちが大勢やって来て、誰が触ったか分からない牛を何度も撫でていた。
観光客で賑わう神社内。
外国人の姿も多く見られた。
なになら怪しげな行事の最中
この行列はどこに行くのだろう?
巨大な大楠。見上げると首が痛くなるほど大きい。
建物を突き破って生える楠。そんなことはない。ただの冗談。流してくれ。
立派な建物。屋台も普通に営業していた。
時間が経つにつれて神社内は混雑するようになる。
参道から出ようとすると、人の波が押し寄せる。
ここから出るのは危険と判断し、細い横道から出て行った。
福岡中心部へと向かおうとするも、交通量が多くてなかなか先に進めない。左折車にブロックされること多数。
そこで国道3号線を避けて県道を走り、確実に距離を稼ぐことにした。
途中のイオンで買い物をして、短めの昼休みを取る。そしてJR博多駅へ。
一度来たかった場所。西の終着駅として有名、嫌でもロマンを掻き立てられた。寝台車に乗るのが子供の頃の夢だった。
近代的な立派な駅ビルが建ち、多くの人が行き交っている。福岡は私の想像を遥かに上回る大きな町だった。まさかこれほど人がいるとは思わなかった。
自転車でブラブラと町中を散策。
ん?中洲一有名な無料案内所。何を案内してくれるんだろう。無料なのにどうしてやっていけるんだろう。とか、まるで小学生のような疑問が次から次へと頭に浮かぶ。
さらに進むと、街頭で宣伝する兄さんがいた。
「~なんとかなんとか~寝太郎で~す。今だけ100円、今だけ100円。今だけ100円。寝太郎で~す。」などと節を付けて歌っているではないか。
人が声を出して宣伝するなんて時代遅れにもほどがある。トラックの荷台に看板載せてスピーカーで音楽を流しながら徘徊するのが今どきのやり方なのに。
始めの文言は聞き取れなかったが、妙に記憶に残り今でも鮮明に覚えている。
寝太郎といば、Bライフ提唱者の寝太郎さんのことしか思い浮かばない私。
うむ~、ネタ作りに寄って行きたいが、密閉空間に入るのは躊躇われる。時期が悪すぎる。
ちょっとだけならいいではないか。大丈夫だよ。
いやいや、出先で発症して高熱を出したらどうする?旅を続けられなくなるぞ。
おっさんの脳内では激しい議論が交わされていた。寝太郎カフェの猛烈な吸引力から脱するのは本当に大変だった。
次回、福岡に来たときに寄ることにしよう。それまであるといいな。
混雑する福岡市内。どこへ行っても車と人だらけで落ち着かない。
もうこんな大都市は嫌だ。早くも機嫌が悪くなるおっさんであった。
バス停で並ぶ人々。ソーシャルディスタンスとか言い出す前のこと。
マスクをしている人は半数以下。
空模様は悪くなる一方。いつ雨が降り出してもおかしくない。暗くなる前にねぐらの目星だけでも付けておきたい。
ふらふらと海岸までやって来た。
うむ~、悪くない橋の下だが、夜間照明に照らされるおそれあり。
橋の下は風の通り道で強風に吹かれることもあるし、ここは人の通り道でもある。
夜間、襲撃される可能性も否定できない。
一見良さそうな東屋。だが、固定式の椅子が設置されていて野宿者の宿泊を拒んでいる。
いいではないか。一晩くらい。いや、ダメだ!その一晩が三晩になり、そのうち居着いてしまうかもしれない。ここでの野宿はご遠慮願いたい。
ちっ、うるさいおっさんだな。などと脳内で一人芝居をやって楽しむ。
野宿者に厳しい福岡の町。
橋の下は石を敷き詰めてコンクリートで固めてある。
だが、この程度で野宿できない私ではない。軟体動物のように体を捻じ曲げで痛くないようにして寝ることなど造作もないこと。ただここは人の通行が多そうなので泊まることはしない。
うむ、橋の下に幅30cm、高さ50cmほどの空間あり。
ここでも十分泊まることができる。シートを敷いて寝袋に包まるだけ。
こういうところでも寝られるように、いつでも寝相を良くして寝ている。
例の東屋に戻って休憩する。
ねぐらの目処は立った。あとは日没まで時間をつぶすだけだ。
しかし、どうしてこんな意地悪するんだろう。一晩くらいならいいではないか。
だからイカンと言っておるだろう。
などと延々と一人芝居を続ける。なんせ暇人なもんで。
一人芝居にも飽きたので海岸を散策する。
人工的過ぎて趣は全くなし。ブルドーザーが砂浜を行ったり来たりして平らにしていた。
地中海に面した海辺の町。そんな雰囲気を模して作られた施設。たぶん。
野宿者には眩しすぎて近寄る気にさえもならない。
オシャレな人達がウロウロしている。
福岡タワー
展望台に上がるのにはお金がいるので、外から見るだけにする。
妄想の世界で福岡の町を見下ろす。
かわいいニャンコが現れた!
声を掛けながら近づいて写真を撮らせてもらった。ちょうど煮干しを切らしていて残念だった。
海岸を彷徨いていると、とうとう雨が降り始めた。
奇妙な形の屋根の下に入って雨宿りする。
帆船の帆、それとも飛行機の翼?
微妙に丸くなっているコンクリート製のベンチ。
座っていると身も心も寒々としてくる。
誰がこんなところで寝るもんか。寝れないことはないが、頑張ってまで寝る気はなし。
キンドルで読書しているうちに、ようやく日が沈んで暗くなってきた。
ふぅ~、ようやく野宿タイムがやって来たな。
目を付けていた歩道橋の下にやって来た。
ちょうど街灯が当たらず目立たない。大当たり。
これぞ野宿!
大都市でも探せば必ずどこかに死角はある。
こうして一般読者にはどうでもいい、中身が空っぽの、おっさんの野宿講座は終わったのだった。
神埼~鳥栖~太宰府~福岡
立ち寄り場所 吉野ケ里遺跡、太宰府天満宮
走行時間 約5時間、走行距離 約70km
ねぐら 海岸の公園
おわり