身軽な軽量登山を目指す~ヘリテイジ ULトレイルポールの使い心地~

こんにちは。からあげです。

 

ポール使用推進派に転向したきっかけ

今日は登山に意外に重要なトレッキングポールについての話。

以前、積雪期でもないのにポールを使用するのは、ジジ臭くて凄くカッコ悪いと思っていた。
しかし、人の考えなんてキッカケがあれば、180度ガラリと変わってしまう。

去年、PCT(Pacific Crest Trail)を毎日歩いていた時に、試しに落ちている枝で杖を作ってみた。すると、体の負担が減り歩行距離が自然と伸びるようになった。

拾った枝で作った自作の杖

杖自体が重たくストラップがないため、しっかりと握る必要があって握力は疲れるが、全身の疲労の溜まり具合が全く違った。なぜ今まで気付かなかったのか!!

自作の杖を使ってポールの有効性に気が付いてからというもの、ポール不要派だった私は一気に180度方向転換し、今では熱烈なポール推奨派になった。ポールを使えば劇的に楽になるのに、使わないのは勿体ない。

ポールはジジ臭いと言いながらも、ブラックダイヤモンドのトレイルというコストパフォーマンス優れるポールを持っていたのだが、2016年みちのく潮風トレイルを歩いていた時に転んで曲げてしまった。

曲げてしまった時のようす

ポールはフリックロックというワンタッチで固定する部分で曲がってしまった。
季節外れの暑さにやられて注意散漫となっていた。

 

修理中のようす

ストーブで加熱してバイスに挟んで少しずつ修正するを繰り返した。しかし、完全には元に戻らず伸縮がスムーズにできなくなって強度も落ちてしまった。この状態で使用するのは危険だ。

 

ヘリテイジ ULトレイルポール

ということで新たにポールを買うことに決めたのだが、どうせ買うのなら耐久性を犠牲にしてでも軽いものがいい。
そこで軽くて最低限の強度はあるトレイルランニング用のポールの中から選ぶことにした。
トレランポールにもいろいろあるが、軽くて安いヘリテイジのULトレイルポールに決めた。

当然、定番のシナノのポールも選択肢に含めたのだが、重さの表記が片方のみの重さで分かりづらかったので、シナノは止めにした。
(トレラン業界では当たり前のことかもしれないが、誤解を与えかねない表記は止めた方がいい、と私は声を大にして言いたい。)

ヘリテイジは、キッチリと1ペアで重さの記載があって分かりやすい。一般人にはどうでもいいことかもしれないが、つまらないことにも拘る私にはとても重要なことだ。せっかくいい製品を作っているのに勿体ない。

商品のタグ

MODEL ULトレイルポール
SIZE  110cm
COLOR レモンイエロー
PRICE  9200円(税込み9936円)

注意:トレイルランニング用のポールです。重装備の登山などには使用しないでください。

 

組み立てが簡単スピーディーでシンプルな構造のトレラン専用ポールが登場です。
重量は115cmのワンペアでなんと265g!超軽量なのでトレイルランニングに最適です。
グリップにはEVAフォームを採用。水分を含みにくくグリップ性も抜群です。

サイズ 110cm、115cm、120cm
素材  アルミ合金 7001-T6 ポール径:10.2mm
重量  110cm:260g、115cm:265g、120cm:270g(1ペア)
折り畳んだ時の寸法 110cm:34cm、115cm:35cm、120cm:36cm

メーカーリンク ヘリテイジ商品(ULトレイルポール)
*画像・説明文はヘリテイジ商品ページより

 
 
ポールの長さは110cm、115cm、120cm3種類ある。身長165cmの私は一番短い110cmを選択した。
小屋に届くと嬉しさのあまり、さっそくはかりで重さを量ってみる。なんと1ペア(110cm)で264gという驚きの軽さだった。脳はポールの体積とこれまでの経験から、だいたいの重さを割り出しているが、それより遥かに軽くて持った瞬間に驚く。
トレランポールの長さは身長の65~66%が目安となっているようす。
私の場合で計算してみると、165cm×0.65≒107cmとなる。
参考リンク
 
バスケットとゴムキャップの重さは19g。これらを外すとポールは245gとさらに軽くなる。
Black Diamondトレイルとの比較
ULトレイルポールは折りたたんだ状態だと長さは約34cm。
コンパクトさが際立っている。
バスケットとゴムキャップを外すことで軽量化できるほか、よりコンパクトに畳めるようになる。
バスケットとゴムキャップを外したところ。
2つを比べると違いがよく分かる。バスケットがグリップに当ってこれ以上コンパクトにならない。
ポール不要時は、折りたたんでマジックテープ(ベルクロ、面ファスナーともいう)で束ねて携帯する。マジックテープはストラップに縫い付けられていて紛失する心配はなし。
グリップはEVAフォーム製で手に馴染んでグリップ力は高い。
ポールに対して角度が付けられている。
EVAとは、Ethylene-Vinyl Acetate エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂の略称で、ポリエチレンよりも柔軟性と弾力性を持つ、用途が広く優れた熱可塑性合成樹脂のひとつです。

特徴

■熱的性質
-20℃~60℃での連続使用が可能です。寒くなっても硬くなりにくく、ゴムと変わらない性質をもっています。

■耐対候性
EVAは耐候性に優れ、長期間の屋外暴露試験でも表面劣化を起こしにくく、耐オゾン性も極めて良好です。

■軽量性
比重が約0.95と軽いので塩ビやゴムに比べて製品の軽量化が図れます。

ソフトプレン工業株式会社 取り扱い材料 EVAより

 
アルミ合金のポールの表面にさり気なくロゴマークが付けられている。
ポールを伸ばしたところ。先端からグリップエンドまでの長さは110cm。
長さは110cm、115cm、120cmの3種類ラインナップされている。
巻き尺で測ってみると、ちょうど110cm。
ポールの直径も測ってみる。見た目はテント用のポールと変わりない。
直径 10.2mm
泊まりがけの登山の時は、テントポール補修用のリペアパイプを携帯した方がよいかもしれない。このポールは過激なまでに軽量化して強度を犠牲にしているように見える。
リペアパイプはアライテントのエアライズ用のもの。
細すぎず太すぎず適度にフィットする。リペアパイプにガムテを巻き付けて簡単な修理も行えるようにしている。
先端のゴムキャップ
ゴムキャップを横からみる
ゴムキャップの挿し込み口
中に丸いワッシャが取り付けられている。
汎用のゴムキャップと較べてみる。多少サイズは違うが、だいたいフィットする。他のポールで使った古いものだと多少緩いかもしれないが、新品を使えば大丈夫だろう。
バスケットのようす
外す時は石突先端を見た状態で左方向に回せば緩む。
バスケットの着脱は手で行える。
下側のようす
バスケットを装着すると、岩の隙間などの小さな穴に先端の石突が嵌まるのを防ぐことができる。歩いているきに不意に先端が嵌まると、ポールを曲げてしまうおそれがある。
極限まで軽量化をしないなら、バスケットは付けておいた方が無難。
試しにBlack Diamondのスノーバスケットを付けてみた。
するとピタリとフィットした。
下側のようす
このように一応は付けられるが、ポールに強度がないため、雪上での使用は止めておいた方がいい。軽く力を加えただけでしなる。これはあくまでトレラン用のポールだ。
ポールをばらした状態
テントポールのようにバラバラにならないように太さ2mmのロープが入っている。
ただし、伸縮性のあるショックコードではなく、伸縮性のない普通のロープ。
折りたたんだ状態だとロープのエンドはグリップエンドに来る。
ポールを伸ばして組み立てた状態。
あれ?おかしい。これではロープから手を離すとポールがバラバラになる。
組み立て方はキチンと書いてあるじゃないか。
初めての人間には分かりづらかったようで、追加の説明がされている。
ロープを引っ張って結び目をスリットに引っ掛けようとするが、結び目の位置が下過ぎて引っ掛けられない。
仕方なしに分解して結び目の位置をずらすことにした。
ロープのエンドからプラスチックのカバーを外す。
ロープを引き抜いて結び目の位置を変える。
固結びをしてあるだけ。ロープの太さは2mm。
ロープのエンドがほつれていたので、瞬間接着剤で処理しておくことにした。
おっさん得意の瞬間接着剤を使う。100均クオリティーで十分。
ロープの端を綺麗にカッターで切ったあと、切り口を瞬間接着剤で固めておく。
ライターで炙ると団子になるが、瞬間接着剤だと綺麗で耐久性もある。

 

瞬間接着剤で固めたところ。これで解れてこなくなる。

結び目の位置を調整すると、ロープを適度に引いた時に結び目がスリットに入れられて、ポールをしっかりと固定することができた。

よし、ようやく組み立てることができたぞ!

ロープを引っ張って手で握っていた時と較べてポールの剛性が格段に上がった。
手を離してもポールがバラバラにならない。

伸びたロープが邪魔な気もするが、そのうち慣れて気になることはないだろう。

よし、ポールが決まったな。

キチンと組み立てたところで、もう一度ポールをチェックする。
適度にロープが効いているため、地面に落としてもスリットから結び目が外れることはなく、ポールはバラバラにならない。

ポールを組み立てた状態だと、ロープの長さは伸びる。ブラブラして多少鬱陶しいが、ポールの構造上仕方ない。

バスケットとゴムキャップを付けた状態。

ゴムキャップの接地面のようす

ゴムキャップを外した状態

石突のようす

 

ULトレイルポール(110cm)でストックシェルターを設営してみる

ポールとセットで使用するのは、同じくヘリテイジのストックシェルター。近年、UL志向の高まりから非常に人気のあるシェルターだ。私もバックパックの自作をきっかけにULに目覚めた。以前から興味のあったストックシェルターを購入した。

今回はグランドシート代わりのタイベックシートとペグ2本も用意した。

 

一度はストックシェルターを設営してみたものの、ポールの長さが足りずにシェルターが弛んだため、頂点部の穴に手袋を突っ込んだ状態で再び設営してみる。
普段の登山で愛用している伸縮性のある作業用手袋。ホームセンターで300円くらいで売っている。基本は軍手だが、自転車に乗るとなるとぴたりとフィットする薄手の手袋がいい。

適当に折って穴にいれるだけ。

ストックシェルターを設営したところ

中に手袋を入れると少しはマシになった。グランドシートはタイベックからアライテントのエアライズ1用に変更した。
確かな防水性もあり目立ちにくいが、シェルター底面が滑りやすく落ち着かなかった。

天頂部のストラップを締めて生地が弛まないようにする。

出入り口を開放したところ

内側から天頂部を見上げる。

ポールが細いため、少しだけ内部空間が広がったような気がする。

両端の石突をグロメットに挿して外からゴムキャップを付ける。
ゴムキャップがないと、石突がグロメットから外れて生地を傷めるおそれがある。
安全に携帯するためにも、ゴムキャップは必要だ。

ブラックダイヤモンド トレッキングポールのティッププロテクター(ラバーキャップ)は安い互換品で十分
こんにちは。探検家のからあげです。 普段、登山で愛用しているフラックダイヤモンドのトレッキングポールのゴムキャップの互換品を紹介します。 これまで随分と使いましたが、正規品と遜色のない耐久性だと思います。 安価な互換品を使ってみてはどうでし...

 

使用した感想

まず始めに家から近くの山、残雪が多く残る登山道で使用した。登山者がほとんどいない場所は凍結していなくてアイゼンなしでもスイスイ歩けたが、登山者が多い場所にゆくと、凍結していてアイゼン無しではスリップの危険があった。

ポールを使用している時に滑ると、曲げてしまうかもしれないので、ポールを折りたたんで収納することにした。

下の雪がない場所まで下りると、ポールを組み立てて再び使用した。上りはいいが下りでバランスを崩した時にポールで体を支えようとすると、曲げてしまうかもしれない。
下りでは使用を控えるか、転びそうになってもポールには頼らず、自力でなんとか体勢を立て直す。

5月上旬、町石道(ちょういしみち)から高野山を経て熊野古道小辺路(こへち)から大峰奥駈道(おおみねおくがけみち)を歩いた。険しいヤセ尾根の区間を除いたほぼ全区間で使用した。

自作バックパックを始めとした軽量装備ながら、食料・水が重たくてなかなかハードな山行となった。しかし、ポールのお陰で当初の予定通り歩ききることができた。

トレランポールは慣れるまで時間がかかり、何度も曲げてしまいそうになったが、垂直に力を掛ければ大丈夫なことに気が付いた。もうトレランポールなしでの登山はありえない。

熊野古道使用後の状態

先端のようす

ゴムキャップを外して石突を出した状態で使用していた。

バスケットのようす

片方のみ傷みが目立った。ULトレイルポールには左右の区別はないのだが、使用時に左右の偏りがあったのかもしれない。

もう片方のようす

こちらはの傷みは少ない。
熊野古道はだいたい樹林帯を歩きで、木の根っこがたびたびバスケットに引っかかることがあった。状況によってバスケットは取り外した方が良いと思った。

先端にゴムキャプをした状態だとグリップ力が悪いため、常時石突を出した状態で使用していた。そのかわり、軟弱な地面では突かないようにしてトレイルのダメージを減らすよう心がけた。若干角が取れたように見えるだけ。耐久性に全く問題はなし。

 

トレランポールのメリットとデメリット

非常に軽量でコンパクト

普通の登山にトレランポールを使用するメリットは、なんといっても軽量でコンパクトなため楽に登山できること。大部分が手に持って使用しているとはいえ、重たいポールだと知らずしらずのうちに肩や腕が疲れてくる。バックパックに付けていてもそれほど重さを感じないため、気軽に持ってゆこうという気になる。安全・快適な登山の第一歩は、装備の軽量化から始まる。

収納組み立てが非常に簡単

ロープを引っ張ってスリットに掛ける、外すのワンアクションでできるため、収納組み立てが非常に簡単。
調整式は斜面の傾斜によって長さを調整できるが、組立時にいちいち目盛りを見て微調節する必要があって非常に面倒くさい。その点、長さ固定のトレランポールは、長さ調整はできないが、一発で組み立てることができる。
こまめに収納したり組み立てたりすることが全然苦にならず、ポケットに挿しっぱなしになることがない。

それなりに丈夫

トレランポールは軽量化のため、強度と耐久性を犠牲にしている。そのため取り扱いには注意を要する。ポールに垂直に力を掛けるようにすれば、トレランポールでも十分に体を支えてくれる。ただし、バランスを崩した時にポールを突くと、折れ曲がりそうになる。バランスを崩しやすい下りでは使わない方がいい。ポールを曲げないようにするには、普段からバランス良く歩くようにする。

泊りがけの登山で使用する場合は、念のためテントポールの補修用のパイプを持って行った方がいい。ついうっかり曲げてしまうと、あとはただの邪魔な荷物になってしまう。ポールは2本で使って始めて本来の性能を発揮する。片方ではバランス良く歩くことができない。

 

今回はここまで。また、何かあったら追記するので、記事を定期的にチェックしておいて欲しい!

コメント

  1. にしやん より:

    こんにちは。私も同じポールを使用しています。一度、うっかりバランスを崩した時に体重をかけてしまったら、簡単に曲がってしまいました。
    松本のカ〇シカに持って行って、直してもらいましたが、まだ全体的にしなっている感じです。
    なるほど、バーナーで熱して曲げを治す方法、試してみようと思いました。

    あと、両方ともグリップが剥がれて?下がってきます。これも100均の瞬間接着剤で修理してみようと思いました。
    隊長の記事を読んで、物は愛着を持って大事に使おうと思いました。

    • karaage より:

      バーナーで炙って直しても、強度が落ちるので止めた方がいいです。
      なんとなく見た目がマシになるだけです。
      パーツ販売しているかヘリテイジに尋ねてみてはどうでしょう?

      グリップの修理は見た目気にしないなら、いくらでもやりようがあると思います。