初めてのロングツーリング♪ 愛知~山梨へ 【後編】

こんにちは。からあげです。

 

初めてのロングツーリング♪ 愛知~山梨へ 【前編】
こんにちは。からあげです。 ついつい忙しさのあまり放置していた、私の初めてのロングツーリングの記録。放置しすぎると、腐ってしまう。腐ってしまう前に、これからお見せしよう。 当時はまだスポーツ自転車に乗り始めたばかりの時で、自転車の扱いも満足...

初めてのロングツーリングの話。長居して居心地の悪くなった実家を脱出し、山梨の小屋に向かって走り出した。あの時から私の自転車人生が始まったと言っても過言ではない。振り返ると非常に懐かしい気がするが、まだ1年も経っていない。人間の時間に対する感覚は結構いい加減なもので、辛い時は長く感じるが、楽しい時はあっという間に感じてしまう。

雨が多くて辛かった今年の北海道ツーリングだったが、終わってから振り返ると、毎日が走る喜びに満ちていて充実感でいっぱいだった。

 

それでは、思い出のツーリング後半戦、いってみよう!

3日目 焼津市街手前の公園から身延町の神社まで

公園での野宿は早起きが必須だ。とは言っても6時起床だが。

今朝も目覚ましなしで自然な起床。鳥のさえずりと散歩中のワンコの鳴き声で目を覚ます。(5時前ころ、漁港を一斉に出港してゆく漁船のエンジン音によって一度目が覚めている。)
付近を散歩している人は、おっさんのいる東屋を遠巻きにして過ぎてゆく。こうしては居られない、さっさと撤収して出発しよう。

東屋を出ると防潮堤の道路を走る。自転車に乗っていると、あら不思議、おっさんでも道行く人が好意的になる。野宿者から一気にツーリストに変身した瞬間だ。

まずは公園の水道で身なりを小奇麗にする。冷たい水で顔を洗ってサッパリ。
男前にますます磨きがかかったな!テヘ
 
 
その後、朝飯を食べようと焼津漁港にやって来たものの、どこにも早朝からやっている食堂が見当たらない。旧港を通り越して新港の方までやってきてしまったのが悪かったのか。新港の方は全く活気がなかった。
港の周囲には、昼の10時とか11時からの遅い時間から開店する観光客向けの食堂しかない。
私の想像していた漁港とは違っていた。ああ、マグロ食いたかったな。
 
 
焼津市街から脱出しようと、国道150線までやってきたのだが、「この先のトンネルは通行できません」という歩行者・自転車通行禁止の標識あり。
海岸沿いの県道416号線を通ることもできたが、途中のトンネルが歩行者・自転車通行禁止となっていて、戻るに戻れない状態だった。気がついたら自転車通行禁止のトンネルを抜けていた。
今さら戻るに戻れない。まるで人生のようだ!
 
地図で見ると、周囲の迂回路は国道1号線しかないようだった。
 

迂回路の国道1号線に向かっているところ。

ところどころ、自転車野郎のために標識が設置してあって嬉しくなった。

国道1号線を一旦横切ってトンネルを抜けてから、再び国道1号線に出て道の駅「宇津ノ谷峠」までやってきた。ちょっと先に長いトンネルがあるが、通れるかどうかは分からない。とりあえず寄って飯でも喰うことにした。

朝食セットにご飯1杯を加えて470円。

ご飯の大盛りがなかったため、もう1杯もらうことにした。
飢えていた私はあっという間に平らげた。もちろんソバの汁は全て飲み干した。汁が塩辛いだのとは言ってられない。やっぱり熱々のご飯には明太子が合う。

自転車で宇津ノ峠を越えるには、旧道または上下線別の新道のトンネルを抜けるかの2つの選択肢がある。旧道には、さらに大正時代のトンネルか明治時代のレンガ造りの2種類あってどちらか選ぶことができるようだ。

当然私は楽な方を選んだ。新道のトンネルには下り方向のみ歩道が整備されている。
上り方面は昭和時代に作られた古いトンネルで歩道がない。

トンネル内の歩道の幅は約3m、自転車同士でも乗ったままラクラクすれ違うことができる道幅だった。トンネル内の照明は明るくて平衡感覚を失うことはなかった。

自転車で新道 国道1号線宇津ノ峠越えルート

焼津方面からゆく場合、上り車線の道の駅の駐車場奥から、国道1号線を潜って反対車線の方に出て、側道を通って国道1号線の歩道に出る。あとはそのまま歩道を通ってトンネルを抜けるだけ。下り方面から来た方が分かりやすい。上り方面からだと非常に分かりづらい気がする。

歩道を走ってトンネルを抜けると、そのまま歩道を走って坂を下り、市街地を適当に走って太平洋岸に向かう。交通量の多い国道1号線を走るより、遠回りになっても車に気を遣わずに走れるサイクリングロードを走りたかった。

海岸近くになってようやく太平洋岸自転車道の標識を発見した!

よし、これでもう迷わずに済む。

川沿いのサイクリングロードをゆく。下り基調でスイスイ進む。

なぜか、散歩中の犬に吠えられた。確かに平日の真っ昼間にフラフラと自転車に乗っていたら不審者だろう。

太平洋岸に出たところ。

昨日に比べて雲が多いが、まずまずの天気だ。天気予報によると、天気は下り坂で明後日から雨が降るらしい。昨日はつい寄り道して距離が伸びなかったが、今日はバリバリ走って明日には小屋に着けるようにしたい。

ちょうど海岸付近は、護岸工事が行われている最中で、サイクリングロードはあちこちで通行止めとなっていた。その度に迂回路を探し周ってタイムロスした。

日本平周辺は気持ちの良い直線の区間となっていて、追い風に吹かれながら気持ちよく走った。
国道150号線と並行してサイクリングロードが走っていた。この日、平日にも関わらず、結構な数の自転車とすれ違った。

走っていてあまりの気持ちよさに写真を撮るのを忘れてしまう。クッ、ブロガー失格だな!

このままサイクリングロードをゆくと、半島のように突き出た三保の松原に行ってしまうので、手前で左に折れて清水市街地に向かった。寄り道をしていると、明日までに小屋に帰れなくなる。

清水港に寄って焼津港でマグロを食い損なったリベンジをしようかと迷ったが、寂しい懐事情を思い出して、スーパーに寄って弁当とパンを買って食べた。おやつのじゃがりこを加えておっさんのご機嫌をとっておく。

この後、しばらく国道1号線を走ったあと、峠越えが連続する国道52号線を走り山梨を目指す。
その前にしっかり食べてエネルギーを蓄えておく。

いよいよ、これから国道52号線を走る。

準備はいいか?

初めてのトンネル通過で肝を冷やした。後方から迫りくる轟音。大型車に抜かれる際、空気の塊に押され、抜かれたあとはぽっかり空いた空間に一斉に空気が流れ込む時に引っ張られる。
荷物満載の自転車は、空気抵抗が大きく風の影響を受けやすい。

何度かトンネル内の狭い歩道を無理して走ってみたが、砂やゴミ浮いていてハンドルを取られそうになる。一度、トンネルの壁に前のサイドバッグを当てた拍子にバランスを崩して、車道に落ちそうになった。危ないところだった。

それ以降は、微妙な幅の歩道は通らず車道走行した。

 

この恐怖の体験をして小屋に戻ると、すぐにテールランプを買って自転車に取り付けたのだった。

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こんにちは。からあげです。 テールライトの必要性 夜間自転車に乗る時にライトを点灯する理由は、前方の視界を確保するためだけではなく、他者に自分の存在を知らせるため。小さな乗り物は車から見えにくくて見落とされやすい。外灯や看板などの明かりがあ...

 

大型車の多い国道52号線を走るのは疲れた。

後方から迫り来る大型車に神経をすり減らしたおっさんは、途中で対岸にある富士川沿いの県道10号線を走った。確かに交通量はグッと減ったものの、今度はアップダウンに苦しめられた。

まだ自転車に乗り始めたばかりで、体が全然出来ていない。それでも不思議とケツの傷みはあまり感じなかったのだった。ひょっとして、自分は自転車向きじゃないのか?そんなことを妄想しながらペダルを漕いで自転車を走らせた。

国道52号線に戻る前に橋のたもとで休憩する。ちょうど、ここで休んでください!と言わんばかりのようにベンチが設置してあった。

峠越えで体は疲れたし、大型車に神経をやられ、そのうえお腹はペコペコだった。
カバンから取り出したスティックパンを何本か食べてみたが、そんなものではお腹は満たされなかった。

身延町役場

フラフラになってやって来たのは町役場。すでに3時半を過ぎたころで、そろそろねぐらを探しを始めないとイケない時間だった。

その前に水を汲んでおく。野宿するのに必要なものは、何をおいても水。トイレはあったら便利な程度でしかない。いや、トイレがあると人が寄って来るので、逆にないほうがいい。

野宿場所の選択肢を増やすために、あらかじめ水を汲んでおく。

温かい庁舎内。ふとおっさんの電池が切れそうになる。

いかんいかん!こんなところで休むわけにはいかない。閉館の5時に追い出される時には、外は真っ暗だ。暗くなってからの場所探しは大変。

さっさと出てゆこう。

その後、野宿センサーのスイッチを入れてゆっくり走るのだった。

ああ、お腹が空いた。夕飯の前に何か食べておきたい。

国道から離れた場所にショッピングセンターを発見して、吸い込まれるようにやって来た。
明日には小屋に着くので、必要最低限の食料を買う。

駐車場に移動販売の焼き鳥屋がいたので、ネギマとツクネの2本を買って食べた。久しぶりに嗅ぐ香ばしい焼鳥の匂いに、おっさんは全く抵抗出来なかった。柔らかい鶏の身を一個ずつ外して食べていると、あっという間に平らげてしまった。

外のベンチに座って休んでいると、近所のお年寄りが寄って来て話しかけられた。

「どこまでゆくの?」私が家まで帰るところです。と答えると、ポカンと口を開けて納得できないようすだった。

夕日が当たる富士山。

夕方ころになって、雲が晴れて青空が覗くようになった。
何か気配を感じて振り返ると、富士山の頭が周囲の山々から飛び出ていた。

刻々と日没が迫る。タイムリミットまであと僅か!

焦りの気持ちが最大になったころ、道路脇に良さそうな神社を見つけた。

おい、おっさん!ここで泊まってゆけよ!そんな声が聞こえたような気がした。
下りて神社をチェックしてみると、車の走行音がうるさいほど聞こえてくるが、民家から離れていて目立たない。トイレ・水場はないが、水は満タンあるので問題なし。大をしたくなったら、土手を越えて富士川に下りたらいい。

今日のねぐらはここで決まり!

この日、初日に続いて100kmを越えて走り、体のあちこちが悲鳴を上げていたのだった。
そんな体を労りつつ眠りに就いた。

 

走行データ
走行距離 127km
ねぐら  身延町内のとある神社
 
 

4日目(最終日) 身延町の神社から小屋まで

朝はかなり冷え込んで、サドル下りた霜が凍っていた。
まだ寒い2月中だから、当然のことと言える。日中、自転車を漕いでいる時は、暑くなるとTシャツ一枚になることもあるが、じっとしている時はフリースを着込んでいる。

夜間、神社には誰もやって来ず気楽な一夜だったが、すぐ横を通る国道の車の音で眠りは浅かった。野宿で熟睡したい、なんて贅沢は言ってられない。タダで泊まれるだけヨシとしなければ。

荷物を片付けをしているときに工事の人がやって来たが、単に車を止めにきただけで邪魔にはならなかった。

神社の上には奥社があって、ここからの眺めが素晴らしい。

朝日に輝く富士川と富士山を望むことができた。葉っぱが生えていない冬期のため、見晴らしは凄くいい。また麓の神社にお世話になるかもしれない。

賽銭を弾んでお参りをしておいた。

早くもトンネル恐怖症になってしまったおっさんだが、最終日はどこも歩道があって気楽に走ることができた。

さあて、さっさと小屋に帰ろうか。我が家に帰って寛ごう。

甲府盆地に入る手前に、洞門が連続する区間があったが、全て歩道があって安全に走ることができた。

それで気を抜いてしまたのかもしれない。左側の歩道から右側の歩道に変わる際、押し釦式の信号を渡ったのだが、その時車に撥ねられそうになった。

本線は信号付きだったが、脇に降りる側道の方は左折可となっていて、そこを青信号で渡った私がそのまま突っ切ろうとした。その直前、猛スピードのジムニーが走って行ったのだった。おそらくこれからパートに向かうそのおばさんは、私のことなど目もくれず一目散に走り去っていった。

色あせた黒のJA11、おそらくAT、作業服姿の40台の女性。私の脳裏に焼き付いた。

信号付きは本線のみで、側道はただの横断歩道だった。初めてのスポーツ自転車に乗って、たった数ヶ月であの世行きになるところだった。私はてっきり、側道も信号付きだと思ってそのまま行こうとしてしまった!危ない出来事だった。

その後は順調に走って甲府盆地にやって来た。風景は一変して開放的な平野が続くようになる。

ようやく家まで戻ってきたという実感が湧いてきた。ここからは勝手知ったるホームグラウンドだ。気を緩めずに走る。

途中でブラブラ寄り道をして、昼過ぎに小屋に到着!

数ヶ月間、放置した状態だったが、下草は生えずにスッキリした状態だった。
天気がいいうちにたどり着けて良かった。

初めてのロングツーリングで雨に降られていたら、どうなっていただろうか?効かないブレーキに嫌気がさして自転車を下りていたかもしれない。

リアのマットに大根を括り付けてきた。生活感あふれる自転車につい笑みが溢れる。

車を手放した私は、これから自転車で全てを行うようになる。遊びだけでなく、毎日の生活でも自転車に乗る。

店の前で荷物を括り付けていると、自転車好きのおじさんから話しかけられたのだった。
今の時代、荷物満載の自転車は珍しく、行く先々でたいていおじさん達に話しかけられる。

自転車は、道行く人と非常に距離が近く、気軽に話すことができる。それが魅力の一つと言っていい。人間嫌いの私だが、同じ趣味の人と話すのには、なんら抵抗を感じない。

早速、洗車して長旅の汚れを落とした。

愛知から山梨の小屋までおよそ400km。遠いようで実際に走ってみると、意外に近く感じたことを今でもハッキリと覚えている。当初は不安だった自転車のみの生活も、なんとかやってイケるんではないか、そんな明るい兆しが見え始めたのだった。

この日より自転車と同じ屋根の下で寝る生活が始まった。

ロフトを降りると、そこに新たな相棒の自転車がいた。

薪ストーブを焚きながら、寝っ転がって自転車を見ていると、いつまでも見飽きることはなかった。ウエスであちこちを磨き上げてピカピカにすると、ますます愛着が湧いてきた。

 

そんな自転車のPanasonic OJC4。人生に多くのものは要らない。ますます人生そのものを楽しむおっさんだった。

 

おわり