海岸沿いのダンプ街道を避けて登米にゆく

こんにちは。からあげです。

 

家に帰ると決めたら、今すぐにでも帰りたくなる。しかし、自転車なのでそうはいかない。

最短ルートを通りつつ、時には寄り道して観光も楽しみたい。そんな我儘なおっさんの希望を叶えるべく今日も自転車を漕ぎ続ける。

昨晩泊まったのは、気仙沼市の南の大谷海岸。
夕方ころ、ベンチに座って休憩しながら、終了時間を待っていると道の駅の人がやって来て、「泊まるんだったら、鍵を開けといてあげる。」そう仰って頂いた。

私は隅のほうでこっそりテントを張って泊まろうかと考えていたのだが、思いがけない好意を頂戴して小屋に泊まることにした。

かつて私は遠慮の塊で人の好意を断るのが当たり前、いや人を拒絶して自分の殻に閉じこもっていた偏屈なおっさんだったが、去年のPCTで考えを改めて、遠慮せずに人の好意を受けるようになった。

それでもヒッチハイクだけは、必要に迫られなければやる気が起きない。

道の駅の敷地の隅の方に建っている情報コーナー。
観光案内や津波の被害のようすが掲示されている。

まだ少なからない台風の影響があって風が強かったが、小屋の中で眠ったお陰で朝まで安眠することができた。ウッドデッキがあるシンプルな片流れの小屋ではあるが、丁寧な造りで細部までしっかりしていた。やはりプロの仕事は違う!

朝起きて空のようすを見ると、雲は多めで若干の向かい風が吹いていた。でもまあ、そのうち晴れてくるだろう。

お世話になった道の駅を出発する。

いやあ、本当に助かった。津波の被害を受けた南の方(南三陸町から女川町まで)の海岸線沿いの道は野宿場所が少ないと、前回2年前歩いた時に感じていたことだった。

早めに走行を切り上げてねぐら探しをする。そう決めていて、前回好感触だった道の駅にやって来た。

朝7時過ぎに出発すると、すでに道路の交通量は多め。
出勤する工事関係者の車とダンプカーが目立った。

当初は海岸線の道を走って南下する予定だったが、あまりの大型車の多さに嫌気が差して、内陸の道を通って女川をショートカットして一気に石巻まで行くことにした。

国道45号線から国道346へと入ったところ、向こうからダンプの車列がやって来るではないか!ルート変更したことを後悔したが、対向車のみでこちらは少ないことに気がついた。

行けるところまで行ってみることにした。嫌になれば、またルート変更すればいい。

しばらくゆくと道はスカスカになって走りやすくなった。
かに思えたが、戻ってきたダンプがやって来るようになった。

少し内陸に入っただけでは、あまり変わらないようだ。どこもかしこも大型トラックやダンプカーが走り回っている。この大型比率は異常とも言える。

朝の走行で早くも疲れてしまったおっさんは道の駅に寄って休憩する。林林館というところ。営業開始時間が遅くて、誰一人いなかった。

休憩中にタイヤをチェックする。北海道でホタテ貝を踏んで裂けた場所。麻糸で縫って補修してある。
パンクしてからの走行距離は、およそ4,000km。途中で1回補強し直している。

サイドは麻糸で縫っているものの、接地面を縫っても直ぐに切れてしまうため、縫うに縫えない状況。接地面に近い方が擦れて一部切れてしまっている。

しかし、内蔵されている耐パンク防止帯は裂けていないので、チューブが飛び出てくることはない。とりあえず、現状のままようすをみることにする。

折りたたみできる予備のタイヤを持っているので、ダメになったらいつでも交換できる。それよりマラソンタイヤの耐久性を知りたい。このままどこまで持つか、走れるところまで走ってやりたい。

鎌で刈り取って自然乾燥させている稲穂。
自分の家で食べる米だけは、このように自然乾燥でやっているそうな。少し弱いがあっさりして美味しいササニシキ。たいていは丈夫なヒトメボレで人工乾燥させるそうな。

自転車を停めて写真を撮っていると、地元で農家をされている老夫婦の方と話す機会があった。自転車はどこでも気軽に停められて、周囲の人と同じ目線で話すことができる。旅の移動手段としてなかなか優れていると感じる。

北上川沿いの平野には見渡す限りの田んぼが広がっている。

ところどころ、刈り取りが終わっている田んぼがある。

北上川の堤防をゆく。車は入って来られないところなので、自由気ままに走ることができる。朝のヒンヤリした空気が気持ちいい。

米谷大橋を渡る。青緑色の大きな鉄橋。

石巻に向かう途中、海運業で栄えた登米(とよま)という城下町に寄る。武家屋敷などが数多く残っているという。

橋を渡ると交通量は激減して凄く走りやすくなった。

登米の町にやって来た!

観光案内所の軒下で一休みする。

外部スピーカーで地元のFMラジオが流れていたのだが、サルの出没情報を出して注意喚起していたのには笑った。

後に町内放送でも同様のサル出没情報が流されていた。

サルを見かけても近づかずに、警察に通報するようにと言っていた。ここらへんのサルは人を襲うような凶暴なヤツなのだろうか?

ペダルを漕ぐと直ぐに腹が減る。
カバンの中には常にパンを入れていて、小腹が空いた時に食べられるようにしている。

まず始めにやって来たのは、教育資料館。
明治21年に建てられた洋風建築の小学校。なんでも昭和の中頃まで使われていたらしい。

長い廊下。

こら、走ってはいけませんよ!

昔の教室

二人掛けの机と椅子。もちろん木製。

天板を開けて中の物を取り出すようになっている。

彫刻刀で削ったあと。必ず1人や2人こういういらんことする奴がいる。

鉛筆削り用のナイフで削ったのかな?

教室の一番後ろにはだるまストーブが置いてあった。石炭を燃やして暖をとる。

私が子供の頃は石油ストーブだった。輪ゴムを焦がして嫌な匂いをさせるイタズラをする奴がいたな。

こちらの教室には四角い囲炉裏のような物が置かれている。
中で木炭を燃やして暖をとる。

おしおき棒

細い竹で作ってある。こいつで尻を叩かれるとかなり痛い。
そういえば小学校でおしおき棒を愛用していた奴がいたな。散々人のケツを叩きやがって!

広い畳の部屋

堅物の書道の先生が似合いそうな部屋だ。

部屋の奥の方には昔の足踏みミシンが展示されていた。どれもこれも年代物だ。

足踏みミシンは小学校に何台かあっただけだった。大部分はゴッツい電動ミシンだった。

黒光りするミシン

木炭アイロン

中に木炭を入れる仕組み。服を汚さないようにするのに気を遣うな。

校長室

ネクタイを締めたおっさんがいるぞ。机の上の黒電話がいい味を出している。

町の外れの方にある森舞台にやってきた。昔の能の舞台を再現したもの。有名な建築家が建てたそうな。

これが能の舞台

舞台の床下にはカメが置かれていた。
なんでも本願寺の舞台を真似しているそうな。カメの配置と角度は計算されていて、音響効果を高めるのだそう。

不要になったカメを放り込んであると思った!

水沢県庁記念館

水沢県庁として明治8年まで使われていた建物。県名が登米から水沢に変更になったそう。

これなんだったかな?執務室だったか。

まったくおっさんは忘れっぽい。

武家屋敷にやって来た。ここだけ無料!

雰囲気がある建物だ。

茅葺き平屋建ての建物

中ではカフェが営業している。自由に入って見学できる。

日当たりのよい縁側

ここに猫がいたら最高だな。

囲炉裏でお湯を沸かしているところ。
抹茶セットを頼みたくなったが、すでに入場券の共通券900円を奮発しているため、おっさんに余力はなし。くぅ〜。

昔の町並みが残る。

警察資料館

明治22年に建てられて昭和43年まで登米警察署として使用されていた建物。

敷地内には火の見櫓のような監視塔が建てられている。

中に入ると真っ先に目に飛び込んでくるのがパトカー。

中に入ってシートに座ることが可能。もちろんマニュアル。シフト操作がやけにガチガチした感じだった。

ボタンをサイレンを鳴らすこともできる。ただし、1人1回まで。近所迷惑になるからな。サイレン鳴らしておっさん大興奮だ!

白バイが2台展示されている。こちらも跨ることができる。

復元された留置場

中に入って楽しむ?ことができる。

反省したフリをするおっさん。
今日の昼は何を食べようかと考えていた。

こちらが実際に使われていた留置場の壁。外して展示してある。

所長室

机の上に足を投げ出したまま、部下に顎で命令してみたくなる。

渾身の登米ギャグ。

交通事故だけは気をつけなければいけないな。先日盛岡で車にツッコミそうになったし。

共通券を買ってしまったため、長々と観光することになってしまった。始めの教育資料館でお腹いっぱいになってしまったのに。

登米の町を出てやって来たのは、名前忘れた神社。

境内に生えていたイチョウの木。樹齢300年だとか。

石巻の外れのほうに入ったところで、スーパーに寄って昼休憩する。気がついたら、とうにお昼を過ぎていた。

出入り口のベンチに座ってモリモリ食べた。

石巻に入ったら、急に交通量が多くなって嫌になった。しかも大型車がやけに多い。市街地に入る前に上品の郷という道の駅に寄ったのだが、オシャレかつ人が多すぎて休憩する気には全くなれず。自転車旅行者には不向きな道の駅だった。

結局、石巻の中心部には寄らず。そのまま松島の方へ行くことにした。

北上運河に沿って自転車を走らせる。途中、何箇所も道路を横断することになってストレスが溜まった。

隣を流れる北上運河。1,882年に完成したそうな。

水面に映る松がいい感じだ。

松島航空基地を飛び立つ自衛隊戦闘機の轟音を聞きながら真っ直ぐな道を走る。相変わらず大型車が多い。

鹿妻駅前には戦闘機の模型?が設置されている。これは原寸大か?ひょっとして本物?

朝方ダンプから逃げようと、ハイペースで漕いでいたため、夕方になると疲労が蓄積されてバテバテだった。

鳴瀬川を渡る。さあ、日没は近いぞ!どんどん行こう。
この辺の河川敷は遮るものが全くなし。他を当たろう。

野宿する自転車野郎は走り続けなければならない。

一夜のねぐらを探すまでは!

野蒜(のびる)駅周辺は津波の被害で殺風景になっていた。
あちこち道路工事をしていたが、ほとんど交通量がないため、気楽に走ることができた。

ホタテ貝の山

松島湾ではホタテ貝の養殖がされているもよう。

貝殻だけは道に落とさないでくれよ!

2年前泊まった古浦農村公園。

なんだか雰囲気が変わってしまっている。あれ?

トイレがなくなっている!かなり老朽化していたから、壊してしまったらしい。トイレがないと水が汲めない!むむむ、次行こう。

日没近くになると、おっさんが覚醒する!独特の嗅覚を最大限高めて周囲の野宿場所を検索する。

むむ、あっちが臭いぞ!というような感じでやって来たのは松島湾の海岸。防潮堤の影がちょうどいいキャンプサイトになっていた。風が当たりにくく車が入って来れない場所。

夕暮れ間近でようやく落ち着くことができた。

ここ松島周辺も防潮堤が築かれてしまっている。観光客が来ない場所は野宿適地だ。

テントの中で夕食を食べる。

ここの辺りには街路灯はなくて真っ暗なのだが、日没後も歩いている人がいる。周囲に民家はないから、遠くから歩いて来ているようす。

 

ふぅ〜、ようやくブログ更新終了。昨晩は疲れ切っていたため、一晩寝て朝から作業を行っていた。やっぱり雑に更新しても2時間は掛かった。旅先だと効率が悪いスマホだから余計に時間がかかる。

さてと、朝食を済ませてさっさと出発しようか。今日は仙台までゆくぞ!

 

おわり

コメント

  1. NS より:

    登米はいい街ですね。
    宮城県に、こんなに明治を偲ばせる建物が現存している街があるとは知りませんでした。
    いつか行ってみたいです。

    それから名古屋で潰れたデパートは「三越」でなく「丸栄」では?

    • karaage より:

      なかなか雰囲気がいいところですよ。
      おすすめは警察資料館です。是非パトカーのサイレンを鳴らしてみてください。

      そう言えば、そうだったかもしれません。あまり栄には行かないもので間違えてしまいました。