初めての自作パソコン~パーツ選び 【その3】CPU・クーラー編 ~コンパクト設計の白虎 弐

こんにちは。からあげです。

はじめに

 

前回のPCケース選びに続いて今回はCPUとCPUクーラー選び。
高度な演算処理を行う動画編集には、それなりのスペックのCPUが必要。CPUは処理で熱を発生させるためクーラーも必要となる。

CPUメーカーにはintelとAMDの2大メーカーあり。何事も普通が一番、パソコンに関しては保守的な私はシェアナンバーワンintelのCPUが搭載されたものを使い続けてきた。
高品質でトラブルは全くなし。文句のつけようのないintelだったが、使っていてもまるで面白みがない。安心安全にワクワクドキドキ感などは存在しない。ここは慣れ親しんだ世界から未知の世界に飛び出す必要がある。今回のCPU選びは絶好の機会だ。

もう一方のAMDはintelと比べて勝るとも劣らない高性能だそう。しかもintelより安いときたもんだ。それならAMDを選ばないと損。

ということで今回は2大ブランドのもう一方の雄、AMDのCPUを選ぶことにした。

 

AMD Ryzen7 1700X

初めてのAMDで選んだのがRyzen7 1700X。
「えーえむでぃー らいぜんせぶん いちななまるまるえっくす」おっさんは復活の呪文のようなものを唱えた。

動画編集には 「intel Core i7またはAMD Ryzen7以上」のCPUが必要とのこと。コア数は4コア以上あればよいそうな。これらの条件を満たし、もっともコスパの良いものはRyzen7 1700X。価格ドッコトムで安い順に並べ替えて一番上に来た。2020年10月上旬での価格は約21,000円だった。
ハイエンドのRyzen9は、おっさんの財布に負荷がかかり過ぎるため危険と判断し、候補から除外した。

自作のデスクトップPCならパーツ毎の交換が可能だ。必要に迫られた時に必要なスペックのものに交換すればいい。コンピューター関連の技術は指数関数的に進歩する。1年待つだけでより高性能なものが安く買える。

 

Ryzen7 1700Xスペック

CPUコア数 8
スレッド数 16
基本クロック数 3.4GHz
最大ブースト・クロック 最大 3.8GHz
デフォルトTDP/TDP 95W
対応OS Windows 10 – 64ビット版など
対応ソケット Socket AM4
TDP(Thermal Design Power)とは熱設計消費電力とも訳され、CPUの設計上想定される最大発熱量を表す。CPUクーラーを選ぶ際の目安となる。
コア数とスレッド数については、パソコン工房のサイトでシェフに例えて分かりやすく解説されている。
 

 

CPU選びの注意点~メーカーやモデルによってソケット形状が異なる~

CPUはメーカーやモデルによってソケットの形状が異なっているので注意が必要だ。CPU裏面のピンがマザーボードのソケットに嵌るようになっている。
intelでは「GA1151」、AMDでは「Socket AM4」という規格が主流。
いくら安いCPUでも旧規格のソケットではダメ。安物買いの銭失いにならないように対応するソケットを必ず確認しておく。

1700Xの箱を開けると、ポッカリと空いた空洞に驚いた。
製造工場で何かを入れ忘れたのではないだろうか。はじめはそんな風に思ったのだった。

CPUは小分けされた箱の中に入っていた。

CPUを取り出したところ。
高密度に集積されたパーツのため、持ってみるとずっしりとした重量感がある。
まるで金塊のよう。

CPUの裏面にはたくさんのピンが装備されている。これがマザーボードのソケットにピタリと収まる。電気信号が伝達される重要な部分。
とても繊細なところなので、指で触ったり下に落としたりして傷めないように気をつける。

はじめCPUを見ただけで満足した私だったが、しばらくして欠けていた何かにようやく気がついた。
そう、CPUクーラーが見当たらない。

高熱を発するCPUには冷やすためのクーラーが必要。
AMDのXシリーズはリテールクーラーと呼ばれるメーカー純正のクーラーが付属しないほか、クロック数やTDPなどが通常版とは若干異なる。
詳しくはPC Watchで解説されている。私のような初心者には難しい用語ばかりで理解不能。なにかの暗号文のように思えてくる。

 

よく見ると、箱にクーラーが付属しないとキチンと書いてあった。

なるほどそうか。Xシリーズはなくて当たり前なのか。初心者用トラップがこんなところにも仕掛けられていたとは。

PCを自作する人は個別パーツにも大きなこだわりを持つ。リテールクーラーはコスト重視で冷却性能はイマイチ。そのためPC自作派からは敬遠されるようす。使えないクーラーを付けるくらいなら、クーラーなしにしてその分安くして欲しいと考えるのも当然だ。
CPUクーラーは物によって性能やサイズが大きく異なる。何でもいいから付けておけばいいというものではないらしい。

 

win11のシステム要件(CPU)はAMD Ryzen7の場合は2700以降

最新版のWindows11は、日本では2021年10月に公開された。
Win10から無料でアップグレードできるものの、システム要件がやや厳しい。
できるだけ長く使えるように十分余裕を持ったスペックのものにしたものの、CPUだけ要件を満たせなかった。

Ryzen7 1700Xは簡単な動画編集からワープロ・表計算ソフトまで楽々こなせる十分すぎる性能があるのに、第一世代の古いものであるがために足切りに遭ってしまった。僅か1年ちょっとで最新OSに対応しなくなってショックだった。Ryzen7の場合は2700以降第二世代のものを選びたい。

マイクロソフトの公式発表によると、Win10のサポート2025年10月まで。敢えてWin11非対応の安いCPUを選ぶのもありかもしれない。中古市場ではよりどりみどりだろう。サポートが切れたあとはLinuxを入れて使えばよい。

Windows 11 の仕様とシステム要件 | Microsoft
Windows 11 の仕様と機能の概要を Microsoft で確認してください。Windows 11 のデバイス仕様、バージョン、対応言語の詳細
Windows 10 Home and Pro - Microsoft Lifecycle
Windows 10 Home and Pro は、モダン ライフサイクル ポリシーに従います。

 

CPUクーラー選び

クーラー選びの注意点~ソケット形状のほかに全高も重要

CPUクーラーもCPUと同様にソケットに対応するものを選ぶ必要がある。
ほかの注意点はクーラーの全高スリムタイプのPCケースはサイドパネルと干渉するおそれがある。冷却性能ばかりに目が行きがちになるが、PCケースの許容するCPUクーラーの高さも確認しておかねばならない。ここは重要なので後ほど詳しく説明したい。

さらにCPUクーラーの中にはLEDで光るRGBタイプがある。光りモノが嫌いな人は選んではダメ。透明のサイドパネルだと、ちかちか光っているのが見えて作業に集中できなくなる。ゲーム以外の用途であれば、地味な光らない通常タイプがいいだろう。

メーカーはPC自作・冷却機器専門のScythe(サイズ)の評判が良いらしい。

 

虎徹 MarkⅡ(こてつ まーくつー)

 

型番 SCKTT-2000
冷却方式 空冷サイドフロー型
サイズ 130(W) x 154(H) x 83(D) mm(付属ファン含む)
搭載ファン 120 x 120 x 厚さ27 mm
ファン回転数 300 (±200) rpm ~ 1200 rpm (±10 %)
ヒートパイプ 6mm径 x 4本 (ニッケルメッキ処理)
対応ソケット Intel LGA 775 / 1150 / 1151 / 1155 / 1156 / 1200 / 1366 / 2011 / 2011(V3)
AMD Socket AM2+ / AM3+ / FM1 / FM2+ / AM4

初めてのパソコン自作で何を選んだらよいのか分からない。そこでネットで検索してみると「虎徹 MarkⅡ」がヒットした。
サイドフロー型CPUクーラーの人気モデルで、前モデルからさらなる進化を遂げたMarkⅡ。
6mm径ヒートパイプを4本採用して冷却性能は抜群に良いそうな。

だが、対応ソケットのほかに気をつけるべき点がある。それはCPUクーラーの全高だ。
通常、マザーボードはPCケースの側面内側に取り付けられる。マザーボード上に取り付けられたCPUのさらに上に乗っかるCPUクーラーは、高さがあるとサイドパネルに干渉してしまう。

私が選んだPCケースは静音タイプでミドルタワーの「Corsair 100R Silent」。
同PCケースの対応CPUクーラー高さは150mmまでだが、虎徹MarkⅡの全高は154mm。Amazonレビューによると、ギリギリいけたという人もいたし、干渉してダメだったという人もいた。許容値をオーバーしているので、虎徹MarkⅡは止めにすることにした。初心者のうちから冒険をしてはダメ。初めての今回は基本に忠実にやっていこう。

参考になったのはメーカー公式サイトのほか、「hermitage akihabara」というアキバ情報系サイト。ライターたちの造詣と熱量がもの凄く伝わってきて圧倒される。専門用語の羅列ではなく、初心者でも分かりやすい簡単な言葉で丁寧に解説されている。

 

BIG SHURIKEN3(びっぐしゅりけんすりー)

型番 SCBSK-3000
冷却方式 空冷トップフロー型
サイズ 122(W) × 69(H) × 122(D) mm(各部の最大突起部を含む)
搭載ファン 120 × 120 × 厚さ17 mm 
ファン回転数 300(±200)~ 1800 rpm(±10%)
ヒートパイプ 6 mm径 × 5本(ニッケルメッキ処理)
対応ソケット Intel 775 / 1151 / 1150 / 1155 / 1156 / 1200 / 1366 / 2011 / 2011(V3) / 2066
AMD AM2(+) / AM3(+) / AM4 / FM1 / FM2(+) / TR4は非対応

次に目を付けたのはトップフローで120mm 17mm厚の薄型ファンを搭載したBIG SHURIKEN3。
スリムケース用に設計されて全高はわずか69mm。クーラー本体の上面からマザーボード方向へ風を当てるトップフロー式のエアフロー構造を採用。CPU以外のVRMなどマザーボード上の周辺冷却が可能となっている。

全高69mmで余裕があり過ぎる。ヒートパイプは虎徹MarkⅡより1本多い5本で冷却性能は十分ありそう。しかし、薄型ではあるが縦横のサイズが大きいのが気になる。

サイドパネルとの空間は余裕あり過ぎ。しかし、マザーボード上のメモリなどと干渉するおそれがある。
マザーボードは一番大きなATX規格を選ぶが、メモリと干渉するかしないかは現物を合わせてみないと分からない。よってBIG SHURIKEN3も却下。

 

白虎 弐 AMD(びゃっこ つー えーえむでぃー)

型番 SCBYK-2000A
冷却方式 空冷サイドフロー型
サイズ 111.5(W) × 130(H) × 84(D)mm(搭載ファン含む)
搭載ファン 92 × 92 × 厚さ26 mm
ファン回転数 300 ±200 rpm ~ 2300 rpm ± 10%
ヒートパイプ 6 mm径 × 3本
対応ソケット AMD AM2 / AM2+ / AM3 / AM3+ / FM1 / FM2 / FM2+ / AM4 / ※TR4は非対応

最後は92mmサイドフロー型CPUクーラーの白虎 弐。
全高130mmに高さを抑え、6mm径ヒートパイプ3本を採用している。ファンが小さくヒートパイプの本数が少ないものの、コンパクト設計で空間に余裕ができるのが魅力だ。
短時間の動画編集で負荷を掛ける程度なら十分だろう。今のところゲームをする予定はなし。ファンの回転数が高めなのが気になるが、細かいことは気にしない。CPUクーラーはこれで決まり。

ただし、白虎 弐には通常のintel版とAMD版の2種類があるので注意したい。

 

白虎 弐 AMD専用版の紹介

箱に入った白虎 弐 AMD。
AMD専用と大きく表示されていて、通常版のintel専用品と間違うことはなし。

箱から中身を取り出したところ。
CPUクーラー本体、取り扱い説明書、熱伝導グリスが入っている。
ファンクリップとAMDクリップは本体に装着済み。

説明書はかんたん明瞭で初心者にも分かりやすい。
日本語がとても自然。

対応ソケットの表示あり。

CPU(Ryzen7 1700X)のソケットはAM4。きちんと対応している。

クーラー全体

実に美しい工業製品。ピカピカのヒートパイプに多数のアルミフィン。

CPUと接する部分。透明保護シートが貼られている。
取り付ける前に剥がす。

きれいに曲げられたヒートパイプ。
3本と少ないが、多ければいいというものではない。

等間隔で並ぶアルミフィン。柔らかくて曲がりやすい部分なので、取り扱いには十分気をつけたい。

見ているだけでワクワクしてくる。
この高揚感は久しぶりだ。

搭載するファンは92mmと小さい分、回転数は最大2300 rpmと若干高め。
コンパクトに設計されているので多少は仕方がない。

ファンを固定するリテンションクリップ。フレーム四隅に防振パッドが貼付されていて、振動吸収性やファンの安定性に優れている。

AMDクリップ 

CPU上面にグリスを塗り、その上にクーラーを載せてクリップのレバーを回して固定するだけ。
取り付け時、レバーがどこかに引っかかっていて往生した。レバー操作に多少のコツがいる。

パソコン組立時のようす

仮組みしてからサイドカバーを開放したままの状態で試運転をしているところ。
サイドパネルとの空間は十分過ぎるほどあって問題は全くなし。マザーボード上の他の機器にも干渉なし。

コード類を整理してあとはサイドパネルを取り付けるだけ。

パソコンを自作してしばらく使っているが、快調そのもの。
あとは気温40度になる真夏にどうなるか。それは来年の夏が来れば分かることだろう。

今回はここまで。次回からはパソコンの組立に入る。

 

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つづく