ブルックスの革サドル (B-17スタンダード)の取り付けと感想、その後のようす

こんにちは。からあげです。

 

ブルックスの革サドルが欲しくなった理由

先日、手に入れたばかりの新しい自転車のSURLY ディスクトラッカー(Disc Trucker)。
テスト走行を兼ねて東京から愛知まで自走して帰ってきた。

重装備での乗り心地は最高で、ブレーキも安定してよく効くため、海外ロングツーリングでは大活躍してくれると、伊豆半島の山中を走っている時に確信した。

そんな新たな相棒の自転車だが、ちょっとしたことでサドルの手配が間に合わなくなり、とりあえず手持ちのOJC4のサドルを取り付けて乗って帰ってきたのだった。

 

このサドルがOJC4に付いていたもの。合成皮革で雨の日でもそのまま乗れて、メンテ要らずで楽でいいのだが、愛着が湧かないのが物足りなかった。普段、ガスストーブではSOTOのST-310というカセットボンベ仕様のものを愛用しているのだが、ノーメンテでも全く問題なく使えるので、全然愛着が湧かない。合皮のサドル同様にSOTOのST-310は、ある意味困った道具だった。

 

私は以前からブルックスの革サドルを付けたいと思っていた。世界1周サイクリストの自転車の黒光りする革サドルをみて自分も欲しくなった。そんな時、偶然にブルックスの革サドルを取り付けている自転車に乗っている人に出会った。

その人はアメリカ人のBillさんというおじさんで、数十年前に仕事の都合で日本にやって来たのだが、住んでいるうちに日本が気に入ってしまい、退職後も日本に住み続けているのだそう。
そのBillおじさんが言うには、革サドルはお尻に馴染んで乗り心地がよく、時が経つと風合いが出てきて愛着が湧くという。そんな彼は10年前に40年ものの中古自転車を購入して今でも大切に乗り続けている。
つまりこのサドルは50年ものとなる。

スプリング付きのブルックスの革サドルは、極上の座り心地だった。しかも経年変化でいい味が出ている。これは合皮には絶対に出せない風合いだ!隙間に詰めてあるビニール袋は、雨天時のサドルカバーか?

こうしたこともあり、次の自転車には絶対にブルックスの革サドルを付けようと決めたのだった!

 

ブルックス革サドル B-17スタンダード

仕様の詳細説明

これがブルックスの革サドル B-17 Standardだ!

 

イギリスの老舗メーカーのBROOKS社製の天然皮革のサドル。その中のB-17スタンダードは100年以上に長きにわたって生産されている定番のモデル。
クラシックな装いのランドナーはもちろん、自転車旅行者定番のツーリング車にもよく似合う!

創始者John Boultbee Brooksが1866年にはバーミンガムに移り住み、馬の鞍や皮革製品を扱うJB Brooks & Coをグレート チャールズ ストリートに設立。1878年に自分の愛馬の不幸な死からビジネスのインスピレーションを得た。 新たな馬を購入する余裕の無かったブルックス氏は友人に自転車を借りるが、彼はそのサドルの不快感に不満を抱き 自ら、何かをしなければいけないと心に誓う。 そして、1882年10月28日、ブルックス氏はついに革新的なサドルの特許を出願する。
まもなく発表された、まったく新しいコンセプトのパッド入りのコンフォートサドルは当時としては革新的で多くのサイクリスト達はそのサドルに驚喜し、大絶賛した。
この成功をきっかけに、ブルックス氏は自転車やモーターサイクル用のハンドメイドによる、 非常に美しいサドルやバッグ他のアクセサリーを生産し始める。そして今日では全世界にBROOKS社の名が知れ渡る様にまでなった。
diatechproducts.com(BROOKSの説明文より)

参考リンク BROOKS B-17 standard(メーカーリンク)

2020年10月現在、Brooks公式サイトは閉鎖されています。

 

箱の側面にClassicという赤いハンコが押されていて、バーコードのシールも貼付されている。
これは製品管理用だ。

箱から出したところ。
色はHoney。本当はBrownが良かったのだが、安かったHoneyを選んだ。
実物を見ると、Honeyが気に入った。結果が良ければ全てヨシ!

サドルを裏返す。

スチールフレームに革を貼り付けてある構造。

革はしっかりとリベットで留めてある。実にしっかりした作りだ。
諭吉君を1枚出しただけはある。

使用しているうちに革が弛んでくるので、適宜調整ナットを締めて張りを調整してやる必要がある。

専用の調整スパナが付いてくる。

横からみたようす

中央部分の太ももの内側が当たる部分が高くなっている。

両サイドにはBROOKSの刻印がされている。

後ろの部分には真鍮製のBROOKSという銘板が取り付けられている。
高級感があっていい!

サドルの中央付近に3つ穴が空いている。
これは長時間座っても蒸れないようにするためか?

革は上質で作りが丁寧。真鍮製のリベットもいい。
買って本当に良かったと思える品質だ。

サドルだけでも上質なものが欲しいと思う人にぴったりな一品。

Proofideというブルックス革サドルの専用クリーム。
おまけで2.5ml入りの袋が1つ付いてくる。

これが説明書。

説明書を広げてみると、キツネを庇って木の陰に隠れて、猟犬の群れをやり過ごす男女の姿が載っている。無事逃げ切れたのだろうか?二人の乗っている自転車がなんとも渋い。

裏面には日本語による取り扱い説明が記載されている。
熟読して取り扱いを覚える。

ブルックスのサドルの保証期間は通常2年間だが、BROOKS FOREVERに登録すると、10年延長保証が受けられる。
新規アカウントを登録してから製品を登録する。

 

製品登録の方法

BROOKS FOREVERのTOP画面
ページをスクロールさせてゆくと、中ほどにREGISTER FOR BROOKS FOREVERというボタンがある。このボタンをクリックする。
するとマイアカウントのページが表示される。
左が登録済みの会員用、右が新規登録者用。
REGISTERのボタンをクリックする。
必要事項を記入のうえ、REGISTERボタンをクリックする。
SIGN UP FOR NEWSLETTERにはチェックを入れず。

登録完了画面
これで革サドルの保証期間が10年間に延長された。イエイ!

 

サドルの重さは、クリームを塗る前で542g。

通常の合皮サドルと比べてかなり重めと思っていいだろう。ツーリングバイクの場合、それほど重さを気にすることはない。重量より乗り味の方が重要だ。多少重くても、長時間漕いでもお尻が痛くならない方が遥かにいい。

付属の調整スパナを当ててみる。
だいたいフィットしてくれた。

今度は14mmのスパナを当ててみたところ、隙間に入ることは入るが、ガタが大きすて締め付けを躊躇われる。ワンサイズ小さい13mmのスパナだと口に入らず。インチネジか?

サドル専用の調整スパナを持ち歩くのは嫌なので、他の作業でも使える汎用性の高いモンキーでやりたい。薄めで口周りが細いモンキーだったら入りそうな感じがする。

そのうち、ぴったりなモンキーを探してブログにアップするので、しばらく待って頂きたい。

 

保革クリームの塗布

自転車に取り付ける前に、クリームを塗っておく。
クリームを塗るのはもちろん今回が初めて。付属のProofideを使用する。

WEBのサドルケア方法にはプルーファイドはBROOKSレザーに合わせて調合されています。 
必ず純正プルーファイドをご使用ください。と書かれている。

袋を破って中身を出してみると、いいの匂いがする白いクリームが出てきた。

参考リンク BROOKSサドルケア方法

2020年10月現在、Brooks公式サイトは閉鎖されています。

 

まずはサドルの裏面に塗り込む。
指で丁寧に塗ってゆく。裏側は拭き取らずにそのまま浸透させる。

説明書にはドロヨケを使用しない時に裏側も塗ることをお勧めするとある。ただし、裏側は頻繁に塗ると型崩れのおそれがあるらしい。今回は初めてということで裏側も塗っておいた。あとは必要ない限りは塗らないでおこう。

※サドル裏側に頻繁にオイルを塗りこむと革のテンションが損なわれる
恐れがありますのでご注意ください。

 

クリームを薄くのばして全体を塗ったところ。
指が入るところだけにしておいた。

続いて表側を塗る。

こちらも指に付けて薄くのばして全体に塗った。

サドルの穴は、切った結束バンドを使って塗りつけた。

クリームを塗ったあと一晩そのまま放置しておいた。

翌朝、乾いたウエスで表側をキレイに磨いた。
すると、表面がツルツルピカピカになってくれた。

サドル裏側のようす

クリームが革にしっかり浸透してくれたようす。
裏側は染み込ませたまま。ウエスで拭かない。

 

サドルの取り付け

ディスクトラッカーに革サドルを取り付けたところ。
グレー基調のフレームにもバッチリ合っている。
サドルの表側はクリームを塗ってピカピカのツルツルになったため、水平に調整するとお尻が滑って漕ぎにくかった。

何度も角度を変えてはテスト走行を繰り返した。

求めやすい合成皮革のサドルと比較する。
サドル中央部のお尻の接触面が広くなっている。

 

取り付けた感想

その後、サドルの調整が済んでから、近所の河川敷まで走りにやって来た。
クルームを塗り込んだ革サドルは、適度にしなってお尻に優しい。
表面がツルツルのピカピカで滑りやすくなっているが、使用しているうちに表面がざらついて適度にグリップしてくれるようになるだろう。滑りやすいのは仕方がない。

調整の結果、サドルの前側を少し上げると、ペダルを漕いでもお尻がずれることなく、広い部分に当たってくれた。この若干の前上がりの状態にすると、私のお尻にピタリとフィットしてくれる。

始めHoneyでは明るすぎるかなと思ったが、意外や意外。明るいHoneyでも地味目のグレーのフレームに合っている。

今回、新たに購入したSURLYのDisc Trucker(でぃすくとらっかー)。

革サドルを付けてますます乗り味が良くなった。しっかり手入れして自分のお尻に馴染ませてゆこう。今からサドルの5年後10年後が楽しみで仕方がない。むふふ。

 

革サドル取り扱い説明書

この度はブルックス社の革サドルをお買い上げいただき、誠に有難うございます。
お客様のお選びになった製品は大変クオリティーが高く、快適なサイクリングライフを長期間お楽しみいただけます。

取扱説明書 サドルを長持ちさせるために

使用されている革は自然素材ですので、快適な使い心地が長期間持続するだけでなく、スタイリッシュで耐久性もあり、暑い日にもクールな使用感をお届けします。本書に記載されている簡単な説明に従うことで、サドルをお客様好みの快適なサドルに仕上げることができます。

新しいレザーサドルは、当社オリジナルオイルProofideを用いて慣らしの過程を進めてください。Proofideは自然成分を用いて特別に調合されていますので、サドルの調整、保護に適しており、また雨からもサドルを守り、革をしなやかに保ちます。

まずサドルトップの裏側にProofideを塗布し、ふき取らずにそのまま浸透させてください。少量のProofideを表革にのせ、ベトベト感がなくなるまで浸透させてから布で磨いてください。Proofideは、Agedサドルの表革にはお使いにならないでください。慣らしの期間であれば頻繁にProofideをお使いいただき、その後は3~6ヶ月毎で構いません。サドルのお手入れの際には、Proofide以外のものをお使いにならないようお願いいたします。

革は自然素材であり、同じ革でも固さの異なる部分があります。また、小さなシミやキズ、微妙な色の違いなどは、素材の不良ではありません。革はなめしの過程で本来の色が出ます。そのため、色の残滓が残る場合もありますので、白や明るい色のパンツを履いて乗ることはお避けください。初めてご使用になる前には、柔らかい布でサドルをきれいに磨くことをお勧めします。サドルカバーを使って、サドルを湿気から保護してください。サドルが濡れたままの状態で乗られると、衣服に色が移る恐れがあります。濡れてしまったサドルは自然乾燥させ、決して革を引っ張ったりProofideを塗ったりしないでください。

サドルに革が正しく張られていれば、サドルの形状と快適性は保たれます。革の張り具合を調整する場合、ノーズボルトを1回に90度回転させ、張り具合を確認してください。その際はサドルのモデルにより、テンションスパナまたはアーレンキーをお使いください。革を張り過ぎますと、線維が伸びてしまい、弾力性が失われるおそれがありますのでご注意ください。少しずつ、そして頻度を控えて調整することをお勧めします。ノーズボルトを最後まで回転させてしまうと、革をそれ以上張ることはできませんのでご了承ください。AgeとImperialシリーズのサドルは、Heritageシリーズのサドルに比べて早く張りがなくなり、頻繁に調節が必要になります。革のたるみを防ぐため、常にこの紐を締めた状態を保ってください。

ブルックス社では、ロードレース用から実用車用まで、様々なカラーやレール形状の異なったサドルを生産しています。シングルレールのサドルは、マイクロアジャスト式のシートポストにご使用いただけます。ダブル/トリプルレールのサドルには、必ず付属のクリップをお使いください。このクリップはお客様とサドルを正しく支え、レールの破損を防ぐためのものです。

サドルの調整 快適にお使いいただくために

サドルの快適な座り心地は、一般的に考えられている以上に、正しい調節方法に左右されます。お尻の傷みを軽減して快適な座り心地を得るためには、サドルの広い部分に荷重がかかることが重要です。サドルの先端部には、できるだけ荷重をかけないようにしてください。サドルの先端部は、主に正しい着座位置を保つための役割を果たします。下記のヒントをお読みいただき、正しい着座位置の参考にしてください。

1.サドルの広い部分に座り、乗車中に脚の前方への動きによって着座位置が先端に移動しないよう、クランク軸の少し後ろ側に取り付ける。

2.サドル先端は、乗車中に体が前方に滑って行かない程度の高さにする。通常は、サドルの上面が地面と平行になる高さにする。

3.ペダルを快適に回せるよう、高すぎない位置に設定する。

長くお使いいただくために スペアパーツと修理

ブルックス社のサドルの破損は、販売店で修理可能な場合と、ブルックス社の工場での作業が必要な場合があります。修理不可能な場合もありますが、革のサドルトップが変形せず、良好な状態に保たれていれば、新しいサドルを購入して馴染ませる手間が省ける可能性があります。ブルックス社のウエブサイトには、全てのスペアパーツのリストが掲載されており、販売店での購入も可能です。ブルックス社では安全上の理由から、サドルの修理は自転車メカニックの方が行うことを強くお勧めします。

10年延長保証について www.brooksengland.com/forever

購入の証明となる領収書の保管が難しい場合には、www.brooksengland.com/forever(英語)でのご登録をお薦めいたします。ご登録いただくと、購入日付の証明となると同時に、新製品・サービス・イベント等をご案内するニュースレターを受け取ることができます。

登録には、サドルの製造ロット番号が必要になります。製造ロット番号は、サドルトップの裏側に”数字・アルファベット・数字”の3桁で刻印されています。(図をご参照ください。)この製品ロット番号のほか、ご購入の販売店名や日付などの情報も必要になります。

ブルックス社では、転倒や事故による損傷、また適切に手入れが行われなかったことによる劣化については保証いたしかねます。テンション調整を怠ることで金属部分に過重がかかり、損傷する場合もありますのでご注意ください。このような場合は、保証の対象外となります。10年延長保証はこの登録後に受けられます。今すぐにご登録を!

以上、付属の取り扱い説明書全文

 

参考リンク

サドルメンテナンス&ケアBOOK(PDF版)

革サドルのその後のようす

普通のサドルでも、それほどお尻が痛くならなかった私だが、100kmを超えると徐々に傷み出してきた。それがブルックスの革サドルを付けてからは、100km超えてもお尻の傷みをほとんど感じなくなった。広い座面と革のしなやかさで力が分散されてお尻に優しい。

重たくてこまめな手入れが必要な革サドルだが、抜群の座り心地を考えると、全く苦にならない。始めから座り心地が良かったが、5,000km程度でお尻に馴染みますます良くなった。

購入直後に一度革を張っただけで、その後はナットを締めて張ることはしていない。

8,000km走行後(オーストラリア走行中)

すっかりお尻に馴染み抜群の座り心地になっていた。適度なクッションが気持ちいい。

横からみたようす

20,000km走行後

オーストラリアから帰国後、丁寧にクリームを塗り込みこまめに手入れしていた。
そのお陰で黒光りするようになってきた。

多少雨に濡れても、あとで手入れすれば革が硬くなることはなし。雨天時に自転車から離れる時は必ずビニール袋を被せている。

すっかりお尻に馴染んだ革サドル。もうこいつなしには遠出する気にはなれない。
そんな気にさせてくれる愛着ある革サドル。

今後の成長がますます楽しみだ。

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