心身が荒野を欲している

こんにちは。からあげです。

オーストラリアツーリングもいよいよ大詰め。あとはCairnsまでのおよそ200kmを残すまでになっている。東海岸までやって来ると、潤いのある大地に濃い緑が広がっていて、適度な湿度と気温で過ごしやすい気候になっている。町と町の間隔も100kmに満たない近距離となり、補給で苦しむことは全くなくなった。
これからは思う存分快適なツーリングを楽しめるはずだった。

しかし、そんな状況とは裏腹に生温いツーリングに早くも嫌気がさしている。もっと苦しくてツラい、果てしない荒野がどこまでも続くアウトバックを走りたい!頭がおかしくなるほどの単調な道、毎日嫌がらせのように吹き付ける強い向かい風。ペンペン草しか生えない不毛の大地。荒野を欲する私の気持ちが日増しに大きくなっている。
まさか、最後の最後になって、こんな感情が沸き起こってくるとは。

オーストラリアの単調で変化に乏しい景色に反吐が出るほど飽きたはずのに、あの地平線まで続く荒野をもう一度走りたい!だが、今回はもういい。十分だ。また今度出直してきたい。今は日本に帰ってゆっくりしたい。

オーストラリアを走っていると、不思議と日本の景色が懐かしくなった。何の変哲もない田んぼの中の道。しまなみ海道、剣山スーパー林道、乗鞍スカイラインなどを走りたいし、南アルプスを一気に縦走をしてみたい。今はやりたいことだらけ。

今後は自転車で走ることにこだわらず、もっともっといろんな場所に行き、様々な経験値を積んだところで、もう一度オーストラリアに挑みたい。今回はあまりに計画が杜撰だったし、期間が長すぎた。3,4ヶ月で美味しいところだけ、ちゃちゃっと走って帰る。ただでさえ、おっさんは飽きっぽいのに、長居するとどうしても飽きてくる。10年以上経って記憶が薄れてきた時にもう一度やって来よう。うむ、そうしよう!

昨晩は夜遅くまで騒いでいる人間の声が聞こえたり、サトウキビを運んでいる貨物列車が踏切で警笛を鳴らす音であまり眠れず。
それでも、タダで安全に泊まることができたと思うと、得した気分になってくる。

少し冷え込んだためか、蚊の活動が穏やかでそれほど刺されることなく荷物をまとめることができた。長居は無用だ。さっさと出発する。

まだ寝静まっている町の中をゆく。
Inghamという町はマクドナルドがあるだけあって、かなりの大きさだった。昨日はインフォメーションセンターを出て図書館、スーパーマーケットしか寄ってないので、町の大きさを感じることはなかった。

踏切で待つ車の列

大きな町だけあって、遮断器付きの踏切となっている。周囲はサトウキビだらけで、貨物列車が運んでいるのはサトウキビ。サトウキビ運搬用の長い貨物列車が通り過ぎるのを待つ。

Cairnsまで残り200kmちょっと。
もうすぐそこまで来ている。あとは飛行機に乗って帰るだけだ。

復路の飛行機輪行のことを考えると頭が痛くなるが。今日はとりあえずCardwellまで行ってみる。あとは着いてから考える。

町を出てしばらくすると、唐突に上り坂が始まる。
こんな坂があるとはな!

登坂車線があって助かった。3連休の中日とあってか、朝から交通量は多め。

オーストラリアにもこんな急な坂があるんだな。
汗をかきながら頑張って漕ぐ。追い風で良かったよ。

坂道を登ったところにあったのは、Hinchinbrook Islandを望める展望台。一面に樹海が広がっている。少し湿度が上がったようで、ムシムシする。全身汗でびっしょり。

蛇とワニの住処となっていそうな島。フェリーで渡ることもできるそうな。帰国目前となった今、わざわざ危険な蛇とワニの住処には行かない。

峠からのしばしの下りを楽しんだあと、追い風に乗りながらCardwell目指して走る。ロードトレインが姿を消した東海岸の道路は、最大のトラックは2両編成のLong Vehicle。

だいたい路肩は広いのだが、クリークに架かる橋の部分が狭いところあり。大型車の爆音が聞こえてくると、全力で漕いで橋を一刻も早く抜ける。ドライバーによってはあまり距離を離さないときがある。それが凄くストレスになる。邪魔なガードレールも増えて地味にストレスが溜まるようになった。

お昼前にCardwellに到着!
町外れのビーチでしばしの休憩。あまりに人が多いので、すぐに退散する。

Cardwellは海沿いにできたリゾートの雰囲気が漂う町。モーテルや飲食店が多くて少し華やいでいる。

休憩しようとやってきた公園はイベント開催中で、フリーマーケットが行われていて非常に賑やかだった。自転車から下りて押しながらゆく。

展示中のクラシックカー。Cardwellに来る前に何台も固まって走っていた。たぶん、彼らだったのだろう。

どの車も隅々まで磨き上げられてピカピカ。

フリーマーケットの奥の方に人が少ないエリアを発見!

ここで休んでいくことにした。おや、なんだこの東屋は?

豪華電気式BBQコンロが4台設置されている東屋。

こんなの見たの初めてだ!ここでBBQパーティーでもやってくれということか。

濃い木陰で天然の涼風を浴びながら玄米ご飯を食べる。
オーストラリアに来てから、木陰でぼーっとするのが病みつきになった。木陰が気持ちよすぎる。最高の贅沢。

砂浜から飛び出た桟橋。英語でJettyと言う。釣りをしたり、散歩している人の姿が多く見られる。

周辺の海は少し濁っていてクロコダイルの生息地となっている。そのため遊泳禁止。

十分休憩したところで、水を汲んでおく。
置き忘れたら、掃除のおばちゃんに捨てられてしまいそうなペットボトル。どれも薄汚れている。半年間使い込んだペットボトルで愛着がある。いかんいかん。捨てて帰らないとイケないな。余計な感情など不要。

馬に乗って散歩中の子供たち。小さい馬はポニーと言うんだったかな?

町のスーパーマーケットIGAにやって来た!日曜日なのに営業しているのは嬉しい。大手スーパーのWoolworthsやColesは閉店するところもある。

炭酸水にポテトチップス。コーラばかり飲んでいると体に悪いので炭酸水も飲む。体に悪いものに限って美味いのだから困る。

再び追い風に乗って走る。スイスイ気持ちいい。

もうおっさんの行く手を阻むものは何もなし。

レストエリアにフリーカフェの表示あり。昨日初めて営業していてコーヒーを飲むことができた。今日はどうかな?

Bilyana RAに到着!今日はここで泊まり。
木陰があって早い時間からテントを張ってもイケる。

2日連続でコーヒーショップが営業していた。これは奇跡か?
たぶん3連休だからやっているのだろう。客が来ないのに開けていても仕方がない。

コーヒーを飲むと夜寝られなくなるかもしれないので、冷たい飲み物を貰う。写真手前に写っている人はフランス人サイクリストの奥さんの方。

レストエリアに着いてしばらくしたらやって来た。なんでも現在世界一周中とのことで、CairnsからBrisbaneまで走ったあと、ニューカレドニア、ニュージーランド、アフリカ、その後でまたオーストラリアに戻って来るんだとか。これから暑くなってくるので一旦出て行くのは賢い選択だろう。

オーストラリアのあとは南米から北米を走ってヨーロッパに戻るそうな。旅を始めてすでに3年以上が経過。日本にも寄っていて、福岡から東京まで走行している。その時のようすをまとめた動画を見せて貰った。

テントを設営したあと、ガソリンストーブの洗浄を行うことにした。昨日ようやくガソリンを使い切ったところ。飛行機輪行に備えてキレイにしておかねばならない。1回ではキレイにならないので、複数回やる必要があるが、早めにやっておくと気持ちに余裕ができていい。

コーヒーショップのおばさんにお願いして食器用洗剤を少し分けて貰う。

まずは燃料ボトルを洗浄する。テント用の予備ポールにウエスを付けてゴシゴシ洗う。

ガソリンストーブは本体、燃料ポンプを完全に分解して洗浄する。

オーストラリアの洗剤は洗浄力が強いようでよく落ちる。それにレモンのいい匂いがする。日本のママレモンみたいなもん。

洗浄したあとは、分解したままよく乾燥させる。 
ガソリン臭をとるためには、しばらく陰干ししなければならない。

木の下にテントを張って強い日差しを避ける。
フライシートはなし。雨が降りはじめてから付けても十分間に合う。フライシートを付けると、通気性が悪くなって一気に暑くなる。

やっぱりオールメッシュは快適でいい。通常のエアライズだと地獄のような毎日を過ごすことになるだろう。

フランス人サイクリストカップルの記念撮影

日本のことを凄い褒めて貰ったのに、フランスのことを全然知らないものだから何も言えなくて申し訳なかった。サッカーが強いことと自転車の本場くらいか。

タイヤはシュワルベのマラソンプラスツアー?、バッグはオルトリーブ、キャリアはフロントがサーリーナイスラック、リヤが不明。フレームはクロモリ。つっかえ棒に改造した松葉杖。ハブダイナモを搭載して前後ライト常時点灯。内装ギヤ装備。ハンドルはバタフライ。

パッと見は、ただの使い込んだ自転車に見えるが、各部のパーツにかなりのお金が注ぎ込まれている。内装ギヤはメンテナンスフリーだが、非常に高価な代物だとか。世界を走るサイクリストはなにげに金を持っている人が多い。

彼らの装備で一番気になったのは、駐輪中にハンドルが振れにくいようになるスプリング。聞いてみたら、名称は知らないという。

実際の乗せてもらうと、ハンドル操作はほとんど変わらず。駐輪した時にハンドルがほとんど振れない。これはあってもいいんじゃないかと思った。

リヤブレーキ固定装置。トゥークリップのストラップを使用して固定しているだけ。やっぱりこれがあるのとないのとでは全然違う。

彼らの自転車を見て思ったのは、世界一周にしては荷物が少ないこと。クッカー、ストーブ、工具類、予備パーツなどの共用品で荷物を大幅に減らすことができるし、テントの設営撤収、食事の用意なども分担して効率よくできるし、トイレに行く時に交互に自転車の見張り番をできる。本当にいいこと尽くめ。ご主人が前方を走って風よけと前方警戒、テント設営撤収。奥様が後方でナビゲーション、後方警戒、食事の用意をするようす。見ていると実に無駄がなくて流れるように作業が進んで行く。

ちょっと羨ましくなってしまったじゃねーか。チックショー!

今日は前日の疲れもあって、夕食を食べるとすぐに寝た。

走行データ
Ingham〜Cardwell〜Bilyana RAまで
走行距離84km、走行時間5h10m、Av16.2km/h、Max53.5km/h
ねぐら レストエリア