シートポストでミニモンキーの柄を延長して使う素晴らしいアイデア

こんにちは。からあげです。

 

寒風吹きすさぶなか、毎日自転車を弄り続けているおっさんだ。仕事一筋に真面目に生きてきた人間がいい年して遊びを覚えると、始末に負えないと聞いたことがあるが、私もその人間の一人かもしれない。ふと思い出して後ろを振り返ってみると、自分が歩んで来た踏み跡は消えてなくなり、元には戻れないようになっている。

今さら元のサラリーマン生活に戻ってどうする?などとおっさんが耳元でささやき続ける。

今はそんなことどうでもいい。おっさんは自転車の話をしているところだ。まずは真剣に話を聞いてくれい!

 

シートポストでミニモンキーの柄を延長して使うアイデア

SURLY Disc Trucker

これが新たに購入した自転車のサーリーのディスクトラッカー。世界各国の長距離を走るサイクリストたちに絶大な人気のあるロングホールトラッカーのディスクブレーキ版だ。去年早々、Panasonic OJC4を買って北海道・東北にロングツーリングに出かけたのだが、雨の日にブレーキの効きが悪くて事故を起こしそうになり、家に戻ると直ぐに新たな自転車を買ったのだった。

それがこの自転車。まだ1,000kmほどしか乗っていないが、潜在能力の凄さを感じることが多くて、早くオーストラリアの大地を走りたくて仕方がない。

写真を見てもらうと分かるように、ディスクトラッカーはトップチューブが水平のホリゾンタルフレームというフレームになっている。

Panasonic OJC4

もう一台のOJC4は、MTBのようにトップチューブが下がっているスローピングフレームというタイプ。私はフレームの形状には全くこだわりがないのだが、こと軽量化に関しては異常な執着心をみせることがある。

ディスクトラッカーはホリゾンタルフレームのため、シートポストの突き出し量が少なめになっている。足の短い私は余計に少なくなる。それなのにシートポストの長さが35cmもあって非常に無駄を感じる。使わない重たい鉄パイプを運ぶくらいなら、湖池屋のポテトチップス(のり塩味)でも持った方が断然いい。

サドル交換の時にシートポストを着脱したが、その長さに思わず閉口してしまったのだった。
軽量化に拘るなら、革サドルを止めてプラスチック製にした方がいいが、多少重たくてもお尻にフィットし経年劣化で味が出る革サドルが良かった。そう、自分が好きなものの重さは全然気にならない。

 

話を戻そう。今はシートポストの話をしている!

左がOJC4のシートポストで長さは25cm。右がディストラのもので長さは35cm。
スローピングフレームでシートポストが短いOJC4でさえも、まだかなりの余裕がある。

OJC4のシートポストの刻印

直径26.8mm、長さ250mm。
この印の部分が最小の差し込み量となる。長さは末端から10cm。
差し込み量が少ないと、シートポストやフレームを傷めるために、必ずメーカーが規定する差し込み量を守る必要がある。

こちらがディストラのシートポストの刻印

直径27.2mm、長さ350mm。
最小差し込み量は、OJC4同様に10cmとなっている。

私がトレランシューズで乗っている時の通常のサドル高であっても、余裕がありすぎる。

先日、スプロケットの締め付けの際に、長さ35cmのカットしていないシートポストをミニモンキーと組み合わせて使ったが、長過ぎてかなり使いづらかった。柄が長いと締め付けすぎてしまって、ネジ山を傷める恐れもある。

軽量化と扱いやすくするために、シートポストをカットすることにしたのだった。

サドルを外す前に、サドルの取り付け位置をペイントマーカーで印を付けておく。
サドルは微妙な位置調整で乗り味が全然違う。やっと自分に最適な位置が決まったところなのに、分からなくなったらまたやり直しだ!

 

ミニモンキー(TOP ショートエコワイド HY-26S)

ロングツーリングには欠かせないのは、軽量コンパクトな携帯工具。
これは小さなモンキーだが、口が大きく広がり、柄が短くて携帯に便利なミニモンキーだ。
メーカーはパイプを掛けて使用することを禁止しているが、ちょっとくらい多めに力を掛けたくらいでは壊れない。(パイプと組み合わせた使用は自己責任で。何度か工具を壊していると、限界が分かるようになる。)

モンキーの柄にシートポストを使用すると、全く無駄がなくて合理的だ。この方法は、自転車屋さんの講習会で教えて貰った。自分だけの秘密にしておいても勿体ないので、読者にこっそりとお教えしよう。

 

工具の全長は117mm。柄の部分には滑りにくいようにビニール製のグリップが付いている。

新潟県三条市にある工具メーカーのTOP工業。信頼性の高い日本製。想定外の使い方にも十分応えてくれる。良心的なお手頃価格なのもいい。
TOPのHY26Sというモンキーは、業界では定番の携帯工具らしい。手に持ってみると、質感の良さをハッキリと感じられる工具だ。

メーカーリンク TOP公式ウェブサイト(製品ページ)

 

通常の200mmのモンキーと比べてみる。
首周りが華奢な感じがするが、十分注意して使えば、ここぞという時に活躍してくれる頼もしい工具となることだろう。

ミニモンキーをいっぱいに開いたところ。
右側の大きいモンキーはまだ余裕あり。ミニモンキーは小さいにも関わらず、大きく口が開く。

口をいっぱいに開くと、約26mm。

口をいっぱいまで閉じたところ。
このモンキーは口が完全に閉じない仕様となっている。

口をいっぱいまで閉じた時の開きは約6mm。7mmから対応できる。

やはり日本製だけあって、工具の質感は最高!

首周りのアップ。口の開け閉めはスムーズ。可動部のアゴのガタツキは少ない。

アゴが肉抜きされていて、軽量化されているのもいい。
華奢な見た目だが、意外に丈夫そうに感じる。

扱いやすい指掛フックも装備されている。両アゴは十分強度があって、メーカーではヘッドの反転使用も認めている。

通常は可動部のアゴの方を力がかかりにくい向きにするが、メーカーは強度に自信があるのだろう。(ただし、何度も言うようにパイプを継ぎ足して使用することは禁止している。)

重さは95g。モンキーにしては凄く軽い。

 

ミニモンキーの柄を削る

ミニモンキーを早速シートポストに挿してみる。
あれ?入らない!

ここで、かなり狼狽えたのは言うまでもない。事前の講習会で、ピタリとフィットしているミニモンキーを扱っていたのだ。

シートポストの内径を計測してみると、およそ21mm。

ミニモンキーの柄の最大幅を測ってみると、およそ24mm。
これでは入る訳がない!
ビニールコーティングを削るだけなら強度に全く影響はない。

グラインダーを用意して、ミニモンキーの柄を削ることにした。
電動工具は煩くて嫌いだとか文句を言いながら、使ってしまうところがおっさん。

少しずつ削ってシートポストに合わせた。
ガバガバだと扱いづらくなる。

外側のビニールコーディングを削るだけで良かった。
中身の鉄は全く削らず。

 

シートポストにミニモンキーを組み合わせてみる

シートポストに合わせたところ。(まだ長いままでカットはしていない。)
ピタリとフィットしておっさんニンマリ。やったね!

ミニモンキーの首の根元をアップで撮影。

角度を変えてもう一枚。

うむ、ピッタリではないか!いい仕事をしたな。(このような自画自賛は日常。おっさんは褒めて伸びるタイプ。)

ポイントは逆さにしても抜けないこと。
モンキーを固定できると、非常に扱いやすくなる。
組み合わせの携帯工具だと、接続部にガタがあって扱いづらいことが多いが、工夫次第では通常工具に遜色がない機能性を有してくれる。

 

シートポストのカット

長い前置きが終わって、ようやくシートポストをカットする。
長さ約35cmでカットしていないもの。

今回は10cmカットする。ちょうど最小差し込み量のところが目印となる。

シートポストのカットは金鋸でもできるが、仕上がりをよくするために、パイプカッターを使用する。事前にシートポストの太さに合う物を購入しておいた。

パイプカッター SK11 PC-32(切断能力4~32mm)

パイプカッターはパイプを直角に正確に切ることが可能な工具。
フォークコラムもカットできるサイズの物を選んだ。刃を替えれば、硬いステンレスパイプも切断可能。

 

1/8TO  1 1/4OD 3-32mmと表示されている。

パイプカッターは回転させながら、少しずつカットする。
この丸刃が命。

丸刃が直角に当たるようになっている。

この時、スプロケットの着脱作業と平行して行っていたため、自転車を立てることが出来ず。
庭の片隅に転がっていた清酒ケースを台にして、シートポストを抜いてから引っくり返した。

パイプカッターの使用する際は、カットするパイプをバイスに挟んでしっかりと固定する必要あり。太い鋼管の場合は特に必要。細い銅管であれば、持ったままでもOK.

パイプにパイプカッターを取り付けたところ。
回転方向は下の方に押し下げる感じ。パイプの切り口から見ると、左回転。
丸刃を引いて切るようになる。

始めゆっくりカッターを往復させて、全周に浅い溝を付けてから切るようにする。
カッターを回転させつつ、グリップを捻って丸刃を押し付けて、少しずつ溝を深くして切ってゆく。無理に力を加えて切ろうとすると、切り口が乱れる。心の乱れは服装の乱れに現れるというが、仕事人の乱れは、仕上がりに現れる。

などと能書きを垂れておきながら、道具を使いこなせないおっさん。
銅管なら何度も切ったことがあったが、鋼管を切るのは初めてだった。(銅管は柔らかくて切るのは非常に簡単。)

始めに一周するキレイな溝を付けられなかったものだから、刃が動いて螺旋状の跡が付いてしまう。

バイスの取り付け位置が悪い!

作業台とのクリアランスが少なくて、手を持ち替えなければならなかった。

おっさんに言い訳は通用しない。やりづらいなら、やりやすいようにしたらいい。
ということでシートポストを斜めにセットした。
これで引っかかりがなくスムーズに回せるようになった。

ようやくキレイな溝が掘れて順調に切れ始めたところ。
パイプカッターは始めが肝心。

焦ってはダメ。
少しずつカットしてゆく。

ようやくカットすることができた。

切断可能な最大の肉厚は、3mmまでとなっているが、少々オーバーしたみたいだ。

肉厚のシートポストを切断したため、刃はかなり消耗した。
次回使用する時は、替刃を用意しておいた方がいいだろう。

シートポスト10cmの重さは60g。

軽量化の道は深く険しい。出来ることからコツコツと行ってゆく。
最終的には物を持たないことだが、それに行き着くまでには、まだもう少し時間がかかりそう。

 

カットしたシートポストにミニモンキーを組み合わせる

切り口のバリをとって、やすりで滑らかにして、シートポスト出し入れの際に引っかかりがないようにした。ミニモンキーを入れると、出し入れはスムーズ。

全長は約30cmとなった。パイプとして使うなら、これくらいがちょうどいい。

スプロケットやブレーキローター着脱の際に使用するロックリング締め付け工具。
下は通常の据え置き型の工具で、上が携帯工具を組み合わせたもの。

シマノ ロックリング締め付け工具 TL-LR15とミニモンキー(TOP ショートエコワイド HY-26S)、そして長さ25cmのシートポストを組み合わせている。

ロックリング締め付け工具(TL-LR15)に付いては、下の参考記事を参照して欲しい。

 

柄の部分をシートポストで代用して軽量化した。
ちょっとした工夫で不要な物を削ることができた。

シートポストのみの長さで外せない場合は、このようにサドルを付けて延長して外してみる。
ただし、シートポストだけで外せない場合は、汚れやサビで固着していることが考えられるので、無理に外そうとしない方がいいだろう。まずはネジ山に防錆潤滑を噴射して外しやすくしておこう。

このモンキーはあくまで携帯用で、負荷の掛かる作業には全く向かない。どこかの自転車屋さんか整備工場で工具を借りてやった方がいい。

 

ミニモンキーをペダルレンチとして使ってみる

輪行する際に必要となるのは、ペダルの取り外し。
ディスクトラッカーに付けているのは、自転車屋さんオススメのShimano PD-GR500。
PD-MX80の廉価版モデルだが、剛性・グリップ・耐久性などロングツーリングで必要な性能を有している。

このペダルは通常のものと同じく、15mmのペダルレンチか6mmの六角レンチで取り外し出来るようになっているのだが、輪行する際は嵩張るペダルレンチではなく、6mmの六角レンチで付け外ししたい。

しかし、乗っているうちに固く締まってしまうと、強度が足りない六角レンチでは取り外すことが出来なくなる。ペダルレンチ代わりにミニモンキーを使えないかと思って、実際に工具を当ててみることにした。

ところがモンキーは肉厚があって、しっかりと嵌めることが出来なかった。
この状態だと固着したペダルを外すのは厳しいだろう。

去年の北海道・東北ツーリングの時、クランク回りから発する異音に悩まされ続けた。登り坂になってカチカチと音がし出すと、集中力が持続せずに直ぐにバテてしまった。

あとになってようやく原因が分かったのだが、その原因というのはペダルの締め付けが弱かったため。音がでないようにしっかりと締めてしまうと、外すにはペダルレンチが必要となるので、非常に悩ましい問題。

 

ペダルレンチと合わせて比べてみる。

問題は肉厚。

PWTのハイトルクペダルレンチの肉厚はおよそ5mm。
TOPのミニモンキーの肉厚は先で5.5mm。奥にゆくほど厚くなるため、ペダルに付け根にしっかりと嵌めることができない。ただでさえ、強度に不安があるミニモンキーは薄く削りたくない。

ペダルの着脱の問題は、別のところですでに解決しているので、近いうちに紹介したい。
ペダルを外さずに輪行する方法を!

 

シートポストのカットとミニモンキーと組み合わせて使った感想

今回、シートポストをカットしたことで、軽量化できてよりパイプとして使いやすくなった。
ただ、メーカーが想定する使い方ではないので、過度な力を掛けないようにしたい。

これまで固着したボルトを外そうと、パイプを掛けたり、ハンマーでどついたりして緩めようとして、数々の工具を壊してきた経験がある。その経験が生きる時だ!つい先日も、固く締まったペダルを通常のスパナで外そうとして壊してしまったばかりだ。

携帯工具では絶対に無理をしないようにして、ダメなようならどこかで工具を借りて作業をすることにする。それで強度が低い欠陥はカバー出来る。

よりロングツーリング向きになったディスクトラッカー。オーストラリア出発まで、さらなる進化を遂げることだろう。

 

おわり

コメント

  1. 白山室堂御前荘 より:

    オーストラリアまでの輸送費を節約するための軽量化に必死ですね。
    寄付金ですが目標額の1,000万円は、達成できましたか?

    なんか、
    最近、読んだ週刊誌には、
    オーストラリアの猛暑と物価高でやばい状況が書かれていました。
    やはり、隊長は、オーストラリアへ行くのですか?

    隣のニュージーランドなら日本人も多く、気候も北海道みたいな感じらしいです。
    日本では、知られていないトレイルもあるらしいです。

    隊長、
    遠征先は、
    隊長の都合で、
    いつでも変更していいと思います。

    隊長は、自由なんです。

    • karaage より:

      多分、その情報は週刊誌にとって都合がいいように書かれています。

      偏差値で大学を選ぶようなことでは幸せになれません。あなたは根っからのオールドタイプですね。

  2. 白山室堂御前荘 より:

    ネットで検索してみてもオーストラリアを自転車で一周した人は、いないようですね。
    隊長の覚悟!
    よくわかりました。

    微力ながら応援してます。

    • karaage より:

      私にはどうやって検索したら、オーストラリア自転車一周がヒットしないのか分かりません。
      「オーストラリア 自転車 一周」で検索してみてください。