こんにちは。からあげです。
風が吹くこともなく、雨が降ることもなく、種子島最高峰「天女ケ倉」で快適な一夜を過ごした。翌朝、日の出前にテントを撤収してヘリポートのある展望広場で日の出を待つ。
しばらく待っていると、東の空が紅に染まったものの、ちょうど水平線に雲がかかっていて日の出を拝むことはできず。残念。
走り始めのダウンヒルは体を冷やすので、下に服を着込んで出発した。
上りは時間がかかるが、下りはあっという間に終わってしまう。
東海岸に出たところで喜志鹿崎(きしかさき)目指して北上する。
周囲は農家が点在する長閑な場所。
道路脇に味のある絵が描かれたポストあり。
すでに使われていない。
1時間ほど走ったところで、雰囲気のいい海岸に寄って休憩する。
座って潮騒を聞いていると不思議と落ち着く。種子島にはストレス源が存在しないとさえ思えてくる。
ついうっかりしてヘルメットを忘れてしまった。
走り始めて15分ほどして気がつく。
いつもはハンドルに掛けておくのだが、今回は草の上に置いていた。自転車が倒れても、ヘルメットが下敷きにならないように、という配慮してのこと。裏目に出てしまった。
喜志鹿崎手前になると、ところどころ道幅が狭くなる区間あり。
さらにアップダウンが出てきて嫌らしい。
ガードレールは潮風でボロボロ。本来の頑丈さはなく、ぶつかったらそのまま海にダイブ。
さきほど休憩した海岸付近を眺める。
ほかに忘れ物はないな。よし、先に行こうか。
そういえば、北海道ツーリングではワイヤーロックを置き忘れて200km以上走ったことがあった。今回はフェリーに乗るまでに気が付いて本当に良かった。
岬手前で県道581号線を離れて、しばらく走ると種子島北端、喜志鹿崎(きしかさき)到着。
ここは海上の交通の要衝、白い立派な灯台が整備されている。
中は見学不可。外から眺めるのみ。
展望広場で記念撮影。
残念ながら、灯台のある場所は岬の先端ではなし。
広場の片隅には東屋あり。
ベンチに座ってパンを食べていると、宇宙が丘公園と中種子のキャンプ場で見かけた親子連れがやって来た。私は気が付かないフリをしてツーリングマップルを見ていた。
お互い相容れない存在。わざわざ話しかけることはない。
展望台から喜志鹿崎を望む。
まさに地の果て。
ここまで来ると十分満足できた。島内をくまなく回ってしまうと、次回はなくなる。
あえて空白地帯を残しておくことで、次回も来たくなる。食事も観光も腹八分目が重要だ。
去年オーストラリアでウルル(エアーズロック)に行かなかったのは、次の機会を作りたかったためでもある。などと嘘っぽい言い訳をしてみる。
今日の便で種子島を出ることにした。海が荒れるとフェリーは結構欠航するので、出られるうちに出ておいた方がいいだろう。フェリーターミナルのある西之表(にしのおもて)港は島の西側に位置し、季節風の影響を受けやすい。
フェリーの出港は14時。時間の余裕があるので寄り道してゆく。漁村を繋ぐ海岸沿いの細い道を走る。
巨大な防波堤が整備された漁港。
漁船の出入りはほとんどなく、釣り人がいるだけ。
前方に現れたのは浦田海岸。海水浴できる白い砂浜。青い海が印象的だ。
海岸に寄ってみると、打ち上げられたゴミが散乱していた。
特に近年問題となっているプラスチックごみが多く見られた。
この南国の種子島でさえ、汚染されて本来の自然は残されていない。
そう思うと悲しくなった。
異物感が凄まじい鉄筋コンクリート製の建物。現在整備中で立ち入り禁止になっていた。
ロケットをイメージしたと思われる円錐型の屋根が虚しく映る。
おやまあ。こんなところに懐かしい牧草ロールが置いてあるではないか。
しばらく行ったところで、たくさんの牛たちに凝視される。
おいおい、そんなに見るなよ。恥ずかしくなるじゃないか。
またもやお絵描きされたポストあり。
さきほどのものとは微妙に違うポスト。
交通量が増えてきたので歩道を走る。
西之表まであと少し。もう少しで種子島の旅も終わる。
白い砂浜の美しい海岸。ちょうど出港するフェリーはいびすかすの姿が見えた。
西之表までやって来た。ここは町の中心部からやや外れた漁港。
漁港内にはたくさんの漁船が係留されていた。
目立ったのは一本釣りの小型漁船だ。遠くからでも目立つ2本の長い竿が積まれている。
働く船は無条件で格好いい。遊びの船は最低。
岸壁に積まれた葉っぱ付きの枝。これはなんだろう?
ちょうど暇そうにしていた漁師さんがいたので話を聞いてみた。するとこれは魚を集める漁礁とのこと。重しを付けて海に沈めておくと魚が寄ってくるそうな。
これは重し。中に砂が詰められているんだとか。
町には寄らずに直接フェリー乗り場の方にやって来た。
シーズンオフのためか、閑散としている。中国で新型コロナが深刻化しつつあるなか、種子島は平常と変わらず。(いつもの状態は知らない)
種子島から鹿児島行きのフェリーは、11時発のフェリー「はいびすかす」と14時発のプリンセスわかさの2隻あり。(どちらも一日一便)ゆっくりしたいので、コスモラインのプリンセスわかさを選択した。
先に乗船券を買っておこうと、フェリーターミナルまでやって来た。おっさんは心配性なもんで。
待合室のようす。
中はガラガラ。観光客の姿はなく、地元の方が数人座って待っているだけだった。
なんと畳敷きの休憩スペースあり。
ヤクルトスワローズのかつての名監督、ノムさんこと「野村克也」さんの訃報がニュースで流れていた。
現役時代の活躍は知らないが、監督としてのノムさんのことなら多少知っている。
こういう有名人の訃報を知るたび、自分も歳をとっているのだと実感する。そういえば、息子のカツノリは元気にしているのだろうか?
乗船券販売の窓口。
見た目非常にローカルだが、なんとクレジットカードでの支払い可。
海外旅行に出かけるようになって、最近はカード払いに転向した。
私に限って、カードだからと使い過ぎることは絶対になし。多額の現金を見ても常に冷静。
西之表から鹿児島まで、自転車込みの片道運賃は4,390円。
フェリーはいびすかすだと5,750円(自転車込み)。低収入の私にとって、この運賃の差は無視できないレベル。安いからと言って、プリンセスわかさを選んだわけではない。
もう疲れたので西之表の町に行くのは止め。そこら辺で昼飯を食べてのんびりすることにした。
鉄砲館に行けなかったのは残念だが、次回にとっておくことにする。
大きなタラップを大型のフォークリフトが運んでいた。
スムーズな運転。ベテランの域の運転手。
人気のない岸壁の隅の方で昼食を食べることにした。
ポカポカ陽気でしっかり寛げる。
ネギをカットする。1本ものだった長いネギも、刻まれて小さくなってしまった。
ついでに熱々のお茶も沸かしておく。
やけに安かったほうじ茶とお茶パック。どちらも中種子町のショッピングセンターで購入したもの。寒い冬には熱々のお茶を保温水筒に入れて持ち歩くのが習慣。
出先でお茶を沸かすにはお茶パックが欲しい。クッカーに直に茶葉を入れると、あとで取り除くのが大変。あっ、そうか。金網を携帯すればいいのか。
小さなお茶パックと言えども、使い捨ては気が引ける。次回からは金網を持とう。
今日の昼ごはんは玄米ごはんに味噌ラーメン。無駄に大飯食らいのおっさんは食費が割高。
かと言って食費をケチると、ペダルを漕げなくなる。こうした問答を何度も繰り返ししても、ほとぼりが冷めるとケチりたくなってくる。
今回、乗船する船がプリンセスわかさ。
名前のとおり、じつに気品溢れる。波を切って走る洋上での姿を見てみたい。濃紺の舷側が全体を引き締めている。アクセントの赤色マストが非常にオシャレ。
右舷船尾にランプウェイあり。こちらから見ると、ただのフェリーに見える。
見る方向でまるで印象が違うフェリー。生活臭がにじみ出る。
フェリへの乗船は二輪車が最初。オートバイの後に続いてフェリーに乗り込む。
係員の指示に従って奥へ奥へと入ってゆく。
いつものように壁に立て掛けて自転車を停める。
前後にタイヤ止め設置、ハンドルとトップチューブにロープをとってしっかりと縛る。
前後の自作パーキングブレーキを掛けているのは言うまでもない。
自転車を停めたのち、身の回りの品を持って客室内に入る。
客室内は広々。鹿児島港までの3時間半の船旅。
自分の家のように寛がせてもらおう。
座席区画あり。
こちらは後方のゴロ寝スペース。
自販機も完備。
こうした機械は眺めるだけで一度も利用したことがない。
オープンデッキ席もあり。
コロナ禍の現在は人気がありそう。当時はガラガラ。
煙突(ファンネル)マークは丸に一。赤字に白文字がよく映える。
ファンネルマークは船にとって看板のようなもの。ここだけはしっかり整備する。
西之表港のようす
これでしばらく種子島ともお別れ。振り返ってみると、よくも長い間滞在したもんだ。
やはり無料のキャンプ場があったのが大きい。また来よう。たった一度だけでは種子島の魅力を味わうことができない。
船首側に見晴らしのよい展望席あり。
船が出港すると、船首側のゴロ寝スペースでゆっくり休む。
私のいる方には他の客は全く近寄らず。新型コロナ感染の可能性が高いのは、野宿者より一般人の方。
貸し毛布は一枚100円。
なんでもタダで借りられると思ったら大間違いだ!
船内で思う存分くつろぐ。
もちろんスマホとモバイルバッテリーの充電は忘れない。
3時間半後、予定通り鹿児島港に到着。日没が迫っている。
久しぶりに見る桜島。雲か噴煙かに包まれて霞んで見える。
鹿児島港に上陸後、すぐさまねぐら探しを始める。
港周辺は人気があり落ち着かない。
グーグルマップのナビを頼りに眼鏡橋までやって来た。
橋の下が気になるが、ここも人気が多すぎる。
続いて海釣り公園までやって来た。
屋根があっていい感じだ。
天気予報では今日の夕方から雨。もう時間がない。
だが、このようにポッカリと穴が空いている。これは野宿防止対策なのか。
釣り人の出入りが多く落ち着かないのでほかを当たることにした。
野宿をしていて辛いと思うのは、日没が過ぎたというのにねぐらが見つからないとき。
雨が降り始めるまで、あとわずかな時間しか残されていない。
私の野宿センサーには確かな反応があるのだが、なかなか適地が見つからない。焦りばかりが募ってゆく。
こういう時は焦ってはダメ。五感を研ぎ澄ませて自分を信じて探す。
ようやく良さそうな公園を発見!
立派な東屋があるではないか。すでに人通りも途絶えて野宿タイムとなっている。
だが、ここでテントを張るのは素人のやること。雨が降るからといって、東屋の占有が許されるわけではない。他人にはどうでもいい野宿の美学を披露してしまったな。
公園の死角にテントを張って休む。
雨に濡れることなど、日常茶飯事。雨を嫌っていては自転車には乗れない。
歩道から離れた植え込みの陰。ここで朝まで落ち着いて休むことができた。
おわり