自作ULタープの使い心地と雨漏りの原因と改善策

こんにちは。からあげです。

自作したULタープの紹介

先日、自作したULタープを持って、熊野古道を歩きに行ってきた。
実際に使ってみてあちこち不具合を確認したので、ここで報告するとともに原因と改善策を考えてみたい。

 

タープ仕様


素材  20Dシルナイロン
色   カーキ
大きさ 3m×2.3m
重さ  346g(収納袋込み)、395g(収納袋、張り綱込み)
ループ 8箇所

長辺方向中央、縫い合わせ部分に補強材としてグログランテープ(巾12.5mm)を取り付け
縫い目の防水処理として、シームコート(アライテント社製 A405)を塗布

 

装備一式

 
タープ(収納袋、張り綱込み) 395g
ULトレイルポール(1ペア) 265g
予備ロープ(2mm 長×1本、短×2本) 20g
グラウンドシート(収納袋込み) 155g
ペグ(チタン・ジュラルミン計12本、収納袋込み) 148g
合計 983g
*ストックシェルター(収納袋、張り綱込み)258gは、熊野古道歩きでは携帯せず。
 
 

自作ULタープでの宿泊のようす

自作タープを使用して泊まったのは熊野古道で4回、ツーリング時に1回の計5回。
今回、人生初のタープ単体での宿泊となった。

 

1泊目(小辺路 登山道脇)

小辺路(こへち)の登山道脇にてタープ設営。
適度な間隔の立木に2本張り綱をとり、ほかはペグダウンした。

絶妙な間隔の立木

長さ3mのタープにピッタリだった。少しでも風を避けるようにと、片方を少し下げておいた。

高い方を頭にして眠った。グラウンドシート(アライ エアライズ1用)の大きさに対して、タープがかなり大きい。そのため、雨が多少吹き込んでもグラウンドシートが濡れることはないだろう。

 

2泊目(小辺路 旅籠跡)

日没前、薄暗くなってきた頃に旅籠跡でタープ設営。
落ち葉が堆積していてふかふかの地面だった。
中央の2本は立木にとってしっかり張り、あとはペグと落ちている枝を利用して固定した。
若干、後方の赤松が邪魔になった。

少し窮屈だったが、ロープはしっかり張ることができた。
地面は多少の凹凸があったが、タープの場合は全く影響がない。
落ち葉でふかふかの地面は柔らかく断熱効果があって非常に快適だった。

翌朝、木漏れ日が当たる中で朝食を食べて出発した。
昔、旅籠があった場所だけあって、落石の危険はなく周囲の雰囲気が良くて快適な場所だった。

 

3泊目(大峰奥駈道 名もなきピーク)

翌日の行程を少しでも楽にしようと、遅くまで頑張って歩いた。
ちょうど通りがかったピークにフラットな広場があったので、立木を利用してタープを張った。ペグ効きがよくしっかりと張れたため、夜になって風が出てきても全く問題はなかった。

天井高を高く設定したため、あぐらをかいて座っても頭がタープに接触することはなく、快適に過ごすことができた。

ただ、周囲の立木にタープの端が接触してしまっていた。
夜になって風が吹きだすと、ガサガサ擦れて気になった。

タープが大きいと、このように立木に接触してしまうことがある。
疎らに生えた杉林だから良かったものの、高密度に茂った場所だと設営場所を探すのに手間がかかりそうだ。

 

4泊目(大峰奥駈道 深仙(じんせん)小屋)

小屋には先着していた3名がいたので、お堂前の広場にてタープを設営した。
ベグ効きの良い、ふかふかな草地のサイトだった。

ポール固定の張り綱は、ツエルトと同様に二股にとる。
一人で設営しやすく、耐風性が上がる。

荷物をまとめる際は、タープを撤収してから行うとタープを気にせずに伸び伸びと行うことができる。(ただし晴れの場合のみ。)
グラウンドシートは、休憩時に使用するため、外のメッシュポケットに入れておく。

テントの場合だと、撤収する前に中の荷物を片付けてとりあえずバックパックの中に放り込み、テント接収後にテントを下の方に入れてパッキングし直す必要があって手間がかかる。

 

5泊目(周囲に民家が点在する空き地)

熊野古道の疲れを癒やすため、早めに走行を止めにして、周囲に民家がない空き地にてタープを設営した。地面が砂地でペグ効きが悪くしっかりと張れなかった。
この日は夕方から雨が降る予報で、空はどんよりと曇って今にも雨が降り出しそうだった。

日没前からポツポツと降り始めた雨は、次第に大粒となり本降りとなった。時々土砂降りとなりタープを激しく叩いた。
この日、東屋で野宿せずにタープで泊まったのは、防水性能をチェックしたかったため。
雨が降り始めて数時間が経過したころ、恐れていた雨漏りが起こった。

縫い目を伝って滲みた雨水は、内側の補強テープの低いところからポタポタ落ちた。

シームコートを塗布して防水処理したはずだが効果はあまり見られず。
(理由についてはあとで説明する。)

縫い目から雨漏りする経験を始めてして、いかに縫い目の防水処理が重要か思い知ったのだった。

雨水がポタポタと垂れて寝袋を濡らした。
ダウンは濡れるとロフトが潰れて急激に保温力が低下するため、水が落ちて来ないように定期的にタオルで水滴を拭き取っていたが、いつの間にか眠ってしまっていた。
寝袋はかなり湿ってしまったが、気温はそれほど下がらなかったため、寒さを感じることなく眠ることができた。

雨漏りのほかに気になった点。

タープが弛み内部空間が狭くなったこと。雨で濡れたタープは重たくなって垂れ下がってきた。地面が砂地でペグ効きが悪かったため、どうしようもなかった。
長辺側のループが6箇所だったのも、影響したのかもしれない。思いのほか、濡れたタープは重たかった。

翌朝のようす

何度も何度もペグが抜けてタープが倒壊、何度もやり直した。
下に生えていた草に縛れば良かったのだが、大粒の雨が降っていたため、ペグを刺し直すので精一杯だった。雨具のポンチョは自転車のサイドバッグに入れたままとなっていた。

雨が降る時は手元に雨具を置いておくのも重要だと分かった。

雨はしつこく残ったため、タープを設営したまま、中で朝食をとった。
ストーブを使用している最中もペグが抜けてタープが倒壊したため、全然落ち着いて食事をとることができなかった。

自転車はつっかえ棒を入れて立てた状態で自転車カバーを掛けておいた。自転車の出し入れや居住性を考えると、カバーをして外に停めておいた方が良い。

ポールを使った設営のデメリット。
ポールの長さ以上に天井高を高くできない。
小柄な私でも頭がタープと接触しないように、首をすぼめてあぐらで座らなければならなかった。

 

雨漏の原因を考える

雨漏りの原因はシームコートの塗布が上手くいっていなかったこと。
タープ完成後に縫い目にシームコートを縫って防水処理していたのだが、後日チェックするとシームコートが浮き上がっていた。

シームコートは手に入れたばかりで中身の変質は考えられない。あとはシルナイロンの表面のシリコンコーティングが強力過ぎるということくらいだ。

これまで何度もテントやツエルトやタープの縫い目の防水処理を行ってきたが、このように浮き上がってきたのは初めてだった。

写真をよく見ると、2枚の生地を合わせた縫った箇所の隙間には、シームコートを塗布していない。浮き上がった隙間と、生地の合わせ目の隙間から雨水が侵入したと思われる。

シリコンコーティングが強力なのは嬉しいが、シームコートを弾いてほど強力なのは問題だ。

 

改善策を考える

内側からシームテープを貼る。
ただし、補強テープの上から貼ると接着力が弱くなりそうなため、補強テープを外してからシームテープを貼る。補強テープは軽量化のため取り付けないが、そのままだと針穴が空いてしまうため、サイズを小さくして縫い直す。

サイズが3m×2.3mだと、一人には大きすぎるため、縦横ともに小さくする。
小さくすれば、弛みにくくなるだろうし、立木に干渉しにくくなり設営の自由度が上がる。
2.6m×2m程度までサイズダウンして、長辺方向のループを6個から10個に増設する。

まあこんなものかな。戻ったら手直ししてみるとしよう。

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コメント

  1. nao より:

    隊長!お疲れ様です!

    張った感じいいですねー。
    かなり使えそうです。これが350g以下だからMYOGはやめられませんな!
    砂地で雨が降ると地面がズルズルになってペグが抜ける現象、あるあるですね。
    私も海でキャンプしたときに困ったことがありました。
    草に結ぶのがいいんですね、勉強になります。

    タープについてちょっと気づいたことがありますので報告します。
    アライのシームコートはウレタン系でして、シルナイロンのシリコンには浸透しないのです。
    なので、シリコン系の目止めにはシリコン系のシームコートかシリコンシーラントを薄めて使われるといいと思います。
    シリコンシーラントはうすめ液か燃料用アルコールで10倍ぐらいに薄めるといいらしいですよ。
    たっぷり浸透させれば補強のテープを外さなくても良くなると思います。

    新装備での活躍楽しみにしております。
    ではまた!

    • karaage より:

      どうもありがとうございます。
      さり気ないアドバイスにも関わらず、嫌味を全く感じさせない。
      やりますな!

      全く知りませんでした。アライのシームコートがウレタン系ということすら知りませんでした。塗っておけば防水になるというくらいでした。
      早速家に帰ったら、やってみることにします。簡単に手直しできます。

  2. NS より:

    タープの魅力は、「外界から遮断・保護されずに野外に身をさらすことで風や雨の飛沫など感じ、野趣に富む一夜を過ごすができる、素晴らしい野性体感装置である」とあるUL愛好家が言ってました。
    ツェルトと比べても軽量とは言えず、軟弱な私にはそれほどの魅力は感じません。

    からあげさんは野性体感と共に地形、状況、天候等に合わせて様々な形に設営できるからテストしているのでしょうか?
    改造版のサイズなら、ツェルトと併用したら前室も取れると思います。
    私が望む大きさです。

    熊野古道、「小辺路」も歩いたのですね!
    楽しみにしております。

    • karaage より:

      ツエルトの保温力も魅力ですが、居住空間が狭いことと、本降りの雨を防ぐことはできないので、広がったらいいなと思っていました。

      テストというか、一度使ってみようという軽い感じです。冬でなければ、タープでも寒さはなんとかなる、なんとかしようと思います。汎用性の高さに魅力を感じます。

      熊野古道、小辺路と大嶺奥駆道は帰ったらアップします。