こんにちは。からあげです。
はじめに
アウトドア道具は買うものではなく、自分で作るもの。去年、レイジャーディンの自作キットでバックパックを自作した私は、すっかり自作の虜となってしまった。
先日、新たな道具を自作しようと、アメリカの通販サイトRipstop By The Rollで素材を手に入れて準備を整えていたのだった。
軽量タープの自作
素材
タープの素材は20Dシルナイロン、7ヤード(約6.3m)分を購入した。
値段は送料抜きで約$40。日本円に換算すると約4,500円。
アメリカの安い通販サイトとはいえ、それなりに高価だ。
心して作らねばならない。
生地はリップストップになっていて、格子状に編み込まれた繊維が切り裂き強度を高めている。
このリップストップの生地は縦横方向には伸びないが、斜め方向には伸びる特性を持っている。
タープ仕様
タープの完成サイズは縦3m×横2.3m。
手持ちのストックシェルターとツエルト2ロングを完全に覆えるサイズとした。
ループは計8箇所。
補強のため、長辺の中央線にテープ、ループ取り付け部に補強材を取り付ける。端は3つ折りにして強度を高めるとともにほつれ止めとする。(一つの折り目の幅は約15mm)
生地の幅は58”(約1.5m)のため、細長い生地を中央部分で2枚縫い合わせて一枚のタープを作る。
作業のようす
裁断の作業に取り掛かる。
私は実家では、床面積9畳ほどの物置小屋に住んでいる。話せば長くなるので、その理由は割愛する。それほど狭くはない物置なのだが、長さが6m以上もある生地を広げるには手狭だった。
そこで家の和室に移動して生地を広げてみた。
縦方向は完全に伸ばせなかったが、横方向はまっすぐに伸ばすことができた。
生地の端には、機械で縫製した時にできる穴が一定間隔で空いている。この生地の端は、耳と呼ばれている部分で、丈夫でほつれないため、端に使うなど有効利用すると良い。
決して不良品ではない。
差金を当てて直角に線を引く。リップストップの格子が非常に細かいため、定規でしっかり直角を出して線を引く必要があった。(以前ポンチョタープを作った時の生地は、格子が大きくて見やすかったため、格子に沿って線を引くだけでよかった。)
できるだけ見やすくなって作業しやすいように油性マジックを使用した。
カットした縦306cm×横121cmの2枚の生地を合わせて洗濯ばさみで留めたところ。
シルナイロンは非常に滑りやすいため、洗濯ばさみなどで留めておくと作業しやすい。
仮縫いした方が万全だが、長くて扱いづらかったため今回は楽な方法をとった。
部屋の中央、広いスペースにミシンを設置して2枚の生地を縫い合わせる。
物置の狭い机の上だと作業がやりにくい。
用途によって針と糸を使わけている。どちらも高品質。
約3mの生地を縫い合わせて、誤差はたったの3mm程度。これくらいなら許容範囲としよう。
何度も縫い直していると、穴が空いて防水性が低くなる。
より作業しやすいように、ミシンにオプションの台を取り付けた。
フラット部分が広がり、生地を捌きやすくなる。
小物類では不要だが、大きなタープを作る時はあった方が便利。
あるものは有効活用した方が良い。(たまたまあったので使うことにした。)
縫い合わせた中央部分を二つ折りにして端を縫って留める。
この時、アイロンを使わずに手で引っ張っただけだった。これが失敗のもととなった。
横着した結果、生地がズレてやり直しとなる。2mも縫ってから気が付いたため、縫い目を外すのにかなり手間がかかった。これは大失敗だった!
やってしまったものは仕方ない。リッパーで丁寧に縫い糸を外しているところ。
作業のやり直しは無駄に時間が掛かる。
リッパーとは縫い目を切ってもとに戻すための道具。ミシンの扱いに慣れないうちはやり直すことが多いくリッパーは必需品。不要なタグの除去やズボンの裾直しにも使用する。
今度はアイロンを当てて折り目を付けてから、しっかり引っ張って作業する。
生地はナイロンで熱に弱いため、アイロンの温度は低めに設定する。布は敷かず、そのまま直接アイロンを当てた。
ミシンのスピードを遅めにして丁寧に作業する。
タープは中央部の縫い合わせの部分が非常に重要となる。(あとになって分かった。)
2つの生地を縫い合わせたあとは、4辺を3つ折にしてミシンで縫う。
補強とほつれ止めを兼ねている。
もちろんアイロンは当てて折り目を付けた。同じ失敗は何度もヤラない。
アイロンを当てるのは手間だが、より綺麗により速く縫うことができる。
3つ折りのイメージ図
(黒:生地 赤:縫い糸)
4辺の3つ折りが終了したところ。
だいたいこんなもので良いだろう。
縫い合わせた中央線に補強材のテープを付ける。
グログランという薄いテープで幅は12.5mm。
生地縫い合わせのイメージ図
(黒:生地 赤:縫い糸 灰:テープ)
2つの生地を3つ折りにして縫い合わせてから、グログランテープを縫い付けて補強してある。
赤色が縫い目で、上の四角がグログラン。
こうしてみると、縫い目が多い気がする。
ペグループ8箇所には補強材を取り付ける。
同色系の30Dシルナイロン。ポンチョタープを作成した時の端材。
補強材は一度折り返してから周囲を縫い、仮縫いしてからタープに縫い付ける。
4辺を2つ折りにする際に一緒に縫ってしまえば良かったのだが、ついつい忘れてしまって後付となった。
その後、幅12.5mmのグログランテープでループ8個取り付けて完成!
作業時間は約12時間。(構想時間は含まず。)
端材でゆったり目の収納袋を作って中に入れて計量したところ、重さは346gとなった。
収納袋の完成サイズは約30cm×20cm。
あとで張り綱(2mmダイニーマロープ)10本を取り付けて重さを量ったところ、重さは395gとなった。
自作タープの設営
スキーポールで設営
まずは実家の庭に転がっていたスキー用ポールを高さ110cmに設定して、何も考えずにタープを設営してみた。
庭に砂利が撒かれていてペグ効きが悪いため、一部コンクリートブロックを使用してロープを固定した。ポールの張り綱はしっかりと張れるように、二股にしてある。
タープの下に敷いたシートは、防水透湿性のあるTyvek(タイベック)。もとは建築用資材だが、UL志向のアウトドアマンにグラウンドシート用などとして愛用されている。
タイベックは耐久性はあるものの、意外に重たくて嵩張り、防水性はすぐになくなって滲みてくるため、そんなに騒ぐほどの素材ではない。
去年、PCTをスルーハイクする際にしようしたが、すぐに防水性がなくなり、ツエルトの保護や汚れ防止となっていたに過ぎない。幸い雨が少ない地域であったため、それほど不便は感じなかった。
今気になるのはタイベックシルバー。タイベックにアルミニウムを蒸着させて保温性を加えたもの。シュラフカバーに最適のように思える素材だ。ただやはり、重さが気になる。
米国 デュポン社が開発したこの独自の構造により、優れた透湿・防水性能を有し、抜群の強度と耐久性能を保持することが可能になりました。
真横から見たようす
ペグ効きが悪くしっかりと張れないため、中央部分が若干下がり、生地にシワが入っている。
長さ3mだが、思ったよりかなり大きく感じた。
斜め上からタープをチェックする。
四隅のループ(おもて)
三角形の補強材がいい仕事をしている。
四隅のループ(うら)
作業の最終段階で、少し雑になったようにもみえる。
補強テープの入った中央部分のループ(おもて)
このループにポール固定用の張り綱を2本ずつ取り付けてある。
2本のロープを一緒にもやい結びで結んだだけ。
補強テープの入った中央部分のループ(うら)
上から上から縫い付けたため、非常に不細工な作りとなっている。
こういうところに作者の性格が出る。
長辺側中央部のループ(おもて)
長辺側中央部のループ(うら)
長辺側のループをいくつにしようか迷ったが、シンプルに中央と両端の3つにした。
ここだけ補強材は四角にした。(特に理由はなし。)
補強テープのようす
内側から撮影した。
ULトレイルポール(長さ110cm)で設営
2回目はヘリテイジのULトレイルポール(長さ110cm)を使用して設営してみた。トレイルランニング用の超軽量ポール。
やはりペグ効きが悪いため、生地にシワが寄り中央部分が下がる。
タープの有効面積は約280cm×180cmになった。天井高は一番低い中央部で約85cm。あぐらで座ってギリギリ頭が付かない高さとなっている。
ポールはひっくり返してグリップ側を下にして、バスケットにロープを掛けて設営した。
ちょうどバスケットのギザギザがロープの滑り止めとなっていい感じだ。
ULトレイルポールの高さ調節
ULトレイルポールで設営した状態で、左側のポールを1節分短くしてみた。耐風性能維持するために、できるだけ高さを抑えたい。天気によって柔軟に張り方を変える。
トレランポールはシンプルな構造で扱いやすい。グリップ部を外して1節短くした。
そしてさらにもう一節短くしてみた。
合わせて2節短くなった。
短辺方向の開口部が狭まり、耐風性能が上がり、雨が吹き込みにくくなる。
この状態で寝てみた。
身長165cmの私が横になると、長辺短辺方向ともに非常に余裕がある。
一人では大きすぎる感じがする。二人並んで寝るとジャストサイズだろう。
自転車(Panasonic OJC4)を中に入れてみる
ポールの長さを元に戻して自転車を中に入れてみた。
ポールが邪魔になるため、かなり入れづらかった。片方は立木にロープをとった方が良さそうだ。
自転車を入れると長辺方向に余裕がなくなるため、シートを斜めにして横になる。
タープの中から自転車を撮影する。
今度は自転車と並んで寝るスタイルにしてみた。
まっすぐシートを敷けるようになったが、天井高が低くなるため居住性は悪化する。
自転車も雨から守ることができるが、出し入れのしづらさが難点だ。
サイドバッグ4個も中に入れるなると、居住スペースがかなり圧迫されそうだ。
タープの下でストックシェルターを設営する
今回、タープを作ったのは防水性が低いストックシェルターを雨から守るためでもある。
ダブルウォールテントのように外側のタープが防水、内側のストックシェルターが保温の役割を果たせば、テントに近い快適性を得られると考えた。
タープは長いスキー用のポールに戻して設営、そのの下にULトレイルポール(長さ110cm)を使用してトレイルシェルターを設営してみた。
横からみたようす
タープの天井高(が低いため、ストックシェルターの天頂部が当ってしまっている。
もう少しロープをしっかり張れば多少はマシになるかもしれない。
タープとストックシェルターの生地が接触すると、その部分から雨漏りするおそれがある。
出来れば離したい。
ストックシェルターの長辺方向がぎりぎりタープに隠れるくらい。
ストックシェルターは意外に長さがある。
ストックシェルター前後2本の張り綱はタープ用のポールに縛る。
こちらは頭側の方。
そしてこちらは足側の方。
出入口を開放してみた。
周囲に広大な屋根付き空間が広がる。雨の日でも快適に過ごせそうだ。
(だだし、雨漏りしなければの話だが。)
身長165cmの私が中であぐらをかいて座るとギリギリ。
炊事する際は、このように頭を外に出してするようになるだろう。
タープの下にトレイルシェルターを吊り下げて設営する
私が長い間考えに考えていたことは、トレイルシェルターにタープを組み合わせて使用すること。周囲に立木のない場所でポール1セットのみで設営するには、ストックシェルターを吊り下げて設営するほかはない。
タープとストックシェルターそれぞれポールを使って設営した時に、吊り下げ用のループの最適位置を測っておいた。端から約107cmの位置にループを縫い付けた。
再びタープを設営したあと、トレイルシェルターの設営に移る。
四隅をペグダウンして固定する。
長辺方向の2点はポールに縛った。
あらかじめ短辺方向のループにも2mmのロープが取り付けてある。
ポールなしで立木に吊り下げて設営する場合も、四隅をペグダウンする必要がある。
別のロープで天頂部付近を縛る。これで吊り下げる準備は整った。
タープの下にトレイルシェルターを吊り下げたところ。
それでは各部をチェックしてゆこう。
横から見ると、吊り下げループの部分が大きく凹んでいるのが分かる。
これを見て、しっかり雨を防げるのだろうかと疑問に思ってしまった。
ペグ効きが悪い分、余計に目立つ。
トレイルシェルターの重さは約270g、軽いとは言ってもタープの天井部にそれなりに負荷が掛かってしまう。
トレイルシェルターは骨となるポールがないため、かなり弛んだ状態となった。
タープを立木に固定して天井を高くできれば、もう少しマシな状態となるかもしれない。
吊り下げ部分のようす
なんとも言えない哀愁が漂っている。
トレイルシェルターは保温と風よけが主目的(プライバシーの保護はおまけ)だとはいえ、こうも弛んでいると居住性が悪くなる。
足元側のようす
こちらはマシに見える。
出入口を開けたところ
弛みが強調されたように見える。駄目だこりゃ!(いかりや長介風)
天井高が低くなって身長165cmの私でさえ、非常に窮屈に感じるようになった。
これで長時間雨に降られたら、発狂してしまうかもしれない。
それでも一応、中で横になることはできる。
弛んだ生地がまとわりついてきて非常に鬱陶しい。物凄い圧迫感を感じる。
なんなんだ、このプレッシャーは!
ビビーサックに入るよりマシだと思うことにした。
天井高の問題を解決するために、ポールに植木鉢をかませて高くしてみた。
これでおよそ15cm高くなった。
グリップ部のポッチを穴に入れると、ピタリとフィットした。ズレにくくていい感じだ。
弛みは多少はマシになった。しかし、どうもしっくりと来ない。
タープに吊り下げて設営する方法は止めておいた方が良さそうだ。
タープは立木を使い、トレイルシェルターにULトレイルポールを用いた方が良い。立木が無ければ、トレイルシェルターなしでタープのみとする。ストックシェルターがタープの居住性を台無しになってしまっている。
タープのみだと保温性がなくなり寒くなるが、重ね着をすれば問題ないだろう。もともとトレイルシェルターは過酷なトレイルランニングの仮眠用に設計されたもので、タープと組み合わせて使用することは想定されていない。
天井部に吊り下げ用のループを縫い付けたことにより、雨漏りの可能性が高くなった。
しかもここが一番下がるため、より危険になる。
トレイルポール1本で設営する
ストックシェルターの結果がイマイチでガックリ来ていたのだが、ついでにポール1本で設営してみることにした。
タープを広げて四隅をペグダウンして長辺方向の中央部にポールの張り綱を付けた。
ポールを立ち上げて張り綱を固定する。
タープの大きさの割りには圧迫感を感じる設営方法だった。ペグ効きが悪くしっかり張れないこともあるが、四隅が低すぎることもあるかもしれない。
四隅は立木の低い位置に固定して、出入口はポールをつっかえ棒にして高さを確保する方法が良さそうだ。
この設営方法だと、タープの大きさが裏目に出てしまうようだ。
縫い目にシームコートを塗布する
最後の仕上げとして、縫い目にシームコートを塗布して防水性を高める。
毛細管現象により、雨水は縫い糸を伝って内側に侵入してくるため、シームコートを塗る必要がある。
出ました!アライテントのシームコート A-405
以前持っていたエアライズ2に付いていたシームコート。もうかれこれ10年以上は使っている。
自分でも物持ちの良さは感心する。
参考リンク
残り少なくなって力がいるようになった。
10年以上よくもってくれたな!
ULタープを自作した感想
タープはシンプルなため、簡単に作ることができた。
ミシンの扱いに慣れてきたということもあるだろう。
作るのが簡単なものは、使い方も簡単な気がする。
今回のタープの自作で一番気を遣ったのは、2枚の生地を縫い合わせるところだ。どのように縫うか、そして補強材としてテープを付けた方がいいのか。防水性を高めるためには、縫製の回数を減らさねばならないが、強度が気になる。そのバランスをどう保つか悩んだ。
あとは実際に使用してみるだけだ。
初めて自作したタープで、色も気に入っている。
フィールドでどんな性能を魅せてくれるのだろうか?今から楽しみで仕方ない。
その後、、、雨漏り発生!
コメント
隊長!お疲れ様です!
遅ればせながら新ブログ開設おめでとうございます!
MYOGいいっすねー!
ってシルナイロンめちゃめちゃ滑って縫いにくいですよね。伸びるし・・・。
私がタープ作った時は長さが合わなくて不格好になってしまいましたw
やっぱり無精せず仮縫いをきっちりやるのがいいんでしょうね。
タープにシェルターを連結させるアイデアもすごく良いと思います。
ちょっと思ったのですが、シェルターの出入り口を止めておく白い紐あるじゃないですか?
あの辺りとタープのグログランにループつけて釣り上げたら居住空間広くならないですかね?
そんなに上手くは行かないかな?
新ブログも楽しませていただきます。
目指せ100万PV!頑張ってください!
軽さと引き換えに、ツルツルで非常にイライラしますね。
どこかで滑り止めに耐水のサンドペーパーを敷くといいと読んだ記憶があります。
種類によって伸び具合も違いますし、一度で理想のものを仕上げようとするのは難しいかもしれません。
ストックシェルターとの組み合わせですが、思ったほどよくありませんでした。
タープが弛んでしまうのが良くないです。
そうですね。あちこち引っ張ったら居住空間が広がりそうです。
また、戻ってからやってみます。
私はアライのフライシートを使用してます。
テントを覆うには丁度いい長さですが、前室を造るため入口側に張り出すと、後方部分がカバーできなくなります。
空模様を見ながら、どのぐらい引き出すかが設営時の悩みです。
もう少し長いフライシートがないかと登山用具店を物色しましたが、見当たりません。
長さ3Mだと設営スペースの問題もあるので、2.5~6Mぐらいのが欲しいです。
この記事を見て、どこかのメーカーさんが作ってくれたら嬉しいです。
ストックシェルターにアライテントのエアライズか何かのフライシートを組み合わせているということでしょうか?
それとも、タープですか?
やはり自分好みのものが欲しかったら、作るのが手っ取り早いと思います。
タープなら縫製もそんなに難しくありません。