ネズミに齧られて穴の空いたポールスリーブとテント本体の修理

こんにちは。からあげです。

テントをネズミに齧られる

今日はテント修理の話。

新型コロナが一時収束していたかに見えた2020年夏、私は自転車で上高地まで行って小梨平キャンプ場でテントを張りゆっくりと過ごしていた。
去年は例年になくツキノワグマとネズミの出没が多い年だった。毎晩のようにクマが出没していたので、クマにだけは十分気を付けていたのだが、ネズミには対してほとんど注意を払っていなかった。

テントを張ったのは、キャンプ場中央のメインストリートから離れた一番奥の笹薮に近いところ。
当時はまだ梅雨明けしておらず、毎日のように雨が降り続いていた。それなのでテント内に引きこもり読書をする毎日を過ごした。
そんなある日の晩、寝ていると頭の近くでガサゴソと物音がするのに気が付いた。はじめ気のせいだと思っていたのだが、耳を澄ませるとたしかに何かが動く音がする。テントの外に出て周囲をライトで照らしてみるも異常はなく、そのまま眠ったのだった。

翌朝、一時的に雨が上がったので濡れた荷物を広げて乾かしていた。そのときテントの損傷を発見する。
なんとテントのポールスリーブエンド付近とテント本体のメッシュ生地に穴が空いていた。昨晩聞こえていたのは、ネズミがテントを齧る音だったようだ。

テント周辺のようす

笹薮が近くて隠れて近づきやすい環境だった。
クマであったならテントに大穴が空いただけでなく、爪で引っ掻かれるなどして大怪我をしていたかもしれない。

すぐさま引っ越しすることに決めた。

使用していたテントはアライテントのカヤライズ1。
本体がメッシュ生地で通気性がよく、夏のキャンプでも快適に過ごすことができる。特に蒸し暑い低地でのキャンプに真価を発揮する。
エアライズとの互換性があり、フライシートやポールの使い回しができるのもメリット。テント本体単品でも販売されている。

 

穴の空いたテントのポールスリーブ。
エンド手前に大きな穴が空いている。

穴のアップ。
このまま放置して修理せずに使い続けるのは良くない。
傷んだときはその場ですぐに修理するのが基本。

本体に空いた数個の穴。

 

現地での補修

テントを撤収したのち、ネズミが近寄りづらい梓川に近いサイトの方に引っ越し。人気の多い方が安全だろう。
テント設営前に補修しておく。

自転車ツーリングに出かけるとき、常に携帯している100均の補修テープ。
完全な修理は帰ったあとで行うことにして、今回は大きな穴だけは塞いておくことにする。
適度な大きさに切って貼り付け、周囲を糸で縫ってゆく。
テープの粘着成分で針と糸の通りが悪くなるが、単にテープを貼り付けただけだと剥がれてくる。

生地が汚れていると接着力が弱くなる。

既存の縫い目に沿って縫い補修を行った。とりあえずこれでヨシ。

引っ越ししたあとも再びネズミがやってきた。しかし、カバン内の食料を齧られただけでテントやカバンは無事だった。
カバンのフタをしっかりと閉め、自転車カバーを掛けていたのに、隙間から入り込んでレトルトカレーや袋ラーメンを齧りやがった。

それでもオルトリーブのカバンが無傷だったのは幸いだった。いちおうネズミも気を遣ってくれたようす。かわいい奴め、なんだか憎めない。

修理後、気の済むまでゆっくり滞在し、登山にも出かけることができたのだった。

 

帰宅後の本格的な修理

帰宅したものの、修理が面倒くさくなってしばらく放置していた。気にしないでおこうと思うと余計に気になってくる。そんな数ヶ月経ったある日、重い腰を上げて本格的な修理を行うことにした。

これが私の携帯用修理キット。カッパやテント、衣類、靴の修理まで何でもやる。
メイン素材は100均の補修シール。(もったいないので、本物の補修シールは滅多に使わない。)
家でも出先でも、アイロンで貼り付けるタイプではなしにシールタイプを好んで使う。手軽なシールタイプが一番。高級シールだと下地をきれいに掃除して貼り付けるだけで完了する。

使用する針は厚地用の太めのもの。糸は太さ#60相当の丈夫なミシン糸を使用した。
厚手のブルーシート(#3000)、太い麻糸、ストラップ類などを常備している。

 

現地で補修したポールスリーブのエンド付近。
しっかりと目視点検したところ、補修箇所の状態は良好だった。これを取り外してやり直すよりも、この上から修理したほうが簡単で安上がりのように思えた。

現地で修理しなかった細かいところも直してゆくことにした。

 

ポールスリーブ部分の修理

修理方法はいつもと同じく、100均の補修シールを貼ったのち、周囲を糸で縫って剥がれないようにする。生地が分厚い箇所なので太めの針でないと通らない。

針の頭(穴が空いている方)をプライヤの平らな部分で押して針を突き通し、出た針先をプライヤで挟んで引き抜く。市販の指ぬきは小さくておっさんの指にはハメられない。

滑って怪我をしないように十分注意する。

出先で厚物を糸で縫って修理する際は、プライヤ付きの多機能ナイフがあるととても便利。自転車ツーリングの場合は携帯工具のラジオペンチを使っている。

力のかけ方が狂って斜めになると、丈夫な厚地用の針でも簡単に曲がってしまう。予備を数本持っておくと安心できる。私は常に3本持ち歩いている。

スリーブの既存の縫い目の部分は向こう側に貫通させ、スリーブ上は中を閉じないように浮かせて縫う。
手縫いだからできる高度な修理方法。

大穴が空いていたポールスリーブのエンド。継ぎ接ぎだらけになったが、いい味が出た。実用には何ら支障はなし。

ポールスリーブの修理が終わったところで、テント本体を組み立てる。
テント本体のメッシュ部分の穴は組み立てた状態で直すことにした。

修理したスリーブ部分がつっぱらないか、しっかりと確認しつつポールを通してテント本体を立ち上げた。見たところ問題はなさそう。

修理箇所に変な力が掛かっておらず、修理前と張り具合は変わらず。

 

テント本体メッシュ部分の修理

メッシュ部分の穴

生地のつなぎ目付近のメッシュ部分に穴。ネズミが前爪で引っ掻いたらしい跡。
メッシュの目は非常に細かくて小さな蚊でさえも一切通さず。

メッシュ補修用のパッチがあるが、通常の補修シールで直すことにした。ただし、今回は粘着力の強い本物の高級テープを使用する。

 

表側からテープを貼ったところ。
角を丸く切って剥がれなくする。これはテープを貼るときの基本。

内側から同じ大きさに切ったテープを貼って周囲を糸で縫う。
いくら強力なテープでも、凸凹のあるメッシュ生地では接着が弱くなる。

テントを出入りしてひと針ずつ丁寧に縫ってゆく。一人だと非常に手間が掛かる作業だ。

これがツーリング時に携帯するラジオペンチ。なんの変哲もない普通のやつ。通常の修理作業でも重宝する。

ステンレスのブレーキケーブルを切ったら、1回だけでおしまい。専用のケーブルカッターは携帯せず。
出先でケーブル交換しなくてもよいように、ケーブルの状態を常に把握して必要であれば出発前に交換しておく。

出たり入ったりしているうちに疲れてきたので、ポールを抜いた状態で縫うことにした。
あらびっくり。楽に縫い進めることができるではないか。

おっさんはまた一つ賢くなったぞ!

修理完了後のようす(おもて)

修理完了後のようす(うら)

よし、これで剥がれてくることはないだろう。

 

テント修理まとめ

修理が完了したカヤライズ1。手間暇掛けたおかげでより一層愛着が湧き、構造を知ることができた。暑い夏にはカヤライズ。低地でも快適に眠ることができる。あとは気合だ。

それにしても、キツネには登山靴を齧られるし、謎の生き物に自作のバックパックも齧られ、実家物置にいるときにでさえ、トレランシューズを齧られた。笑ってしまう。そういう星の下に生まれたとしか言いようがない。

ということで、ねずみに齧られたテントの修理は完了。これからもガンガン使っていくことにしよう。頼むよカヤライズ。

テントなどの汚れものの生地の修理の際は、事前の掃除が非常に重要です。
テープを貼ったのちに端を糸で縫うと剥がれてこなくて万全です。
ただし、フライシートやカッパなどを縫うと雨漏りするようになるので、高級な修理テープを貼るだけにしましよう。