サングラスのストラップを自作する

こんにちは。からあげです。

はじめに

 

眼鏡サイクリストのサングラス選び
こんにちは。からあげです。 はじめに サングラスは目の乾燥や異物(ゴミ、ホコリ、虫など)が入るのを防ぎ、眩しさを抑えて見やすくして目の疲れを和らげる。自転車の中でも高速走行するスポーツ自転車にはサングラスが必需品だ。 視力が悪い私は眼鏡を常...

前回の記事で紹介した眼鏡サイクリスト向けのオーバーグラス。
眼鏡の上から掛けるタイプで、防風・防塵性能が高くて紫外線もカットしてくれ目の疲れを軽減してくれる。
ストラップを付けていれば激しく動いてもズレることはない。

選択肢が非常に乏しい眼鏡用サングラスのなかで、アックスのSG-605Pは最高のオーバーグラスといえる。(ただし眼鏡に合えば。)

掛け心地の良さはストラップを装着しなければ体感できない。
ストラップなしだと正直言ってただの大きめのオーバーグラスという印象だ。
つまりストラップがとても重要ということ。

このストラップは自転車雑誌(BiCYCLE CLUB)の付録で付いていたもの。テンプル先端の先セルに装着するタイプで、適度な柔らかさがあるがスッポ抜けることはなく非常に使い勝手がよい。
眼鏡のストラップとして同様のものや輪っかをテンプルに通すものなども使用したことがあるが、材質が悪かったり耐久性が低かったりしてどれもイマイチだった。

だが、このストラップは違った。ただの安っぽいおまけではなく、本当に使える正真正銘ストラップだった。
もとは鮮やかな黄色だったが、経年劣化で変色してクリーム色っぽくなっている。

上から見たようす

ストラップを付けても違和感は全くなし。

先セルとの接続部分。
弾力性のあるシリコンが用いられていて掛け心地はよい。

黒いプラスチック製のストッパーを操作して固定する。
固定力が絶妙で強すぎず弱すぎず、適度な力で保持してくれる。

経年劣化により紐が細くなり固定力が落ちてきている。

アックスのオーバーグラス(SG-605P)が気に入って、新たなオーバーグラス(SG-605P GSV)を手に入れた。
このオーバーグラスにもストラップを取り付けようと思って既製品で同じようなものを探した。しかし、高価だったり品質が悪そうだったりして気に入らなかった。
欲しいものがなければ自分で作ってしまえ、ということで毎度おなじみの自作を行うことにした。

こうして自作するようになったのは、自作キットでバックパックを作ってからのこと。それまでは安易に既製品に頼っていたのだが、自作の快感を覚えてからは自分で作らずにはいられなくなったのだ。

超軽量バックパックの自作~【その1】 Ray-Way Backpack kitの入手~
こんばんは。からあげです。 はじめに ここでまずはじめに、バックパックの自作について説明しておくことにしよう! 以前にも書いたとおり、数ヶ月前からPCT用の超軽量バックパックを自作するために準備を進めていた。 アメリカ西海岸パシフィック・ク

 

自作ストラップ試作品1号

ネットで検索して出てきた熱収縮チューブを使ったストラップが気に入ったので、真似して作ってみることにした。はじめは何でも真似から入る。

とりあえず収縮前の内径が8mmと10mmの2種類を購入した。

エルパ 熱収縮チューブ(ブラック)PH-648H(BK)

使用したのは8mmの方。
収縮前の内径(8.6mm±0.3mm)、収縮後の内径は4.0mm。

熱収縮チューブとは電線の絶縁や保護に使われるもので、熱を加えると収縮するポリオレフィン樹脂という素材でできている。
収縮開始温度は70℃、完了温度は90℃以上でドライヤーなどで加熱して収縮させる。

 

片面には表示あり。

ストラップの材料は太さ3mmのナイロンロープ(約70cm)。ほかにロープの太さに合うコードロック、ロープの端を処理するための瞬間接着剤。

 

先セルのようす

通常の眼鏡のように曲げられる。

先セルの幅をノギスで測ってみると約10mm。

瞬間接着材で末端処理したナイロンロープ。
ライターで炙るだけより解れにくく見た目が良い。

熱収縮チューブで覆われてしまうので、瞬間接着剤による処理は不要。だがいつもの癖でやってしまうおっさんであった。

ダイニーマロープの末端(切り口)を瞬間接着剤で固めて解れないようにする
中芯がダイニーマのロープは非常に丈夫ですが、加工しずらくハサミやカッターナイフでカットするとボサボサになります。ライターで炙ると大きな玉になってロープワークの妨げになります。 瞬間接着剤を使えば綺麗な切り口にすることができます。 今回、ダイニーマロープの末端処理の方法を丁寧に説明しました。

 

先セルとロープをどのようにつなぐか。
いろいろ試してみる。

外側に沿わせることにした。

ビニールテープを巻いてみた。
これだとスッポ抜けるおそれあり。はい、やり直し。

細い糸で巻いて取り付けた。
結び目周りに瞬間接着剤を塗って補強しておく。

先に通しておいた熱収縮チューブをずらした。
収縮前の内径8mmでも多少の余裕あり。

熱源のドライヤーは1300Wの家庭用。

最高出力でじっくり加熱するが、思うように収縮してくれない。

家庭用ドライヤーをご使用の場合は、風量を「弱」にし、近くからゆっくり回しながら時間をかけて収縮させてください。
気温によっては、収縮が完了するまでに時間がかかる場合があります。

説明書きのとおりやってみても、大きな変化はなし。

長時間加熱してもこれが限界だった。
この程度の収縮だと隙間ができて不細工だし、使用中にロープがスッポ抜けるおそれあり。

熱収縮チューブの方法は断念することにした。

やむなくロープの輪っかに通して固定する方法をとることにした。
材料は同じくナイロンロープ(太さ3mm)とコードロック。そして手縫い用の糸とタコ糸、接着剤。

こちらは高品質のダルマ印の縫い糸。丈夫で切れにくく、よりが入りにくくて扱いやすい。

100円ショップの手芸コーナーにあるヤーンと呼ばれる太い糸。
タコ糸でも代用可。

先セルから抜けないように輪っかを作り糸で縛る。

さらに糸で縛る。糸の結び目は瞬間接着剤を塗って補強する。

ロープを先セルの外側に沿わせてからヤーンを巻く。
そして結び目を瞬間接着剤で補強して、上から接着剤(スーパーX)でコーティングする。
スーパーXとはセメダイン社から販売されている熱や衝撃に強くて弾力性のある接着剤のこと。
私が好んで使用しているもの。クリアはたいていの物に合う。

 

コブは外側にして耳に当たらないようにしている。
ヤーンはキツめに縛りスーパーXコーティングしズレないようにした。

内側のようす

ストラップの端にコードロックを付けてしっかり固定できるようにした。

完成したストラップ。
だが先セル部分に大きなコブができて、見た目も悪いし掛け心地も悪い。

試しに付けて自転車で走ってみたが、やはり大きなコブが鬱陶しかった。
輪っかを作る方法だと太さ3mmのロープでは鬱陶しい。太さ2mmのロープが適度かもしれない。
ヤーンは止めて糸で縛るだけにするとコブが小さくなるだろう

レンズの色が合わなかったこともあり、作ってすぐに外した。

 

自作ストラップ試作品2号

そのあと時は流れ、愛用していたBiCYCLE CLUBのストラップが傷んで、固定力がほとんどなくなってしまった。ストッパーで締めてもすぐにズレて緩んでしまう。

ボロボロになったストラップ。もう限界だ。
3年もよく保ったものだと思う。
高価で使えない既製品を買うのは論外。そこで再び自作に挑戦することにした。

ロープは前回自作したときのものを再利用する。
太さ3mmのロープにコードロックを付けたもの。

問題の核心部分はストラップを先セルに留める方法。輪っかで留める方法は前回やってみて自分には合わないことが分かった。
このゴムの代用品を入手できれば簡単に作れる。

ネット上を隈なく探して見つけたのは、観賞魚用のエアホース(内径約4mm)。
シリコンタイプで硬くなりにくく、折れにくく、弾力性が高い。ゴムの代用の素材にぴったりだと思った。

 

材質はシリコンタイプの高重合塩化ビニールを採用していますので、かたくなりにくく折れ癖がつきにくい為、長い時間の使用にも快適に御使用できます。

ホースの外観

黒で目立たずストラップにはピッタリ。安価なのもよい。

はさみで簡単に切れる。肉厚でそれなりの耐候性も期待できる。

外したストラップのゴムパーツとエアホースを比べる。
若干細い気がすると思いつつ先セルに通そうとすると、ホースが細くて入っていかない。
弾力性はあるがパンツのゴムのように伸びるわけではない。力ずくでも駄目、石鹸水を塗って滑りやすくしても駄目。何度やっても無理だった。

残念ながらこの方法も却下。別の方法を探すことにした。

BiCYCLE CLUBのストラップと以前自作したストラップを見比べる。
ほかに何か良い方法はないか。このあと数日間悩んだ。

以前、職場でバーナーで炙って熱収縮チューブを縮ませていたことを思い出した。
バーナーの代わりにライターで炙ってみることにした。
試しに前回の切れ端をライターで炙ると、ドライヤーとは打って変わってみるみるうちに縮んでゆく。

これで決まりだ!

火を近づけ過ぎて焦がさないように注意してください。
不安な場合は端材を使って試して火との距離感をつかんでください。

 

観賞魚用のエアホースを短く切りロープの端に挿し、瞬間接着剤で留めて抜け止めとした。

ライターで炙るとしっかり縮んで密着してくれた。
引っぱってみるとしっかりしていてスッポ抜けるおそれはないように思えた。

外側(見える方)からみると文字の表示はなし。
まるで既製品のように思える。

内側から見ると規格などの表示があって自作ものだと分かる。
これはある意味でオシャレ。

完成したオーバーグラス用のストラップ。
見た目も良くて固定力もしっかりある。

熱収縮チューブは適度な弾力性があり、ストラップにピッタリの素材だ。
惚れ惚れする出来栄えだ。

ボロボロのストラップは処分して、ゴムとストッパーだけ今後のためにとっておく。
いつの日か役立つときがあるかもしれない。

 

自作ストラップ試作品3号(完成形)

時は再び流れ、また新たにアックスのオーバーグラス(SG-605P BK)を購入した。
これまで使っていたのは可視光線透過率が15%のもの。曇天や雨天ではやや暗いと感じていたので、通常版の可視光線透過率34%を試してみたくなった。

付け心地は良好。34%だと晴天から曇天、雨天まで幅広く対応できる。

眼鏡用のサングラスはアックスのオーバーグラスに限る。
かつてない掛け心地で耐久性も十分ある。

パノラミックビューレンズで視界広々。
多少ゴツい気がするが、防風・防塵性能は十分あって紫外線もカットしてくれる。

前回自作したストラップは掛け心地も悪くはないが、ロープの伸縮性がなくフィット感が今ひとつだった。そこで今回は伸縮性のロープを使用することにした。

モンベルのシュラフカバーの口に付いていたもの。長年使ってボロボロになったので処分したのだが、使えるものだけ外して取っておいた。

3mmのナイロンロープと比べる。
今回使用するロープの太さは4mm。輪っか方式ではない場合は太めの方が良いように思える。

伸縮するのは芯なしの中空で伸縮性のある素材だから。
テントの張り綱に使われるロープは芯ありで伸びない素材でできている。
丸ゴムは伸縮性が高いものの、伸び伸びになって戻らなくなるし、耐久性がロープに比べると低い。

現時点ではシュラフカバーに付いていた伸縮4mmロープが最適だった。

熱収縮チューブの長さは65mm。長過ぎず短すぎない適度な長さに切った。

すっぽ抜け防止のために折り返して糸で縫った。
だがこれだけでは心もとない。

さらに折り返して3重にした。念のために糸が外れないように結び目に瞬間接着剤を塗っておく。
よし、これなら十分だ。

ライターで炙って収縮させて密着させた。
しっかり固定されてスッポ抜けるおそれはなし。

内側の表示が非常にオシャレ。

ロープの先にコードロックを付けて抜けないように縛っておく。
コードロックもシュラフカバーに付いていたもの。

伸縮性のあるストラップの完成だ!
伸びないストラップよりもフィット感が増してさらに良くなった。

残ったロープはもちろん取っておく。
もう1本分の長さくらいは十分ある。

 

自作ストラップの感想

試行錯誤してようやく理想のストラップを自作することができた。材料費は100円以下。
一からすべて揃えても500円あればできるだろう。
自分サイズで長さはピッタリ。見た目も素晴らしい。(自画自賛ばかりで申し訳ない。)
とっておいた伸縮ロープの存在を思い出したとき、嬉しくて小躍りしたほど。

あまりに掛け心地が良いので、今はこちらばかり使っている。

あとは熱収縮チューブの耐候性、耐久性が気になるところ。もとの用途が電線の保護・絶縁用なので十分期待できる。

あと数年して作り替えることになったら報告したい。

 

自作ストラップのメリット・デメリット

安価で作れる

必要な素材は熱収縮チューブ、ロープ、コードロックのみ。
既製品を買うよりも遥かに安く作れる。

簡単に作れる

必要な道具はライターとはさみくらい。
長期ツーリング途中でも簡単に作り直すことができる。

外せない

先セルにしっかりと固定してしまうため、ストラップを外すことができない。これが唯一の欠点。
熱収縮チューブを切って外すたびに付け直す必要がある。

簡単には外せないが、紛失や脱落のおそれがない。つまり屋外活動向けのストラップということである。

 

いつでもどこでも安く簡単に作ることができるサングラス用ストラップ。みなさんも自作してみてはいかがだろうか?