こんにちは。からあげです。
はじめに
以前、マルチポジションハンドルに交換したことをきっかけに、ポジションに付いて真剣に考えるようになった。
しばらく経ったあるとき、堂城賢(たかぎまさる)さんが提唱する「おじぎ乗り」を知る。興味が湧いたので本を読んでみたところ、腑に落ちることばかり。
自転車生活者の私が目指したい方向と同じだった。
自分の脚でペダルを漕いで推進力を得る自転車は、乗車姿勢がとても重要。その最適な乗車姿勢を保つためには、サドルやハンドルの位置や高さを決めるポジション出しが必要となる。
初心者の私は、これまでポジションのことなど大して気にせずに、自分の思うまま乗っていた。
荷物を満載した重装備のツーリングスタイルでなしに、ほとんど空荷での走行中に、小中学生ならまだしも、おばちゃんのアシストなしのママチャリに抜かれる始末。もうこんな屈辱には耐えられないと、「おじぎ乗り」習得に向けて自転車をいじることにし、ポジションについて勉強を始めたのだった。
約2年前購入した自転車は、ディスクブレーキ仕様のSURLYディスクトラッカー(以後DTと略す)。
抜群の直進安定性と丈夫なクロモリ製のフレームで、世界中のサイクリストに愛されているロングホールトラッカーのディスクブレーキ版だ。乗れば乗るほど良さが分かる。もうコイツなしの人生なんて考えられない。そんなふうに思えてきた。
サドルは購入当初から革サドルの定番「ブルックス B-17スタンダード」を付けていた。
初めて座った時、サドルが近いなとは思ったものの、そのまま気にせず乗っていた。
だが、今回のポジション見直しをするうちに、サドルが近すぎると思うようになった。
サドルを固定しているシートポストはVivaのシートポスト(φ27.2mm、350mm)。
軽量化のために100mm切って長さ250mmにしてある。
サドルを後方に下たい場合、固定金具を緩めて後方いっぱいに移動させるのだが、ブルックスの革サドルは通常のものに比べて調整幅が少ない。座り心地が良い革サドルを他のものに変える気はまったくない。
そこでオフセットの大きいシートポストに交換することにした。
ちなみに取り付けていたVivaのシートポストのオフセットは30mm。
日東シートポスト(ピラー)S84 オフセット37mm
購入したのは丈夫なクロモリ製でオフセット37mmの日東S84。
長さは250mmでパイプ外径 ∮27.2mm。色はシルバーのみ。
サドル固定用クランプはアルミ製だが、本体はクロモリ製。
クロモリ製なのはオフセット量が多いと負荷が掛かるためだと思われる。
L字部分はラグ溶接されていて見た目が美しい。
これは昔の自転車に用いられていた溶接手法で、現在でもクラシカルなランドナーで見られる。私のセカンドバイク「Panasonic OJC4」もラグ溶接されている。
箱の横にハッキリ分かるようにクロモリの表示あり。
持つとかなりの重量を感じる。
シートポスト全体
パイプの刻印
限界引き出し量「MAX.HT」の表示あり。
クロモリ製のためパイプは薄くなっている。内径23.5mm、メッキ加工済み。内側に若干サビが浮いているが気にしない。
クランプを上から見たようす。
クランプを横から見たようす。
なんだか小動物の愛嬌ある顔に見えてくる。
後ろから見たようす。
下から見たようす。
6mmの6角穴付きボルト2本でサドルを固定するようになっている。
もっとも気になる重量を量ってみると408g。
メーカー公称値345gよりもはるかに重たい。
実際に手に持ってみると、ずしりとした重量感がある。見るからに丈夫で釘も打てそう。
私は重量に大してこだわらないが、その分確実に自転車全体の重量が増えていっているのが気にかかる。丈夫さを求めると、重量増は絶対に避けられない。
ここはもう諦めるしかないだろう。
シートポストの比較
まずはサドルごとシートポストを取り外す。
こまめに手入れしている革サドルはツルツルのテカテカ。
サドル(Brooks B17スタンダード)の裏側。
見てのとおり、サドルの可動幅が少ない。
メジャーで測ってみたところ、取り付け部分の幅は約60mm。
サドル取付部のアップ。
これで後方いっぱいに下げた状態。
比較するためにPanasonic OJC4(完成車)のサドルを取り外してじっくりと比較してみる。
こちらの取り付け部分の幅は70mm。なんと革サドルに比べて10mmも広い。
取り外したシートポストを分解した。
Jの字の形状でオフセット量は30mm。ボルト1本留め。
先端のようすをアップで撮影。
S84とVivaを比べてみる。オフセット量37mmと30mmでわずか7mmの違いだが、数値以上に見た目が異なる。
革サドル(Brooks B17 standard)の点検・整備
シートポストを外した革サドル。
内側の後方が黒光りしているのは、押し歩きするときにこの部分を持つことが多いため。
クランプが当たっていたところにペンキの剥がれとサビあり。
リベットの部分にもサビが発生している。
さらには調整ボルト周辺にもサビが発生していた。
真鍮ブラシやウエスで擦ってサビを落とし、黒のペイントマーカーを塗っておいた。
すると見違えるほどキレイになった。
シートポストの取り付け
新しいシートポストの取り付け。
クランプボルトを緩めてクランプを広げる。完全に緩めてボルトを抜いてしまうと、面倒くさいことになるらしいので抜かないように気をつける。そう説明書に書いてあった。
隙間から入れてクランプを仮止めしておく。
サドルを一番後方に引いた状態。
取り扱い説明書記載のパーツ各部
固着しないようにグリスを薄く塗っておく。
雨天走行が多いと固着しやすくなる。錆びやすいクロモリ製フレームは、特に気をつけた方がよい。
シートクランプが汚れていたので、外してキレイに掃除することにした。
そういえば、これまで掃除した記憶がない。
ネジ山や隙間が汚れてしまっている。
ネジを外してしっかりと洗浄し、グリスを塗ってから組み付けた。
自分で整備していると、こまめにグリスを塗ることの重要性がよく分かる。雨にさらされる自転車は特にそう。
これからは面倒くさがらずに、定期的にビスのグリスアップをすることにしよう。
取り付け完了後のようす
シートポストの交換作業完了!
シートポスト取り付け後、まずは高さを決めてから角度の調整を行った。
サドルの固定ボルトが2本なので、角度調整しやすかった。剛性も上がったような気がする。
サドルの高さは以前と同じ。位置を後方いっぱいに下げた(7mm移動)。
シートポストのようす
パッと見ただけでもサドルが後方に下がったのが分かる。
シルバーとブラックで統一感がないのがイマイチだが、気にしないことにしよう。
今後気になるようだったら塗装しよう。おっさんはどうでもいいことにこだわるもんで。
シートポストを下から見上げる。
これが革サドルのBROOKS B17スタンダード。走行距離はすでに23,000kmを超えている。水濡れに弱く重たいことに目を瞑れば、座り心地と見た目が良くて愛着がものすごく湧く最高のサドル。暇さえあれば磨いて一人で自己満足に浸っている。
ツーリング用携帯工具(ミニモンキー)の改良
シートポストが肉薄になって困ったのは、ツーリング用携帯工具のミニモンキーがゆるくなってしまったこと。
肉厚なVivaのアルミ製シートポストに合うように柄を削って使っていた。モンキーがスカスカだと、下に向けた時にモンキーが外れて作業性が悪くなる。
削った柄のようす
モンキーを挿してみるとスカスカ。両端に1mm以上の隙間がある。
そこで物置にあったホースの切れ端を取り付けた。石鹸水を付けて力ずくでねじ込んだ。
ホースを付けると、逆さにしても落ちることはなくなった。
もとのシートポストに戻すことになっても、すぐに取り外すことができる。これでヨシ。
シートポスト(NITTO S84)の感想
わずか7mmサドルを後方に下げただけなのに、あらビックリ。巡航スピードが2~3km/hも上がった。
サドル周りの剛性が上がり、力の伝達ロスが少なくなったためか。
衝撃吸収性の違いは分からないが、なんとなく乗り心地がマイルドになったような気もする。
これらはあくまで私の感覚だが、ペダルを漕ぎやすくなったのだけは確か。
1万円もしないシートポストでこれだけの効果が得られたのでヨシとしよう。
あとはステムを長くしてハンドルを遠くしたい。
ステム交換で気になるのが、ブレーキケーブルの長さだが、マルチポジションハンドルからドロップハンドルに戻した際に、十分ゆとりを持って付けたので、ブレーキケーブルの交換の必要はないと思われる。
こうして始まったおじぎ乗りのためのポジション変更。次はステムの交換だ。
めざせ夢の永久機関!