こんにちは。からあげです。
カンチブレーキのPanasonic OJC4からディスクブレーキのSURLY Disc Truckerに乗り換えて、自転車生活をより楽しめるようになった。
というのは、カンチブレーキは雨天では効きが非常に悪くなり、荷物満載のツーリング中だとだと、効かないブレーキに神経をすり減すことになる。ところが、ディスクブレーキの場合はもともと効きがいいし、雨でもさほど効き目が落ちないため、安心して自転車に乗っていられる。この違いは非常に大きい。ディスクトラッカーには、まだ1,000kmほどしか走っていないが、乗って直ぐにカンチブレーキとはまるで違うことが分かり、その歴然とした違いに感動したものだった。
ただ、いくら優れたディスクブレーキでも、きちんと整備されていることが前提となる。まだスポーツ自転車に乗って1年少々の私は知らないことばかり。去年の北海道・東北ツーリングでは、チェーンの整備を怠り(敢えてしなかったこともある)、スプロケットを無駄に消耗させてしまい、僅か8,000km乗っただけでスプロケを交換する必要に迫られてしまったのだった!
自転車に無知の私は、実践あるのみ。ディスクブレーキのブレーキパッドの点検を行うことにした。
メカニカルディスクブレーキ(BR-CX77)ブレーキパッドの点検
走行距離約1,000km 初回点検
これがブレーキパッドを点検する自転車のSURLYのディスクトラッカー。
ディスクブレーキには、油圧式と機械式(メカニカル)の2種類あるが、今の主流は油圧式。もともとMTBで開発されたディスクブレーキだが、最近ではロードバイクにも搭載されるようになっている。ただ、構造が複雑な油圧式はロングツーリングには向かないので、機械式を選んでいる。
私の自転車に搭載するブレーキは、Shimano BR-CX77というシクロクロス用のもの。シクロクロスとはロードバイクでオンロードの他にオフロードも走る競技のことで、ULTEGRA6800シリーズというロード系上位グレードのブレーキとなる。
なぜ、サーリーのツーリングバイクにBR-CX77を搭載したのかというと、経験豊富な元世界一周サイクリストの自転車見聞店店主が厳選したパーツだからだ!このディスクトラッカーは、海外ロングツーリングのために、厳選されたパーツで組み立てられている。重要パーツにはふんだんに金を掛け、重要度の低いパーツには廉価グレードを使用するという財布に優しい仕様にもなっている。もちろん海外でのパーツの入手性が考慮されているのは言うまでもない!私は基本他人のアドバイスは適当に受け流す質だが、その道のプロのアドバイスにはしっかりと耳を傾ける。
話を戻そう。今回は走行距離が1,000kmを越えたところなので、メカディスク(BR-CX77)のブレーキパッドを勉強を兼ねて点検してみることにした。
メンテナンス用のスタンドを持たない私は、いつも自転車を倒立させて整備を行う。
ハンドルとサドルの下のコンクリと接触するところは、ウエスを敷いて保護してある。
まずは簡単なフロントから点検を行う。
フロントブレーキパッドの点検
ディスクローターとメカディスク
始めにフロントタイヤを取り外す。
これはメタルパッド使用可能なブレーキローター。型式はSM-RT64 160mm。
ブレーキパッドには、樹脂系のレジンと金属系のメタルの2種類あって、標準ではレジンパッドが取り付けられている。まずは扱いやすいレジンパッドでメカディスクに慣れておく。
タイヤを取り外す前にパッド調整ネジを緩めてパッドのクリアランスを広げておく方が良いらしい。私はそのままタイヤを取り外した。
ブレーキ全体のようす
各部をチェックして仕組みを頭の中に叩き込む。
車輪側から見たようす
R-PAD INと書かれた物がパッド調整ネジ。車輪側のパッドのクリアランスを調整するネジだ。
次第にパッドが減ってくるので、調整ネジを締めてパッドとローターのクリアランスを規定値0.2~0.4mmに調整する。(だいたいの見た目)
調整ネジに左にあるスナップリングが付いたものがパッド軸。パッドを外すには、まずはスナップリングをラジオペンチで外してからパッド軸を緩める。
車体外側から見たようす
画像中央やや左にあるマイナス頭のネジがパッド軸。
スナップリングを外してからマイナスドライバーで緩める。(緩める方向は左回し。)
パッド軸のようす
全長30mm、太さ3mm
パッド軸のマイナス頭
スナップリング
非常に小さなものなので、なくさないように気をつける。
屋外での作業では、風で飛ばされないように物陰で行い、紛失しないように浅底の容器などに入れておく。
パッド軸を抜くと、パッドを抜き出せるようになる。
こちらの方からマイナスドライバーを突っ込んでパッドを軽く押し出す。
穴の中央にあるのがスプリングで、2つのパッドを押し広げる役目をしている。
パッドを押し出しているところ。あともう少し。
角度を変えてもう一枚。
スプリングが効いているため、キャリパーから出ると広がる。
フロントブレーキパッド
パッドは左右対称で左右の区別はなし。
スプリング
パッド軸の穴の近くにはRとLが表示されている。
見たところ、スプリングも左右対称で左右の区別はないように思えるが、なぜだろう?。
角度を変えてもう一枚。
ブレーキパッドのようす
アルミ台座にレジンパッドが付けられている。上の穴がパッド軸が通る場所。
飛び出いている部分がやけに華奢に見えるが大丈夫か?
こちらが反対側。
G01A RESINと表示されている。G01AのAとはアルミニウム(ALUMINIUM)、RESINは樹脂製の意味。
こちらは車軸側でパッド調整ネジの跡が付いている。
パッドの前側に来る角は斜めになっている。
これはおそらくブレーキの鳴きを抑えるとともに、馴染みやすくするためだと思われる。
始めこれを見た時は、パッドの剛性が足りなくて削れてしまったものと勘違いしてしまった。
あともう少しで台座に当たるから、家に帰ったらパッドを交換しなきゃと思ったのだった。
東京から自走して愛知に帰る途中、伊豆半島のとある公園で点検した時に見付けた。
この時は、ディスクトラッカーにまだ乗り始めたばかりで、全然メカディスクのことが分からなかった。そのため、パッドが異常摩耗したと勘違いをしたまま、伊豆半島のアップダウンの激しい山岳路では、優しくブレーキを掛けながら走っていた。
今考えると馬鹿みたいで笑えるが、当時の私は真剣そのものだった。
パッドを横から見たようす
斜めのカットの具合がよく分かる。パッドの表面から線維のような物が飛び出ているのが分かる。
2つのパッドを重ね合わせたところ。
左右のパッドの偏摩耗はなし。見た目は均等に減っている。
こまめにパッドのクリアランス調整していたのが良かったみたい。
パッドの前側を見る。
斜めカットは直線ではなく、波型になっているのが分かる。
shimanoのこだわりなのだろう。
フロントブレーキパッドとブレーキローターの厚さ
取り外したままの状態で、ノギスを使用して残りのパッドとブレーキローターの厚さを計測した。
ブレーキパッド G01A RESIN 走行距離1,000km | |
車軸側 | 2mm |
車体外側 | 1.8mm |
新品時 | 2.4mm |
使用限界 | 0.5mm |
ブレーキローター SM-RT64 160mm 走行距離1,000km | |
1.8mm | |
使用限界 1.5mmまたは片方のアルミ面が出るまで |
ブレーキキャリパーのようす
ウエスを突っ込んでキレイに拭いておく。
パッド表面はパーツクリーナーを噴射してしっかりと汚れと油分を除去しておく。
表面がキレイになって見違えた。レジンパッドは油が付着するとブレーキの効きが悪くなるので注意する。油分は内部に染み込み取れなくなるため、それほど減っていなくても交換する必要あり。
レジンパッドを使用する時は、油分の付着によって効きが悪くなることに備えて、予備のパッドを持っておいた方がいいだろう。
掃除してキレイになったパッドにスプリングを付ける。
ちょうど画像のように付けてパッドを組み合わせる。
パッドにスプリングを付けて組み合わせたところ。
スプリングの力でバラバラになりやすいので、しっかりと持っておく。
スプリングとパッドのパッド軸の穴を合わせてパッド穴の方からキャリパーにセットする。
今回は、いちおう元の位置に戻しておいた。
パッドの厚さを計測すると、車体外側のパッドの方が減っていたので、左右入れ替えて取り付けた方が良かったのかもしれない。まずは始めのパッドなので、無難に元通りに戻しておく。
キャリパーにセットするには多少のコツがいる。
何度か失敗してようやくセットすることができた。
車軸側のパッド調整ネジと車体外側のアーム調整ネジは、いっぱいまで緩めてある。
点検したついでに掃除して、見違えるほどキレイになったブレーキ周り。
元のようにパッド軸を取り付けてから、スナップリングを取り付けておく。
現行板のG02Aのパッドにはスナップリング方式ではなく、割りピン方式となっている。
スナップリングは小さくて紛失しやすいなど使いづらさが理由だろう。
ホイールを取り付けてクリックリレーズを元に戻す時に、アームのところに傷みを発見した。
このようにフロント側には出っ張りがあって、レバーの向きが悪いと当たるようになっている。
訳も分からずに強引に締め込んだばっかりに、レバーの付け根を傷めてしまった。
ホイール取付後、パッドのクリアランスの調整を行った。
回数をこなすうちに、要領が分かってきて、直ぐに決まるようになってくる。
リアブレーキパッドの点検
リア側もフロント側と同じ要領で作業を行う。
まずはホイールを外したところ。
ブレーキパッドを外したところ。
リヤブレーキパッドとブレーキローターの厚さ
ブレーキパッド G01A RESIN 走行距離1,000km | |
車軸側 | 2.3mm |
車体外側 | 2.2mm |
新品時 | 2.4mm |
使用限界 | 0.5mm |
ブレーキローター SM-RT64 160mm 走行距離1,000km | |
1.8mm | |
使用限界 1.5mmまたは片方のアルミ面が出るまで |
パッドの表面
パッドの裏側のアルミ台座
パーツクリーナーを吹きかけて掃除したところ。
フロント同様、リヤもパッドの前側が斜めにカットされている。
角度を変えてもう一枚。
繊維質状のものがハッキリと分かる。
パッドを外したところで、ブレーキキャリパーもしっかりと掃除をする。
車軸側のパッド調整ネジと車体外側のアーム調整ネジは、いっぱいまで緩めてある。
ブレーキローターの取り外し
ホイールを外したついでにブレーキローターを外してみることにする。
ブレーキローターはロックリングで取り付けられていて、付け外しには専用の工具が必要。
今回はPWTという安くて品質の良い台湾メーカーの工具を使用した。携帯用の工具も買ったが、まずは扱いやすい柄のついたもので行った。スプロケット外しもできるセットの工具。
工具の先端部
角度を変えてもう一枚。
パッと見ただけでは、shimanoの携帯工具との違いが分からない。
私が作業する分には、十分な品質だ。先日、PWTのペダルレンチで硬く締まったペダルを取り外したこともあり。PWTという工具メーカーは信頼できると判断した。
まずはホイールのクイックレリーズを取り外す。
左のレバーと反対側のナットを回すと外れるようになっている。
取付時はスプリングの向きを間違えないように注意する。
このようにナットが外れるようになっている。
工具をセットしたところ。
下に置く時はシャフトを傷めないようにダンボールを敷いている。
これがロックリング
これは通常のネジで、左に回して緩める。
ロックリングに工具をセットしたところ。
実際に緩める時はタイヤを立てて、跨ぐようにしてタイヤを固定し、工具のハンドルを下に押す。
グッと力を加えると、簡単に緩めることができた。
ブレーキローターを外したあと
取り付け部分にはギザギザの溝が彫られている。
角度を変えてもう一枚。
今度は真上から撮影した。
ロックリング表側
非常に薄くてペラペラ。
ロックリング裏側
ブレーキローターのようす
shimano SM-RT64 160mm
メタルパッドも使用可能なもの。
MTB用のローターはワイドタイプ、ロード用のものはナロータイプになっている。
ローターに合わせてパッドの種類も違うので本当に難しい。
なんだって自転車はパーツの種類がたくさんあるのか?初心者には分かりづらく、適合するパーツ選びをするだけで非常に手間取る。ブレーキやシフトワイヤーなんかも非常に分かりづらい。知っていれば、どうってことないが、知らないと本当に戸惑う。シフトケーブルはMTBとロード共通で、ブレーキケーブルは、エンドのタイコ部分が違って互換性なしとか止めて欲しい。
そういうことが当然のこととして語られているので、自転車業界はもっと初心者に優しく分かりやすくした方がいい。カンパニョーロとかスラムとかもいい出したら、頭痛がするので勘弁して欲しい。えっ何、そのニョロニョロってのは?
ローター中心部のようす
ギザギザの溝のようす
作業のまとめ
なぜ、今回必要でもないブレーキローターを外したかと言うと、飛行機輪行に備えるためだ。
いくらダンボールに入れてキッチリ梱包したところで、横積みされたり放り投げられたりされたら、ブレーキローターが歪んでしまいかねない。多少の歪みなら、モンキーを掛けて元通りに戻せるようだが、修復不能なほど曲がってしまうかもしれない。いちおう予備のローター1枚は持ってゆくが、念には念を入れておきたい。(心配性なおっさんなもんで)
パッドとローターのクリアランスが1mmにも満たないディスクブレーキは、非常に繊細なのでローターを傷めないように注意する必要がある。歪んでしまうとパッドとローターが擦って、ローターを外さない限り走行不能になる。ただ飛行機輪行さえ乗り切ってしまえば、あとは快適なツーリングができるようになる。
今回、ブレーキを分解してチェックしたことで仕組みが分かり、対処できる幅が増えたように思える。この調子で準備を進めてゆきたい。
おわり