こんにちは。からあげです。
はじめに
スポーツ自転車に乗り始めたばかりの2018年夏、海外ツーリングの前に国内で経験を積もうと思い、北海道へツーリングに出かけることにした。
買ったばかりの新車でメカトラブルはほとんど起きないだろうから、精神修行を兼ねて頑張って長い距離を走り、様々なトラブルが出やすい状況にあえてした。
さらにツーリング中は必要最低限のメンテナンス以外はしないようにして、わざとトラブルが起きるように仕向けた(やり方を知らなかったこともある)。その甲斐あってか、さまざまなトラブルを経験することができた。経験は貴重。
ツーリング中のそれらのトラブルとメンテナンスをこれから順番に説明していきたい。
ランドナー(Panasonic OJC4)と変更点
Panasonic OJC4
2018年年明け早々、初めて購入したスポーツ自転車のPanasonic OJC4。
丈夫で耐久性のあるクロモリのフレーム、荷物を積載して旅をするように設計されたランドナーというタイプの自転車。
キャリアは標準装備の日東のフロントキャリアのほか、前後にTUBUS製のキャリアを取り付けている。荷物を積載するためには、カバンを取り付けるキャリアが必要だからだ。
自転車の総重量とキャリアの耐荷重
場所 |
メーカー | 品名 | 耐荷重 |
フロント |
日東 | M12 ランプホルダー付き | 2kg |
フロントサイド |
tubus | Tara | 15kg |
リヤ |
tubus | Logo Classic | 40kg |
幅広タイヤに交換 26×1.5→1.75
タイヤは26HEというかつて主流だった26インチのマウンテンバイク規格のもの。現在、先進国では27.5インチ(650B)というサイズが主流となっているが、発展途上国ではまだまだ26インチが現役ということもあって、OJC4完成車は無難な26HEが選ばれている。
今回の北海道ツーリングでは未舗装の林道を走ることが予想されたため、幅広タイヤに交換することにした。
選んだタイヤは世界一周サイクリストの定評のあるシュワルベのマラソンプラス(26×1.75)。
とりあえずマラソンプラスを履いておけば間違いない。ど定番のタイヤを選んだ。
海外にゆく前にマラソンプラスの耐久性を知りたかったこともある。
SCHWALBE MARATHON PLUS 最高位の耐パンクベルト(5mm)を採用してデビュー後10年を超えるロングセラー。摩耗に強い”エンデュランスコンパウンド”と転がり抵抗の少ないトレッドパターンを採用し、荷物を積載したロングツーリングから電動アシスト自転車での普段使いまで安心してご使用いただけます。
リアドロヨケの取り外し
リヤのドロヨケとタイヤが干渉するようになってしまった。
ドロヨケを外して多少の軽量化にはなった。しかしトータルでみるとタイヤが重たくなった分、大幅な重量増となった。
ツーリング前に行ったOJC4の大きな変更点は、タイヤ交換とリアのドロヨケの取り外しの2点。
トラブルとメンテナンス
ではこれから、約4ヶ月、走行距離7,000kmで起きたトラブルと行ったメンテナンスを説明してゆきたい。
エアポンプ取り付け位置の不具合
タイヤの空気圧管理とパンク修理に欠かせないエアポンプ
自転車の付属品として付いてきたものを使用していた。仏式と米式バルブの両方に対応するもので、バルブには仏式→英式変換アダプターも付いている。ポンプは押す時だけでなく、引く時もエアーが入るようになっている優れものだった。
エアバルブは仏式だが、米式の変換アダプタを付けて使用していた。
アダプタなしで仏式のままで運用すれば、アダプタのつけ外しがなくて楽なのだが、仏式嫌いの私は頑なに米式に変換して使い続けたのだった。
アダプタの付け外しの際、バルブコアに触れてエアが漏れるのが鬱陶しかった。
エアポンプは、普段シートポストに取り付けて携帯できるようになっている。ホルダーに嵌めたあと、脱落防止にマジックテープで留める仕組みとなっている。ボトルケージ取付用の穴を利用して取り付ける。
北海道を走りはじめてすぐ、クランクとのクリアランスが狭すぎてクランクとエアポンプが当たることが度々あった。
フレームに取り付けると、紫外線で劣化するおそれがあるし、未舗装の道を走ると汚れるし、さらに盗難の恐れもある。エアポンプは高価な代物ではないが、ないとパンクしても修理できなくなってしまう。いくらパンクしにくいマラソンプラスと言えども、絶対にパンクしないタイヤではない。(実際ホタテ貝を踏んでパンクした。)
始めは微調節しながらだましだまし乗っていたものの、そのうち大事なエアポンプを壊してしまうのではと思ったので、取り外してカバンの中に入れて持ち歩くようにした。ポンプを取り付けるホルダーは取り外して処分した。
走りはじめて1週間も経たないうちの出来事だった。
キャリアのビス脱落
北海道に上陸して走りはじめて2週間以上が経ち、ようやく一日のサイクルが出来上がった頃の出来事だった。
積丹半島の突端近くの道営野塚キャンプ場に泊まり、翌朝テントを撤収している時に気がついた。
自転車にバッグを取り付けたまま、荷物を整理して中に詰め込んでいると、何やらリアキャリアがグラグラする。
おかしいな?と思ってリアキャリアを点検すると、なんとリヤエンド付近の取り付けビスが1本なくなっていることに気がついた。これは一大事だと思った私はテントを撤収したあとで、キャリアの全てのビスを点検することにした。
1個1個当たってみると、あちこちに緩みがあって、1本なくなっただけで済んだのは不幸中の幸いだった。
予備のビスを持っておいて正解だった。
出発する前日、ふと思い出したように予備パーツ入れに2,3本放り込んでおいたのだった。
いくら丈夫なTubusのキャリアとはいえ、しっかり取り付けられていなければ、本来の性能を発揮できない。あちこちのビスも緩んでいたにもかかわらず、ネジ山を傷めている箇所はなかった。
脱落していたリアキャリアの右エンド付近の取り付けビス。
緩まないようにしっかりと締め付けておいた。
リアキャリアの天板を止めるビスも結構緩んでいた。本当に危ないところだった。
翌日、余市のホームセンターでネジロック剤と予備のビスを購入しておいた。
対策を施すまでは、1度あったことは2度3度と起きる。次こそ、致命的なダメージをキャリアとフレームが負ってしまうかもしれない。できるだけ早く対策をしておく。
ネジロック剤として有名なロックタイトという製品を購入した。ネジ山に塗って締め付ければ、緩みにくくなるというもの。携帯しやすいミニボトルの中強度タイプを選択した。
ネジロック剤を使用する際は、取り付けるネジ穴とネジ山をキレイに掃除し、ボトルをよく振って中身をしっかり混ぜてから、ねじ山に適量を塗布して締め付ける。
ネジロック剤なしで緩まないように締め付けると、どうしても締めすぎになってしまうため、ネジロック剤を塗布して適度に締め付ける。ビスを脱落させるという失態を犯してようやく気がついた。
丈夫なステンレス製のビスを使用する場合は、締めすぎには十分気をつけたい。クロモリのダボ穴(ビス取り付け用のネジ穴)を傷めてしまうおそれがある。
キャリアの全てのビスのネジ山にロックタイトを塗布しておいた。ロックタイトを塗ってからは、劇的に緩みにくくなった。
以降、取り付けビスの点検は定期的に行うことを忘れなかった。
ビスの脱落は、この1回のみ。
オルトリーブバッグの取っ手の巻き込み
キャリア取り付けビスの脱落とほぼ同時に起きたトラブル。
走行中、シャーシャー音が聞こえてきて、なんだろう?この音と思いながらも、のんきにツーリングを続けていた。キャリア取り付けビスの件でカバンを外す時、フックのロックを外す取っ手が傷んでいるのに気がついた。
なんという大馬鹿野郎なのか!
深刻なダメージはなかったが、一歩間違うとホイールに巻き込んでタイヤがロックしてしまう。そうなれば、大事故に繋がる。
なぜこのようなことが起こったのかというと、リアのドロヨケを取り外してしまったから。
出発前に幅広のタイヤに交換したのだが、その際、ドロヨケに干渉するようになってしまったので、リアのドロヨケを取り外したのだ。それからバッグの取っ手がタイヤに擦るようになってしまったが、しばらくは気が付かなかった。
これがそのバッグ。オルトリーブ社製の完全防水バッグ。ロングツーリングの定番のバッグとなっている。
バッグの口は丸めてバックルで留める方式。フックのロックを外す取っ手はこのように出ている。
このままだと、ドロヨケのない自転車の場合、タイヤに擦ってしまう。
そこで、取っ手を押さえてバックルを留める。これでタイヤと擦ることはない。
この後、2,3回取っ手をしまい忘れて擦ることがあったが、すぐに気がついて大事に至ることはなかった。
ドロヨケを取り外したことによって発生したトラブルだ。何度かショートツーリングをしていたが、ドロヨケを装備していたため、タイヤと取っ手が擦るようなことはなかった。
バーテープの傷み
ついうっかり自転車を倒してしまった時、バーテープが傷んでしまった。
キャリア取り付けビスの脱落から2日後のことだった。
このまま見て見ぬフリもできたが、徐々に症状が悪化してきて、テープが剥がれてくるようになるかもしれない。
そこで100均で買ったテーピングテープで修理することにした。伸縮タイプで肌色。
バーテープの上からそのまま巻いただけ。
修理した後、すぐに大雨の中走行することになって、一日も持たずに剥がれてきてしまった。
翌日、剥がして捨てた。
その後、試しに瞬間接着剤で固めてみると、いい感じになってくれた。
以降、傷みの進行はなし。
数ヶ月経ったあと、通りがかった公園で休もうと駐輪したのだが、パーキングブレーキをしないまま駐めて自転車を倒してしまった。その際、バーテープに大きなキズが入ってしまった。
この箇所も瞬間接着剤で固めると、多少握り心地に違和感はあるものの、傷みの進行は止まってくれたのだった。バーテープが少し傷んだくらいで変えていたら、いくらテープがあっても足りなくなる。
瞬間接着剤による修理法だと、バーテープを剥がす時に手間が掛かるかもしれないが、とりあえず傷まないようにするには、それほど悪くない方法だった。
現地でできる修理は限られる。できるだけ安価で手間いらずの方法がいい。
ブレーキシューの交換 1回目(4,000km走行)
7月上旬、北海道太平洋岸、雄冬岬手前の国道231号線を北上中、大雨のため先の国道が通行止めとなったため、大きく迂回することになった。その後、流れ流れて旭川の東端にある21世紀の森キャンプ場に避難することになった。
この間、雨の中かなりの距離を走ったため、一気にブレーキシューが消耗してしまった。そこでキャンプ場滞在中にブレーキの整備を行うことにした。
ブレーキシューは、新車から付いていたもので、およそ4,000km走行、北海道に来てからは1,000km走行した。
ブレーキはTEKTRO 992AGというカンチブレーキで、MTB用のカートリッジ式のブレーキシューが使用できるようになっている。効きが悪いという評判に違いはなく、雨の日の急な下り坂では死ぬ気でブレーキレバーを握り下らなければならなかった。
ブレーキに付属していたブレーキシューの銘柄は不明。
ブレーキシューを取り外したところ。
つい先日までは、まだまだ大丈夫な状態だったが、大雨の中走っていたら一気に削れた。
シューの溝はすでになくなり、カートリッジのギリギリまで削れている。危ないところだった。
角度を変えてもう一枚。
すっかり削れてしまったブレーキシュー。フロント、リヤともに末期だった。
新しいブレーキシューとの厚みの比較。
新しいブレーキシューは、シマノのシビアコンディション用ブレーキシューS70C。予備として2セット持っていた。
ブレーキシューを交換したあと
写真をよく見ると、まだこの時点ではまだリムはほとんど削れていない。
後にリムの異常摩耗が起こることになるのだが、それはまだまだ先のことだった。
ホタテ貝を踏んでリアタイヤがパンクする 走行距離2,000km
忘れようにも絶対忘れられないトラブルだった。
驚異の耐パンク性能を誇るシュワルベのマラソンプラスだが、割れると刃物のように尖るホタテ貝には敵わなかった。
マラソンプラスを過信していた私は、突然襲ったトラブルに恐怖した。パンクの件は別の記事に詳しくまとめたので、そちらを参照して頂きたい。
シューズのソールの傷みでペダル交換 走行距離6,000km
苫小牧から時計回りで始めた北海道一周も、最東端の野寒布岬を過ぎて残りも少なくなっていた。そんなころ、出発時から履いていたAmazon購入の中国製の安物のトレランシューズが限界を迎えた。
時期は8月中旬。2ヶ月弱で走行距離3,000km。
3,000円にも満たない安物なので、多くを期待していなかったが、値段通りのものだった。安物買いの銭失い。
履き始めてすぐにシューズのソールが削れてきたり、剥がれてきたりしてきたので修理して履いていたが、どうしようもならなくなった。ソールの傷みを加速させたのは、純正ペダルの攻撃性だった。
高性能ベアリングを搭載したツーリング用のペダル。通常版の側板先端をカットして軽量化してあるショートモデル。
普段、短距離を乗る分には全く問題ないのだが、長距離を走っていると、ペダルの端の角が当たり、足の裏が痛くなってくることがある。傷みを我慢して走っていたのだが、ソールも傷んで来たので我慢しきれなくなった。
ペダルの角が当たるところが、大きく凹んでしまっている。安物の靴で余計に痛かった。
釧路で新しいトレランシューズを購入したのを機に、ペダルをソールが傷みにくいものに交換することにした。
上士幌航空公園で行われる北海道バルーンフェスティバルを見学するために、キャンプ場で滞在している最中だった。走行距離は約6,000km、北海道では3,000km走った。
新たに交換したペダルはMKSのRMX。
六角形をした踏み面でTOURING-LITE Shortに比べてかなり大きい。
グレードはかなり落ちるが、信頼のMKSだから問題ないだろう。
RMXに決めたポイントは、リフレクターが内蔵されているから。
縁石にブツケても割れることはない。
ペダルのリフレクターの視認性は抜群で、トンネル内の通行で十分な効果を発揮してくれた。
TOURING-LITE ShortとRMXを比較する。見た目でハッキリと違いが分かる。
グリップ力は必要十分で、雨天走行でもペダルを踏み外すことはなかった。
ペダルを替えたお陰で、角が当たることはなくなり、踏み面が広くなって漕ぎやすくなった。
当初心配していたべリングの耐久性は、交換後4,000km走ってもなんら問題はなかった。
安価な品でハードなロングツーリングには向かないだろうが、街乗りやショートツーリングなら十分な耐久性を持っている。
チェーンとスプロケット交換 走行距離8,000km
やろうやろうと延び延びになっていたチェーン交換。
すでに北海道一周を果たし、気の赴くままツーリングを続けていた。
写真は日高山脈南部の神威(かむい)岳登山後の自転車。
アプローチの林道は、雨と伐採作業のためところどころ泥濘んでいる箇所があった。
それまでも何度か未舗装の林道を走行したが、一番酷く汚れたのは、神威岳にアプローチする林道だった。
途中、木の伐採作業が行われていて、大型の重機が通ったところが酷く泥濘んでいた。
タイヤの抵抗が急に増し、一番軽いギヤで漕ぐのが精一杯だった。
足を着くと汚れるため、バランスを崩さないように慎重に走った。
キャタピラの跡を走行中
すでにタイヤは泥まみれとなっている。
チェーンに泥が付着したようで、あちこちから変な金属音が聞こえてくる。
林道を走行したあとは、泥で汚れまくってしまった。
フロントはドロヨケが付いていたので、多少マシだったものの、リヤはドロヨケを取り外してないため、あちこちがドロドロになった。
ペットボトルの水で洗車したあと
下山後、ペットボトルの水を掛けたものの、積り積もった油汚れに付いた泥は簡単には落ちなかった。
チェーンリング周りのアップ
リアディレーラー周りのアップ
酷い汚れだった。どうにかせねば、と思いつつもなかなか掃除することが出来なかった。
この後、さらに1,000km近くも走ることになる。
北海道の旅も大詰め、函館から大間に渡る直前にチェーンの交換と洗浄を行うことにした。
すでに8,000km走行、北海道では5,000km走行していた。
チェーンの交換時期はとうに過ぎていた。
チェーン交換前のようす
作業前に事前にネットで勉強しておいた。
チェーンカッターを取り付けてハンドルを回す。
すると、ピンが外れてチェーンをカットすることができた。
外したチェーン。油汚れでギットギトになっている。触るのも嫌だ。
チェーンを外したあとで、パーツクリーナーを噴射して、チェーンリングとスプロケットを掃除した。
新しいチェーンは、シマノ純正のCN-HG71。
6~8速用でリンクは116。
チェーン交換の作業を自分で行いたかったため、出発時から予備チェーンとして持ち歩いていたものだった。北海道を出る直前になって初めて役に立つときが来た。
新品のチェーンは輝きが違う。
コネクティングピンはチェーンに1本付属していた。緊張のあまり初めてのチェーン交換で失敗して、チェーンを通す箇所を間違えて繋げてしまった。
予備のコネクティングピンがなければ、自走不能となっていた。こういうこともあろうかと、予備のコネクティングピンを持っていた。
コネクティングピンは段数によって違うので、自分の自転車に適合するものを選ぶ。
ピンをつなぐ時は、チェーンカッターに付属していた金具で仮止めして行った。
再度、チェーンカッターをセットしてピンを押し込む。
チェーンを繋ぐ前に、通し方が間違っていないか、入念にチェックする。
簡単なようで実際にやると、つい間違えてしまう。私のような初心者は要注意だ!
飛び出ているガイド部分は、プライヤーで折る。
力ずくでやろうとすると、チェーンと工具を傷める恐れがあるので慎重に行う。
プライヤーは携帯に便利なレザーマンのSQUIRT PS4を使用。
チェーンを繋いだあと。
上からみたようす
隣のリンクと同じような出っ張り量だ。
チェーン交換後のようす
油汚れはだいたい拭き取ってキレイにした。
光るチェーンを見たのは久しぶりだった。
真っ黒に汚れていたスプロケットも、もとの輝きを取り戻した。
この時、なんとなくスプロケットの歯がチビているように思えた。
リヤディレーラー周り
溜まりに溜まっていた油汚れもスッキリ。
掃除は完全とは言えないが、これだけキレイなら問題ないだろう。洗浄用器具を持たない出先では、これが限界だった。
チェーン交換していざ出発!
軽やかに疾走して函館の市内観光に向かおうとしたのだが、すぐさま異変に気がついた。
なんと、チェーンを新品に交換したら、スプロケットの歯飛びが起きるようになった。
私の嫌な予感は的中してしまったのだった!
変速を行って状況確認を行うと、フロントのチェーンリングはOK。リヤのスプロケットの常用するギヤがダメなことが分かった。トップかロー付近を使えば歯飛びは起きない。しかし、このまま無理して走行を続けると、今度はフロントのチェーンリングの歯を傷めてしまいかねない。
そこでスプロケット交換をすることにして、自転車屋さんを巡りを始めたのだった。
1軒目は適合するスプロケットの在庫はなし。2軒目は臨時休業。
3軒目にやって来たのが、スピード商会美原店さんだった。
歯飛びをする自転車を漕ぐのは大変だった。なるべく負荷を掛けないように軽いギヤで漕いでゆっっくり走った。私がこれまでの経緯と症状を話すと、スプロケットを交換することになった。
場所は五稜郭の北およそ2km。道道347号線沿いにある。
外したスプロケット新車に付いていたもの。
シマノ CS-HG51-8 11-32T
よく見ると、常用するギヤの歯がチビていることが分かる。
トップの歯の厚みが全然違う。
チェーン交換をしてスプロケットの歯飛びが起きたのは、スプロケットも傷んでいたため。チェーンが新品になってスプロケットとのかみ合わせが悪くなった時に起きる。矢沢永吉似の渋い店員さんによると、これはよくあることらしい。
交換時期を過ぎたチェーンを使っていると、チェーンリングやスプロケットの摩耗を促進させる。
チェーンの推奨する交換時期は、3,000kmから5,000kmまでとのこと。
こういうこともあるだろうと思っていたが、実際やらかすとチェーンの定期メンテナンスの重要性が分る。
ちなみにスプロケットは、10,000kmから20,000kmくらいは持つそうな。ただし、メンテナンスの状況により寿命は大きく変わるという。北海道に出発してから、5,000kmほぼノーメンテで走ったから、当然のことと言える。本当に勉強になった。
お店には8速用のスプロケットの在庫は2つあって、一つはCS-HG50-8 11-34T。
もう一つは、CS-HG31-8 11-32T
選択したのは、2つ目のCS-HG31-8 11-32Tだった。グレードは下がるが、同じ歯数で安心できると思った。今なら、間違いなくローの歯数の多いCS-HG50-8 11-34Tを選ぶ。軽いローの歯の数が2つも多い。しかも同等グレードでたった300円ほどの違いしかない。1つ目を選んで当然だろう。
しかしまだ当時の私は、歯の枚数やギヤ比のことを全く理解していなかった。
スプロケットはガチガチに締まっていて、店員さんは外すのに凄く苦労をしていた。やはりプロは違う。工具の柄をパイプで延長して何度かトライしてようやく外すことができた。
そのあとは、まるで魔法を見ているようかのようにあっという間に組み立てが終わった。取付後、サービスでリヤティレーラーの歪みの修正とシフトワイヤーの調整をして頂いた。すると、以前とはまるで違ってスパスパと変速が決まるようになった。
新しいスプロケットに変えて遠慮なくペダルが踏めるようになって、ご機嫌でお店を出発したのだった。
クランク周りの異音 走行距離8,500km
実はチェーンの交換前から、クランク周りから異音が発生していた。
初めて気がついたのは、8月下旬帯広市内から出発したあとだった。それまではペダルを漕いでいても無音だったが、カチカチと音がするようになった。
始めはあまり気にならなかったが、次第に耳に付くようになり不安が増大していった。
症状が悪化していたこともあるし、異音に注意を払うようになったからだろう。
帯広市内の公園の噴水で遊んだことが原因じゃないかと真剣に思った。
大雨の中の走行でカッパを着ていてもずぶ濡れになっていたので、後先考えずに噴水の中に入って遊んだ。
洗車にもなると思って遊んでいたが、あとからよく考えるととんでもない馬鹿なことをしたことに気がついた。
噴水の水圧はそこそこあって、何かの拍子にベアリング内部に水が入ってしまうことも考えられる。始めボットムブラケット(BB)の内部に水が入って音がするようになったのかと思って打ちのめされたのだった。
BBは重要なパーツでクランクに掛かる荷重を支えるところ。水が入って内部のグリスが劣化すれば、いずれべリング自体もダメになるだろう。
ペダルの取り付け方が不十分で音が鳴っているとも思った。ゆっくり漕いで音の発生源を確かめてみると、左のペダルから音が鳴っているような気がした。
それで取り外してみたものの、緩んでいた感触は全くなかった。
ペダルの付け根のネジ山をキレイに拭いて新しいグリスを塗っておいた。
クランクのネジ山にも同様に掃除してグリスを塗っておいた。
再び走り始めてしばらくは音がしなかったのだが、30分もしないうちにカチカチという異音がするようになった。
このクランク周りの異音。嫌らしいことに大きな町にゆくと、途端に音がしなくなる。
始めこの意味を全然理解出来なかった。
函館の自転車屋さんでスプロケットを交換した時についでに見て貰えば良かったのだが、この時は異音がしなかった。それですっかり異音のことを忘れていたのだった。
北海道から大間に渡って本州を走り始めた2日目あたりで、再び異音がしだして悩まされるようになった。峠の上りでカチカチ音がすると、集中力をできなくなる。下北半島の仏ヶ浦周辺のきついアップダウンを越えている時、カチカチ音が気になる状態だった。
不思議なことに雨が降ると異音はしない。時々水たまりに突っ込んでクランク周りが濡れた時も一時音が止むことがあった。
そこで試しにペットボトルの水をチェーンリングとチェーンに掛けて濡らしてみた。すると、音が鳴り止んでしまったのだった!
その後、青森市内を抜けるまでは異音はなし。市街地を抜けて龍飛岬方面に走り出した頃に再びカチカチ鳴り出した。
自分でクランク周りのビスが緩んでいないか点検してみることにした。
携帯用の短い六角レンチで緩んでいるのが分かるほど、緩んでいることはないと思った。
実際、チェックしてみると、緩んでいるビスは全くなかった。
クランクアームの取り付けは8mmのボルト。手持ちに工具に8mmの六角レンチがなかったので、ホームセンターで買ったショートタイプのレンチ当たってみたところ、緩みは全くなし。
その後、ルートを変更して弘前市内までやって来た。異音がしだしてから、すでに1月以上経過していた。市街地に入ると、またしても異音が鳴り止んでしまったのだった。
町を出ると鳴り始めるのはいつものこと。そこで弘前市内の自転車屋さんでクランク周りの点検を行ってもらった。
BBを一旦緩めて締め直し、その他各部のビスを点検してもらった。異音がしない状態なので、自転車屋さんもどうしようもなかった。異音の可能性があるところを点検するだけだった。
点検後、異音はすっかりなくなった。加えてクランク周りの剛性が上がったのがハッキリと分かった。しばらくは半信半疑だったが、そのうち異音が解消されたことを確信した。
私の推測ではBB付近。そこそこの距離を走って緩んできたいたと思われる。
走行距離が10,000kmを越えた現在も異音はなし。
なぜ、雨の日や市街地では音がしないのか考えてみた。これも私の推測だが、ベアリングの温度が関係していると思われる。温度が上昇すると、どこかの当たりが変わり異音がするようになる。
雨の日は気温が低いし、雨水で冷やされてベアリングの温度は上がらない。市街地に入ると、スピードを落として走るようになり、信号待ちで止まることも増える。それでベアリングの温度が下がり音が鳴り止んだ。
今回の点検でBBを締め直してもらったため、異音の原因が取り除かれて音がしなくなった。
帯広の噴水で遊んだことは、BBが緩むきっかけを与えたかもしれない。以後気をつけよう。
リムの異常摩耗 走行距離9,000km弱
クランクの異音が解決してホッとしたのもつかの間、新たなトラブルが発生した。
雨降りの中、十和田湖畔の国道102号線、御鼻部山からの急な下りに差し掛かると、ブレーキがほとんど効かなくなった。晴れの日には、そこそこ効いてくれるカンチブレーキだが、雨の日には一転してブレーキが効かなくなる。
これまで何度も雨降りの走行を経験していたのだが、十和田湖畔の道は狭くて見通しが悪いために、ブレーキを掛け続けなければならなかった。下りの最中でブレーキを緩めようものなら、再び加速して制御不能となってしまうおそれがある。あとはカーブを曲がりきれずにガードレールに激突するか、崖下に転落するしかないだろう。
雨が降る中、私は渾身の力を込めてブレーキレバーを握り続けた。
握っても効かないものだから、一旦緩めては握るを繰り返してみた。すると、ギュルギュルと変な音がした時は、比較的ブレーキが効いた。この音はリムが削れていた音なのだが、当時の私は全く気が付かず、ただブレーキを掛け続けるのだった。
なんとか長い下りを下りきった時には、体は冷えて震えが止まらなくなっていた。この時、ブレーキ周りの異常には全く気が付かず。町に降りることしか頭になかった。
鹿角市内で泊まった翌日の9月23日、ブレーキシューのカスを取ろうと、濡れたウエスで拭いていた時にリムの異変に気がついた。つい先日、リムを拭いた時にはこんな凹みはなかったはず。
指で撫でると、リムのインジケーターを残し、両脇がかなり凹んでしまっている。
ブレーキシューを見ると、一気に薄くなったのが分かった。
出発前、異常に気がついたのだが、どうしようもなかったので、掃除だけして走り始めた。
この日、八幡平アスピーテラインを走り、八幡平山頂付近の駐車場に着いた。ここから先は長い下りが続くため、ブレーキシューの当たり面の掃除と調整を行うことにした。下りの途中でブレーキが効かなくなれば、大事故に繋がるおそれがある。慎重に作業を進めたのだった。
今回のリムの異常摩耗は、ツーリングを終えるまで、おっさんの心を締め続けたのだった。
いや、終えた今もなお、ギュルギュルと締め続けている。た、助けてくれ!
ブレーキシューの交換(2回目) 走行距離5,000km
リムの異常摩耗が起きたことを知った2日後、今回のツーリングで一番ヒヤッとしたことが起きたのだった。
雨の中、盛岡市街に向かって走行中、車と接触事故を起こしそうになった。
市街地に近づき交通量が増えて来て、ところどころで渋滞が発生するようになった。
このまま車道走行して狭い場所をすり抜けてゆくのは危険と判断し、歩道をゆっくり走ってゆくことにした。その矢先の出来事。
歩道に入ってしばらくしてT字路の信号のある交差点に差し掛かったときのこと。歩道の中を赤信号に関係なく真っ直ぐ進んでいたところ、青になった方向の車がT字路に侵入してきた。
私はてっきり、右折か左折のどちらかをしてゆくものと思っていたが、そのうちの一台が歩道を突っ切って道路脇に入ろうとした。私は慌ててブレーキを掛けたが、少しばかり減速しただけで止まれず。車は歩道に入る直前で急ブレーキを掛け、その反動で縁石に底を擦って大きな音を立てた。ドライバーを見ると高齢者で、事態を飲み込んでいないようすで固まっていた。
普段、滅多に自転車や歩行者がいない場所だから、いつものように勢い良く歩道を突っ切ろうとしたのだろう。ドライバーが急ブレーキを掛けなければ、間違いなく私は車の左側面に衝突していた。
ゆっくり走っていたから、ぶつかっても死ぬスピードではなかったが、打撲くらいの怪我はしていたことだろう。自転車はリムが歪んでいてもおかしくはない。
事故を起こしそうになった翌日、ブレーキシューを交換することにした。
前回交換した時より、多少マシな状態だった。
ブレーキシューのようす
フロントよりリアの方が若干厚みがあった。
溝は、フロントリヤともにない状態だった。
リムが異常摩耗を起こした時に、ブレーキシューも一気に削れたような気がする。
北海道では雨の日の下りもあったが、道幅が広くRが緩いため、ほとんどノーブレーキで走っていた。本州に入ってから、道幅が狭くなりRもキツくなったため、ブレーキを多用するようになっていた。
新たに交換するブレーキシューは、同じシマノのシビアコンディション用ブレーキシューS70C。
横から撮影する。
晴天の中、作業は盛岡市内の公園で行った。焦らず時間を掛けて、気が済むまで当たり調整を行った。そのためか、ブレーキの効き具合はかなり回復してくれた。
2回目のブレーキシュー交換後、予備がなくなってしまったので、最寄りのサイクルベースあさひにやって来た。
始めいつものようにAmazonで買おうと持ったのだが、受け取りに手間が掛かるので止めた。
初めてあさひを利用したのだが、価格も安くて目当てのものが見つかり、今後も利用したいと思った。
ツーリング終了後 チェーン洗浄 走行距離2,000km
10月中旬、ツーリングを終えて山梨の小屋に戻った。出発してから7,000km、総走行距離は10,000kmを越えていた。非電化の小屋での整備作業は、できることが限られる。できる限りの作業を行った。
作業内容はチェーンの洗浄と全体の洗車と各部点検のみ。
洗浄前のチェーンリングのようす
スプロケットのようす
リヤディレーラー周辺
チェーンのアップ
函館でチェーン交換してから2,000km走行した。定期的にチェーンルブを挿していたのみ。
チェーン周りの洗浄はパーツクリーナーを使用した。
どこにでも売っているもの。
パーツクリーナーをタップリと吹きかけて汚れを落とした。
ブラシで擦りつつスプレーを吹きかけた。
最後の仕上げとしてチェーンディグリーザーで洗浄を行った。
なるべく環境負荷を掛けないように必要最低限の使用とした。
チェーン洗浄後のようす
チェーンルブを挿してある。
角度を変えて撮影。リンクの隙間に汚れが残っていることが分かる。
洗浄機を用いない方法では、この程度が限界だった。
洗浄機を用いたチェーン洗浄、各部点検
愛知県の実家に来たところ。道具と設備が整っていて作業しやすい。
ようやく本格的な整備ができるようになった。
洗浄前のチェーンのようす
油切れを起こしているようにも見える。前日河川敷に入ってキャンプした時、砂まみれになったので、ペットボトルの水でざっと洗い流した。
チェーンに洗浄機をセットしたところ。
これは自転車購入店で勧められたもの。新車点検の時に汚れたチェーンのまま持って行ったら、怒られた。まだこの時は、ママチャリ感覚でいたのだった。店員さんに切々と説かれて、スポーツ自転車は、こまめなメンテナンスが必要なものだと初めて分かった。
今回は、あえて必要最低以外はメンテせず、成り行きを見守っていたのだが、続出するトラブルにメンテナンスが絶対必要なことが心の底から理解できたのだった。
洗浄機をセットしてクランクを反対方向に回すと、すぐに洗浄液が真っ黒になった。
そこで洗浄液を変えて2回目の洗浄を行った。すると、見違えるほどチェーンなキレイになった。
洗浄後のチェーン
リンク周りの隙間に入り込んだ汚れもキレイに落ちている。
キレイなチェーンを見ると、気分まで清々しくなる。
引き続き、各部の点検を行う。
1,000km弱走行したブレーキシュー。若干削れているのみ。
タイヤ交換の際、じっくりリムを見る。
あの異常摩耗から、雨天時も走行しているが、目立った減りはなし。
あれ以来、リムの摩耗が怖くてハードブレーキング出来ないようになった。
自転車屋さんに持っていてリムを見てもらうと、かなり削れているので替え時ではないかということだった。まだ乗れるが、ロングツーリングで使うには不安がある。
X2100は厚みがあるリムなので、リムを交換するとスポークの長さが足りなくなるという。
ほとんど輪行しない私には、カンチブレーキである必要性がない。雨でも制動力が落ちにくいディスクブレーキが欲しい。荷物満載した自転車であれば尚更だ。
乗り始めは何度か自転車を倒してディレーラーを歪ませてしまったが、自転車屋さんで直して貰ってからは一度も倒していない。
他のサイクリストのトラブル
北海道をツーリングしていると、同じように荷物を満載した自転車に乗ったサイクリストたちに会った。趣味が同じで話も弾むので、見かけるとつい嬉しくなって話しかけていた。サイクリストたちとの話題に上るのはもちろん自転車。お互いの自転車を褒め称え、気になるパーツが付いていたら、使い心地を尋ねてみる。
そんなサイクリスト達との会話で最も興味があったのが、自転車のトラブルについての内容。他人の経験も取り込めば、より一層勉強になる。私は起きたトラブルについて詳しく聞くように努めた。
北海道4ヶ月走行距離5,000kmで会ったサイクリストはおよそ300人。単にすれ違いざまに挨拶しただけの人から度々会って仲良くなった人もいた。それらの見たことと聞き取り調査の内容をここでまとめてみる。
北海道を周っていたサイクリストは年齢は様々だが、やはり若者が圧倒的に多かった。一番多いのが大学生、あとは20代半ばから後半の微妙な年齢の社会人。私のような中年は、数えるほどしか見かけなかった。高齢者も少なくない人数を見かけたし、実際に話しもした。
それらの人が乗っていた自転車のタイヤは圧倒的に細めが多かった。私のような1.75インチの太めのタイヤを履いている人はいなかった。太くて1.5インチ程度、1.25くらいの細めのタイヤが標準だった。軽快さを重視しての選択だと思われる。タイヤサイズは26インチよりも、700Cや650Bの方が多かったような気がする。(知識がないため、見た目では判別不能だった。)
ホイールに関するトラブルが起きていた3人と話す機会があった。一人目は過積載が原因と思われるスポークが折れ、二人目は原因不明のスポーク折れ。3人目はヤフオクで入手したパーツを寄せ集めて自分で組んだためか、リムの歪みが起きていた。
ホイール周りは、ツーリング中止に追い込まれる重大なトラブルに発展する恐れがある。3人共に1.25インチ程度の細いタイヤを履いていたことが興味深かった。
細いタイヤは太いタイヤに比べて中の空気が少なくてクッション性が劣るので、路面状態が良くない北海道の道でダメージを受けたに違いない。ちょっとしたダメージでも、積もり積もれば大きなダメージとなる。それが表面化したように思える。
幸い私は、ホタテ貝を踏んでタイヤをパンクさせたトラブルしか起きなかったが、およそ25kgの荷物を積載していたため、いつトラブルが起きてもおかしくはなかった。
まとめ
荷物の重量を抑えれば、ホイール周りのトラブルは起きにくい。あとはチェーン、スプロケットなどの駆動系のトラブルだ。チェーンは定期的にメンテしないと、大幅にパーツの消耗を早める。
チェーンはガソリンで洗浄する方法を採用する。海外では燃料の入手が容易なガソリンストーブを使用するから、ガソリンは常に携帯している。
カンチブレーキよりはマシになるかもしれないが、雨の日には気を抜けない。
やはりディスク台座を溶接してディスクブレーキを付けた方がいいかもしれない。
(のちにディスクブレーキ仕様のツーリング車、サーリー ディスクトラッカーを購入する。)