年代物の自転車に乗る

こんにちは。からあげです。

 

東京という町は人が多すぎて、どうも疲れてしまう。どこを見ても人、人、人。なんでこんなに人が多いのだろうか?本当に便利で住みやすい町なのか?少なくとも私には住みにくい。

とは言うものの、今回は用事があって東京に寄ったのだ。目的を果たさずに帰ることはできない。

迫力満点のおっさんビューモード

今朝目覚めると、真っ青な青空が広がっていた。
そうだった!豊洲の海岸端の公園でそのまま寝たのだった!

今朝は明るくなる前から、自転車やランニングの人が行き交っていた。しかし、私は耳栓をして知らんぷりをして眠っていた。昨晩、遅くまで人の往来があって気になってしまいなかなか寝付けなかった。

構うものか!ここで私が寝ていたところで、誰の邪魔になるというのだ!

朝のようす

こんな感じで朝まで眠っていた。夜露が下りることはなく、寝袋は乾いたままだった。

バタバタ足音を立てて走るものだから、目が覚めてしまったぞ。
仕方ない。そろそろ起きるか。

ゴソゴソ起き出して荷物を片付ける。

今回、試しに作ってみたシュラフのインナーシーツ。風呂にほとんど入らずこ汚い姿で寝ているが、シュラフの汚れがかなり軽減できている。

ダウンシュラフは出先では洗濯できないため、汚れないように使う必要がある。特に長期間使用する場合は特に気をつけなければならない。せっかく軽くて温かいダウンの特性が汚れでいっぺんに死んでしまう。最低限、保温力が落ちるのだけは避けたい。

今日は朝からパンを食べる。どちらにしようかな?

よし、こっちを食べよう。

1つ食べたものの、全然お腹が満足しなかったので、2つ目を食べることにした。

2つ目のチョコチップメロンパンを食べていると、自転車に乗ったおじさんが現れた!

珍しい。目の前を行き交う人は、私のことなど見えないかのように過ぎ去っているというのに、このおじさんはまっすぐこっちに向かってきた。

おじさんの名はBill。

カタカナで書くとビルだが、固有名詞の場合は敬意を込めてアルファベットで書くようにしている。ビルとBillではなんか違う。カタカナは便利だが多用すると、元の単語が分からなくなる。日本はそういうおかしなカタカナが溢れている。ディストリビューターとかなんじゃそらりゃ?

Billはもともとアメリカのコーストガードの船に乗っていたのだが、日本に転勤になってからは、ずっとこちらで住んでいるそうな。コーストガードとは海軍ではなく、日本の海上保安庁のような警察組織のことだ。海上保安庁はアメリカのコーストガードを真似して作られた組織。

彼は東京タワーの近くに住んでいるそうで、毎朝自転車でこちらの方に走ってきてるそうな。

 

私の目を惹いたのは、彼が乗っていた古めかしい自転車だった。
こんなの私が子供のころ見ただけだ。

自転車のメーカーと名前は、NationalのRegular。
PanasonicのランドナーとNationalレギュラーという古い自転車がお互いを引き寄せたような気がする。

彼は以前の持ち主が30年間乗っていたという自転車を10年間も乗っているという。合わせて40年。私が生まれてしばらく経ったころの自転車だ。

ブレーキは前がリムブレーキで、後ろがドラムブレーキ。
ワイヤー式ではなくロッド式。(名称が分からないので、勝手に名付けた。)

これだとブレーキワイヤーの交換は不要。時々、磨いてグリスを塗ってやるだけでいい。

フロントのリムブレーキ

今のママチャリとリムの形状が全然違う。しかし、タイヤサイズは26インチで幅は1 3/8インチというママチャリサイズだった。

後輪のドラムブレーキ

メッキパーツのためか、あまり錆びていない。

味のある皮サドル。

スプリング付きで乗り心地は柔らかい。あちこちすり減ってひび割れが入っているが、実用上はなにも問題はなし。

後ろの荷台。ここにビールケースを積んで走っている酒屋さんを見かけたことがある。郵便局の配達員も乗っていることがあるな。これなら重たいものでも十分載せられる。

ゴム紐が古チューブなのもいい。

Billにお願いして自転車に乗らせて貰った。
サドルが高くてトップチューブを跨いだ状態で足を付けた。

おお、なかなかいい感じだ!それでは漕ぎ出そう。

嬉しそうに乗るおっさん。

かなりの剛性があって、さすがは業務用の自転車だった。
変速はなしでシンプルそのものだが、ペダルは意外に軽くて漕ぎやすかった。

いやあ、いい経験させてもらった!

Billと話が弾んでしまって、なんだかんだ2時間くらいは話していたように思う。お互いが暇人だから、際限なく話してしまいそうになる。

私もいい加減、出かけないとイケないため、連絡先を交換して別れたのだった。お昼の食事に誘われたのだが、自転車屋さんに行くため断ったのだった。この次東京に来ることがあったら、連絡くれと言ってくれた。

彼の言葉は流暢な日本語ではないが、独特な言葉使いでかなり面白かった。

「万が一東京に来ることがあったら、連絡くーださーいな!」

ようやく荷物をまとめて出発したのは8時前。よし、出発だ!

野宿研究家を自負する私は周辺を走って野宿場所の調査を行う。

ふむ、なかなか開放的な公園であるな。周囲にホームレスの姿はなし。

おお、ナイスな野宿場所を発見したぞ!橋の下なのに、柵で囲ってない。ここなら雨の日でも快適に過ごせそう。よし、しっかり覚えておこう。

しばらく行ったところの公園に屋根を発見した!

これはなかなか凄いぞ。東京の公園はホームレス対策かなんだか知らないけど、東屋が極端に少ない気がする。この公園は非常に貴重だ。見たところ、ホームレスが居着いている気配はなし。

豊洲は東京湾に作った人工の島なのに、結構な人が住んでいるようだ。どうせゴミの埋立地で作った島なんだろ?と甘く見ていた。なんと高架線の電車も走っていた。

通りがかったついでに築地市場にやって来た。
ここで何か安い物を買って食べようか。

敷地に入って奥にゆくと凄い活気がある。トラックや原付き、フォークリフトなどが走り回っている。轢かれないように慎重に走った。

市場の中を見学する。

するとすでに市場は終わっていた!8時を過ぎていたから当たり前か。もう少し早く来ていたら、面白いものが見えただろう。

この雑然とした感じが堪らない市場の中。細い路地の両脇に店舗が軒を連ねている。

何もなくただ発泡スチロールの空き箱が積み重ねられているのみ。遅かったか!

市場から出てくると、丈夫なゲートが閉められていた。脇をすり抜けて脱出した。

あれ、一般人は立ち入り禁止だったのか!知らなかった。

前回、普通に歩いていても、誰にも注意されなかった。

こちらが市場の近くにある一般人用のお店。値段は高めだが、スーパーよりは安い。朝から新鮮な魚を買い求める人で賑わっていた。

何かいいものがないか探したが、どれも観光客向けの値段で買う気にはなれなかった。

銀座周辺は朝の通勤ラッシュが終わっているはずなのに、かなりの人だった。

車道の端を自転車で走っていると、次から次へとママチャリに追い抜かれるは、左折待ちの車にブロックされて前に進めないはで、なかなか気持ちよく走らせて貰えなかった。

スピードを上げて走ると、周囲の自転車や車に追い立てられて、馬鹿みたいに漕いでいなければならなくなる。まるで自分がハツカネズミにでもなったような気がした。

いかん、消耗戦に巻き込まれてしまう!

皇居前広場に来てみると、観光バスから中国人観光客の団体が下りてきたところだった。

賑やかな中国語が響き渡っていた。久しぶりに中国人の団体を見たな。

禁止だらけの公園。

マラソン禁止の注意書きもあるぞ。要するに普通に歩くだけにしろということか。つまんねーな!

皇居前の道路で交通整理をする白バイ隊員。

朝からご苦労さまです!

皇居周辺のようす

ランニングをしている人は少なめ。それにしても爺さん婆さんはあまり見かけない。皇居の外周は長いから歩かないのか。

半蔵門近くの堀のようす。

かなり深くなっている。

半蔵門からは中は立ち入りが禁止されている。警官が配備されて厳重な警備を行っている。

新宿へ向かう途中、特に人が多かった。
スクランブル交差点の信号が青になると、一斉に多くの人が歩き出した。見ているだけで疲れてきた。

どの人の顔も冴えない。斜め下を向いて歩いていたり、スマホを弄って歩いていた。

東京都庁に寄ってゆくことにした。スマホのナビを使って新宿駅を突破することに成功した!

人の波に飲まれそうになってしまったぞ。はあ〜疲れた。

都庁の下までやって来て建物を見上げる。
都庁には駐輪場がないそうな。警備員に教えて貰った駐輪場は、駐輪金具があって私の自転車は停められなかった。そのため、邪魔にならないところにこっそり停めて中に入った。

都庁の入口。

常に人が出入りしている。

一般人の立ち入りは、展望室を除いて用紙に記入して、一時通行証を受け取る必要がある。

どこに行くかって?もちろん、食堂だ!

案内係の姉さんに34階にあると教えて貰った。

34階の食堂にやって来たものの、まだ営業はしていなかった。11時過ぎから営業を始めるらしい。せっかく来たのに戻る羽目になった。

受付の姉ちゃんは、私が食堂に行くのは見学目的だと思ったのだろうか?普通なら営業は11時過ぎからですよ、と教えてくれるだろう。ちっ、気が効かないアマだ!

確かに姉ちゃんは間違っていない。私の聞いたとおりに答えてくれたのだから。しかし、私の望むことが分かれば、自ずと違った対応となるだろう。長年案内嬢をやっていると気が利かなくなるのか。それとも彼女だけ特別なのか?なんだか自分を見ているような気になってきた。

頑張れよ!

展望室に行こうとすると、なんと今日は月2回あるかないかの定休日の日だった。何ということだ!

よりによってこんな日に来るとは。ツイてない。

気になったのは、都庁周辺のホームレスの数が減っていたこと。

周辺をぶらぶらすると、小奇麗にまとめた荷物だけ置いてあった。持ち主の姿はなし。

道路を渡って反対側に来たのだが、こちらも荷物だけだった。

ひょっとして東京オリンピックに向けて、すでにホームレスの追い出しが始まっているのか?

都庁でご飯を食い損ねたので、松屋に寄って朝定を食べる。

カウンター内で働いていたおばちゃんがこれまた要領が悪くて、客に出した鍋の火が馬鹿みたいに強くて火事になりそうになっていた。

おそらく固形燃料を入れすぎたのだろう。隙間から青い炎が上がっていた。全く笑い事ではない。

青梅(おうめ)街道を走って、自転車屋さんに向かう。

道路が狭いくせにギリギリ2車線化してあって非常に走りにくい。前方が赤信号だと、車にブロックされて後方で待機せざるを得なくなる。それに左折待ちが加わると、一層時間がかかるようになる。やってらんねー。

バスが止まると、歩道に逃げるか、そのまま後方で待機するかの二択になる。右側を行こうとする時に限ってバスが発進する。ここは我慢だ。

こういう時焦るとロクなことがない。

陸橋で強制排除されてしまったため、側道に入ってゆく。
車社会では、自転車は邪魔者扱いされる。車のほうが何倍も場所をとって邪魔なのに。みんな自転車に乗れば解決する。

昔の中国みたいに自転車だらけになればいい。

青梅街道は本当に道幅が狭い。車道の端を自転車が走ると、後方の車をブロックして、1車線となってしまう。

自転車屋さんの近くのスーパーで買い物をして昼食にする。

店内を見渡してみたところ、イートインコーナーがあった。大手のスーパーを除いて、イートインがあるのは珍しい。

自転車屋さんに向かっているところ。モノレールの高架線が続いている。

このあと道に迷って貴重な時間をロスしてしまう。

自転車屋さんには、2時間ほどいて、姉妹品のロングホールトラッカーの試乗と各部の詳しい説明をしてもらった。実物を見ながら説明してもらうと凄く勉強になる。

次来る時は注文しに来る時ですと挨拶をして出てきた。私が来ない場合は、新しい自転車を諦めて、今のランドナーに乗り続けるという選択をした時だ。

さあて、どうするか?私の中ではほぼ決まっているのだが、買ったばかりのランドナーのことを思うと決められないでいる。

 

自転車屋さんを出ると、時間はすでに4時になっていた。日没まで1時間と少し。この時期は日が暮れたら、急激に暗くなってくる。ねぐらは明るいうちに見つけないと探しにくくなる。話を聞いて興奮したのを落ち着かせるために、炭酸水とアイスクリームを買って食べた。

今日のねぐら探しは難航すると思っていた時に、多摩川にかかる橋に差し掛かった。歩道から河川敷を見下ろすと、なんとサイクリングロードが続いていた。きれいに草刈りをしてあって、どこでもテントを張れそうだった。

よし、行ってみよう。

野宿場所は厳選しなければならない。

照明設備のない野球場を見つけた。日暮れが早くなった昨今、ナイター設備のない野球場に来る人間は少ないだろう。

エコでよろしい!

球場の端の方のネットの影にテントを張った。

堤防上のサイクリングロードからは見えるが、かなりの距離が離れているため、ほとんど気にならないだろう。周囲の民家は遠くて通報される心配もなし。

ブログ更新している最中に眠たくなってきてしまった。

今日はおよそ60kmしか走っていないのに、慣れない市街地走行で疲れ果ててしまった。

もう東京はいい。早く山梨の小屋に帰ってゆっくりしたい。こんな人が大勢いるところにいると、性格が悪くなりそうな気がする。人を蹴落とさないと、自分の居場所が確保できない。自己主張しないと、誰も気にかけない。それくらい人が多い。

東京はもういい。お腹いっぱいだ。滞在2日目にして限界を迎えてしまったのだった。

さあ、山梨に帰るべ!

 

おわり

コメント

  1. NS より:

    今回の寝袋はPCTで使用していたモンベルの2番とは違うようですが、どこの製品ですか?

    • karaage より:

      夏だとさすがにモンベルの#2だと暑いですからね、#3相当のダウンの寝袋を使用していました。
      名古屋の駅前アルプスという登山用品店で購入したものです。死んだ親父が買ったものなので、詳しくは分かりません。
      また近いうちに使用した道具の使い心地を記事にします。

  2. アサ より:

    おぉっ! 隊長の東京編!

    短かかったですが 見た事のある所ばかりで
    ドキドキしました w

    今回は 池袋の 川口浩氏のお墓や
    若洲キャンプ場には 寄らなかったのですね w

    たしかに東京は人が多いですね。

    豊洲とかは 1、2週間に 一度は通りかかります

    あそこで 泊まられたのですか w
    隊長の お気に召していただけましたか?

    風のようにやってきて 風のように去ってしまう…
    隊長の 残り香を 近いうちに 嗅ぎに行きます w

    • karaage より:

      東京はいつ行っても人が多くて疲れます。

      地の果ての若洲公園まで行くと大変なので、どこか適当なところで泊まったほうが楽でいいです。
      豊洲はなかなかいい感じです。野宿するにはピッタリです。

  3. CAの着ないサービスすすきの大好き より:

    北海道編 東北編 毎日楽しく読ませていただきました。
    ありがとうございました。

    今度は山小屋編が楽しみです。
    やはり普段の山の生活が一番興味をひきます。
    ビルに囲まれた今にもバルタン星人とウルトラマンが出てきそうな街 札幌は もう本当に寒いです。札幌も30年前はもっと情緒のあるたたずまいの街だったです。

    からあげ隊長のような瞬間移動が出来る特技があると羨ましいです。
    冒険家登山家画家作家ブロガーと色々な職業をお持ちですが本当は忍者なんだと思います。

    山小屋冬編本当に楽しみにしてます。

    宜しくお願いします。

    • karaage より:

      北海道にいたのは、もう遠い昔のような気がします。
      まだ1ヶ月しか経っていないなんて思えません。

      小屋の環境が昔と変わってしまって、もう以前のように長居することはないと思います。
      道具を取りに行ったり、気分転換に寄るだけになります。
      寂しいですけどね。