東京ホームレス物語

こんにちは。からあげです。

 

山梨の小屋に帰る前に、急きょ東京に寄り道することになった。
そう、元世界一周サイクリストが経営する自転車屋さんに寄るためだ。新たな自転車はSURLYというメーカーのディスクトラッカーというヤツにほぼ決めている。しかし、まだ購入する決心が付かないでいる。お金のこともあるし、今乗っているPanasonicのランドナーをどうするかもある。どうしようと悩み続けている。

悩むだけ時間の無駄と分かりつつも決められない。自分は薄情な男だと思いたくないために、時間稼ぎをしていると思われる。

もう、買っちゃいなよ!と悪魔の囁きがどこからともなく聞こえてくる。

昨晩泊まったのは、渡良瀬貯水池近くのきたかわべという道の駅。有り難いことに24時間開放している休憩室があったのだが、気持ち良い風が吹いていたので、建物の影の軒下でシートを敷いて眠った。

誤算だったのは、コンクリートに勾配が付いていたこと。雨水が溜まらないように外側に向かって勾配が付いていたため、寝ているうちに体がズレてしまうのだった。しかし、そんなことではおっさんはめげない。横向きになって膝を曲げてズレないようにして眠ったのだった。多少の傾斜なら、この方法で十分寝られる。

道の駅から歩いて10分ほどのところにある三県境にやって来た。
栃木・埼玉・群馬の3つの県境が重なっている非常に珍しいポイント。

ただの田んぼの中にある。

これが堺の杭。

側溝の中心線が県境になっているのかは定かではないが、面白い側溝の形をしている。

これが三県境の境界。

なんとも珍しい。川でもない、ただの田んぼの中の土地に境界線を引いたのか?昔、土地を巡る三つ巴の戦いに明け暮れていたのではないのか?お互いが消耗して、いい加減争うのは止めようと、停戦協定を結んで、境界を決めたのではないのか?

境界杭の前で記念撮影。有り難いことにカメラ台が設置してあった。100均のミニ三脚を使ってセルフ撮影した。

道の駅に戻ると朝食にする。昨日買ったおにぎりと、一昨日買って存在自体を忘れていた溶けたチョコレート。チョコレートを恐る恐る触ると、少し固くなっているではないか!

優しく包み紙を剥いで食べた。

今日はサイクリングロードを通って東京までまっすぐに向かう。

曇り空でかなり涼しい朝となっていた。しかも若干の追い風だ。東京までおよそ70km、ちゃっちゃと漕いで東京に着いてからブラブラしよう。

三国橋を渡ってサイクリングロードに入ったところ。

利根川の河川敷はなかなかいい感じの野宿スポットだった。

堤防の上にサイクリングロードが続いている。車止めの柵が邪魔でサイドバッグと擦りそうになる。勢いよく行ってバッグをぶつけると、吊り下げているフックが飛ぶので、スピードを落として慎重に抜けた。

堤防が工事中で河川敷に下りる区間もあった。
大雨の影響か、車止めの柵に流れてきた草が引っかかっていた。

線路や道路と交差するところは、下を潜って抜けてゆく。
いちいち信号待ちしなくて済むので有り難い。

設計の悪いところだと、信号なしで道路を横断しなければならず、しばらく待つことになったりする。それが何回か続くと走る気がなくなる。それが愛知県のサイクリングロード。

渥美半島のところは走ったことがないので知らない。今度遠征して走ってみようか。

途中で利根川から江戸川のサイクリングロードを走ることになる。利根川を下ってしまうと、途中で終点になってしまう。

道を間違えてしばらく県道を走ることになった。ピンボールのような車止めの杭。

こういうの危ないから止めて欲しい。

江戸川の左岸をゆく。道幅が広くなったり狭くなったりを繰り返す。東京が近づいて来ると、ロードバイクとよくすれ違うようになった。挨拶はなし。

どこを見てもロード。ごく少数だが、ランドナーやスポルティーフに乗っている人を見かけた。かつてランドナーブームを経験したおじさん世代に人気があるようだ。

車に邪魔されずサイクリングロードを快走していると、お腹が空いてきた。ちょうど住宅街の中に公園を見つけたので、そこでご飯を食べることにした。

公園のベンチを借りて休憩と食事の用意をする。
小さい子供を連れた若い夫婦が結構遊びに来ていた。そんな中、一人黙々と自炊を行っていた。

風が強いので、サイドバッグで風よけの壁を作ってガスストーブを使用した。ガスストーブは本当に風に弱い。

ようやく完成!

いつものカレーと味噌汁。なんの感動もない。ただ、お腹に詰め込むだけ。

気がつくと堤防の向こう側には、見渡す限りの住宅地が広がっていた。

河川敷のグランドではサッカーの練習が行われていた。

江戸川を渡って東京都に入る。

ようやく東京にやって来たぞ!長いようであっという間だったな。自転車でも十分移動手段として使える。狭い日本なら自転車で十分だ。

江戸川右岸のサイクリングロード。なんとセンターラインまで付けられていた。もちろん、車は入ってこれない。

やたらロードバイクが目に付く。近年のロードバイク人気は凄い。

矢切の渡し

有名な渡し船の発着場。片道200円。空いている時だと自転車も載せられる。(ただし別料金)

結構人気があって、長い行列ができていた。

ホント、東京の人って行列が好きだな。

寅さん博物館に寄って葛飾区の地図を手に入れた!

ツーリングマップルでは、都内は分からない。

葛飾区柴又で有名なお寺、帝釈天(たいしゃくてん)にやって来た。有名だけあって凄い人だ。

境内も人だらけ。

枝ぶりの良い大きな松が生えていたな。

帝釈天の参道。

両側には土産物屋や飲食店が立ち並んでいる。人が多いので自転車を押して通るのも危険だった。自転車はそこら辺に停めて歩いて回った。

山門の目立つところに正月アルバイト募集の看板が置かれていた。今年ももう残すところあと3ヶ月だ。

やり残すことのないように、しっかりやっておこう。

柴又駅の前には寅さんの銅像が設置されていた。

フルネームは車寅次郎?それとも車だん吉だったかな?

葛飾柴又というと、両津勘吉を思い出すな。長かったこち亀も終わってしまったし。

商店街の中を彷徨っていると、美味しそうな焼鳥の匂いが漂ってきた。ネギマとナンコツの塩を2本買って食べた。久しぶりに食べる焼き鳥は美味い。

焼き鳥を食べて食欲を刺激されて、余計にお腹が空いたので、餃子の王将にやって来た。

やっぱり飯はお腹いっぱい食べたいよね!

餃子定食777円(税込み)

餃子2人前とご飯とスープだけでは物足りない気がする。あとサイドメニューの鶏のから揚げを付けたいところだった。

ご飯を食べてお腹が膨れたら、スカイツリーに行ってみることにした。
スマホで方向を調べて、裏道を走ってゆく。迷路のように入り組んだ狭い道はスマホナビがないと突破できない。

スカイツリーの真下まで来たものの、大して嬉しくない。
観光客が多くて全然落ち着かない。すぐ目の前のドブ川みたいなところで魚釣りをしている人もいる。

上野方面に走っている途中で通りがかった橋。
なかなか存在感がある橋だった。

日本橋にやって来た。
奥州街道の出発点は日本橋だったような。

首都高速の下にある味も素っ気もない橋だった。

厨房器具販売のニイミ。ビルの屋上におっさんの顔がある。

凄い迫力だ!

三越前

凄い人で自転車を漕ぐのも大変だ。

歩道を通ると全然走れないし、車道を通ると左折待ちの車にブロックされる。自転車はほんと走るところがない。

町中を人力車が走っていた。
走り出してしまえば軽そうだった。急ブレーキにさえ気をつければ、走った方が楽だろう。そんな気がする。横幅があるので、地味に邪魔。

今日はあちこちで歩行者天国となっていた。

安全・安心というと、嘘っぽく聞こえる。国のお偉方が好んで使うためだろう。この世に安全・安心なんてない。そんなもの幻想だ。

歩行者天国の人。いったいどこから人が湧いてくるのだろうか?

いかん、早くも限界に達しそうになっている。

東京駅八重洲口

駅が大きすぎて全体の写真が撮れなかった。どこもかしこも人だらけ。

皇居までやって来た。

自転車だとあっという間だ。しかも移動が連続しているので方向感覚が分かりやすい。

電車や地下鉄に乗ると、そこで途切れてしまうため、どうも位置関係が分かりにくい。

皇居前の広場で記念撮影。自転車は押しても入れない箇所がある。駐輪場は駐輪金具に入れて停めないとイケないので、荷物満載の自転車は停められない。

適当な邪魔にならないところに停めてロックしておくのだが、盗難が怖くて気軽に駐輪できない。

桜田門

ここは自転車に乗って通り抜けていい。

非常にデカイ門だ。

皇居の周りの歩道は反時計回りにランニングしている人が多い。外側の車道では、ロードバイクで走っている人がいる。

みんな熱心に運動しているなあ。

国会議事堂にやって来た。今日の見学はすでに終了していた。

このあと、近くの国会図書館に行ったのだが、休館日だった。

せっかく漫画を読もうと思っていたのに、ガックリだ。

暇つぶしのあてが外れてしまったので、さっさと今日のねぐらに向かうことにした。

銀座周辺までやって来ると、道路は大混雑していて自転車で走られない状態だった。大人しく歩道を押して歩いて行った。

勝鬨橋を渡ってさらに南の方に向かう。

晴海埠頭までやって来たのだが、岸壁の周囲はすべて柵で囲ってあって野宿できそうな場所はない。

仕方ないので引き返した。

野宿するには、とりあえず水が必要。
ビルの中にあった公民館のトイレで水を汲ませて貰った。これでヨシ!どこでも野宿ができるぞ。

そしてとうとう日が暮れて真っ暗になってしまった。

周囲の高層ビルの窓には明かりが灯っている。

屋内のランニング施設。

煌々と明かりが灯っている。ヘッドランプを点けてそこら辺を走ればいいのに。ライトも要らないか。

ねぐらを求めてやって来たのは、ランニング施設の近くの海辺の公園。暗くなっているのに、自転車やランニングの人が行き交っている。どこから人が出てくるのか不思議でならない。

ちょうどウッドデッキが階段状になっているところがある。ここが良さそう。

今晩は空を見る限り雨は降らないだろう。適当にシートを敷いて寝てしまおう。こんなところで寝ていても誰も気にしない。

闇に紛れて就職を済ませておく。

いかん、夕食だった。私は二度と就職する気はない!

ウッドデッキの照明がデスクライトにちょうどいい。
この明るさなら普通に本も読める。

こんなことに無駄に電気を使うくらいなら、どこかにUSBポートを付けておいて欲しいな。

東京にやって来て一日目。早くも人の多さに疲れてきた。

明日、自転車屋さんに行って用事を済ませたら、さっさと脱出することにしようか。早く小屋に帰ってのんびりしたい。

毎日野宿場所を探すのにも疲れてきた。

 

さあて、今日はもう遅いさっさと寝てしまおう。

 

おわり