こんにちは。からあげです。
はじめに
楽しい自転車生活にはまず安全第一。
日々道路を走っていると、さまざまな危険にさらされる。
挙動不審なスマホ中毒ドライバー、反応が鈍い高齢者ドライバー。逆走、無灯火、信号・一旦停止無視など交通ルール無視当たり前のイカれた自転車。スマホに夢中の夢遊病者のような歩行者などが束になって襲いかかってくる。さらに今後は免許なしで乗れる電動キックボードが車道を走るようになる。
この状況で生き残れるだろうか?
自分の身の安全を守るためには沈着冷静な行動が必要だ。
まず交通ルールを遵守。そして状況に応じた臨機応変の慎重な走行。優先道路であっても見通しの悪い交差点では徐行、場合によっては一旦停止する。危険な車両には近づかない。などなど。。。
しかし、他者(車)と混在する公道では自分だけの努力だけではどうにもならないことがある。特に自転車は小さく見落とされやすい。そこでドライバーにいち早く発見してもらうために、視認性の良い反射ベストを着用することになる。
反射ベストの効果はてきめんだ!途端に後方からの車が距離を離して抜いてくれたり、対向車が道を譲ってくれたりするようになる。ほかには急な飛び出しや強引な右左折車なども減ったりする(だが完全にはなくならないので絶対に油断しない)など、安全性の向上を体感できる。
特にロングライドでの疲れは全然違う。ストレスが大幅に減り、より安全に走行を楽しめるようになる。
Salzmann 3M 反射ベスト
品質と機能性にこだわる私が選んだ反射ベストはSalzmann 3M(ざるつまん すりーえむ)。
数多くのAmazon・楽天などのレビューを読み漁って選んだもの。視認性第一で見た目や空気抵抗は二の次三の次だ。
Salzmannは屋外での現場作業員の使用を想定されており、視認性は欧米の厳しい基準をクリアしていて(ただし普通地のイエロー・オレンジのみ)昼夜問わずよく目立つ。
始めの1着はメッシュタイプのイエローを選んだ。着た途端にものすごい効果を体感して感激したが、3ヶ月くらいすると次第に色があせてきて視認性が落ちてきた。半年くらいは頑張って着たが、身の危険を感じ出したので、より長持ちする普通地タイプのオレンジを買った。
というのも、メッシュタイプでもポケットは普通地を使用しており、ポケットの部分だけ色あせしにくかったからだ。
普通地タイプの反射ベストはメッシュタイプの倍以上長持ちした。さすがに1年経ったら色あせが目立ってきたので裏返して着るようにした。
メッシュと普通地の両方試してみたら普通地の方が断然良かった。耐久性と安全性が圧倒的だ。普通地は生地が厚くて丈夫で長持ち、おまけに色あせしにくい。高い視認性が長期間にわたり維持される。
メッシュのイエロー・オレンジはANSI/ISEA 107:2015認証のみだが、普通地のイエロー・オレンジはより厳しいEN ISO20471:2013も認証済みだ。
普通地でも夏の暑さは大して変わらない。(気がする)
蛍光イエローメッシュ
新品購入時
初めて購入したSalzmannの反射ベスト。
夏でも涼しそうなメッシュタイプを選んだ。
サイズはS/M。身長165cm痩せ型の私にはピッタリのサイズだった。
私の場合、夏は薄手長袖シャツの上から着用してもゆったりと着れる。前傾姿勢となるドロップハンドルだと、開いた胸元から風を取り込んで背中に抜けて涼しくなる。
ただし、メッシュでもポケットの生地は普通地(内ポケットもあり)。左胸のクリアポケットは通気性が全くないうえ、硬くて引っ掛かりやすかった。ポケットはお腹の2つあれば十分。
サイクリストにとって放熱は重要な要素だ。使い始めて3ヶ月ほど経ったあと、胸ポケット2つと内ポケット2つは取り外した。
冬はフリース・ウインドブレーカーの上から着ても十分ゆとりがある。
約半年経過後の状態
およそ半年使用した状態(胸・内ポケットは取り外し済み)
新品の時は鮮やかな黄色だったが、3ヶ月くらいすると次第に色あせしてきて白っぽくなってきた。
前傾姿勢だと日が当たりやすい背中の方が色あせしやすい。
背中のようす
前に比べると白っぽさが目立つ。このような状態になると昼間の視認性はあまりよくない。
使用途中で取り外した普通地のポケットと比較する。
表と裏の比較
洗濯は洗剤なしで手洗いして陰干し。できるだけ色あせしないように直射日光を避けた。
ポケット周りの傷み
マジックテープ式のフタ付きポケットで中身が落ちたことはなし。
主に自作マスクや飴を入れていた。
メッシュタイプは薄手で色あせしやすいものの、3Mの反射材だけはしっかり反射してくれる。さすがは3Mの反射材だ。
普通地 蛍光(ネオン)オレンジ
2着目に購入したのは普通地タイプのネオンオレンジ。
サイズはイエローメッシュと同じS/M。
1着目のメッシュはすぐに色あせてきてしまったが、短期間ながら視認性は非常に良かった。
今度はさらなる耐久性を期待して普通地を選択した。
普通地は新しいうちは感触が少しゴワゴワするが、着ているうちに柔らかくなって体に馴染むようになる。まばゆい蛍光オレンジで街の風景に埋没することはない。
ファスナーは中国メーカーのSBS。1着目のイエローメッシュと同じ。
耐久性は十分で問題なし。
Salzmannの反射ベストの良いところは、面積が広くて視認性が非常に良いこと。
よく見かけるサドル下に吊り下げる三角型のリフレクターがあるが、小さくて遠くからでは見えずらい。このくらいの大げさ過ぎるくらいでちょうどいい。
不要なポケット(上2つと内側2つ)やタグを切り取り、軽量化と使い勝手を向上させる。
約1年経過の状態
長距離、市街地走行や配達仕事などで週2,3回着用しておよそ1年経過した。
イエローメッシュとは違い色あせしにくかったが、半年以上経ったころから少しずつ色あせして来た。
それでもイエローメッシュより断然長持ちした。
前はまだ十分だが、後ろは色あせが目立つようになっていた。ある時点を過ぎると一気に劣化が進むような気がする。
ベストを裏返すと裏地はまだまだイケる。新しいものに買い替えるのは簡単だ。
私は「直すより買った方が早い。」という文句が大嫌い。
手間は掛かるが裏返して着れるように手直しすることにした。
生地を裏返す手直しをする
リッパーという裁縫道具で縫い目を切って解体解する。(リッパーは後ほど紹介)
コツコツとした手作業を強いられる非常に地味な作業だ。こういう作業はおっさんに任せて欲しい。
反射材を剥がすと濃いオレンジ色が現れた。この程度ならまだまだ使える。
反射ベストを解体したところ。端のほつれ止めは外さず。
ファスナー周りを何重にも縫って補強していたので、取り外すのに手間取った。
一部強引に切った箇所に小さな穴が空いた。この程度なら簡単に直せる。
取り外したポケットの生地を当てて縫っておいた。これでヨシ。
作業途中でミシンが不調になったので分解掃除して注油することにした。
長年酷使したミシンで一度修理に出している。
ミシンの可動部には定期的にミシン油を差す。取り扱い説明書には分解しないでくださいと書いてあるが、そんな文言は無視してしまう。
「家庭用ミシンでもこまめに差しておくと長持ちする」とミシン屋さんから言われた。サイクリスト的に言うと、油切れのチェーンの自転車に乗るようなものだ。
ミシンを元通りにして作業再開する。
気持ち動作音が小さくなったような気がする。いや、気のせいか?
8時間かかって裏返しの手直し完了!
想像以上に手間取ったが、なかなかの出来栄えに満足した。
負荷のかかるファスナー周りはあて布を当てて補強しておいた。
ちょっとした配慮で物はより長持ちする。
ポケット周りもほぼ元通りに修復された。
なんでも完璧を求めない、それがおっさん流のDIY。裁縫もDIYの一種だ。
生地を裏返すと元の表側が現れる。うむ、実に時間がかかったが、やってよかった。
こうして手直しされて新品時の7割程度の視認性に回復した反射ベスト。
これは今でも着続けている。
普通地 蛍光(ネオン)イエロー
2着目の普通地の蛍光オレンジ。手直しして半年くらい経つと視認性が落ちてきたので、新たな反射ベストを購入した。
本当は同じ普通地の蛍光オレンジがよかったのだが、なぜかオレンジだけ品不足で1,000円ほど高かった。それで3着目は普通地の蛍光イエローを選んだ。通常Amazonで2,000円弱で販売されている商品だ。
何度も説明するまでもなくサイズはS/M。
袋から出してハンガーに吊り下げる。
久しぶりに見る本来の反射ベストだ。
これから詳しく見てゆくことにしよう。
Salzmannと3Mのタグが縫い付けられている。
高品質の証だ。
背面のようす
抜かれる宿命の自転車とって、背面の視認性が非常に重要だ。生地の大きさ、反射材の面積は言う事なし。
部屋を薄暗くしてライトを点けて写真撮影すると、反射材がまばゆい光を放つ。安心安全の3Mだ。
内側に縫い付けられたタグ。
EN ISO20471、ANSI/ ISEA 107 ともに認証済みの表示あり。
生地はポリエステル100%。洗濯機・ドライクリーニングは不可。手洗いのみ。
胸ポケット2つ。
右側がペンを挿せるポケット、左側がクリアポケット付きのマチ付きポケット。表側に身分証明証、社員証など、マチ付きにスマートフォンが入れられるようになっている。
右側のマチ付きポケット。大容量のポケットだ。
マジックテープ式のフタも付いて中身が落ちにくくなっている。
しかし、ドロップハンドルの前傾姿勢だとフタの隙間から落ちるかもしれない。重たいものや貴重品を入れるのは危険、やめた方が無難だ。
小型のiPhoneなら余裕で入る大きさ。
左側のペンを挿せるポケット。二重構造になっている。
下のポケット2つはフタ付き。
マジックテープの品質は良く、接着力が強力で長持ちする。
ファスナーはYKK。世界で信頼される日本メーカーだ。SBSも悪くなかったが、YKKの方が安心できる。
裏地のようす
胸に内ポケットが2つある。
内ポケットのようす
マジックテープ付きだが、フタはなし。
縫製はしっかりしている。さすが信頼のドイツブランド、Salzmannだ。
色あせたイエローメッシュ(約半年着用)と普通地蛍光イエローの比較
着古して色あせたイエローメッシュと普通地の蛍光イエローを比較する。
実物では見た目は歴然の差があるが、この写真では分かりづらい。
背面のようす
反射材の劣化は目立たないが、生地の方は大違いだ。
2つの生地をズームで比較する。
不要なポケットなどを取り外す。
Salzmannの反射ベストはもともと現場作業員用の反射ベストのため、サイクリストにとって使いやすいとはいえない。ところが不要なポケットを取り外すなどの改造を施すと非常に使いやすくなる。
これはリッパーと呼ばれる裁縫道具で、縫い目を切るためのもの。衣類の手直しする時に活躍してくれる。ハサミでも切れないことはないが、細かい縫い目を切るには作業性が悪くて非常に時間が掛かる。
リッパーはそれほど高いものではないので一つ持っておいた方がよい。
リッパーでポケットの縫い目を切っているところ。
尖った刃先を差し込んで横に動かすと糸が切れる。
100円ショップのものとは違い、切れ味が良くて耐久性もある。
ポケットの生地を引っ張りながら縫い目を切ってゆく。
穏やかな気持ちで無心で作業を進める。
肩の部分にある輪っか
おそらくは笛のストラップを留めるものと思われる。
あるとゴワゴワするし、邪魔なだけなので取り外すことにする。
不要な輪っかを取り外してスッキリした肩周り。
取り外したポケットやタグなど合わせて27g。
作業完了!
内ポケット2つと胸ポケット2つを取り外して、お腹のポケット2つのみにした。
作業時間は約30分。ちょっとした手間でかなり使いやすくなる。
ただし、リッパーで縫い目を切ると生地に跡が残ってしまう。
太い工業用ミシン針だから仕方がないと思って諦める。
遠目で見れば分からないし着ている本人には見えないので全然気にならない。
反射ベストSalzmann 3Mのまとめ
これまで2年以上、この反射ベストを着用して配達仕事やツーリングをしてきた。
何度も言うが効果は絶大。わずかな出費で安全性が大幅に向上する。
2019年のオーストラリアツーリングの時に着ていたら、また違った旅になっていただろうと思う。時速100km超のスピードでギリギリを掠めていくように走り去る車、特に全長50mを超える長大なロードトレインには本当に参った。何度肝を冷やしたことか。
ドライバーは自分が思うほどに見えていない(見ていない)。地平線まで続く単調な道ならなおさらだ。
今は遠出するときは必ず着用するようにしている。もうユニフォームみたいになっていて、着ないと気が済まなくなっている。ヘルメットと同じ。
反射ベストの思いがけない効用。それはどこでも非常に目立つため、運転マナーに自然と気をつけるようになることだ。常にドライバーや歩行者などの視線を感じる。
普通地の蛍光オレンジが素晴らしく良かったので、替え用にもう1着購入しておいた。これでしばらくは安心できる。
単なる私の主観だが、日中はオレンジがより目立ち、夜間はイエローがより目立つような気がする。
繁華街では色とりどりの看板やネオンで埋没しそうなことがあるので、視認性の高いSalzmannでも十分注意したい。道幅の広い一般道路だとまず埋没することはなく、より安全に走行できる。
Salzmannの反射ベストは自転車ツーリングやブルベ、通勤・通学の人や原付き乗りの人におすすめできる。まずは一度着てみて欲しい。その効果に驚くはず。
参考データ
Salzmann 3Mの視認可能距離 180m(メーカー公称値)
時速 | 秒速 | 停止距離 |
30km/h | 8.33m/s | 約15m |
50km/h | 24.48m/s | 約25m |
停止距離は乾燥したアスファルト舗装での大まかな数値。
停止距離=空走距離+制動距離