こんにちは。からあげです。
ナラボー平原横断二日目の今日は、Penong過ぎの道路脇からのスタートとなる。テントを張るときには鬱陶しかったハエはどこかに消え去った。蚊はほとんどおらず涼しいため、夜の方が快適に過ごせる。
朝焼けのなか、今日の目的地70km先のNundrooのロードハウス目指して走りだす。
今朝の冷え込みはさほどではなく、すぐに長袖シャツを脱いでの走行となった。
15分くらい走ってようやく日の出を迎えた。最近では7時になっても薄暗い状態。この先、冬至を迎える頃には8時ころに日の出となるだろう。
ライトなどの装備が貧弱なため、必要に迫られなければ夜間走行はしない。走行時間が短くなるが、今回はこれで凌ぐことにする。次回の海外遠征の時に、ハブダイナモを導入するか検討する。
本当に何にもないナラボー平原。
何にもないのが当たり前のため、建物などの人工物があると非常に気になる。
ふと気が付いたのだが、道路脇の砂利がキレイに取り除かれている。まさか定期的に道路掃除をしているのか?
多分、これは大型車同士がすれ違う時に、道路外にはみ出て走行して、その時の風圧で吹き飛ばされてキレイになったものと思われる。地味に良い仕事してくれるな。
Over Sizeは1.5車線分の幅のあるものもあり、お互いはみ出して走行しないと安全にすれ違うことが出来ない。
タイヤマン
こういうの地味に楽しい。変化が乏しい直線道路では、貴重なアトラクション。
ちょっとアンタ長くなってるでしょ?
Cedunaを過ぎてからRoad Trainの数が少なくなったものの、全長が長くなっている。ドライバーはそれほどスピードは出さず(だいたい80km/h?)、優しい運転をしてくれている。
レストエリアで休憩。休むのは木陰。
秋の日差しとはいえ、止まった状態で直射日光を浴び続けていると肌がヒリヒリしてくる。体力の消耗を抑えるためにも、できるだけ日焼けを防ぐ。
走行中は風が当たるため、ほとんど気にならない。
つっかえ棒を使って安全確実に自転車を停める方法。
前後ブレーキを掛けた状態でハンドルを一杯切って、つっかえ棒を当てる。このようにすると、前輪が動いてバランスを崩し倒れることはない。
通常後ろブレーキのみ、パーキングブレーキを掛けているのだが、何かの拍子にハンドルが切れて、前輪が動くとバランスを崩して倒れる。これまで何回かやらかしてしまった。
ハンドル端をトップチューブに当てておく。
このように前後のブレーキレバーには、自作のパーキングブレーキを装備している。
自転車を倒して何が怖いかというと、バーエンド取り付けのミラーを壊してしまうこと。
今ではミラーなしでの走行は考えられない。うっかりミスで壊してしまったら、発狂してしまうかもしれない。リヤディレーラーはサイドバッグに守られているため、倒しても大丈夫♪
つっかえ棒駐輪の完成!ようやくここまでこぎ着けたな。
これだと突風が吹こうと倒れることはなし。
ただし、つっかえ棒の先が滑らないように注意する必要はある。
トレッキングポールだと、先端のゴムキャップを外したり付けたりすることによって、幅広い地面に対応できる。
レストエリアの出入りの際は、ガラス瓶の破片を踏まないように注意が必要。たいてい車が入れる場所にはガラスの破片が散乱している。
私がレストエリアで泊まりたくない理由は、ガラスの破片があるということが大きい。道路脇の3〜5mくらいのところにも、ガラスの破片が落ちていることが多いので注意を要する。
一日の終わりにブッシュキャンプをしようと、茂みの中に入ろうとする時にガラス片を踏む可能性がある。疲れていると注意力が散漫になるので余計に気を使う必要がある。
道路のすぐ脇は、大型車がはみ出して走行することもあるので少ないが、少し離れた場所にたくさん落ちている。私はこれらのガラスの破片がある場所を地雷原と密かに呼んでいる。葉っぱの下に隠れていることもあって気を抜けない。
多分、これらは昔のやりたい放題やっていた時の遺物。レストエリアでも、たくさん落ちているところと、ほとんど落ちていないところがある。新しいところは少なく、昔からあるところほど多いのではないかと私は考えている。
自然分解しないガラス片は本当にやっかいで危険。
2回目の休憩でレストエリアに入ると、キャンパーからコーヒー飲まないかと誘われる。私は少し離れた場所で休憩して、そのまま出ていこうとしていた。
彼らはAdelaideからPerthに向かってキャンプをしながらドライブしている2組の若いカップル達だった。Adelaideに住んでいると言ったのに、Perthに着いたあと車はどうするのだろう?先日会ったPerthのサイクリストは帰りは車だと言っていた。見た感じレンタカーでもなさそうだし、どうなっているんだろう?
オーストラリアでは車移動のために、短期で車を所有することがあるのかな?到着後はすぐに売却する。レンタカーを借りるより安上がりなのかもしれない。
久し振りにコーヒーを飲むと元気が出てペダルが軽くなった。
強い横風のなか、走れたのはコーヒーのおかげ。
本当に何もない。
無心になってペダルを漕ぐが、後方警戒だけは忘れない。
サイコンで走行距離を確認しないと、ちゃんと進んでいるのか分からなくなることがある。
それにしても、オーストラリアの道路はよく整備されている。
こんな何もない平原の道路も路面状態は非常に良好。穴や盛り上がりなどはほとんどない。
傾く木。風が強いためか、木が傾いてしまっている。
かろうじて根っこで踏みとどまっている感じ。
強い横風が吹くなか、頑張ってペダルを漕いで、お昼過ぎにNundrooのロードハウスに到着!
ロードハウスとは、ガソリンスタンド、モーテル、コンビニ、レストランなどのサービスを行う複合施設で、乾燥地帯を走る時によくお世話になるところ。昨日のPennogでは店の中に入らず。
昨日、キャラバンパークでタダで水を手に入れて味をしめたおっさんは、ロードハウスで同じことをやろうとした。
レジで「Give me water!」と言うと、意味が分からないことを言われたあと、冷蔵庫の前に連れていかれ、水ならここにある。というようなことを言われた。
私は1.5Lのミネラルウォーターのペットボトルを4本持ってレジに向かった。まだこの期におよんでまだ、「代金は要らないぜ!頑張ってな!!」という返事を期待してした。
淡々と会計処理を行う店主のようすを見ていてすべて悟った。めったに雨が降らないナラボー平原では水は貴重品で、どこの馬の骨とも知らぬ小汚いサイクリストにタダで恵んでやれる水はない。彼には養う家族もいるし、雇っている人に給料を払う必要もある。レストランの厨房では水がたくさん必要だし、モーテルのお客に浴びてもらうシャワーの水だって必要だ。渇水期の夏場はどこからか水を運んで貰っているかもしれない。できるだけ雨水を貯めて大事に使っている水をタダでよこせとは何事だ!
口では言わなかったが、彼の態度からすべてを察した。自然環境の厳しいナラボー平原でロードハウスを営業するのは非常に大変なこと。情けを掛けてばかりでは家族や店を維持できない。
キンキンに冷えたミネラルウォーター1.5L×4本、6リットルで19.8ドル。1リットルあたり3.3ドルになる。昨日1リットル1ドルなら出してもいいかな?と馬鹿なことを書いていたが、想像を遥かに越えていた。1L10ドルと言われても、生存に必要なら買わねばならない。タダでくれとは何事だ!と店を叩き出されても文句は言えないところだった。
恥ずかしい。自分のアホさ加減に嫌気がさした。オーストラリアを約3,000km一月半走って、まだ日本の感覚が抜けていなかった!一昨年のPCTでも水を買ったことはほとんどなくて、そのことも勘違いをさせていた。乾燥地帯でも水を買わずに済んだのは、トレイルエンジェルと呼ばれるボランティアの人が私財を投じて水を置いてくれていたため。
馬鹿野郎!いい年こいてそんなことも分からないのかよ!!
手持ちの食料の消費を抑えるために、レストランで食事することにした。頼んだのは20ドルのナラボーバーガー。
さきほど購入したミネラルウォーターのペットボトルを持ち込む。もちろん、お金を出して頼まなければ、水なども出てこない。オーストラリアは先払いだったことに初めて気がつく。チップの習慣がないオーストラリアでは食い逃げ防止のためにも、先払いが基本なのだろう。またひとつ勉強になった。
レストラン内にはバーもある。おそらくモーテルやキャラバンパークに泊まっている客にサービスするコーナーなのだろう。
オーストラリアでは酒を提供販売できるのは、許可された特定の場所に限られるらしい。一般のスーパーやコンビニでは販売されていない。酒を止めた自分としては、酒のことは全く興味がないからよく分からない。
公園などの公共の場でも、飲酒は禁止されている。もちろん花見の飲酒もダメ。
おお、グレイトだぜ!見た瞬間気に入った。
持ってきた店主がどうだコノヤロウ!みたいに自信たっぷりだった。
間に挟まれた具がズレて崩壊しないように串が刺してある。
名前のとおり、Bigなナラボー平原に勝るとも劣らないバーガーだな。さっきは馬鹿なこと言ってすみません。
バーガーを食べると元気モリモリ。先ほどまで疲れていたおっさんは体力が全回復した!
生野菜もたくさん付けられていたのが嬉しかった。オーストラリアでこれだけの野菜を食べたのは初めて。やっぱりたまにはレストランで食事をしないといかんね。
軒下広々で快適な店の前。
太陽の日差しを遮るように、道路の北側にある。
日差しの強い夏や雨の日の休憩にぴったりだ。
うちはモーテルやキャラバンパークもやってるんで、泊まるならこちらにしてくれよな!軒下で寝ようなんてケチなことはしないでくれ。
とまあこんな意味だろう。ロードハウスが潰れると、無補給区間が長くて大変になる。今後のサイクリストのためにも、払うべき金はキッチリ払って儲けてもらう必要がある。こんな平原の真ん中にロードハウスがあるだけでも奇跡と思った方がいい。
水の詰替え作業。次のNullarbor Roadhouseまでおよそ150km。2日の行程として水を10L持つことにした。手持ちの水が尽きる前になんとしても、ロードハウスにたどり着く必要あり。
道行く車からわけて貰おうなんて図々しいこと思うんじゃないぞ!
リアの積載状況。
カゴの中に1.5Lペットボトルが2つ、上の袋に1.5Lのほぼ満タンなペットボトルが1つ。
出発準備が整った!何度も何度も水の残量を確認し、消費量のシュミレーションを行った。なんとしても手持ちの水で乗り切る。
これは手持ちの限られた水でロードハウスにたどり着くゲームだと考えていい。途中に水場は一切なし。
午後2時ころロードハウスを出発!
さあ、次の目的地に向かって死ぬ気で走るぞ!!
カンガルーとウォンバット注意の看板。
次52kmだが、次のYalataは小さな集落があるだけでロードハウスはなし。以前はあったが閉鎖したようす。
まだまだこれからだ!ナラボー平原を舐めるなよ!!おっさん全力で行け。
ガソリンの給油は144km先のナラボーロードハウス。
サイクリストの燃料は食料。どのみち同じこと。
道端に転がっているスイカのようなもの。
ちょこちょと見かけるのだが、農家の人が取れすぎたから捨てたものだと思っていた。たぶんこれ、野生のスイカ。食べたら美味いのかな??中身は水分たっぷりあるのかな?今度割って中身を見てみよう。カボチャみたいだったりして。
すでに100kmを漕いでノルマ達成しているが、漕げる時に漕いでおきたい。スピードアップするのではなく、走行時間を増やして距離を伸ばしたい。無闇なスピードアップは体力を消耗させるだけ。いかにマイペースで長時間漕げるかが、航続距離を伸ばす鍵。最近になってようやく分かった。
どんどん日が短くなっているこの時期、夜間走行できないとあっては、スピードアップすることでしか距離を大きく伸ばせない。焦る気持ちと体力の消耗を抑えて、ここはスローペースで確実に進んでいくしかない。
ああ、ハブダイナモが欲しい!
もう道端に入ってテントを張って休みたい。いやまだだ、行けるところまで行こうじゃないか。おっさんの脳内では働きものと怠け者のおっさんが戦っていた。
5時過ぎにレストエリアにまもなく到着。ここで休んでどうするか考えよう。
夕暮れ目前。東屋の屋根の影の下で休憩する。
いつもはレストエリアでの宿泊を避けるおっさんだが、今日ばかりはここで泊まってもいいかなと思えた。
確かにガラス片が散乱している場所もあったが、手前の方にキレイなところがあった。この先、快適なねぐらが見つかるかの保証はなく、日没間近にパンクでもしたら最悪だ。
今日のところはここでストップ!
ガラス片がなく、人目の付かない奥の方でテントを張った。
明日は明け方から雨が降るようなので、自転車カバーを装着しておいた。
大事な相棒のディストラ君に万が一のことがあったら、この広大なナラボー平原で進退極まってしまう。大事にせねばな!
自転車は相棒でもあり、おっさんの分身でもある。どちらか片方だけが生き残ることはなし。これからも頼むな。
ねぐら レストエリア