座卓を椅子に座って使えるパソコンデスクに改造する

こんにちは。からあげです。

座りすぎで坐骨神経痛になる

新型コロナ感染拡大で自粛生活を余儀なくされるようになり、2020年春からは家でデスクワークをすることが多くなった。
旧式のノートパソコンでは作業効率が悪くてストレスが溜まっていた。

以前から動画編集したかったこともあり、思いっきり奮発してデスクトップパソコンを自作したのだった。パソコン本体を机の上の棚に設置し机の上を広く使えるようにするなど、徐々に作業環境を整えて行った。

パソコンデスクは座卓タイプ。座布団を敷いてあぐらをかいて座っていた。
高性能なパソコンのお陰で快適に作業できるようになり、ついつい机の前に座る時間が長くなっていた。それでも当初は3,4時間程度だったので問題は起きなかった。

異変を感じたのは毎日しつこく雨が降り続いていた時期だった。家に引きこもって朝から晩まで長時間パソコン作業をするようになっていた。はじめは足腰の周りに違和感を感じるだけだったが、ある日を境に傷みに変わった。
それからあれよあれよと言う間に症状は酷くなり、日常生活に著しい支障がでるようになった。体を少し動かすだけで腰回りに激痛が走り動けなくなる。一時はほとんど寝たきり状態までになってしまった。
それで昼間もずっと寝ていたのだが、寝ていても一向に治る気配はない。いや、運動不足になって却って悪化しているかもしれない。激しい傷みに耐えながら自転車で病院に向かった。


Wikimedia Commons by K. D. Schroeder, CC-BY-SA 4.0

診断の結果は「坐骨(ざこつ)神経痛」だった。

名前は聞いたことがあったが、自分とは無縁のものだと思っていた。まさか自分がなってしまうは。
私の場合、腰の部分にある腰椎が変形していて、坐骨神経が圧迫されると神経に沿って腰、太もも、ふくらはぎなどが激しい痛みに襲われた。

原因は「老化座りすぎ」。

老化によって椎間板(ついかんばん)が薄くなっていた。
そのうえ足腰に負担がかかる「あぐら」で長時間座っていたため、腰椎が変形してしまっていた。

椅子に姿勢正しく座るようにすれば負担を大きく軽減できる。
だが机を新しく買うとなると、設置場所の都合もあるし自分の好みもあるから、時間を掛けて探さなければならない。それにお金もかかる。これまで長年使っていた座卓は天板が広いし部屋の角にぴたりと収まってとても気に入っていた品だった。まだまだ使えるお気に入りの品を捨ててしまうのは勿体ない。

座卓の脚を継ぎ足せばいい。今ある物を改造すれば、お金はさほど掛からない。DIYで簡単にできる。
そう思った私は、病院に通って治療を続けながら少しずつ作業を進めることにした。

 

座卓を改造する

雨が降り止んだ間に近所のホームセンターへ資材を買いに行った。
長さ6F(約1.8m)の2×4材2本と1×4材2本。リヤキャリアに括り付けて慎重に運んだ。
丈夫なクロモリフレームの自転車だと、重たい荷物を運んでもビクともしない。

リアキャリアの天板には金網を取り付けて荷物を積みやすくしている。
自転車生活の知恵だ。

座卓を外に運び出して裏返す。天板に傷が付かないように、コンクリートの上にダンボール箱を敷いている。

天板の高さが70cmになるように材料を切る。2×4材は柔らかいので手ノコでも簡単に切れる。

脚を4本切ったところで仮置してみる。
様子をみたところ問題なさそう。

クランプで固定してから木槌で微調整して位置を決める。そしてインパクトドライバーでビスを打ち込む。

脚4本を継ぎ足した机。強度は十分ありそう。左右に揺すってもグラグラと動かない。

試しに机に座ってみると、膝が当たってしまう。

座卓として使っていた時は問題なかったが、椅子に座るようになると邪魔になった。

やむなく横材の付け根をのこぎりで切った。
叩けば外れるのではないかと思ったが、叩いても叩いてもビクともせず。接着材でしっかりと固定されていた。

机を定位置に戻してみる。
うむ、いい感じだ!

脚の強度が多少落ちたような気がしたので、計画していたとおりに1×4材で補強した。

試しにパソコン本体を机の上の角に置いてみた。
やはり邪魔だ。目の前になって邪魔で仕方ない。元のように上の棚に設置することにした。

 

清酒ケースの椅子

机用の椅子は敷地内に転がっていた清酒ケースを使うことにした。
ガード下の飲み屋などでよく見られる椅子だ。
長年放置されて汚れていたのでキレイに洗う。

パソコン机の完成!

机の高さが上がった分、棚を上の方に移動させた。
机の下に棚板を取り付けて荷物をたくさん置けるようにした。

清酒ケースを裏返して置いて座布団を載せただけの椅子。
初めは喜んで座っていたのだが、そのうち座り心地があまり良くないことに気がついた。
座面が狭いうえ踵が浮いて太ももの裏が圧迫される。

横向きにして座ってみると、ベタッと踵が着くものの今度は机の高さが合わなくなった。
嵩上げして高さを調整できるが、座り心地が全然良くない。硬すぎてお尻が痛くなってくる。

やはり清酒ケースの椅子は飲み屋で使うのが合っている。快適過ぎると長時間滞在するようになり、酷く酔っ払った奴が周囲の人間に絡みだす。少し座り心地が悪いくらいの方が店にとって都合がいいだろう。パソコン机には全く向かない。

 

パソコンデスク用の椅子(オカムラ ノーム)を購入

購入した椅子はオカムラのノーム(肘なし)のライトグレー。

購入の決め手は、座面高さ380mmから設定でき、置き場に困らないコンパクトタイプだったから。
座面の高さを低く設定でき小柄な女性でも使いやすい。おまけに小さくて日本の狭い住宅事情を考慮したもの。いくら座り心地が良くても、大きいと邪魔になる。ゲーミングチェアはデカすぎる。
座り心地は必要十分。値段も手頃だった。

シーティング|チェア|オフィス|製品情報|株式会社オカムラ
オカムラが提供するオフィス|シーティング製品情報の一覧です。

 

エアーシリンダー

高さは無段階で調節可能で、空気のクッションで座った時の衝撃を和らげてくれる。

座面の裏面

オプションの肘掛けが取り付けられるようになっている。
座ったり立ったりするとき、あぐらをかくときに邪魔になる肘掛けはなしにした。

椅子を支える脚は5本。

さすがオカムラ。キャスターもしっかりした作りになっている。

組み立てはとても簡単。説明書の通りに付属の六角レンチでネジを3本止めるだけ。

まずは座面に背もたれを取り付ける。
清酒ケースに座面を載せて作業する。

ビスでしっかりと固定する。体重を支える骨組みはしっかりしている。

5本脚にエアシリンダーを挿した。あとは座面と背もたれを載せるだけ。
あとで外しやすいように接合部分にグリスを薄く塗っておいた。

椅子の完成!組み立て時間はおよそ10分。

背もたれの裏は全面布張り。

生地のようす

太めの糸で編み込まれている。ライトグレーを選んで正解だった。
落ち着いた色で部屋に溶け込んでいる。

パソコン机に椅子を設置したようす。
実にいい感じだ。

格段に座り心地が良くなった椅子。清酒ケースとは全く違う。
椅子に座ると、足腰に負担が掛からないのがよく分かる。

 

パソコンデスクのさらなる改良

椅子の高さを踵がべったりと着くように調整すると、机の天板がやや高めのように感じた。
後で切って短くできるように、初めは少し高めにしておいてある。

使っていて気になった点が3つ。まずは新品の真っ白な2×材が机の茶色と全然合っていない。

そして2つ目。横に渡した奥の補強材が邪魔になって奥まで荷物を入れることができない。

最後は机の下の棚板。補強材を兼ねる棚板を奥の方にずらし、さらに物が落ちないように付けた壁を撤去したい。

机の高さを調整するついでに自分の気が済むように直すことにした。

重たくなって1人では運び出せなくなった机を家の中で解体する。
少し動いただけで激痛が走り、その度に体を休めた。一気に20歳以上歳をとり爺さんになった気分だった。

脚を3cm切って机の高さを67cmにした。
のこぎりの刃の厚みを計算して若干切る位置をずらす。長年のDIYで身につけた匠の技などと脳内で呟きながら1人作業を進める。この間にも激痛が襲ってくる。

真新しい木に「柿渋(かきしぶ)」を塗ることにした。
日本古来から伝わる自然素材。長年物置に中で眠っていたもの。

 

以前使った時はう●このような臭いがしたが、今回はほとんどにおいがしなかった。
熟成されて匂いが消えたようす。その代わりゼリー状に変質してしまっている。

普通のペンキ用の刷毛を使って柿渋を塗りたくる。
清酒ケースは台として使った。

柿渋を塗ると自然な赤茶色に変色する。実にいい感じだ。想像どおりの色になった。

机にも柿渋を塗った。
天板にはニスが塗ってあるので全く染み込まなかった。
4本の脚の色がより渋くなった。さすがは柿渋。

塗った木材はしっかりと乾燥させる。

途中で雨が降ってきたので屋根の下で乾かした。

奥の床板がない部分。これにフタを被せることにした。
この隙間から落ちて行方不明になる物がときどきある。

端材の合板を切って柿渋を塗った。

脚は屋内で取り付け。
クランプでしっかりと固定した状態でビスを打つ。

机を仮置してみる。
邪魔になった奥の横材は撤去した。強度が落ちた分は棚板で補強した。

机と壁の隙間を合板を載せて塞ぐことにした。
多少の物を載せても落ちないように支えを付けた。

合板で隙間を塞ぐと作業スペースが一気に広がった。(ような気がした。)
これで行方不明者は激減することだろう。

廃材を利用して棚板を増やすことにした。
これはタンスを解体したときにとっておいたもの。
捨てるのは簡単だが、再利用しようとすると頭をよく使う。廃材利用がピタリと決まると面白い物ができる。既製品にはない味がある。

ハンマーをぶつけて穴が空いてしまった板。これはテープを貼って塞ぐことにした。

パソコン机は今度こそ完成だ!
使い心地は申し分ない。自分の体ぴったりに合わせて改造した。これがDIYの良さの一つ。

圧倒的に広くなった作業スペース。端の方に物を置いても落ちることはない。

棚板を増やして収納能力が上がった棚。実に満足な仕上がりだった。

 

デスクライトの色を塗り替える

しばらくすると気になることが出てきた。それはデスクライトが目障りな赤色なこと。
柿渋を塗って茶色の統一感が出たパソコンデスクだが、その中で浮いているもの。それがデスクライトだ!

このデスクライトは私が小学生の頃から使っているもの。
かれこれ40年近く経つだろうか。昔の物は本当に壊れにくい。

唯一気に入らないのが色だった。

不要な注意書きのシールは剥がす。
小学生からおっさんになった私には必要ない。

ペンキを塗らない部分はマスキングした。

傘の裏の白が変色していたので、光を反射しやすいシルバーを塗ることにした。
電球を外し新聞紙を詰める。

取り出したのはラッカースプレー。小物類をムラなく塗るときに便利な塗料。

シルバーは何とか吹けたものの、黒が全くダメだった。ボタンを押してもノズルから垂れるだけで使い物にならない。数十年も前のラッカースプレーでは無理だった。
代わりに黒の缶入りペンキを塗ることにした。

できれば臭くない水性を塗りたかったのだが、油性のラッカースプレーを吹いた後では水性は塗れない。やむなく鉄部用の油性ペンキを塗った。用途は全く違うが細かいことは気にしないようにした。

黒く塗って存在感が消えたデスクライト。渋くなっていい感じになった。柿渋色のパソコンデスクによく似合う。

途中で刷毛塗りにしたため、酷い色むらになっている。だがそんな些細なことは気にしない。

 

理想のパソコンデスクを手に入れる

こうしてほぼ理想のパソコンデスクを手に入れた。
材料費は約2,000円。手間暇は掛かったが、自分の体に合う物を作ることができた。
デスクライトのつや消し黒と柿渋が絶妙なハーモニーを奏でる。実にすばらしい。

坐骨神経痛が完治するまで1月掛かった。
病院では低周波電気治療と腰の牽引を行ってもらって、自宅では筋トレとストレッチを行った。
傷みは徐々に引き、今では昔以上に具合が良くなったように思える。

デスクワークはほどほどに。頑張ってやるなら環境は整えた方がよい。おっさんは身を持って経験したのだった。読者のみさなんもくれぐれも気を付けて欲しい。