こんにちは。からあげです。
夜中に何度も大雨が降ったうえ、しつこく降ったり止んだりを繰り返す。風は衰えることなく吹き続け、今朝になっても強いまま。だが天然の防風壁に守られていたので、快適そのものだった。国道は夜中でも交通が絶えることはなく、時々トラックの走行音が聞こえてきた。
それなりに混雑すると思われる通勤時間になるまでに距離を稼いでおきたい。7時ころ神社を出発する。
海沿いの国道をゆく。次第に交通量が増えてきた。路肩が狭くてストレスを感じるようになったたところで、広い歩道に逃げた。海から吹き付ける寒風に晒され続けた。
前方に見えていたシラスの断崖が間近で見られるようになった。
以前、海岸だったところが隆起して出来上がった地形。
崖は脆いようで崩れ落ちた土が下に溜まっている。
それにしてもかなりの高さのある崖。
ところどころに東屋あり。
防風林の中の吹上浜サイクリングロードよりも、国道270号線の方が走っていて遥かに気持ちいい。しかし、それも少しの区間だけ。
江口浜海浜公園
風に吹かれて体が冷えてきたので、公園に寄って休憩する。
開けた海岸に立派な東屋とトイレあり。防風林の中でなら快適に泊まることができるだろう。
ただ道路が近すぎるのが気になる。
なかなか面白いこと書いてある。
個人的には汚してしまっても掃除できるように道具を置いて欲しいと思う。
たいてい鍵の掛かった道具入れにしまってあって、やりたくても掃除できない。
汚さないようには気をつけているが、ときどき汚してしまうことがある。自転車に掃除道具を積んで走るわけにもいかず非常に悩ましい問題だ。
この日、雪のため南九州自動車道は通行止めになっている区間があった。市来と書いて「いちき」と読む。
南国の暖かさに慣れていた体には、とても寒く感じた一日だった。
海岸からひと頑張りしていちき串木野市街までやって来た。少し内陸に入って風が弱まった。
疲れたのでJR串木野駅に寄って休憩する。
通勤通学時間帯が過ぎて閑散としている。
駅前の駐車場が月3,000円。私個人の感覚では駅前駐車場の料金が月5,000円以下だと田舎。
田舎ではバスや電車に乗り換えてまで通勤する人は少なく、駅前駐車場の需要はほとんどない。山梨の場合だと電車に乗る人間は学校に通う小学生から高校生まで。ビジネスマンはほとんど見かけない。
カバンから取り出したのは、オーストラリアで買ったゼリー。暑くても溶けないゼリーは自転車旅にぴったり。食べよう食べようと思っていたが、毒々しい色で食べる気にはなれず。いつまでも持ち歩くわけにはいかない。古くならないうちに食べることにした。一つ食べてみると、なかなか美味かった。
空き缶回収箱のカン太郎君。めったにジュースは買わない私は空き缶を持っていなかった。
駅前周辺は小綺麗に掃除されていて、落ちている空き缶はなし。
この機械がどのように作動するのか気になった。
いちき串木野市からは国道3号線で北上して薩摩川内(せんだい)市を目指す。海岸沿いの県道43号線を走って原発の横を通過するのは止めにした。
海岸沿いでも内陸を通ってもさほど距離は変わらないが、海岸沿いは途中の曲がりくねった部分が気になる。おそらく海岸段丘の大きな段差があるのだろう。人力の自転車では、多少の距離よりも高低差の方が断然気になる。下りが急で見通しが悪いと、ブレーキを強くかけねばならず、無駄にエネルギーを消費してしまう。
国道3号線で峠越えして薩摩川内市街までやって来た。並行する自動車道が無料区間となっているためか、大型車が少なく非常に走りやすかった。
時間はまだ10時半を過ぎたところ。
寄り道してJR川内駅にやって来た。
すると田舎の町には似つかわしくないほど立派な駅ビルが目の前に現れた。
余所者でも原発マネーが流れてきているのだとよく分かる。
昼前という時間帯もあってか、駅構内に人影はなし。
天まで続きそうなエスカレーターが私一人のために動き始めた。
なんかおかしい。原発の電気が余っているからといって無駄遣いするのはよくない。そもそもこんな立派な駅舎は必要ない。
全長365m、重さ7t、直径40cmの川内大綱引に使われるロープの一部。
川内大綱引は慶長年間に始まったと伝承されている伝統ある行事。島津義弘公が関ヶ原の戦いの前に薩摩藩の士気を鼓舞するために行ったのが始まりとされているそうな。
今日の川内の町は厚い雲に覆われて日差しがなく寒風が強く吹いていて非常に寒い。
町のスーパーで食料品を買って図書館に逃げ込んだ。
まだ2月中旬の時期は図書館は閉鎖されておらず、制限なく自由に利用することができた。数時間滞在して冷えた体を温めた。
居心地が良いからと、暖房された館内にいつまでも留まるわけにもいかず、誘惑を振り切って町に飛び出す。
道路脇に設置された距離標には門司まで339kmとの表示あり。あともう少しという気持ちと、まだ300km以上もあるのかという落胆がおっさんを強く揺さぶる。新型コロナが深刻さを増すなか、今のところは北九州目指して北上してゆこう、と決める。
川内川を望む。奥に見えるのは火力発電所。
煙突の煙がほぼ直角に流れている。いやはや。すごい強風だ。
ツーリングマップルを見ていてふと目に留まったのが「戦国村」という文字。
コメントは何もなし。なんだろうと思って検索してみると、映画や時代劇で使われる鎧兜を製作する会社なのだそう。なんでも無料で見学できるとか。
無料と知って素通りできる私ではない。川内川右岸の県道44号線を走って「甲冑工房丸武」にやって来た。大きな看板と遠目でも分かる立派な城が目印。居眠りをしていなければ、素通りすることは絶対にない。
所在地(本社) 鹿児島県薩摩川内市湯島町3535-7
営業時間 09:00~17:00
料金 無料
定休日 不定休
無料駐車場の奥に立派な城門あり。
邪魔にならないところに自転車を停めて中に入る。
子供が喜びそうな顔出し記念写真のやつが設置されていた。
立派な展示ルームには多数の鎧兜が展示されている。映画やドラマで実際に使われたものも多数あり、有名俳優のサインが飾られている。
ここで作られる鎧兜は軽量の模造品だが、まるで本物のように見える。
熟練の職人たちが手間暇掛けて制作している。別の棟の工房では、実際にその制作中のようすをガラス越しに見学できる。
展示されているものは、たいてい売り物でもある。腰が抜けそうなほどの高額な値が付けられている。100万円のものはざら。なかには200万円を超えるものもあった。
もともとこの甲冑工房丸武は竹竿を作っていた会社だったのだそう。
当時の写真では、敷地内に置かれた竹に埋もれているようすが分かる。
竹竿作りで培われた繊細な技術が活かされたのだろうか。現在では日本国内シェアの9割を占める会社にまで発展している。
こちらを見学していて気づいたことは、外国人観光客の姿を全く見なかったこと。
有名な観光名勝がない川内に、わざわざやって来る外国人はいないのだろう。これは非常に勿体ない。日本好きの外国人なら鎧兜が嫌いなわけがない。
野宿者の辛いところは、一晩のねぐらが定まっていないこと。だからこそ自由だと言えるのだが、辛いときもある。
寒風に吹かれつつ、川内川沿いを進む。もう時間は4時前。日没が早い時期なのでそろそろねぐら探しをする必要がある。風が強いだけで雨が降っていないのが救い。
海岸沿いを丹念に走り回っていると、小さな漁港近くに公園を見つけた。
トイレがあって水が汲める。人気は少なくて野宿はできる。ただ遮蔽物がなく風当たりが強い。
ほかにどこかに泊まれそうな場所はないかと走り回っているうちに、唐浜海水浴場まで来てしまった。立派な東屋があって悪くはないのだが、さきほどと同じく遮蔽物がない。
風が強い今日は屋根ではなく壁が欲しい。
吹き晒しの東屋。さすがにここでは泊まれない。ようすを見ていると、時々釣り人の出入りがある。夜間、早朝に来ないとも限らず、とても落ち着ける場所ではない。
それで防風林の中に野宿場所がないかと探していたところ、送電線の鉄塔近くに野宿できる場所を見つけた。周囲は背の高い草に囲まれていて風は吹かない。ただし、ぶぉーんという気持ち悪い音がする。
日没が迫っていることもあり、今日はここで泊まること決めた。贅沢は言ってられない。与えられた場所で少しでも快適になるように考えてテントを設営した。
ふぅ~。今日はねぐら探しに手こずった。明日はすんなりと見つかるといいが。